結論①:「含み損があるから売れない」と考える前に、住み続けることで積み重なる金銭的・精神的コストも判断材料に入れることが大切
購入価格を売却額が下回る「含み損」があると、売却をためらってしまいがちです。しかし住み続ける間にも、住宅ローンや固定資産税、修繕費といった金銭的コストは発生し続けますし、ご近所トラブルや環境への不満がある場合は、ストレスや不安といった数字に表れない精神的コストも積み重なっていきます。「今の含み損がいくらか」だけでなく、今後何年住み続け、その間にどれだけの負担が生じるかまで含めて考えることが、住み替えを判断するうえで重要です。詳しくは、住み続けるコストと売却損、何で比べるべき?をご覧ください。
結論②:譲渡損失が出ても、要件を満たせば税金の特例(損益通算)で負担を軽減できる
住宅ローンが残る持ち家を売却して損失が出た場合でも、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算」や「居住用財産の買換え等の譲渡損失の損益通算」といった特例を使うことで、給与所得など他の所得と損失を相殺し、源泉徴収されていた所得税の還付を受けられる可能性があります。相殺しきれなかった損失は最大3年繰り越せるため、単純に「売却損=そのまま損失」と捉えるのではなく、税制面での軽減効果も含めて最終的な負担を確認することが大切です。詳しくは、譲渡損失が出ても税金で救済される2つの特例をご覧ください。
結論③:近隣トラブルは買主への告知が必要になる場合があり、複数の不動産会社を比較することで不利にならない売り方を選べる
近隣トラブルの事実は、売主から買主への「説明義務」の対象となる可能性があるため、正直に不動産会社へ伝え、告知の要否や方法について判断を仰ぐことが望ましいといえます。査定額や告知への対応方針は不動産会社によって異なるため、複数社(できれば4社以上)に売却査定を依頼して比較することで、トラブルの影響を抑えつつ適切な条件で売却できる可能性が高まります。詳しくは、売却理由の告知義務と、不利にならない売り方をご覧ください。

「せっかく購入した持ち家だが、ご近所とのトラブルが続いていて住み続けるのがつらい」「転勤や家族構成の変化、周辺環境の変化などで、今の家が暮らしに合わなくなってきた」そんな悩みを抱えている人もいると思います。

 

持ち家は「できるだけ長く住み続けるもの」と考えがちですが、無理をして住み続けることが、必ずしも家計や生活にとって最善とは限りません。売却によって多少の損失が出る場合でも、今後の生活を考えて住み替える「損切り」という選択肢があります。

 

この記事では、ご近所トラブルや環境変化などを理由に持ち家を手放す場合に、「売却して住み替えるべきか」を判断するためのポイントを整理します。さらに、住宅を売却した際に発生する譲渡所得や税金、持ち家売却時に利用できる可能性のある特例など、売却前に知っておきたい税務上のポイントについてもわかりやすく解説します。

 

持ち家の売却・住み替えを具体的に検討したい方へ

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ご近所トラブルや環境変化で持ち家を手放すことを検討した際、真っ先に気になるのは「いくらで売れるのか」だと思います。売り値が購入価格と比べて低かった場合、持ち家の売却をためらってしまうかもしれません。

しかし持ち家を手放す場合には、そこに住み続ける「精神面のコスト」も考慮する必要があります。

ご近所トラブルや周辺環境への不満がある場合、住み続けることで次のような精神的負担が積み重なることがあります。

 

・近隣住民と顔を合わせることへのストレス

・騒音や嫌がらせなどへの不安

・家にいても落ち着かないこと

・将来も状況が改善しないのではないかという不安

 

このような負担は、住宅ローンや固定資産税のように金額として明確に見えるものではありません。しかし「その家に住み続けることで失っている時間や安心感」も、住み替えを判断する際の重要なコストと考えることができます。

また持ち家に住み続けることを選択したとしても、含み損(売却価額が購入価格を下回る)を抱えてしまう可能性があります。

 

たとえば、次のケースの場合です。

  • 購入価格:5,000万円
  • 現在の売却想定価額:4,000万円
  • 含み損:1,000万円

この1,000万円は、売却していない段階では実際に確定した損失ではありません。そのため、「これだけ含み損があるから、今はまだ売り時ではない」と考える人もいるでしょう。

