借り換えで「得する条件」が実勢金利に基づく数字でわかる
昔からいわれる「金利差1%・残債1,000万円・残期間10年」という目安が、いまの金利環境でどこまで通用するのかを検証します。2026年8月時点の大手銀行の金利水準を使った試算で、金利差0.4%でも実質約27万円のメリットが出るケースを示し、自分のローンに当てはめて考えられるようにします。
借り換えにかかる費用の全体像がつかめる
事務手数料、保証料、登録免許税、司法書士報酬、印紙税など、借り換え時に必要な諸費用を一覧表で整理します。「利息がいくら減るか」だけでなく「費用を差し引いた実質メリット」で判断する視点が身につき、諸費用倒れの失敗を避けられます。
金利上昇局面ならではの判断軸と落とし穴がわかる
政策金利が1.00%まで引き上げられた2026年のいま、借り換えの狙い目は「金利そのもの」ではなく「優遇幅(引き下げ幅)の差」に移っています。店頭金利が上がっても得する人がいる仕組みと、「固定金利は変動金利より先に上がる」という見落としがちな性質を、判断チェックリストとともに整理します。

毎月の返済額が引き落とされるたびに、「このローン、このままでいいのだろうか」と頭の片隅で気になりながら、忙しさに紛れて何年も過ぎている。そんな方は少なくありません。

住宅ローンは、借りたときの条件のまま完済まで付き合う必要はありません。返済の途中で、より有利な条件のローンに乗り換える「借り換え」という選択肢があります。うまく活用すれば総返済額を数十万円単位で減らせる一方、諸費用を考えずに実行すると、かえって損をしてしまうこともある。ここが借り換えの難しいところです。

しかも2026年のいまは、長く続いた超低金利の時代が終わり、金利が上がっていく局面。借り換えの判断基準そのものが、数年前とは変わってきています。最新のデータと実勢金利を使いながら、「自分の場合はどうか」を判断できるところまで、一緒に整理していきましょう。

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かつての借り換えは、「低いほうへ乗り換えて利息を減らす」だけのシンプルな話でした。ところが前提となる金利環境が大きく動いています。日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除して以降、段階的に利上げを進め、2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を1.00%に引き上げました。続く2026年7月30〜31日の会合では1.00%に据え置かれたものの、経済・物価情勢に応じて利上げを続ける方針は維持されています(出典:日本銀行「金融政策決定会合」)。

 

政策金利の引き上げは、変動型住宅ローンの基準となる短期プライムレートに波及します。実際、三菱UFJ銀行・みずほ銀行など大手銀行は2026年8月3日に短期プライムレートを年2.125%から2.375%へ引き上げました。変動型の基準金利は多くの銀行で年2回(4月・10月)見直されるため、返済中の人の適用金利も、次回の見直しを経て2027年1月の返済分から上がっていく見込みです。

 

つまりいまの借り換えには、従来どおりの「利息を減らす借り換え」に加えて、「将来の金利上昇に備えて返済額を確定させる借り換え(変動型→固定型)」という、もう一つの目的が生まれているのです。目的が違えば、判断基準も変わります。この違いを意識せずに「金利が低いほうが得」とだけ考えると、判断を誤りやすくなります。

実際、返済中の人の心境にも変化が表れています。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2026年1月調査。2025年4月〜9月に借り入れた1,237件が対象)によると、新規借入れで変動型を選んだ人は75.0%と依然多数派ですが、前回の2025年4月調査から4.0ポイント減少し、固定期間選択型(14.9%)や全期間固定型(10.1%)を選ぶ人が増えています。また、同機構が2024年度以前の借入者を対象に行った調査(2025年10月調査)では、変動金利型で返済中の人の53.5%が、借入当時と比べて金利変動リスクに不安を感じていると回答しています(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」)。

 

「なんとなく不安」を「数字で判断できる状態」に変えること。それが、このあとの各章のゴールです。

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住宅ローンの借り換えとは、新しい金融機関でローンを組み直し、その融資金でいまのローンを一括返済することです。ローンの「乗り換え」であって、住まいはそのまま。ただし抵当権の付け替え(旧ローンの抵当権抹消と新ローンの抵当権設定)が必要になるため、後述する諸費用が発生します。

借り換えで得られる効果は、大きく次の3つに分けられます。

 

1つ目は「総返済額の圧縮」。いまより低い金利のローンに乗り換えることで、将来支払うはずだった利息を減らします。もっともオーソドックスな目的です。

 

