いま、日本では2分22秒に1組のカップルが離婚している!

厚生労働省が2015年1月1日に発表した人口動態統計の年間推計最新版によると、2014年の日本国内の婚姻件数は22万2,000件、離婚率は1.77%。世界の先進各国の離婚率を比較してみると、ロシアが4.5%、アメリカが3.6%、ドイツが2.19%、イギリスが2.05%、フランスが1.97%となっており、日本はフランスに次ぐ世界第6位となった。

日本における離婚の平均発生間隔は、2分22秒ごとに1組。幸せを誓って結婚をしたはずの夫婦が約3組に1組の割合で破局を迎えており、夫婦の幸福の象徴である『マイホーム』が、残念ながら離婚協議の重荷になってしまうケースも少なくない。

これまで【マンションが離婚協議の重荷に?!】の記事内では筆者自身の離婚経験をふまえ、弁護士・税理士からのアドバイスをご紹介してきたが、シリーズ3回目の今回は、マンション販売のプロである不動産会社のベテラン営業マンに『離婚の際のマンションの売却と注意点』について話を聞いた。

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■【マンションが離婚協議の重荷に?!①】弁護士に聞く、離婚トラブル回避の住宅購入術
http://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00300/

■【マンションが離婚協議の重荷に?!②】税理士に聞く、離婚による財産分与の注意点
http://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00331/

離婚時の不動産にまつわるトラブル回避には『公正証書』が不可欠!

▲株式会社アンサークリエイションの流通担当営業マン・山田真市さん。「不動産のことなら、山田さん」と、長いお付き合いになる顧客から売却相談が舞い込むケースが多いという▲株式会社アンサークリエイションの流通担当営業マン・山田真市さん。「不動産のことなら、山田さん」と、長いお付き合いになる顧客から売却相談が舞い込むケースが多いという

愛知県名古屋市に本社を置く株式会社アンサークリエイションは、新築マンションの販売代理をはじめ、中古マンションの分譲・賃貸など不動産仲介事業を幅広く展開する不動産会社だ。

中でも、不動産流通事業部のトップを務める山田真市取締役(47)は、大手不動産仲介会社の営業時代からこの道25年、不動産の購入と売却に関する様々な事例を見てきたベテラン営業マンである。

「基本的に、わたしたちの仕事は『お客様の幸せづくりをお手伝いする仕事』だと思っているのですが…残念ながら“離婚をすることになったので、せっかく購入したマンションを手放したい”というご相談を受けることもよくあります。

一番多いのは、マンションの住宅ローンの名義はご主人で、離婚をきっかけにご主人が家を出て、マンションには妻と子どもたちが暮らし続けるというケースですね。

この場合、ご主人が子どもの養育費代わりに住宅ローンを支払い続けることになりますが、あくまでもマンションの所有権はご主人にあるため、万一ご主人が途中で住宅ローンの支払いを拒否したり、何らかの理由で売却を進めたりすると、妻子は突然住まいを失うことになります。

別れた夫婦間では“当初の約束と話が違う!”というトラブルはつきものなので、お客様から離婚にまつわる相談を受けた時は、必ず『公正証書を巻いてください(取り交わしてください)』とアドバイスをしています」(山田さん談)。

夫婦で暮らしたマンションは、想い出が詰まった宝箱のような場所
だからこそ、想い出と一緒にすべてを売却したい…

マンション=住まいというのは夫婦共有の財産というだけでなく、“たくさんの想い出が詰まった宝箱のような場所”でもあるため、特に男性顧客からは「想い出と一緒にすべてを売却して、ゼロから新生活をスタートしたい」という要望が多いのだという。

「所有者のご主人が売却を希望していても、先ほどのように『妻子がマンションに住み続けることを望んでいる場合』はなかなか話し合いが進まないことが多いですね。ただ、僕が以前担当したケースでは、離婚が成立した後に、家を出て行ったご主人とマンションに暮らし続けている奥さまの間で『売買契約』を結び、奥さまの名義に変更した事例もありました。

離婚が成立する前、つまり婚姻関係が継続している間に、ご主人から奥さまへの名義変更をおこなうことは『夫婦間の贈与』とみなされ、贈与税が発生することがありますし(※ただし、20年以上婚姻関係が継続していた場合、一部限度額内に限り無税となる事例もある)、仮に夫婦間で売買契約を結ぼうとした場合には、夫婦間売買による住宅ローンの利用が一部金融機関でしか扱われていないこともあり、ローンの取り付けが難しいケースも多くなります。

そのため、離婚が成立したあと、“晴れて他人同士となった上で、改めて売買契約を結ぶ”という方法で決着したのがその事例でした。他人同士であれば、通常の売買契約と何ら変わらないため、住宅ローンの審査等もスムーズにおこなえるからです。