ただし、住宅の価格は、一般的に築年数が経過するほど下がる傾向があります。特に建物部分は年数とともに劣化するため、評価が下がりやすく、木造の一戸建てでは築20〜25年ほどで建物の価値がほとんど見込まれなくなるケースもあります。マンションも、築年数が経過するにつれて価格が下がりやすい傾向があります。

 

仮に、今は4,000万円で売れる見込みの家が、数年後に3,600万円まで下がったとします。その場合、含み損は1,000万円から1,400万円へと広がります。含み損が解消されるのを待って住み続けた結果、かえって含み損が膨らんでしまうことも考えられます。

 

一方で、住宅の価格は立地や周辺環境、不動産市況によっても変わるため、必ず下がるとは限りません。売却を検討する際は、不動産会社の査定などで現在の相場を確認し、今後の価格の見通しも含めて判断することが大切です。

 

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また、住み続ける間は、住宅ローンの返済や固定資産税、修繕費などの金銭的なコストが発生し続けます。ご近所トラブルや環境の変化が住み替えを考えるきっかけになっている場合は、精神的なコストも積み重なっていきます。

 

そのため、「含み損がどれだけあるか」だけでなく、今後何年住み続けるのか、その間にいくら費用がかかるのか、生活の質にどのような影響があるかまで含めて考えることが、住み替えを検討するうえで重要になります。

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」(以下、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算)とは、住宅ローンのある持ち家を、ローン残高を下回る価格で売却し、売却損(譲渡損失)が発生した場合に適用できる制度です。

損益通算とは、1年間に生じた利益と損失を相殺して、課税される所得を減らすことで税金を抑えることができる仕組みです。

 

たとえば、すでに給与等で所得税が源泉徴収されていた場合、給与所得と譲渡損失を損益通算することで所得税が還付される可能性があります。

 

またこの特例の特徴として、次の新居を購入しない場合でも適用できます。新居を購入した場合は、一定の要件を満たせば、譲渡損失の損益通算の特例と住宅ローン控除を併用できます。

 

なお、損益通算の対象となる金額は、次の2つのうち、いずれか少ない額です。

  1. 売却によって生じた損失額(取得費や売却にかかった費用などをもとに計算した金額)
  2. 住宅ローン残高から売却金額を差し引いた額(いわゆるオーバーローン)

 

特例を使っても売却した年に損益通算しきれなかった損失は、翌年以後3年間繰り越して控除できます。

 

なお特例を適用する要件としては

  1. 売却した資産は、国内にある居住用財産であること
  2. 売却した年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに5年を超えていること
  3. 売却したマイホームの売買契約日の前日において、そのマイホームに係る返済期間10年以上の住宅ローンの残高があること
  4. マイホームの譲渡価額が上記③の住宅ローンの残高を下回っていること
  5. 親族など特別関係者との売買ではないこと
  6. 譲渡所得の居住用財産の特例を他で適用していないこと

などがあります。

 

※より詳しい要件に関しては、税理士など専門家にご確認ください。

「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」(以下、居住用財産の買換え等の譲渡損失の損益通算)とは、持ち家を売却して損失が発生した際、新居を住宅ローンで購入した場合に適用できる特例です。

 

特例要件を満たした場合、他の所得と損益通算することが可能となり、たとえばすでに給与等で所得税が源泉徴収されていた場合は、確定申告で還付される可能性があります。

特例を適用した年だけで赤字をすべて損益通算できなかった場合、残額は売却した年の翌年以後最大3年繰り越すことが可能です。

 

また、一定の要件を満たせば住宅ローン控除との併用も可能です。売却と新居の購入が同じ年であれば、確定申告でそれぞれの適用手続きを行います。

 

なお特例を適用する要件としては

  1. 売却した資産は、国内にある居住用財産であること
  2. 売却した年の1月1日において所有期間が5年を超えていること
  3. 新しいマイホームは譲渡する年の前年1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に日本国内にある資産で家屋の床面積が50m2以上であるものを取得すること
  4. 新しいマイホームを取得した年の翌年12月31日までの間に住み始めることまたは住み始める見込みであること
  5. 新しいマイホームを取得した年の12月31日において、そのマイホームの返済期間10年以上の住宅ローンを有すること