2つ目は「返済額の固定化」。変動型から全期間固定型に借り換えて、将来の金利上昇リスクを手放します。参考までに、全期間固定型の代表である【フラット35】の2026年8月の適用金利は年3.29%(融資率9割以下・借入期間21〜35年の最低金利。前月の3.14%から0.15ポイント上昇)です(出典:住宅金融支援機構【フラット35】)。変動型の実勢より高いため、目先の返済額はむしろ増えますが、「毎月の返済額が最後まで変わらない安心」を買う、保険に近い借り換えといえます。

 

3つ目は「団信(団体信用生命保険)の見直し」。借り換えでは団信も新規加入し直すため、がん保障付きなど保障内容の手厚い団信に切り替えるきっかけになります。健康状態によっては新しい団信に加入できないこともあるため、これはメリットにも制約にもなり得る点として覚えておいてください。

一方でデメリットは明確です。まとまった諸費用がかかること、書類準備や手続きに1〜2ヶ月程度の手間と時間がかかること、そして新規借入れと同様の審査があることです。転職直後で勤続年数が短い、健康状態が変わって団信に入りにくい、といった事情があると、条件の良いローンでも借り換えできない場合があります。「借りたときより自分の属性が変わっていないか」は、金利差より先に確認すべきポイントです。

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借り換えの判断は、「減らせる利息」と「かかる費用」の引き算に尽きます。まず費用の全体像を押さえましょう。

費用項目目安補足
事務手数料定額型:数万円程度/定率型:借入額の2.2%程度金融機関により大きく異なる。定率型は保証料無料の場合が多い
保証料0円〜借入額の2%前後ネット銀行系は保証料無料(代わりに定率手数料)が主流
登録免許税(抵当権設定)借入額の0.4%新しい抵当権の設定にかかる税金
登録免許税(抵当権抹消)不動産1件につき1,000円土地・建物それぞれにかかる
司法書士報酬数万〜10万円程度抵当権の抹消・設定登記の依頼費用
印紙税借入1,000万円超5,000万円以下で2万円電子契約なら印紙税がかからない金融機関もある
全額繰上返済手数料0円〜数万円程度現在借りている金融機関に支払う

たとえば2,000万円を借り換える場合、定率型手数料(2.2%=44万円)の金融機関なら、登記関係や印紙税を含めて総額60万円前後が一つの目安になります。逆にいえば、利息の軽減額がこの費用を上回らなければ、借り換える意味はありません。

借り換えの目安として長く語られてきたのが、「金利差1%以上・ローン残高1,000万円以上・残り返済期間10年以上」という3条件です。この目安自体は、諸費用と利息軽減額がちょうど釣り合う「損益分岐点」のイメージとして今も参考になります。

 

ただし、この基準が生まれたのは保証料や手数料の負担が重かった時代のこと。現在は保証料無料の金融機関や、電子契約で印紙税がかからないケースもあり、諸費用を抑えられる場合があります。費用が下がれば損益分岐点も下がるため、金利差が1%未満でも、残高が大きく残期間が長い人ならメリットが出るケースは十分にあります。「1%ないから関係ない」と入口で切り捨ててしまうのは、もったいない判断です。次の試算で、実際の金利水準に当てはめて確かめてみましょう。

2026年8月時点、大手銀行の変動金利の店頭表示金利(基準金利)は年3.025%で、新規借入れ・借り換え時には所定の条件を満たすと最大で年2.0%の引き下げが適用され、適用金利は年1.025%となります。

 

一方、変動型の適用金利は「店頭金利−借入時に約束された引き下げ幅」で決まり、引き下げ幅は原則として完済まで変わりません。そこで、借入時の引き下げ幅が年1.6%(適用金利1.425%=3.025%−1.6%)の人が、引き下げ幅2.0%のローン(適用金利1.025%)に借り換えるケースを試算します(残高2,000万円・残り返済期間20年・元利均等・ボーナス返済なし。

 

金利水準はいずれも2026年8月時点。ご自身の引き下げ幅は住宅ローン契約書か返済予定表でご確認ください)。

  • 借り換え前(年1.425%):毎月返済額 約95,800円/残り20年の総返済額 約2,300万円(利息 約300万円)
  • 借り換え後(年1.025%):毎月返済額 約92,200円/総返済額 約2,213万円(利息 約213万円)
  • 利息の軽減額:約87万円
  • 諸費用(総額60万円と仮定)を差し引いた実質メリット:約27万円

