- 数字①「適用金利」:通知書で最初に見るのは、返済額ではなく金利の中身です。
- 基準金利から優遇幅を引いた適用金利が、いつの返済分から新しくなるのかを確認します。日銀の決定から通知書が届くまでには約4〜5ヶ月の時間差があり、同じ銀行でも契約タイプによって反映月が変わります。三菱UFJ銀行や七十七銀行の実際の案内を例に、通知書の読み方と届いた当日に使えるチェックリストを整理します。
- 数字②「次に返済額が変わる時期と上限」:5年ルール・125%ルールは安心材料であり、免除ではありません。
- 借入4,000万円・35年ローンの佐藤さん一家(仮名)を例に、6年目の見直しで月額がいくら動くのか、住宅ローンの元金の減り方がどれほど鈍るのかを試算します。返済額が据え置かれても利息負担は消えないこと、未払い利息が生じる金利の目安、そもそも5年ルールがない契約の見分け方まで、数字を交えて具体的に確認できます。通知書を前にした不安が、行動の材料に変わります。
- 数字③「我が家の上限金利」:返済負担率から逆算し、耐えられる金利を先に決めます。
- 返済負担率から逆算して、耐えられる金利の天井を先に決める方法を紹介します。継続・繰り上げ返済・借り換え・住み替えの4つの選択肢を比較表で整理し、よくある失敗事例と回避策、通知書が届いてから30日のタイムラインもまとめました。決めきれない方のために、今日からできる小さな一歩もお伝えします。焦らず、順番に進められるようにしました。
ポストを開けたら、銀行からの封書が。「金利変更のお知らせ」の文字を見た瞬間、胸のあたりがきゅっとなった。。。そんな経験はありませんか。
返済額の欄を先に探して、数字が変わっていなければ少しほっとする。変わっていれば、頭の中で家計簿をめくり始める。毎月のやりくりに直結する話ですから、どちらの反応も、ごく自然なものだと思います。
ただ、この封書を「住宅ローンの返済額が増えたかどうか」だけで読んでしまうと、大切なことを見逃しやすくなります。日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促す方針に変更しました(出典:日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日))。銀行からの通知書は、こうした利上げの波が時間差で家計に届いたサインでもあります。返済額が変わっていなくても、中身は静かに変化が進んでいることがあるのです。
そこで、封書を開けたらまず確認したいのが次の3つの数字です。
1. 新しい適用金利
2.次に返済額が変わる時期とその上限
3.我が家が耐えられる上限金利
この3つが分かると、届いた封書は不安の素から、次の一手を決めるための材料に変わります。
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「返済額が変わっていない」から安心、とは限らない? 通知書が届くまでの舞台裏

日銀の決定から、あなたの通知書が届くまで約4〜5ヶ月
日本銀行の政策金利は、2025年12月に0.75%程度へ(出典:日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2025年12月19日))、2026年6月に1.0%程度へ引き上げられ(出典:内閣府「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」に掲載の日本銀行資料(2026年6月30日))、さらに9月に1.25%程度となりました。6月から9月までの間隔は約3ヶ月でした。
ただし、政策金利が上がった日に、あなたの住宅ローン金利が上がるわけではありません。銀行はまず短期プライムレートを見直し、それをもとに住宅ローンの基準金利を改定し、契約ごとに決められた時期に適用金利へ反映します。たとえば三菱UFJ銀行は、2026年6月16日に短期プライムレートを2.125%から2.375%へ引き上げると発表しました(改定日は8月3日)(出典:三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」(2026年6月16日))。
同行の住宅ローンの案内では、年2回見直しのタイプの場合、10月1日が基準日となり、「ご返済のお知らせ」が11月上旬頃に発行され、新しい利率は12月の返済日の翌日から適用(2027年1月の約定返済分から反映)と示されています(出典:三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」)。