などがあります。

※より詳しい要件に関しては、税理士など専門家にご確認ください。

状況によって異なりますが、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算」の対象となるのは売却損とオーバーローンのいずれか少ない額です。

 

一方、居住用財産の買換え等の譲渡損失の損益通算の対象となるのは売却損です。購入価格以上の住宅ローンを組むことはまずありえないので、基本的にはこちらのほうが控除できる金額は多くなります。

 

そのため、新居を購入する場合は、まず「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算」の要件を満たすかを確認しましょう。要件を満たさない場合や、新居を購入しない場合は、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算」を使えるかを確認します。

居住用財産(マイホーム)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。これを、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。いわゆる3,000万円特別控除です。

 

この特例は譲渡所得(売却益)が出たときに適用されるもので、譲渡損失(売却損)がある場合は対象外です。そのため、併用はできません。

特例を適用した年だけで損失をすべて損益通算できなかった場合、残額は売却した年の翌年以後最大3年繰り越すことが可能です。ただし、繰越控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円を超える場合、その年は繰越控除を受けられません。

本来、不動産を売却して生じた損失(譲渡損失)は、原則として給与所得などほかの所得と損益通算できません。

たとえば、不動産を2つ所有していて、1つは売却益、もう1つは売却損が出たとします。この場合、不動産の売却益と売却損を相殺すること(内部通算)はできますが、売却損を給与所得などほかの所得と相殺することはできません。

 

ただし、この記事で紹介した2つの特例の要件を満たす場合に限り、マイホームの譲渡損失を給与所得などほかの所得と損益通算できます。会社員の場合、給与から源泉徴収(あらかじめ差し引いて納付)されていた所得税の一部が、確定申告によって還付される可能性があります。

 

また、売却した年に損益通算しきれなかった損失は、翌年以後3年間繰り越して控除できます。

ご近所トラブルがあった家を売却するときに悩みやすいのが、「購入を検討している人に、トラブルの事実を伝えるべきかどうか」ではないでしょうか。近隣トラブルがあったという事実だけで、一律に告知義務が生じるわけではありませんが、ご近所トラブルがあった事実は、伝えておいたほうがよいでしょう。

 

不動産の売買では、仲介する不動産会社が宅地建物取引業法に基づき、契約前に物件の重要な事項を買主に説明する義務(重要事項説明)を負っています。また、売主にも、買主の購入判断に影響する事実を伝える責任があると考えられています。

 

伝えるべき事実には、雨漏りや設備の不具合といった物理的な欠陥だけでなく、物件内で起きた事件や事故など、買主が心理的に購入をためらう可能性のある事実も含まれます。こうした事実を伝えずに売却し、あとから発覚した場合、契約内容やトラブルの性質によっては、売主が契約不適合責任などを問われ、損害賠償や契約解除を求められる可能性があります。なお、物件内で人が亡くなった場合の告知については、国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(2021年)で目安を示しています。

 

ご近所トラブルが告知すべき事実に当たるかどうかは、トラブルの内容や程度によって異なり、一概には判断できません。しかし、売却後に買主との間で大きなトラブルに発展するのを防ぐためにも、告知しておくほうが安心です。

 

まずは不動産会社の担当者に、ご近所トラブルの事実を正確に伝え、告知が必要かどうか、どのように伝えるかを相談しましょう。告知する場合は、売主が買主に直接伝えるのではなく、不動産会社を通じて、告知書(物件の状態を売主が記入する書類)などで伝えるのが一般的です。

 

告知の必要性を判断する際には、売主だけでなく、不動産会社にも適切な確認や説明が求められる場合があります。そのため、ご近所トラブルがあった家を売る際は、トラブルの内容を踏まえて適切な助言をしてくれる不動産会社かどうかを、しっかり見極めることが大切です。

 

※出典:e-GOV法令検索 「民法 第五百六十二条」

https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/20280613_505AC0000000053#Mp-Pa_3-Ch_2-Se_3-Ss_2-At_562

