長期優良住宅なら「3ポイント=当初5年間で年0.75%」の金利引き下げを狙える
現在のフラット35はポイント制で金利が引き下げられる仕組みです。長期優良住宅はフラット35S(金利Aプラン)の2ポイントに加えて「維持保全型」の1ポイントも対象になるため、合計3ポイント・当初5年間で年0.75%の引き下げが基本形になります。子育て世帯ならさらに上乗せも可能です。
金利メリットで認定コストを回収できるかを数字で判断できる
借入3,500万円の場合、長期優良住宅の3ポイント引き下げによる当初5年間の軽減額は概算で約87万円。ここから認定申請や適合証明にかかる費用を差し引いた「純メリット」で損益を見積もる判断式を紹介します。感覚ではなく、自分の数字を当てはめて検討できるようになります。
認定の「落とし穴」と後悔しないための判断軸
長期優良住宅の認定申請は着工前が原則で、認定後も点検・記録の維持保全義務が続きます。申請費用や建築コストの上乗せ分を含めて損益を見極めるためのチェックリストを用意しました。金利メリットだけで飛びつかず、総額で判断するための視点が身につきます。

家づくりや住宅購入の情報を集めていると、「長期優良住宅にすればフラット35Sで金利が優遇される」という話を必ず目にします。けれど、いざ調べてみると「金利Aプラン」「維持保全型」「ポイント制」と聞き慣れない言葉が並び、結局いくら安くなるのかがつかめない。そんなもどかしさを感じていないでしょうか。

しかも、住宅ローン金利はここ数年で上昇傾向が続いています。全期間固定のフラット35を選ぶなら、使える引き下げ制度を取りこぼさないことが、これまで以上に家計を左右します。

この後の内容では、現行制度の仕組みを整理したうえで、長期優良住宅を選んだ場合に毎月の返済額がどれだけ変わるのかを具体的な数字で確かめ、見落としがちな注意点と判断軸まで掘り下げていきます。
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フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。そのフラット35に申し込む人が、省エネルギー性や耐震性などに優れた質の高い住宅を取得する場合に、借入金利を一定期間引き下げるのが「フラット35S」です。長期優良住宅は、このフラット35Sの対象となる代表的な住宅類型のひとつです(出典:住宅金融支援機構「【フラット35】Sの技術基準の概要」)。

かつてのフラット35Sは「金利Aプラン=10年間▲0.25%」といったプラン固定型でしたが、現在は住宅の性能や家族構成に応じてポイントが加算され、合計ポイント数で引き下げ幅と期間が決まる「ポイント制」に変わっています。1ポイントにつき当初5年間・年0.25%の引き下げで、当初5年間の上限は年1.0%(4ポイント分)です。

 

引き下げメニューの全体像(ZEH・金利Aプラン・金利Bプランの違い、子育てプラスや地域連携型との組み合わせ方、ポイントの繰り越しルールなど)は、フラット35とフラット35Sの違いとは? 仕組み・2026年最新金利・引き下げ額をシミュレーションで解説で詳しく解説しています。制度全体を押さえたい方はあわせてご覧ください。本記事では「長期優良住宅ならどのポイントを取れるのか」に絞って進めます。

ここが本記事の核心です。長期優良住宅の認定を受けた住宅は、フラット35S(金利Aプラン)の技術基準を満たすものとして2ポイントの対象になるうえ、「維持保全型」の1ポイントにも該当します。つまり長期優良住宅というひとつの認定で、合計3ポイント=当初5年間・年0.75%の引き下げが基本形として視野に入ります。

 

さらにZEH水準の省エネ性能を併せ持つ住宅なら、フラット35S(ZEH)の3ポイント+維持保全型1ポイントで4ポイント=当初5年間・年1.0%の引き下げに到達します。制度の詳細や最新の適用条件は、フラット35の公式サイトで必ず確認してください(出典:住宅金融支援機構「フラット35」)。

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長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用できる措置が講じられた住宅として、行政庁の認定を受けた住宅のことです。日本ではかつて「住宅をつくっては建て替える」流れが一般的でしたが、環境負荷や住居費負担の観点から「良いものをつくり、手入れして長く使う」社会への転換が掲げられ、2008年に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が成立しました。認定住宅には住宅ローンの金利引き下げのほか、税制優遇や地震保険料の割引など、複数の優遇措置が用意されています。

注意したいのは、認定基準がここ数年で大きく見直されている点です。特に2022年10月の改正で省エネルギー性の基準が引き上げられ、従来の断熱等性能等級4では認定を受けられなくなりました。現行の新築一戸建ての主な基準は次のとおりです。