時期 | 出来事(三菱UFJ銀行の案内の例) |
2026年6月15・16日 | 日銀が政策金利を0.75%程度から1.0%程度へ |
2026年6月16日 | 短期プライムレートの改定を発表(2.125%→2.375%) |
2026年10月1日 | 年2回見直しタイプの基準日 |
2026年11月上旬頃 | 「ご返済のお知らせ」が発行される |
2026年12月の返済日の翌日 | 新しい利率の適用開始(2027年1月の約定返済分から反映) |
決定から通知書が届くまで、約4〜5ヶ月。つまり、いま手元に届く封書は、夏までの出来事が反映された「過去の通信簿」です。その後の9月の利上げは、また別の通知として、これから順番に届いていきます。
同じ三菱UFJ銀行の案内では、9月18日発表分の短期プライムレート引き上げを受けた基準金利の見直しは2026年12月1日、年2回見直しタイプの新しい基準日は2027年4月1日と示されています(出典:三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」)。通知書は、一度きりではなく、波のように何度か届くものだと考えておくと、心の準備がしやすくなります。
変動金利の利用者は4人に3人以上?だからこそ生まれる「理解のすき間」
不安を感じているのは、あなただけではありません。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2026年1月調査)では、直近に住宅ローンを借りた人のうち、変動型を選んだ人が75.0%でした。前回調査から4.0ポイント減ったものの、4人に3人は変動型という計算です(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」)。
国土交通省の調査でも、2024年度の個人向け住宅ローン新規貸出約22.2兆円のうち、変動金利型の割合は83.5%でもっとも高い水準でした(出典:国土交通省「個人向け住宅ローンの新規貸出額が増加〜民間住宅ローンの令和6年度の実績を公表します〜」(2026年3月27日))。
数字だけを見れば、変動金利は「多数派の選択」です。ところが、同じ住宅金融支援機構の調査では、将来金利が上がったときに返済額がどのようなルール(5年・125%ルールなど)で変わるかについて、「理解しているが少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」を合わせた人が47.2%にのぼりました(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」)。多くの人が選んでいるのに、仕組みの理解は追いついていない現状では、通知書を前に手が止まってしまうのは、むしろ自然な反応といえます。
国土交通省も、住宅ローン利用者の約8割が変動金利型である一方、35年を超える超長期ローンやペアローンの利用者が増えていることを踏まえ、金利リスクの普及啓発に取り組んでいます(出典:国土交通省「住宅ローンの金利リスクの普及啓発について」)。いま感じている戸惑いは、社会全体で共有されている課題でもあるわけです。
5年ルールで「返済額が同じ」でも利息負担が変わる仕組み
ここで、多くの人が見落としやすいポイントを押さえておきます。
変動金利型(元利均等返済)の住宅ローンに適用される「5年ルール」は、金利が上がっても5年間は毎月の返済額を据え置く仕組みです。ただし、金利上昇による利息負担そのものが減るわけではありません。据え置かれた返済額のなかで利息に回る部分が増え、その分、元金の返済が遅れていきます。
引き落とし額が変わらないと、家計の体感は「何も起きていない」に近くなります。けれど、返済予定表を開くと、利息の割合がじわじわ増えている。通知書が届いたこのタイミングは、こうした見えにくい変化に気づくためのちょうどよい機会です。
注文住宅の資金計画講座数字① 新しい「適用金利」—基準金利と優遇幅を分けて読む

適用金利は「基準金利−優遇幅」で決まる
通知書に並ぶ数字のうち、最初に見たいのが適用金利です。変動金利型の住宅ローンでは、金融機関が定める基準金利から、契約時に決まった優遇幅を差し引いた金利が適用されるのが一般的です。たとえば、七十七銀行は2026年10月1日付で変動金利型住宅ローンの基準金利を3.125%から3.375%へ0.250ポイント引き上げ、新しい利率は12月の約定返済日の翌日から適用すると案内しています(出典:七十七銀行ニュースリリース「変動金利型住宅ローン基準金利の引上げについて」)。
