共同住宅に住む以上、周辺住民に不快な思いをさせないために最低限のルールは守らなければいけません。賃貸で禁止されている代表的なものが、第三者への転貸・大規模改修・ベランダでのバーベキューやホームパーティーです。トラブルを避けるためには、契約書等によく目を通し、物件の禁止事項を注意深く確認することが大切です。今回は、意外と見落としがちな賃貸で行ってはいけない3つの行為について解説します。
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賃貸物件を借りる時は、借主は宅地建物取引士の有資格者から、重要事項説明を受けます。重要事項説明では、主に物件の基本情報・設備・契約内容に関すること、家賃や敷金・礼金などお金に関することなどが取り上げられます。その際に、お店を開く、ペット飼育、楽器の演奏などの禁止事項も盛り込まれています。行ってはいけないことは物件によって異なるため、やりたいことがある場合は事前に聞いておくことが大切です。契約前であれば、契約内容に納得がいかない点があった場合に契約を白紙に戻すことが可能です。ただし、署名捺印後にもし不都合が見つかっても、「聞いていなかったから」といった理由は基本的には通用しないため、注意が必要です。

 

契約前にきちんと確認しましょう

契約前にきちんと確認しましょう

転貸とはいわゆる又貸しであり、不動産においては、借主が大家さんに無断で他人に部屋を貸してしまうことをいいます。民法第612条の『賃借権の譲渡及び転貸の制限』には、『賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせた時は、賃貸人は、契約の解除をすることができる。』とされています。

つまり、このような転貸行為が発覚した際は、重要事項説明書に禁止する事項がない場合でも、賃貸借契約が解除になることは十分あり得るでしょう。居住用に契約しているにもかかわらず事務所や店舗として利用しているとなると、民法に反する行為とみなされます。しかし、悪気もなく知人に転貸をしていたら、大家さんに指摘されて初めて違反行為に気づくケースも少なくないようです。もし、やむを得ない事情や経緯があって知人に「同居人」という形で転貸していたとしても、転賃では契約解除の対象にあたります。

 

出典:店舗の経営委託と無断転賃 -公益財団法人不動産流通推進センター

 

無断転貸は契約解除になる場合も…

無断転貸は契約解除になる場合も…

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次に、賃貸で禁止事項とされている大規模な造作・模様替えについてですが、「造作買取請求権」が関わってくる可能性があることから、注意が必要です。借主と大家さんが合意の上で部屋に付け加えた設備等を、借家契約終了時に借主に対し、時価で買取請求できることを、造作買取請求権といいます。造作とは、部屋の内装や設備の中でも取り外しができない電気・水道施設や畳・襖といったものが該当します。たとえば、光ケーブルの工事のために壁に穴を開けるといったことも含まれます。なお、造作の中には空調設備も含まれますが、取り外しができるエアコンなどは対象外です。

 

大規模な造作はNGの可能性が…

大規模な造作はNGの可能性が…

また、大きな模様替えは、一般的な賃貸住宅では借主の原状回復義務の面から禁止されていることが多いようです。賃貸住宅は部屋を明け渡す際に、物件を借りる前のきれいな状態に部屋を戻すことが「原状回復ガイドライン」によって定められています。原状回復の定義によると、『原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること』と明記されています。したがって、壁紙を剥すといった行為は、借主の故意によるものとみなされ、退去時に修繕費を敷金から差し引かれたり、リフォーム費用を請求されたりする可能性があります。

賃貸住宅でも模様替えを楽しみたい場合は、壁紙の上からきれいに剥がせる壁紙を利用するなど工夫しましょう。いずれにせよ、退去時のトラブルを避けるためにも大規模な造作や模様替えを行う時は、大家さんの許可を得てからするようにしましょう。

 

出典:表2 原状回復の定義 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)-国土交通省 2011年 8月

 

大規模な模様替えは、大家さんへ確認を

大規模な模様替えは、大家さんへ確認を

広いバルコニーや専用庭付きの物件に引越して、バーベキューやホームパーティーをしたいと思っていても、分譲マンションなら管理規約等で原則禁止をされており、賃貸マンションでも禁止されていることが多いため、契約前に確認することが大切です。使用細則とは、共同生活を円滑に行うために作られたルールのことで、大家さんや管理会社が「使用細則モデル」に基づいて独自に作成しているため、物件ごとに異なります。公益財団法人マンション管理センターが作成した使用細則モデルで禁止されているのは、『騒音振動、悪臭及び煤煙等を発生させる行為、引火、発火及び爆発のおそれのある物品の製造、所持又は持込み』といった行為です。

 

ベランダバーベキューはできる?

ベランダバーベキューはできる?

バルコニーやルーフバルコニー、専用庭は共有部分であるため、バーベキューの際に生じる煙や臭い・騒ぎ声など、隣接住戸や周辺住民に迷惑をかけるような行為は、禁止されている場合があります。たとえ明確に「バーベキュー禁止」との細則が定められていない場合でも近隣住民に知らない間に迷惑をかけて、今後のお付き合いに悪影響をおよぼす可能性もあります。共有部分でバーベキューなどの大きなイベントを行う時は、事前に周囲にそのことを伝え、極力大声を出さないようにしたり、無煙ロースターを使用したりと、周りの住民への配慮を忘れないことが大切です。

 

出典:対象物件内での共通の禁止行為 中高層共同住宅使用細則モデル

 

ご近所付き合いは大切に

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更新日: / 公開日:2017.04.27