不動産会社を選ぶうえでは、「こういう事実があったのですが、どのように売るのが適切でしょうか? 」と複数社に聞いて比較してみましょう。具体的な判例を教えてくれたり、できる限り影響が出ないような告知方法を検討してくれたりする不動産会社なら信頼に値するといえます。

 

併せて査定額やその根拠もしっかり聞いて、比較するようにしてください。トラブルが査定額に影響するのか? その説明に納得できるか? を判断するためには、複数社(3社程度以上)の不動産会社に売却査定を依頼することをおすすめします。複数社への査定依頼も、インターネットの一括査定を活用すれば時短かつ手間もかかりません。一括査定を利用する際は、各サービスの個人情報の取り扱い方針を確認したうえで活用しましょう。

 

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まず確認したいのが、現在の住宅ローン残高と、実際に見込める売却額です。

たとえば、住宅ローンの残高が3,000万円で、売却価額が2,500万円の場合、単純計算で500万円の差額が生じます。この差額に加えて仲介手数料などの売却費用も考慮し、不足分を自己資金で補填できるか、金融機関との調整が必要かを事前に確認することが重要です。

次に、売却後の住まいをどうするかを考えます。住み替え先として、賃貸を選ぶのか、新たに住宅を購入するのかによって、必要となる資金やその後の家計負担は大きく変わります。新たに購入する場合は、住宅ローンだけでなく、購入時の諸費用や固定資産税、修繕費なども含めて検討する必要があります。

一方、賃貸に住み替える場合は、住宅ローンはありませんが、毎月の家賃が継続的に発生します。

最後に、「今の家に住み続ける場合」と「売却して住み替える場合」を比較します。

住み続ける場合には、住宅ローンの返済、固定資産税、管理費・修繕積立金、修繕費などが発生します。

 

一方、売却価格が購入価格を下回ると、売却損が発生します。ただし、マイホームの売却では、一定の要件を満たすことで利用できる税制上の特例があります。

 

そのため、単純に「売却損が1,000万円だから、1,000万円損する」と考えるのではなく、

「売却した場合に最終的にどれだけの負担が生じるのか」を税金も含めて確認することが重要です。

また、住み続ける場合も、今後5年、10年と住み続けることで発生する住宅関連費用を見積もる必要があります。

Q1.売却理由が近隣トラブルでも、特例は使えますか?

A1.特例の要件さえ満たしていれば、「なぜ売却したか」という特定の売却理由が条件として求められることはありません。

 

Q2.特例を使うと、確定申告は自分でもできますか?

A2.国税庁の『確定申告書等作成コーナー』を使えば自分で申告できます。ただし、要件の判断や添付書類が複雑なため、不安な場合は税理士への相談も検討するとよいでしょう。

 

※出典:国税庁 「確定申告書当作成コーナー」

 

Q3. 買換え先を決めていない場合でも、特例は使えますか?

A3.買換え先を決めていない場合、要件を満たしていれば特定居住用財産の譲渡損失の特例は使える可能性があります。

ご近所トラブル・環境変化によって、今の家に住み続けることが負担になった場合、持ち家を売却して住み替えることも選択肢の一つです。

購入価格より現在の売却価格が低く、「含み損があるから売るのはもったいない」と考えてしまうこともありますが、判断する際に大切なのは、現在の含み損だけではありません。

 

住宅ローンの残高や売却にかかる費用、住み替え先の住宅費に加えて、今後住み続けることで発生する固定資産税や修繕費などの金銭的コスト、さらにご近所トラブルなどによる精神的な負担まで含めて考える必要があります。

 

また、マイホームの売却では、一定の要件を満たすことで税制上の特例を利用できる場合があります。売却損が出るケースでも、特例によって税負担が軽減される可能性があるため、「いくらで売れるか」だけでなく「売却後に最終的にいくら負担するのか」まで確認することが重要です。

「せっかく買った家だから」という理由だけで住み続けるのではなく、これからの生活をどうしたいのか、そのためにどの選択が現実的なのかという視点で考えてみましょう。

 

住み替えに向けた第一歩を踏み出してみませんか?

納得のいく住み替えを実現するためには、まず現在の資産価値を知ることと、新しい暮らしの候補を探してみることが大切です。

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