しかし、ご主人側がオーバーローン(残債が残ってしまうこと)になってしまったり、別れた奥さま自身に新たな住宅ローンを組むだけの資金力がない場合は、売買契約が難しくなりますので、とにかく離婚時のマンション売却に関する対処法はケースバイケースです。まずは、信頼できる不動産仲介会社に相談することをおすすめします」(山田さん談)。

▲これまで【マンションが離婚協議の重荷に?!】のシリーズでは、弁護士、税理士からのアドバイスをご紹介してきたが、<br />どの回でも共通していたのは『離婚協議はケースバイケース、どの事例を見比べても同じ着地点はない』という意見。<br />十人十色の離婚劇があるため、マンションの処分についてもプロの意見に耳を傾けることが必要だ▲これまで【マンションが離婚協議の重荷に?!】のシリーズでは、弁護士、税理士からのアドバイスをご紹介してきたが、
どの回でも共通していたのは『離婚協議はケースバイケース、どの事例を見比べても同じ着地点はない』という意見。
十人十色の離婚劇があるため、マンションの処分についてもプロの意見に耳を傾けることが必要だ

住宅ローンの借り換えが難しい場合は『仮登記』という方法もある!

▲『所有権移転請求権仮登記』は、本登記がなんらかの事情でできない場合に、将来の登記の順位を保全するため、あらかじめおこなっておく登記のこと。仮登記のままでは高い対抗力は無いものの、後日要件が整って本登記がおこなわれた場合は、仮登記の順位が本登記の順位になる『順位保全効』を有する。つまり“早い者勝ち”であることを覚えておこう▲『所有権移転請求権仮登記』は、本登記がなんらかの事情でできない場合に、将来の登記の順位を保全するため、あらかじめおこなっておく登記のこと。仮登記のままでは高い対抗力は無いものの、後日要件が整って本登記がおこなわれた場合は、仮登記の順位が本登記の順位になる『順位保全効』を有する。つまり“早い者勝ち”であることを覚えておこう

ちなみに、夫名義のマンションで住宅ローンの債務がまだ残っている場合、新たにローン審査を受けなおさなくてはならなくなるため、妻への名義変更が難しくなるという事例が多いことは【シリーズ①弁護士に聞く!】でもすでにご紹介したが、山田さんによると、その場合には『仮登記』をおこなっておく方法もあるという。

「仮登記というのは、正式には『所有権移転請求権仮登記』というもので、この仮登記をおこなっておくと、『まだ所有権は移転されていないが、将来的にその所有権を移転してもらえることになっている』という事実が不動産の登記簿に記載されますから、今の所有者(=夫)が勝手にマンションを売却をしてしまうなどのトラブルに対して、“お守り”的な対抗力をつけることができます。

ただし、別れて家を出て行った夫が再婚等を理由に『自分のマンションに住みたい』と主張した場合は、現所有権が夫にあるわけですから、妻がいくら仮登記を済ませていてもマンションを出て行かなくてはならないケースも考えられます。仮登記の保全効力だけを過信せずに、重ねて公正証書を巻いておくと良いでしょうね」(山田さん談)。


仮登記は法務局で申請をおこなうことができるが、書類の作成や申請手順が複雑なため、多くの場合は司法書士への相談が必要になる。その際の費用は、登録免許税として物件の固定資産税評価額の1%(不動産の内容によって異なる)と、司法書士手数料(数万円~十数万円程度/評価額によって異なる)。

また、公正証書を取り付ける場合は、数万円程度(評価額によって異なる)となっている。

『かかりつけ医師』のように
『かかりつけ不動産仲介担当者』を作っておくことも大切!

ここからは筆者の離婚体験に基づく私見となるが、大きな財産である不動産を処分するには独断は難しく、プロからの親身なアドバイスが欠かせない。

「売却をするべきか?賃貸に出すべきか?売るとしたら相場はどれぐらいか?タイミングは正しいのか?貸すならどのようにして広告を出すべきか?」などなど、素人ではまったく経験がなく判断がつかないからだ。

だからこそ、マンションや一戸建てなどの不動産を取得した場合には、あらかじめ『かかりつけ医師』のように頼りになる存在の『かかりつけ不動産仲介担当者』を持っておくことが大切だ。

「僕の場合は、結婚、出産、転勤など、人生の節目ごとに住まいについてのご相談をいただくお客様も多いですね。特に、長いお付き合いのお客様から相談を受けた場合は、“少々プライベートまで立ち入りすぎかな?”というところまでアドバイスをさせていただくこともあります。不動産営業マンも“所詮人の子”ですから(笑)、お馴染みのお客様の場合は、多少難しい案件でも“何とかお力になりたい”という気になるものです」と山田さん。

“離婚なんて、まったく想像もしていない”というみなさんも万一に備え、一生のお付き合いとなる『信頼できるかかりつけ不動産仲介担当者』を探してみてはいかがだろうか?

■取材協力/株式会社アンサークリエイション
http://www.answer-creation.co.jp/

2015年 08月05日 11時07分