仮に優遇幅が年2.000%の契約なら、基準金利3.375%から差し引いて、適用金利は1.375%です。基準金利が0.250ポイント上がると、優遇幅が変わらない限り、適用金利も同じ0.250ポイント上がります。ここで確認したいのは、基準金利の上がり幅が「自分の契約にどう乗るのか」。ニュースで見る「利上げ幅」と、自分の通知書の「上がり幅」は、必ずしも一致しないことがあるからです。
届いたその日に使える「通知書チェックリスト」
封書を開いたら、次の順番で内容をチェックしてみてください。返済額よりも先に、金利の中身を拾うのがコツです。
- □ 新しい基準金利と、前回の基準金利(上がり幅はいくらか)
- □ 自分の優遇幅(前回と同じか。優遇の条件が外れていないか)
- □ 新しい適用金利(前回との差は何ポイントか)
- □ 新しい金利が適用される返済日(何月分の返済から変わるのか)
- □ 毎月返済額は変わるのか、据え置かれるのか
- □ 返済額のうち、利息と元金がそれぞれいくらか
- □ 次に返済額が見直される時期(5年ルールの基準月)
- □ 返済方式は元利均等か元金均等か
8項目すべてが通知書に載っているとは限りません。足りない項目は、返済予定表や契約書(金銭消費貸借契約書)、インターネットバンキングの画面で確認できることが多いです。
同じ銀行でも「いつから」が違う理由
「友人は先月から返済額が変わったのに、自分は変わっていない」と、焦る方もいるかもしれません。先ほど例に挙げた三菱UFJ銀行の案内では、変動金利に「毎月型」と「年2回型」があり、新しい利率の適用開始時期が異なります。毎月型は2026年9月1日が基準日で、新利率は10月の返済日の翌日(11月の約定返済分から反映)、年2回型は10月1日が基準日で12月の返済日の翌日(2027年1月の約定返済分から反映)です(出典:三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」)。
同じ銀行、同じ時期に借りた人でも、契約のタイプや借入時期で反映のタイミングは変わります。比べるべきは、友人の返済額ではなく、自分の契約書に書かれた「見直しルール」です。
住まいの窓口に資金計画を相談する数値②「5年ルールがあるから大丈夫」の落とし穴—意外と知られていない返済額の“時限装置”
佐藤さん一家の場合:返済額が動かなかった5年間
ここからは、数字②「次に返済額が変わる時期とその上限」を、具体的な例で見ていきます。登場するのは、佐藤さん一家(仮名)です。以下の数字は、試算のために置いた仮定です。
- 家族構成:夫39歳(会社員)、妻38歳(パート)、長女(小学4年生)、長男(年中)
- 世帯年収:720万円
- 住まい:首都圏近郊の70m2・3LDKの分譲マンション。2021年10月に購入
- 借入:4,000万円、35年(420回)、元利均等返済、変動金利、ボーナス返済なし
- 借入当初の適用金利:年0.50%(仮定)
毎月の返済額は103,834円、年間では約124.6万円です。世帯年収720万円に対する返済負担率は約17.3%になります。この返済額は、5年ルールがあれば最初の5年間は動きません。ところが、2026年10月はちょうど借入から5年。最初の「返済額の見直し月」が、いま目の前に来ています。
5年経過時点のローン残高は、金利0.50%のまま推移した場合で約3,470万円(34,705,144円)、残りは30年です。なお、この試算は簡略化のため、5年間ずっと適用金利が0.50%だった前提です。実際には5年のあいだに適用金利が上がっていた場合、その分だけ利息が増え、残高はやや多くなります。たとえば5年間ずっと1.25%だったとすると、5年後の残高は約3,615万円になる計算です。
6年目の見直しで何が起きるか—シミュレーション
では、見直し月に新しい適用金利が変わっていた場合、返済額はどう動くのでしょうか。残高約3,470万円・残り30年を、新しい金利で再計算した結果が次の表です。125%ルールがある契約では、新しい返済額は直前の返済額(103,834円)の125%、つまり129,793円が上限になります。
新しい適用金利 | 再計算した返済額 | 実際の返済額(上限適用後) | 現在との差(月) | 現在との差(年) |
0.50%のまま | 103,834円 | 103,834円 | 0円 | 0円 |
1.00% | 111,625円 | 111,625円 | +7,791円 | +93,492円 |
1.50% | 119,774円 | 119,774円 | +15,940円 | +191,280円 |