項目主な基準の内容
劣化対策数世代にわたり構造躯体が使用できること(劣化対策等級3ほか)
耐震性極めて稀に発生する地震に対し、損傷レベルの低減が図られていること
省エネルギー性断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6(ZEH水準の省エネ性能)
維持管理・更新の容易性内装・設備の点検・補修・更新がしやすいこと(維持管理対策等級3)
住戸面積一戸建ては床面積75㎡以上(少なくとも1つの階が40㎡以上)。共同住宅等は40㎡以上
居住環境地区計画や景観計画など、地域の居住環境の維持・向上に配慮していること
災害配慮自然災害による被害の発生の防止・軽減に配慮していること
維持保全計画構造耐力上主要な部分などについて、定期的な点検・補修の計画が定められていること

共同住宅の場合は、上記に加えて可変性(間取り変更のしやすさ)やバリアフリー性(共用部分の措置)などの基準もあります。元記事や古い情報サイトで紹介されている「9つの条件」は改正前の枠組みなので、これから検討する方は最新の基準で確認することが大切です(出典:国土交通省「長期優良住宅のページ」)。

 

注文住宅で認定取得を目指すなら、長期優良住宅の施工実績が豊富な会社を早い段階で比較しておくと、基準への適合や申請の段取りがスムーズです。まずはどんな仕様・価格帯の住宅があるのか、カタログで眺めてみるところから始めても遅くありません。

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長期優良住宅の認定を受けるには、登録住宅性能評価機関などの技術的審査を経て、所管行政庁へ認定申請を行い、原則として着工前に手続きを進める必要があります。建て売りや分譲マンションでは事業者側が認定を取得しているケースが多い一方、注文住宅では建築主側の意思決定が遅れると申請自体ができなくなることがあります。「契約後にフラット35Sの存在を知ったが、すでに着工していて間に合わなかった」という事態を避けるため、資金計画と住宅仕様の検討は同時並行で進めましょう。

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長期優良住宅を選ぶかどうかの判断で本当に知りたいのは、「認定のためにかけた追加コストが、金利メリットで回収できるのか」ではないでしょうか。実際の数字で確かめてみます。2026年8月時点のフラット35の最頻金利は年3.29%(融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下)です(出典:住宅金融支援機構「フラット35」)。

 

この金利を前提に、借入額3,500万円・返済期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なしで、長期優良住宅にした場合の当初5年間の毎月返済額を比べると次のようになります(編集部による概算試算。実際の適用金利・返済額は金融機関や時期により異なります)。

パターン当初5年間の適用金利当初5年間の毎月返済額(概算)当初5年間の軽減額(概算)
引き下げなし(フラット35のみ)年3.29%約14万400円
長期優良住宅:3ポイント(S金利Aプラン2pt+維持保全型1pt)年2.54%約12万5,900円毎月約1万4,500円・5年で約87万円
長期優良住宅×ZEH:4ポイント(S(ZEH)3pt+維持保全型1pt)年2.29%約12万1,200円毎月約1万9,200円・5年で約115万円

6年目以降は引き下げ終了後の金利で返済額が再計算されるため、総返済額の差は上記の単純合計より小さくなりますが、教育費や繰上返済の原資を貯めやすい「最初の5年」に家計の余裕が生まれる意味は小さくありません。

ここで、後述する認定関連コスト(技術的審査・認定申請の手数料、適合証明書の検査費用、書類作成の代行費用など、一般に数万円〜数十万円程度)を思い出してください。仮に認定関連の負担が合計30万円だったとすると、3ポイントのケースでは「約87万円 − 約30万円 = 約57万円」が金利面での純メリットの目安になります。ここに住宅ローン控除の限度額優遇や税の特例、光熱費の削減効果が上乗せされる一方、省エネ仕様アップによる建築費の増加分は差し引いて考える必要があります。

 

つまり判断式はシンプルで、「(金利メリット+税制メリット+光熱費メリット)−(認定コスト+仕様アップ費用+維持保全費用)」がプラスになるかどうか。この式に入れる自分の数字を集めることが、検討の実質的な第一歩です。毎月返済額はシミュレーションツールで手軽に確かめられます。

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若年夫婦世帯や子育て世帯は「フラット35子育てプラス」の併用でポイントがさらに加算され、長期優良住宅×ZEHと組み合わせれば6年目以降も引き下げが続くケースがあります。組み合わせのパターンや繰り越しルールの詳細はフラット35とフラット35Sの違いとは? 仕組み・2026年最新金利・引き下げ額をシミュレーションで解説に譲りますが、世帯の状況で最適解が変わるため、申込前に取扱金融機関やフラット35公式サイトで最新条件を確認しましょう。

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長期優良住宅の認定には、技術的審査や認定申請の手数料に加え、設計・施工側の対応費用がかかり、一般に数万円〜数十万円程度の負担が発生します。また、フラット35・フラット35Sを利用するには物件が基準に適合していることを示す「適合証明書」の取得も必要で、こちらにも検査費用がかかります。

 

さらに、断熱等級5+一次エネルギー消費量等級6という省エネ基準を満たすための仕様アップで建築費そのものが上がるケースもあります。金利メリットの「約87万円」だけを見て決めるのではなく、これらの初期コスト増と相殺してなお得かどうかを比べることが大切です。

