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私道とは?公道との見分け方や所有持分・私道負担、売却時の注意点を紹介

住宅地の中にある建物の中には、前面が私道にのみ面しているという物件があります。

こうした物件を購入した場合、私道を利用する際にさまざまな制約や税金・管理負担が発生します。そのため、私道沿いにある住宅を売却する際には、買主も私道負担の内容についてじっくり検討するケースが多いと考えられます。

また、売却する際には、買主が購入後に利用しやすい状況を用意しておくことが必要です。

この記事では私道に関する様々な制約や、売却・購入時の注意点について解説していきます。

この記事で分かること

もくじ

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私道とは?

私道とは、個人もしくは法人が所有する土地において、その土地の利用を目的として作られた道のことを言います。私有地内にあるため、原則として他人の通行は制限されますが、建築基準法上の道路とみなされる場合や、通行権を有する住人がいる場合は自由に通行可能です。

具体的には、住宅地内で住民が通行する道路や、工場敷地内に設けられた道路が私道に該当します。

参考:第43条第2項に基づく認定・許可の取扱い|東京都都市整備局
参考:私道 | LIFULL HOME'S不動産用語集

公道(公衆用道路)との主な違い

公道とは、国や自治体が所有している誰でも通行できる道路です。国道や都道府県道、市町村道、高速自動車国道のほか、農道や林道なども公道に含まれます。

私道と公道との主な違いは、以下の通りです。

私道 公道
利用できる人 ● 所有者
● 所有者の許可を受けている人
● 通行する権利を認められている人
● 誰でも通行可能
道路交通法の適用 ● なし ● あり
管理・補修費用の負担 ● 所有者 ● 国や自治体

私道は個人の所有地であり、原則として土地所有者の許可がなければ利用できません。

ただし、建築基準法の道路とみなされている私道は、所有者ではなくても自由に通行可能であり、所有者でも道の変更や廃止が制限されます。

他人の住宅が私道沿いに建てられていて、そこに住む人が通行する権利を認められている場合、私道を廃止する際には、私道沿いに建てた家の所有者に承諾を得なければなりません。

公道では道路交通法が適用されており、スピード違反やシートベルト未着用などは違反として取り締まられますが、私道では同法の適用は受けません。

なお、建築基準法では、位置指定道路や「2項道路」などの私道も「道路」として扱われ、公道と呼ばれるケースがあります。建築基準法では建物を建てる際には、接道義務を満たす必要があり、敷地が道路に2m以上接していることが要件となります。

私道と公道の見分け方

私道と公道を見分けるには、以下3つの方法が挙げられます。

  • 公図で確認する
  • 登記事項証明書で確認する
  • 道路管理課で確認する

公図で確認する

私道と公道は公図で確認できます。

公図に「12-34」などの地番が入っていれば「私道」、地番が入っていなければ「公道」と区別します。公道には「道」と書いてあるのが一般的です。(下図)

※出典:登記所備付地図作成作業の実施について(P3)|法務局

上部の青マーカーで囲まれた部分のように、「31-17」「31-19」などと地番で記載されている道路のような細長い箇所は私道であるケースが多く見られます。

例えば、「31-17」「31-19」は、すぐ上に記載されている「31-16」「31-18」の住宅を使用するためにそれぞれ設置された私道であると考えられます。

登記事項証明書で確認する

私道は、登記事項証明書で確認することも可能です。

法務局で対象エリアの公図を閲覧し、私道部分の可能性が高い地番を調べてから、道路部分の登記事項証明書を取得し所有者名の有無を確認することで公道か私道かを調べられます。

登記事項証明書の記載事項には所有権などの権利に関する内容もあるため、共有私道の持分や所有者の確認も可能です。

公図や登記事項証明書はインターネットでも取得可能であるため、自宅にいながら権利関係を把握することができます。

※参考:登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です|法務局

【あわせて読みたい】
▶︎登記事項証明書(登記簿謄本)はどこでもらえる?取得方法や必要書類を解説

道路管理課で確認する

不動産の所在地を管轄する市区町村役所の道路管理課では、調査対象となる道路が公道か私道かを教えてくれます。役所で確認する際は、地図を持参すると確認しやすいでしょう。

