中心市街から近く、自然豊かな地区、糸島

注目を集める糸島注目を集める糸島

近年急に耳にする機会が増えた「糸島」という地名。糸島は福岡の中心地である博多や天神から車で30~40分の距離でありながら、美しい海と山に囲まれた自然豊かな地区である。
九州出身の筆者もそれまでは「糸島」を知らなかったが、これは単にクローズアップされ出したのが最近だからという訳ではない。

実は「糸島市」は2010年に1月1日に旧前原市、旧二丈町、旧志摩町が合併して誕生した福岡県の新しい市なのだ。美味しい食べ物やおしゃれなお店も豊富…。そのため最近、観光だけでなく移住先としても注目が集まっている地区だ。

今回、ご自身も移住者である「福岡移住計画(※1)」代表の須賀さんに糸島を案内していただいた。須賀さんは「もっと家族を大事にしながら地域に根ざしていきたい。」と、2012年に東京から糸島へ移り住み、現在は奥さんとお子さん2人と海の近くに暮らしている。筆者も漠然とだが、”糸島は移住に良いところ”というイメージはあった。今回移住希望目線で、島を巡った体験を以下にレポートしていこうと思う。

(※1)「福岡移住計画」…須賀さんが移住の際に色んな人にサポートしてもらった経験から、webでの情報発信やイベント作りを行っている。移住した人やこれから考えている人たちのコミュニティ作りも精力的にサポートしている。(http://www.fukuoka-ijyu.jp/)

糸島の魅力とは?

須賀さんとご家族。自宅の庭からの海はまるでプライベートビーチのよう須賀さんとご家族。自宅の庭からの海はまるでプライベートビーチのよう

案内していただきながら、須賀さんにまず糸島についての魅力についてを聞いてみた。
「糸島にはきれいな海があり、山も近く自然が豊富。なのに福岡市内にも近い。高速がすいていれば、実は車で15〜20分くらいで着きます。自然がいっぱいの中でいきいきと暮らす内に、何よりもまず子供の表情が変わりました!」

移住先として魅力のある糸島だが、では地元の人はどう思っているのだろうか。島を巡っている際にお会いした糸島市役所の「シティセールス課」の井上さんに聞いてみた。
「糸島は緩やかにだが人口も増え続けている。福岡県の外から移住してくる方も多く、それだけ糸島の環境が良いということだろう。地元の人たちは糸島の中にいて当たり前で分からないが、自分も県外に出たことがあるから気づいたことがある。もっと糸島の魅力を伝えていきたい」とお話ししてくれた。地元の人も移住には積極的のようだ。

糸島を1日かけて巡る

オシャレな雰囲気がただよう「ここのき」さんのショップオシャレな雰囲気がただよう「ここのき」さんのショップ

糸島に着いてまず向かったのは、福岡市から近い前原地区にある「糸島くらし×ここのき」だ。「つくるひと」と「つかうひと」をつないでいるという、ここのきさん。こちらでは木工作品や陶器、雑貨、食品など様々な物を購入することができるが、そのほとんどが糸島で暮らす作り手たちによって作られたものだ。数年前からクリエイターが住み着くようになったことで、「オシャレな糸島」というイメージを持つ人も多いのではないか。ここのきのつくり手は糸島の地元の人も移住してきた人もいて、60人くらいの人はホームページで紹介されている。

お店に入ったとたん思わず「かわいい!」と声を上げたくなってしまう程、店内にはセンスのよい素敵なモノがずらりと並んでいた。「ここのき」の店舗は糸島にしかないが、全国からオンラインショップで購入できるほか、代官山蔦屋書店など各地で出張イベントも開催している。

次に立ち寄ったのは「古材の森」というお店だ。江戸時代から唐津街道の宿場町である前原宿を支えてきた旧家・西原家によって明治34年に建てられた歴史的価値が高い建物を使用している。門を抜けて店内に入ると、高い吹き抜けの空間と広々とした大広間が広がっている。

こちらの建物はなんと、建物の解体機械をレンタルする会社によって運営されている。「家を解体してほしい」と依頼を受け、解体工事のためにこの建物を訪れたが、中に入った途端「残さなければ」という思いでいっぱいになったという。壊さずに改装して残す方法を考えてできたのが、この「古材の森」だ。現在は糸島で取れた食材を使ったランチや喫茶の営業を中心に、地域の文化的な拠点施設として活用されている。糸島市には指定文化財をはじめとして多数の文化財が存在することでも知られている。

このほかにも糸島には昔ながらの製法で作られたこだわりの塩が有名だったり、福岡市内から移住して来たご夫婦が営む額縁屋さん兼ヘアサロンがある。移住してきた人達や元々地元に住んでいた人、それぞれが共存し楽しく暮らしている環境だと思った。

糸島トライアルステイ×糸島のHUBとしてのスペース

左上:外観   右上:ロフトからの眺め   
左下:キャンドルアーティストさんの作品   右下:カフェ空間でくつろぐ筆者左上:外観   右上:ロフトからの眺め    左下:キャンドルアーティストさんの作品   右下:カフェ空間でくつろぐ筆者

自然だけでなく、日常の生活を送る上でも役に立つ、オシャレな地産地消のお店もある。しかし、それだけでは実際の移住先として検討するにはまだ足りないと思うかもしれない。そんな時に紹介したいのが、次の訪問先。須賀さんの手がける、シブいガレージのような佇まいの建物の「RIZE UP KEYA(ライズアップケヤ)」だ。

左奥の入口からお邪魔すると、居住スペースが現れた。部屋の間取りは寝室と広めのLDK。こちらでは「糸島トライアルステイ」が行われており、この日も福岡市内在住のミツロウのキャンドルアーティストの方がご主人とトライアルステイ中だった。
トライアルステイとは、”行政と福岡R不動産が協同のもと、地域の魅力的な空き家を移住希望者にお得な条件(3週間賃料500円+光熱費など)で提供し、体験居住を通して地域とのフィット感を確かめていただくプログラム”だ。
過去3年間で、福岡県内のエリアで約60組の方にトライアルステイしていただき、実際に移住した人も少なくないという。

さらにキッチンの奥の扉を開くと、パーティースペースのような広々とした空間が広がる。
手作りのテーブルに、使われなくなったというレトロな椅子、キッチンスペース付のカウンター席などカフェのような空間に、駆け上がりたくなるロフトがある高い天井。元々スーパーマーケットがあったところを改装したということだ。

2014年7月にオープンしたというこのスペースは、イベント会場やショートステイ型ゲストハウスなどとして活用されていく予定だ。また、糸島に移住してきたり育っているたくさんのアーティストたちが集まって作業するコワーキングスペースなど、地域に開かれた「HUB」としての機能も期待されている。

魅力的な糸島の移住先

魅力的なスペースがたくさんあった糸島。今回紹介できたのはほんの一部でしかない魅力的なスペースがたくさんあった糸島。今回紹介できたのはほんの一部でしかない

ビーチリゾートのような海があり、食べ物やお店もセンスがよくクオリティが高い。自然も多く、街も人ものどかだし、それでいて福岡の中心市街からのこの距離感。
多くの人が移住先の候補に上げる「糸島」。筆者もどんなところだろうと期待を膨らませていたが、実際に訪れてみると、なるほど。多くの人が魅了される理由もうなずけた。
最近は移住者同士のコミュニティを形成する動きも加速している。移住に対するハードルはかなり下がっているのではないだろうか。ちなみにたった1日だけでは糸島の魅力をすべて巡りきれていないが、筆者が糸島に移住したくなったのは言うまでもない。

2015年 01月03日 11時35分