2.00% | 128,277円 | 128,277円 | +24,443円 | +293,316円 |
2.50% | 137,127円 | 129,793円(上限) | +25,959円 | +311,508円 |
3.00% | 146,318円 | 129,793円(上限) | +25,959円 | +311,508円 |
※借入4,000万円・35年・元利均等・借入から5年後の残高約3,470万円・残り30年で試算。金利が見直し後の水準のまま続く前提の概算で、手数料などは含みません。実際の返済額は金融機関の計算方法により異なります。
注目したいのは、金利が1.50%の場合の月額15,940円の増加です。月に約1.6万円と聞くと小さく感じますが、年間では約19万円。家計の「見えない固定費」が一つ増える計算です。金利が2.00%なら、年間で約29万円。子どもの習い事や塾代が増えていく時期に、これだけの余白を生み出すのは簡単ではありません。
さらに、金利がその水準のまま残り30年続くと仮定すると、返済総額(利息込み)は、0.50%のままなら約3,738万円、1.50%なら約4,312万円、2.00%なら約4,618万円です。0.50%と比べた差は、それぞれ約574万円、約880万円になります。
元金は減りにくくなる—内訳と未払い利息のリスク
返済額が据え置かれたり、125%で頭打ちになったりしても、利息は新しい金利で計算されます。月の返済額の内訳を見ると、元金が減るペースの鈍さがはっきりします。
新しい適用金利 | 毎月の返済額 | うち利息 | うち元金 |
0.50% | 103,834円 | 14,460円 | 89,374円 |
1.50% | 119,774円 | 43,381円 | 76,393円 |
2.50% | 129,793円(上限) | 72,302円 | 57,491円 |
3.00% | 129,793円(上限) | 86,763円 | 43,030円 |
金利が3.00%になると、毎月の返済額は約26,000円増えるのに、元金に回るお金は0.50%のときの半分以下です。「払う額は増えたのに、借金はなかなか減らない」。これが、返済額だけを見ていると気づけない落とし穴です。
ここでもう一つ、知っておきたいのが未払い利息です。1ヶ月分の利息が、その月の返済額を上回ると、払いきれなかった利息が未払い利息として残ります。佐藤さん一家の場合、残高約3,470万円で据え置き中の返済額103,834円を利息が上回るのは、金利が約3.59%を超えたあたりからです。125%ルールで返済額が129,793円に上がった後なら、約4.49%が目安になります。今回の試算の範囲では、未払い利息は発生していません。ただし、残高が大きい人や返済期間が長い人は、この「利息が返済額を超える金利」が低くなります。通知書が届いたこのタイミングで、自分の数字を一度計算しておくと安心です。
もう一つの注意点は、すべての契約に5年ルール・125%ルールがあるわけではないことです。三菱UFJ銀行は、元金均等返済では5年ルール・125%ルールの対象外と案内しています(出典:三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」)。また、金融機関や商品によっては、元利均等返済でもこの2つのルールがない場合があります。ルールの有無で、金利上昇時の家計への届き方は大きく変わります。契約書の該当箇所は、一度は目を通しておきたいところです。
物件を探す数値③後悔しないための判断軸—「我が家の上限金利」を先に決める

上限金利の求め方は、3ステップで足りる
数字③は、金利そのものではなく、「我が家が耐えられる金利の天井」です。ニュースの利上げ予想を追いかけても、答えは出ません。先に自分の側で上限を決めておけば、通知書が届くたびに「想定の範囲内」か「想定外」かを落ち着いて判断できます。先ほどの佐藤さん一家の例を基に見ていきましょう。
ステップ1:毎月出せる上限額を決める。 世帯年収に対する返済負担率で考えると分かりやすくなります。佐藤さん一家は、「年収の20%(年144万円、月12万円)までなら教育費と貯蓄を守れる」と決めたとします。
ステップ2:見直し時点の残高と残り期間で、その返済額に収まる金利を逆算する。 残高約3,470万円・残り30年の場合、月12万円に収まるのは年1.51%程度まで。月15万円(返済負担率25%)まで広げても、年3.20%程度までです。