調べたい土地の「地番」を伝えると、周辺道路が私道・公道のどちらであるかを確かめられます。なお、市区町村が管理する道路法上の認定道路については、インターネットの地図情報システムで確認できる自治体もあります。

私道で確認が必要な所有持分について

私道を共同で所有している場合、各所有者は道路に対して「持分」を持っています。

  • 持ち分があるかどうか
  • 私道の持分の形態がどれにあたるか

ここでは、私道で確認が必要な所有持分について解説しましょう。

持分があるかどうか

住宅街でよく見られますが、複数の物件が1本の道路に面している場合、私道に接しているすべての住民が道路を利用できるように私道の所有権を共有しています。

私道は所有者あるいは所有者から利用許可を受けている人だけが通行できる道路です。したがって、公道に接していない土地に建てられた住宅は、私道の持分を持っていないと自分の家と公道を行き来できません。

そのため、住宅を購入する際に自宅につながる道路が私道である場合は、自分も所有者として利用できるように持分があるかどうかを確認することが一般的です。

参考:持分【もちぶん】|不動産用語集(LIFULL HOME'S)

私道の持分の形態がどれにあたるか

私道の持分の形態には、「共同所有型」と「相互持合型」が挙げられます。

「共同所有型」は、1つの私道全体に接している敷地を所有者全員が同じ持分で共有する状態です。全員が所有権を持っており、私道の管理も共同で行います。

もう一方の「相互持合型」は、1つの私道全体を複数に分筆して各所有者が単独で所有する形態です。所有者の数で私道の面積を分筆します。各所有者が道路の一部を所有している状態ですが、公道に出るには他の所有者の土地を通行するため、「通行地役権」を設定して利用することになります。

通行地役権(民法第280条)とは、自分の土地の便益のために他人の土地を通行できる権利のことです。通行地役権を設定する際は、通行形態等に関して調整や取り決めを行います。

自分の土地の利便性を高めるために、他人の土地を利用することができる権利を地役権といいます。

例えば、他人の土地を通行するための「通行地役権」、他人の土地を利用して水を引く「引水地役権」、眺望を確保するための「眺望地役権」などがあります。

地役権は、原則として当事者の契約によって生じます。このとき、自分の土地を「要役地」(ようえきち)、他人の土地を「承役地」(しょうえきち)といいます。要役地と承役地とは隣接している必要はありません。また、地役権は登記することができます。

引用:地役権【ちえきけん】|不動産用語集(LIFULL HOME'S)

私道負担とは?

私道負担とは、所有している土地の一部に私道が含まれていることを示す言葉です。接道義務を果たすために敷地の一部を私道とすることで、道路の幅を4m以上に広げます。

接道義務では土地に面する道路の幅員は4m以上が必要です。そのため、幅員が4mに満たない道路沿いに家を建てるときは、道路の中心線から2m以上をセットバックしなければなりません。

  • セットバックの概要
  • セットバックした場合の不動産を売却するポイント

ここでは、上記2点について解説します。

参照:私道負担【しどうふたん】|不動産用語集(LIFULL HOME'S)

セットバックの概要

セットバックとは、英語で「後退」を意味する言葉であり、建物の前面道路幅を確保するためのルールです。敷地や住宅を前面道路から後退させ、後退させた分の土地を道路として提供します。

セットバックが必要なのは「前面道路が道幅4m未満」の敷地です。建築基準法では、住宅用の土地には接道義務があり、4m幅以上の道路に2m以上接していなければなりません。

万が一、火災などが発生した場合、消防車が入ることができるように幅を確保する必要があるからです。

ただし、昔から建っている家の場合は、いきなり土地を提供するわけにはいかないため、家を建て替える場合には、土地を後退させてから建てる必要があります。

参考:セットバック【せっとばっく】|不動産用語集(LIFULL HOME'S)

