毎年10件ほど発生している子どものベランダからの転落事故

洗濯物を干したりガーデニングをしたり、日常的に利用されるベランダ。特に春から夏にかけては、換気のためにサッシを開けて過ごすという人も多いだろうが、子どもがいる家庭で気を付けたいのがベランダからの転落事故だ。

東京都が2018年2月に発表した「東京都商品等安全対策協議会報告書」によれば、平成19年度以降、12歳以下の子どもがベランダから転落、救急搬送または受診した事例は計145件。そのうち入院を要した事故は全体の7割以上と多く、死亡に至った事例は2件だった。おおむねひとり歩きができるようになる2歳児(29件)の転落が最も多く、次に3歳児(22件)、4歳児(16件)と続く。年齢が上がるごとに発生件数は少なくなるものの、10歳以上でも発生しているため注意が必要だ。東京消防庁の救急搬送件数によれば、毎年10件ほどベランダからの転落による事故が発生、後を絶たない。事故のうち発生場所の75%が住宅で、2階からの転落が最も多く54%を占める。また、高階層での事故は重篤な怪我に至る可能性が高い。

東京都商品等安全対策協議会報告書やリーフレットから、事故の状況、アンケート結果、子どもに配慮した住宅選びのポイントを振り返りたい。

平成29年度「東京都商品等安全対策協議会報告書」を参照して作成。年齢別事故件数平成29年度「東京都商品等安全対策協議会報告書」を参照して作成。年齢別事故件数

事故につながる動作は「手すりの上を越える」が最も多い

次に事故の発生状況を見ていく。145件の事故のうち、事故につながった動作が不明(119件)が最も多く、事象がわかったのは26件であった。そのうち最も多かったのが「手すりの上を越える」が23件、「手すりなどがなく落ちる」が2件、「手すりなどの隙間をすり抜ける」が1件だった。同様に事故発生時の状況も不明な事例が104件と多く、事象がわかったのは41件だった。そのうち多いものから、「ベランダで遊んでいた」で15件、これは低年齢・高年齢の子どもともに見られる。次に、「別室にいたが、子どもが一人でベランダに出た」が14件であった。比較的高年齢の子どもで、「布団を干していた」事例も数件発生している。

手すりの上を越えた際のきっかけは、「足がかりとなるものを置く」が7件と最も多く、ベランダに置いてあったものは室外機が4件であった。

東京都は、危害危険情報の積極的な掘り起こしのため、日常生活での「ヒヤリ・ハット」経験についてアンケート調査を実施している。ベランダでのヒヤリ・ハット経験をしたことがあると回答した人は、全体の16.6%(171人)であった。大事には至らなくとも、使用頻度の高いベランダでは事故一歩手前の危険が潜んでいることがわかる。

東京都ベランダに関するアンケート調査を参照して作成。ベランダでの子どものヒヤリ・ハットなどの経験東京都ベランダに関するアンケート調査を参照して作成。ベランダでの子どものヒヤリ・ハットなどの経験

ベランダ周辺の環境に問題がないか?

ベランダとエアコンの室外機、プランター、テーブルなど足がかりになるものとの距離が近いとベランダを乗り越えやすくなってしまうベランダとエアコンの室外機、プランター、テーブルなど足がかりになるものとの距離が近いとベランダを乗り越えやすくなってしまう

東京都は、アンケート結果や事故の事例から、ベランダの周辺環境について注意喚起をしている。転落事故は低層階・高階層かかわらずに発生しており、特に小さな子どもがいる家庭では現状のベランダの環境に問題がないかを確認しておきたい。

・ベランダに置いてあるものの位置に注意
手すりのそばに、エアコンの室外機やプランター、椅子、テーブル、物干しざおなど、足がかりになるものを置かない。置く場合は、手すりから60センチ以上離して設置する。室外機や物干しなどは、上から吊るすなど設置方法を変更する。また、スロップシンクの位置にも注意したい。

・出入り口の施錠
ベランダの出入り口を施錠する。子どもが鍵を開けられる年齢の場合は、子どもの手の届かない位置に補助錠を設置。換気したい場合は、網戸用の補助錠を設置するなど配慮したい。

また、ベランダだけでなく高所の窓からの転落事故も発生している。窓の付近にも同様に、足がかりになるものを置かない。補助錠の設置など対策をしたい。
子どもがすり抜けられる隙間がないか、腐食がおきていないか、定期的に手すりの点検もしよう。

手すりの乗り越え、すり抜けを防止する住宅選びのポイント

東京都が実証実験の結果から推奨している手すりの規格を確認しよう。手すりの高さについては、床から110センチ以上。(120センチ以上推奨)子どもが足をかけられる高さに、足がかりとなるものがないことが望ましいが、ある場合は、そこから高さ80センチ(できれば90センチ)以上。手すりの下部や隙間は、11センチ以下(できれば9センチ以下)である。

住居からの転落事故は、特に春から夏に多く発生している。できるだけ子どもをベランダに出さないようにすることは防止のための大前提ではあるが、四六時中一緒にいて見ていることは難しい。ベランダの環境の見直しとともに予防に努めたい。

子どものベランダからの転落事故に注意!リーフレット/東京都
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/kyougikai/h29/29-05_leaflet_balcony.html
「子どものベランダからの転落防止のための手すりの安全対策」報告及び今後の都の取組
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/kyougikai/h29/29-04_report.html

東京都子どものベランダからの転落事故に注意!リーフレットより東京都子どものベランダからの転落事故に注意!リーフレットより

2018年 07月07日 11時00分