長期優良住宅は、認定時に定めた維持保全計画に沿って定期的な点検・補修を行い、記録を保存する義務が続きます。所管行政庁から報告を求められることもあり、計画に沿った維持保全を怠ると認定が取り消される可能性もあります。点検やメンテナンスには当然費用もかかります。もっとも、これは裏を返せば「家の健康診断が制度として組み込まれている」ということでもあり、住宅を長持ちさせ、将来の売却時に履歴を示せるというプラスの側面も持っています。

長期優良住宅×フラット35Sを選ぶかどうか迷ったら、次の5点を書き出して比べてみてください。

  • 認定申請・適合証明・仕様アップにかかる追加コストの総額を把握したか
  • 金利引き下げによる軽減額(当初5年+繰り越し分)を自分の借入額で試算したか
  • 住宅ローン控除や税の優遇など、金利以外のメリットも含めて総額比較をしたか
  • 引き渡し後の点検・補修費用と手間を、将来の家計計画に織り込んだか
  • 着工前の申請に間に合うスケジュールで、施工会社と話が進んでいるか

このうちひとつでも「わからない」があれば、契約を急がず情報を揃えるのが先です。数字が揃えば、判断は驚くほどシンプルになります。

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長期優良住宅のメリットは金利にとどまりません。住宅ローン減税では認定住宅として一般住宅より借入限度額が優遇されるほか、登録免許税の税率軽減、不動産取得税の課税標準の控除額拡大、新築住宅の固定資産税減額期間の延長といった税制上の特例が設けられています(適用要件・期限は税制改正により変わるため、最新の内容は国土交通省や国税庁の情報で確認してください。出典:国土交通省「長期優良住宅のページ」)。また、長期優良住宅は耐震等級に応じた地震保険料の割引対象にもなり得ます。

省エネ基準への適合が新築住宅に義務化されるなど、住宅性能への社会的な要求水準は年々上がっています。その中で、公的な認定と維持保全の履歴を備えた長期優良住宅は、将来の売却や住み替えの際に住宅の品質を客観的に示せるという強みがあります。「今の返済を軽くする制度」であると同時に「将来の資産価値を守る仕組み」でもある。この二面性こそ、長期優良住宅を検討する最大の理由といえるでしょう。実際にどんな認定物件が市場に出ているのか、価格帯や立地の感覚をつかんでおくと、施工会社や不動産会社との会話も具体的になります。

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長期優良住宅は、現行のポイント制のもとでフラット35S(金利Aプラン)2ポイント+維持保全型1ポイントの合計3ポイント、条件次第では4ポイント以上の金利引き下げにつながる、フラット35利用者にとって相性のよい選択肢です。一方で、認定コストや維持保全義務という「見えにくい負担」もあるため、金利メリット・税制優遇・追加コストを総額で比べることが後悔しないコツです。

 

金利が上昇傾向にある今、「もう少し情報が揃ってから」と検討を先送りするほど、同じ借入額でも毎月の返済負担はじわじわ重くなっていきます。かといって、いきなり契約に踏み込む必要はありません。まずは自分の予算感で認定住宅のカタログを眺めてみる、あるいは資金計画を中立的な相談窓口で整理してもらう。そんな小さな一歩で十分です。

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Q1. フラット35Sは長期優良住宅でなければ使えませんか?

いいえ。フラット35Sは省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性・耐久性/可変性のいずれかで所定の技術基準を満たせば利用でき、長期優良住宅はその代表的な該当パターンのひとつです。ただし長期優良住宅は「維持保全型」のポイントも同時に得られるため、引き下げ幅の面で有利になりやすいのが特徴です。

 

Q2. 中古住宅でも長期優良住宅としてフラット35Sの対象になりますか?

なります。長期優良住宅の認定を受けた住宅は中古でもフラット35S(金利Aプラン)や維持保全型の対象です。購入前に認定の有無と維持保全の状況(点検・補修の履歴)を売主や不動産会社に確認しましょう。認定を引き継ぐ場合は地位承継の手続きが必要です。

 

Q3. 長期優良住宅の申請は自分で行うのですか?

申請者は建築主(または分譲事業者)ですが、実務上は施工会社や設計事務所が書類作成や技術的審査の手続きを代行するのが一般的です。重要なのは着工前に申請が必要という点で、施工会社との打ち合わせの早い段階で「長期優良住宅の認定を取りたい」と伝えておくことがスムーズに進めるコツです。

 

Q4. フラット35を使わない場合、長期優良住宅にする意味はありますか?

あります。住宅ローン減税の借入限度額優遇や登録免許税・不動産取得税・固定資産税の特例、耐震等級に応じた地震保険料の割引は、フラット35の利用と関係なく認定住宅であれば対象になり得ます。また、民間金融機関にも認定住宅向けの優遇商品を用意しているところがあります。ローン選びより先に「どんな家にするか」の段階で検討する価値のある制度です。

 

フラット35Sの引き下げメニュー全体や、フラット35の基本から確認したい方は、以下の記事もあわせてお読みください。

更新日: / 公開日:2019.08.02