金利差はわずか0.4%でも、残高と期間の条件がそろえば、プラスの差が生まれます。逆に、同じ金利差でも残高500万円・残り8年なら利息軽減額は十数万円程度にとどまり、諸費用倒れになる可能性が高くなります。大切なのは目安の丸暗記ではなく、自分の「残高×残期間×金利差」で試算してみることです。多くの金融機関のサイトで無料の借り換えシミュレーションが使えるので、まずは返済予定表を手元に用意して数字を入れてみてください。

 

なお、この試算は変動型から変動型への借り換えのため、2026年8月の短期プライムレート引き上げを受けて基準金利が見直されれば、借り換え後も返済額は増えます(大手行では2027年1月返済分からの適用金利上昇がすでに案内されています)。それでも「引き下げ幅の差=0.4%分だけ常に有利」という関係は、基準金利がいくら動いても維持されます。金利上昇局面でも借り換えメリットが消えない理由は、ここにあります。

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借り換えの際に返済期間を延ばすと、毎月の返済額は大きく下がりますが、利息を支払う期間が延びるため総返済額はむしろ増えることがあります。目先の家計改善を優先するのか、生涯の総支払額を減らすのかは別の目的です。シミュレーションでは必ず「毎月返済額」と「総返済額」の両方を確認しましょう。

 

また、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用期間中の人は、借り換え後も一定の要件(借り換え後のローンが当初ローンの返済のためのものであること、返済期間10年以上など)を満たせば控除を引き続き受けられますが、要件を外れると控除が受けられなくなります。控除の残り年数が多い人ほど、この確認は不可欠です。

「変動金利が上がってきたら、そのとき固定に借り換えればいい」と考えている人は要注意です。全期間固定型の金利は長期金利(10年国債利回り)を基準に決まるため、政策金利や短期プライムレートに連動する変動型よりも先に上昇する傾向があります。

 

実際、長期金利は2026年7月末に2.80%まで上昇しており、これを受けて【フラット35】の金利は2026年8月に年3.29%と、日銀が7月の会合で政策金利を据え置いたにもかかわらず前月から0.15ポイント上がりました。固定金利は、変動型の実勢を大きく上回る水準まで先行して動いているのです。住宅金融支援機構も、全期間固定金利型は変動金利型に先行して金利が上昇する可能性があるため、借り換えのタイミングは慎重な検討が必要だと注意を促しています。

 

先ほどと同じ条件(残高2,000万円・残り20年)を年3.29%の全期間固定に借り換えると、毎月返済額は約113,800円。現在の約95,800円から月1万8,000円ほど増える計算です。それでも「この金額なら完済まで変わらない」ことに価値を感じるかどうか。返済額の固定化を考えるなら、変動金利の今後の動きを予想するのではなく、「いまの固定金利で家計が成り立つか」を基準に判断するほうが、後悔の少ない選び方といえます。

ここまでの内容を自分に当てはめるためのチェックリストです。

  • □ ローン残高が1,000万円以上ある
  • □ 残り返済期間が10年以上ある
  • □ 契約書で確認した自分の引き下げ幅(優遇幅)が、いま募集中のローンの引き下げ幅より0.3%以上小さい
  • □ 借入当時より諸費用の安いローン(保証料無料・電子契約対応など)が候補にある
  • □ 変動型で借りていて、金利上昇時に返済額が増えると家計が苦しい
  • □ 団信の保障内容を手厚くしたい(かつ健康状態に大きな変化がない)
  • □ 転職・独立の予定が当面ない(審査面で不利になりにくい)

3つ以上当てはまるなら、シミュレーションに進む価値があります。逆にほとんど当てはまらない場合は、借り換えよりも繰上げ返済のほうが効果的なこともあります。繰上げ返済との比較は、住宅ローンの繰上げ返済のメリット、デメリットもあわせてお読みください。

 

なお、住まいそのものが家族構成に合わなくなってきたと感じている場合は、借り換えではなく住み替えという選択肢もあります。いまの家の残債と、住み替え先の価格帯を並べて眺めてみるだけでも、判断の材料が増えます。

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実際の手続きは、おおむね次の流れです。全体で1〜2ヶ月程度を見込んでおきましょう。