ステップ3:上限金利を超えたときの行動を、先に決めておく。 たとえば「適用金利が1.5%を超えたら、繰り上げ返済と借り換えの試算をする」「2.0%を超えたら、住み替えも比較する」というように、行動のスイッチを前もって置いておきます。
佐藤さん一家の上限金利は1.51%。通知書に書かれた新しい適用金利が、この天井より下にあるかどうかで、見え方が変わります。
たとえば新しい適用金利が1.50%なら、天井にほぼ接した状態です。いまは継続で乗り切れても、次の利上げで天井を超える可能性が見えているので、繰り上げ返済や借り換えの試算を早めに取っておく、という判断につながります。
住宅金融支援機構の調査では、毎月の返済額が1万円増えた場合に「返済の目処や資金余力があるので返済継続」と答えた人が58.8%だった一方、3万円増えた場合は24.2%まで下がりました(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」)。「いくら増えるまでなら大丈夫か」は、人によって大きく違います。だからこそ、「我が家の天井」を数字にしておく価値があります。
4つの選択肢を、メリット・デメリットで並べる
上限金利に近づいたとき、あるいは超えそうなとき、選べる道は主に4つです。
選択肢 | メリット | デメリット・注意点 | 向いている人 |
① そのまま継続 | 手間も費用もかからない。5年ルールの猶予を使って家計を調整できる | 金利が上がり続けると、利息負担と総返済額が増える | 上限金利に十分余裕があり、貯蓄で吸収できる |
② 繰り上げ返済 | 利息の元になる元金を減らせる。期間短縮型なら総利息を抑えやすい | 手元資金が減る。教育費や急な出費への備えが薄くなる | 生活防衛資金を確保したうえで、まとまった余剰資金がある |
③ 借り換え・固定化 | 将来の金利上昇リスクを抑えられる。返済計画を立てやすい | 借り換え時の諸費用がかかる。固定は変動より金利が高めのことが多い | 金利上昇への不安が大きく、返済額の安定を優先したい |
④ 住み替え(売却・購入・賃貸) | 住居費の構造そのものを見直せる。ライフステージに合わせて広さを調整できる | 売却価格より残債が多いと自己資金が必要。諸費用や引越し費用もかかる | 家族構成の変化で広さが合わなくなった、返済負担が長期的に重い |
①から③は「ローンの条件を変える」選択、④は「住まいそのものを見直す」選択です。どれが正解かは、上限金利と家族の将来像によって変わります。大切なのは、①だけを無意識に選び続けないこと。選べる道が4つあると知っているだけで、気持ちの余裕は違ってきます。
よくある失敗事例と回避策
通知書が届いたあとに起きがちな失敗を、3つに整理しました。
失敗事例 | 起きていること | 回避策 |
返済額が変わらないので放置 | 5年ルールで引き落とし額が変わらないまま、利息の割合が増え、元金の減りが鈍る | 返済予定表で元金と利息の内訳を確認する。次の見直し月をカレンダーに入れる |
利上げ報道に反応して慌てて借り換え | 諸費用や固定金利の水準を比べないまま動き、かえって総支払額が増える | 借り換え後の月額・総額・諸費用を、現在のローンと並べて比較してから判断する |
手元資金をすべて繰り上げ返済に充てる | 教育費や病気・失業など、急な出費に対応できなくなる | 生活費の何ヶ月分を手元に残すかを家族で先に決め、その範囲を超えない額だけ検討する |
どの失敗も、「数字を見ないまま、感情で動く」ことから始まっています。逆に言うと、3つの数字さえ手元にあれば、避けられるものばかりです。
マンションを探す現状維持バイアスをそっと外す—今の住まいを「ほかの選択肢の値段」と並べてみる
売却・住み替えを「決めずに」眺めてみる
ここまで読んで、「結局、今のままでいい気もするし、でも不安も残る」という気持ちの方もいるはずです。人は、すでに持っているものを手放す選択を、実際以上に重く感じやすいものです。このとき役に立つのが、「選ぶ」のではなく「値段を知る」という小さな一歩です。
たとえば佐藤さん一家は、長女が高校を卒業するまで約8年。子ども部屋が2つ必要な今は3LDKが活きていますが、その後の暮らしには、もう少しコンパクトな住まいも選択肢に入ってきます。いまの住まいと同じエリアで、広さや築年数が近い中古マンションがいくらで売り出されているのかを知っておけば、売却や住み替えが「夢物語」なのか「現実的な選択肢」なのかを、数字で判断できます。