セットバックした場合の不動産を売却するポイント

セットバックした不動産は、通常の物件より売りにくい点が特徴です。なぜなら、土地を後退させるため敷地が狭くなり、建物の規模が小さくなることや、セットバックした土地は自由に使えないからです。

セットバックが必要な土地は前面道路が狭いので、車の出し入れがしづらいなど使い勝手が悪い面もあります。このように、一般的な物件より不利な点が多いため、セットバックした不動産を売却する際には、以下の方法を検討してみましょう。

  • 買取を依頼する
  • 建物を解体する
  • セットバック分の費用を価格から差し引く

セットバックした不動産は条件が良くないため、売出してもなかなか売却できない場合もあります。短期間で売りたい場合は不動産会社に依頼すると直接買取してくれることもあるため、時間をかけずに売ることが可能です。

立地の良い土地ならば、古い建物を解体することで売れる可能性が高まる場合もあります。セットバックした部分を私有地として所有する場合は、所有者が工事費用を負担します。

そのため、セットバックする土地部分の費用を価格から差し引いてから売ると、買手が見つかりやすくなることもあります。

私道で起こり得るトラブル事例

私道で発生しやすいトラブルとして、以下の事例が挙げられます。

  • 所有者の承諾なく建物を新築できなかった
  • 所有者の承諾なく不動産を売却できなかった
  • 所有者の承諾なく駐車してしまった

所有者の承諾なく建物を新築できなかった

私道で他に共有者がいる場合などは、通行掘削承諾書がないと建築工事を進められません。

他の共有者からの承諾を得ずに工事を開始すると、差し止めを求められるリスクがあります。

通行掘削承諾書とは私道において、工事車両の通行や、ガス管・上下水道管の埋設及び引き込み工事などを行うことを認める書類です。建設会社は通行掘削承諾書がないと工事を進められないため、建物を新築できないなどのトラブルが懸念されます。

所有者の承諾なく不動産を売却できなかった

不動産を売却するときは、他の所有者の承諾がないと売れないことが考えられます。

私道を分筆する「相互持合型」が持分形態の場合、公道に出るには他の所有者の土地を通行したり、他人の土地の地下に水道・ガス管工事を行うことがあります。そのため、あらかじめ通行掘削承諾書を得なければなりません。

私道持分が分筆型、あるいは私道持分がない場合は、売買条件に通行掘削承諾書が必須とされるケースもみられます。通行・掘削の承諾を得る際には他の所有者に「承諾料」を支払うことも少なくありません。

所有者の承諾なく駐車してしまった

私道のある住宅地でよくあるトラブルが、私道に車を停めてしまうことです。

私道は私有地だから駐車していても問題ないと勘違いしてしまう人も存在します。一時的に駐車している場合はそれほど迷惑になりませんが、長時間停めていると通行の邪魔になるので注意が必要です。

他の所有者と私道を共有している場合は、それぞれが通行する権利を持っていることが多いため、私道の一部を独占して使用するのは避けましょう。

私道に関するトラブルを防ぐためのポイント

私道沿いにある土地は、公道に接している土地よりも維持管理や使用方法についてトラブルが発生しやすいといえます。

ここでは、私道に関するトラブルを防ぐためのポイントを2点解説します。

  • 税金・維持管理費が発生するかを確認する
  • 通行掘削承諾書の有無を確認する

税金・維持管理費が発生するかを確認する

公道の維持管理は国や市区町村が行いますが、私道は所有者である個人や団体が維持管理を行います。そのため、私道付きの物件を購入する際は、維持管理費が発生するのが一般的です。

例えば、道路を補修したり清掃したりする場合は、共有者同士で負担することになります。維持管理費用が毎年どのくらいかかるのかを把握しておきましょう。

税金では固定資産税がかかります。私道の固定資産税は、共有者全員が連帯して全額を納税する義務を負っているため、納税額が全体でどのくらいなのかを確認することが必要です。