  1. 借換先の金融機関を探す:金利だけでなく、事務手数料の型(定額か定率か)、保証料、団信の内容まで含めた「実質コスト」で比較します。
  2. 仮審査を申し込む:複数の金融機関に同時に申し込んで構いません。見積もりを取り寄せる感覚で、条件を比較しましょう。
  3. 本審査を申し込む:収入証明書のほか、返済予定表(ローン償還表)や残高証明書、返済履歴などが必要になる場合があります。早めに取り寄せておくとスムーズです。
  4. 現在の金融機関に一括返済を申し込む:本審査に通ったら、いまの金融機関に全額繰上返済の連絡をします。
  5. 借り換えの実行:新しいローンの融資金でいまのローンを完済し、司法書士が旧抵当権の抹消と新抵当権の設定を行って完了です。

なお、金利が上昇していく局面では、申込みから融資実行までの1〜2ヶ月のあいだに適用金利の条件が変わることもあります。借り換えを決めたら、金利の適用時期(申込時か実行時か)を金融機関に確認したうえで、早めに動くことをおすすめします。

見落とされがちですが、他行の借り換え条件を材料に、いま借りている金融機関に金利(引き下げ幅)の見直しを相談するという方法もあります。金融機関にとって借り換えによる顧客流出は避けたいものなので、条件変更に応じてもらえるケースがあるのです。

 

この方法なら抵当権の付け替えが不要なため、諸費用を大幅に抑えられます。仮審査で他行の条件を把握したうえで、一度いまの金融機関の窓口に相談してみる。この一手間が、もっともコストの低い「実質的な借り換え」になることもあります。

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住宅ローンの借り換えは、「金利差1%」という古い目安だけで判断する時代ではなくなりました。諸費用の安いローンが増えたことで損益分岐点は下がり、2026年8月時点の実勢金利で試算しても、金利差0.4%で約27万円のメリットが出るケースがあります。一方で金利上昇局面では、「固定は変動より先に上がる」という時間との勝負の側面も生まれています。

 

何もしなければ、いまのローン条件のまま利息を払い続けることになります。それが最適という人ももちろんいますが、「調べていないだけ」だとしたら、本来減らせたはずの数十万円をそのまま手放していることになりかねません。まずは返済予定表と契約書を手元に出して、残高・残期間・引き下げ幅の3つを確認するところから始めてみてください。

 

借り換えの時期や注意点をさらに詳しく知りたい方は、住宅ローン見直しのメリット・デメリット|適切な借り換え時期と注意点<2026年最新>を、フラット35で借りている方は住宅ローン“フラット35”から“変動金利”への借り換え、考えるべきポイントもあわせてお読みください。

 

そして、ローンの見直しをきっかけに「そもそもこの家に住み続けるか」を考え始めた方は、住み替え先の相場を眺めてみるのも一つの整理の仕方です。

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Q1. 借り換えの諸費用は、手元の現金がなくても払えますか?

A. 多くの金融機関では、諸費用を借入額に上乗せして借りることができます。ただしその分だけ借入額が増え、利息もかかるため、実質メリットは目減りします。シミュレーションの際は「諸費用込みの借入額」で計算するようにしましょう。

 

Q2. 同じ金融機関の中で、変動型から固定型に変えることはできますか?

A. 多くの金融機関で、借り換えをせずに金利タイプを変更できる「条件変更」の仕組みがあります。抵当権の付け替えが不要なため費用を抑えられますが、適用される固定金利の水準は他行への借り換えより不利な場合もあります。まずはいまの金融機関に相談し、他行の借り換え条件と比較するのが確実です。

 

Q3. 住宅ローン控除の期間中に借り換えても、控除は続きますか?

A. 借り換え後のローンが当初のローンを返済するためのものであることが明確で、返済期間10年以上などの要件を満たせば、引き続き控除を受けられます。ただし借り換えで返済期間が10年未満になると対象外になるなどの注意点があるため、控除の残り年数が多い方は、借り換え前に要件を必ず確認してください。

 

Q4. 健康状態に不安があるのですが、借り換えはできますか?

A. 借り換えでは団信に新規加入し直すのが原則のため、健康状態によっては審査に通らないことがあります。その場合、引受基準を緩和したワイド団信を扱う金融機関や、団信加入が任意のフラット35という選択肢もあります。いまの団信を手放すことになる点も含めて、慎重に比較しましょう。

 

※本記事に記載の金利・調査データは、それぞれ本文中に明記した時点(2026年8月時点ほか)のものです。金利は毎月見直されるため、検討時には各金融機関の最新情報をご確認ください。

更新日: / 公開日:2016.10.24