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見るだけで構いません。気になる物件が見つからなければ、「今の家が、思っていたよりいい選択だった」と確認できたことになります。それも立派な収穫です。
賃貸という選択肢の「相場感」を持っておく
もう一つ、見落とされがちな選択肢が賃貸です。住宅ローン返済中の人にとって、「賃貸に住む」というのは縁遠い話に聞こえるかもしれません。ただ、ローン返済額に管理費・修繕積立金、固定資産税などを足した「いまの住居費」と、同じエリア・同じ広さの賃貸物件の家賃を並べると、家計の見え方が変わることがあります。
大事なのは、実際に住み替えるかどうかではなく、「いざとなったら、この家賃の部屋に住める」という出口の相場感を持っておくことです。出口が見えているだけで、金利のニュースを見たときの心のざわつきは、少し静まります。
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通知書が届いてから30日の動き方
最後に、封書が届いてから1ヶ月の動き方を、タイムラインにしました。一度にすべてやる必要はありません。できるところから、順番に進めれば十分です。
時期 | やること | 目安の所要時間 |
届いた当日 | 通知書チェックリストで新しい適用金利・反映月・返済額を確認する | 15分 |
1週間以内 | 返済予定表やネットバンキングで、元金と利息の内訳・残高・残り期間を確認する | 30分 |
2週間以内 | 家族で「月いくらまでなら大丈夫か」を話し、上限金利を決める | 1時間 |
3週間以内 | 銀行のシミュレーターで、繰り上げ返済・借り換えの試算を取る。住まいの相場も眺める | 1〜2時間 |
30日以内 | 継続・繰り上げ・借り換え・住み替えのどれを検討するか、仮の方針を決める | 30分 |
まとめと次のステップ
銀行からの「金利変更のお知らせ」は、自分の住まいとお金をあらためて見つめ直すための合図でもあります。返済額の数字だけを追うのではなく、①新しい適用金利、②次に返済額が変わる時期とその上限、③我が家の上限金利。この3つの数字を手元に置くと、やるべきことは意外とシンプルになります。
日銀は2026年9月に政策金利を1.25%程度へ引き上げました。今後の金利を言い当てることはできませんが、何もしないままの現状維持は、一見ラクに見えても、見直しのタイミングを逃し、選べたはずの選択肢を手放してしまう「機会損失」につながることがあります。繰り上げ返済も、借り換えも、住み替えも、早く動けるほど選択の幅が広がります。
とはいえ、いきなり大きな決断をする必要はありません。まずは、日本最大級の掲載物件数をもつ LIFULL HOME’S で、いまの住まいと同じエリア・同じ広さの物件や賃貸の相場を眺めてみてください。「選べる道が、実際にいくらで存在するのか」を知るだけで、封書の見え方は変わります。なお、最適な判断は契約内容や家計の状況によって変わります。迷ったときは、契約先の金融機関やファイナンシャルプランナーに相談してみてください。
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よくある質問
Q1. 日銀が0.25%利上げしたら、私の住宅ローン金利も0.25%上がりますか?
一律に同じ幅・同じ時期で上がるとは限りません。銀行が短期プライムレートを見直し、基準金利を改定し、契約ごとの見直し時期に適用金利へ反映するため、時間差が生じます。金利の見直し時期は、通知書や契約書でご確認ください。
Q2. 5年ルールがあれば、5年間は利上げの影響を受けませんか?
毎月の返済額は据え置かれますが、利息は新しい金利で計算されるため、返済額に占める利息の割合が増え、元金の減りが遅くなります。返済予定表で元金残高と内訳をご確認ください。
Q3. 125%ルールを超えた分の利息は、支払わなくてよいのですか?
利息が免除されるわけではありません。125%ルールは、返済額の増え方に上限を設ける仕組みで、返済額に収まらなかった利息が生じた場合の扱いは、契約によって異なります。契約書や銀行にご確認ください。
Q4. 通知書が届いたら、すぐに固定金利へ借り換えたほうがよいですか?
必ずしもそうとは限りません。借り換えには諸費用がかかり、固定金利は変動金利より高めの水準になることもあります。我が家の上限金利を決めたうえで、借り換え後の月額・総額・諸費用を現在のローンと並べて比較してから判断すると、納得して選べます。
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