共有者の持分に応じてそれぞれ課税することはできないので、代表者宛に納税通知書が届きます。代表者が共有者全員分の固定資産税と知らずに自分の分として支払ってしまうケースもないとはいえません。

多く支払ってしまった分を後で返還要求すると手間がかかることになるので、最初から自分の持分割合をそれぞれ支払うように取り決めておくなど対策が必要になります。

通行掘削承諾書の有無を確認する

通行掘削承諾書の有無を確認することも重要です。

通行掘削承諾書とは人や車が通行する、あるいはガス管・上下水道管の埋設や引き込み工事を行なうことを許可する承諾書を指しています。

私道では使い方が制限されているため、この承諾書がないと新しい建物を造ることが難しくなります。そのため、前面道路が私道のみの土地を売却する場合、通行掘削承諾書がないと売れない可能性が高いでしょう。

買主としては通行掘削承諾書がないと新築工事をできないことがあるので、売却する際は、通行掘削承諾書が手元にない場合、他の共有者全員からもらうようにします。

私道に関するよくある質問

私道では利用する際にさまざまなルールが規定されていることがあります。ここでは、私道に関するよくある質問について回答します。

  • 私道のみに面した土地は売れにくい?
  • 私道通行料ってなに?
  • 私道に通行禁止看板は設置できる?

私道のみに面した土地は売れにくい?

私道のみに面した土地は公道に面している土地と比較すると、売れにくいといえます。なぜなら、他の共有者とトラブルが発生するリスクや、使用方法に多くの制限がかかるリスクなどが考えられるからです。

ただし、私道の使い方や管理、費用負担などを細かく他の共有者と取り決めれば、それほど大きなリスクはないでしょう。売却を検討している場合は、まずは不動産会社に相談してみると良いでしょう。

私道通行料ってなに?

私道通行料とは、他人が所有する土地を通行する場合に支払う料金のことです。公道に出るために他人が自分の土地を利用する場合、通行料を請求できるケースはよく見られます。

以前の所有者から通行料を所有者が受取っていた場合は、その契約が承継されるため、次の所有者からも通行料を受取れると考えられます。

なお、共有していた土地を分割して、袋地を所有することになった人に対しては、囲繞地(※)の所有者は通行料を請求できません。通行料に関してはその他にも受取れないケースがあるので、囲繞地の所有者は不動産会社などに確認しましょう。

囲繞地(いにょうち):公道に出るため囲まれている他人の土地

私道に通行禁止看板は設置できる?

私道の通り抜けは、原則禁止することが可能です。私道であることを周知させるために看板を設置することは問題ありません。

私道か公道であるかは傍目では分かりにくいため、看板を置いておくことは効果的です。看板には、「私道のため通り抜けはご遠慮ください」などと記載するとよいでしょう。

私道は不動産取引において把握すべき項目

不動産重要事項説明書の中に「私道に関する負担等に関する事項」という項目があります。

買主にとって道路は住宅を購入する際の重要なポイントとなるため、売却する際は「通行・掘削の承諾があるか」「維持管理費用は適正であるか」などの点をクリアしなければなりません。

不動産の売却を視野に入れる場合は、ホームズの不動産一括査定サービスを活用しましょう。ホームズの不動産一括査定サービスは、不動産会社ごとの情報が充実しているため、こうした私道に関する問題についても相談にのってくれる不動産会社を見つけることができるでしょう。

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記事執筆・監修

矢口 美加子(やぐち みかこ)

宅地建物取引士整理収納アドバイザー1級福祉住環境コーディネーター2級の資格を保有。建築・不動産会社で事務をしながら、家族が所有する賃貸物件の契約や更新業務を担当。不動産ライターとしてハウスメーカー、不動産会社など一部上場企業の案件を中心に活動中。