独居高齢者の暮らしを見守る人・モノ・システム
内閣府の調査では、高齢者の4人に1人が将来の住まいについて不安を感じている。少子高齢化が進む未来に向け、その原因となる課題に、高齢者自身や周囲の人がどう向き合えばよいのか、専門家への取材を通して考えるシリーズ「高齢者の住まいを考える」。
第1回の「高齢者を孤独死から守るために、家族や社会ができること」でも触れた、「見守りサービス」について今回は掘り下げたい。
高齢者だけの世帯や、高齢者の一人暮らしは、増加の一途だ。離れて暮らす親のことを気に掛ける子世代は多いだろう。
食事はきちんと摂れているのか。暑さ寒さに合わせた適切な生活をしているのか。何より、体調の急変やもっと深刻な事態になったときに、その変化は自分たちに伝わるのか。離れて暮らす以上、その悩みは尽きない。
そこで活用を考えたいのが、高齢者の見守りサービス。「見守り」といっても、Face to faceによる対面の見守りだけではない。発売当初から話題になった、電気ポットの使用状況によって異常を感知して知らせてくれる製品や、今ではIoT技術の発達により他の家電製品でも、さりげない見守りが可能となっている。
また、スマートフォンのアプリなどを活用した見守りも可能になった。手軽に利用できるものから、もしものときには駆けつけ対応をしてくれる、警備会社による本格的な見守りサービスまで多様なサービスがあり、見守る側、見守られる側の事情に合わせて選ぶことができる。
いつものスマホで手軽に始められる見守りサービス
身近なスマホで、高齢家族の安否確認ができるサービスは、見守る側だけでなく、見守られる側の高齢者も、スマホを利用していることが前提となる。GPS機能を使うかたちの見守りもあれば、そこまでの機能を必要としない人たちにも気軽に使えるようなアプリも開発されている。特に高齢者の見守りに特化したアプリは、スマホに不慣れな高齢者でも使いやすいよう工夫がされているので安心だ。
以下にいくつか紹介したい。
■みまもりサービス(みまもる)(みまもられる)
見守られる側のスマホの利用履歴を、見守る側に通知してくれる。また一定期間利用履歴が無い場合は、見守られる側に自動電話がかかる仕組み。別売の「みまもり電池」を家電製品に使用すると、その家電製品の利用状況を通知してくれるサービスもある。
提供:ソフトバンク株式会社
■おうちで安心
利用者の状況を「げんき」「ふつう」「わるい」から登録。日々の記録として歩数履歴とともに記録され、登録した相手にその情報を発信したり共有できる。お弁当や洗濯などを注文できるオプションもあり便利に使えそうだ。
提供:株式会社プロフェッショナル・ネットワークス
■Life360
高齢者の見守りに特化したアプリではないが、家族がどこにいるか地図上で確認できたり、特定の場所に到着したときに通知してくれる機能などが見守りに活用できる。グループごとのチャットや、緊急通知、スマホ盗難や紛失時の追跡・監視などの機能もあり安心だ。
提供:Life360
IoTを活用してさりげない見守りを実現するサービス
IoT(アイオーティー)とはInternet of Thingsの略。インターネットを経由してモノとモノとが通信してつながることを言う。以前はインターネットにつながっていなかったような家電製品にも次々と搭載されており、高齢者の見守りにも活躍している。大がかりな工事は不要で、手軽に導入できるのも魅力だ。日常生活でいつも通りに家電を使えばいいだけなので、スマホに不慣れな高齢者にとっては負担がなく、アプリよりさらに手軽に導入できる見守りのひとつだ。
■HelloLight
HelloLight は、LED電球のON/OFFを通信で知らせてくれるIoT電球。自宅で使っている電球を、ひとつこれに交換するだけでよい。点灯すると電球内のSIMが発信、登録したアドレスにお知らせが届く。点灯しっぱなしであったり、逆に点灯しない場合にも、お知らせが届く仕組み。つまり「点灯」と「期間」を検知してくれるというわけだ。工事や電源は不要で、WiFiも不要とのこと。ヤマト運輸が、この商品を使った「クロネコ見守りサービスあんしんハローライトプラン」を実施している。家族と離れて暮らす高齢者宅にも電球を取り付けにいってくれ、異常を検知した見守る側の家族からの依頼があれば、訪問もしてくれる。
商品開発:ハローライト株式会社
紹介したサービスの運営:ヤマト運輸株式会社
■LASHIC
インターネット環境があれば、部屋に置くだけで使えるIoT見守りセンサー。室内の温度や湿度、明るさなどと、見守られる人の動きを検知。見守る側は、利用のセンサーに応じた現在の状態を、スマホアプリで確認することができる。項目によって一目でわかりやすく整理されている。また「アラート」を選択しておくと、特に危険なときには自動アラート通知をしてくれる。機器は文庫本程度の大きさで、コンセントにさすだけ。なお、Wi-fi接続が必要だが、ない場合は本体機械にさすだけで使える通信端末のレンタルもしてくれる。
運営:インフィック株式会社
■i-POT
象印のIoT家電ポット「i-POT」。コンセントさえあれば使用できる手軽さが、高齢者の利用にマッチしている。最初のモデルは2001年に発売されたとあって、20年以上の実績がある。無線通信機器を内蔵しており、設置工事は不要、室内のインターネット環境も準備不要だ。高齢者がポットを使うと、その使用状況の最新情報が1日2回、メールで届く。またポットには「おでかけボタン」もあり、見守られる側の高齢者は、「おでかけボタン」を押して外出したことを、解除して帰宅したことを知らせることができる。契約者専用ホームページでは、ポットの使用状況をグラフ化したものを見ることができ、生活リズムを把握しやすくなっている。
運営:象印マホービン株式会社
もしものときは駆けつけてくれる見守りサービス
セキュリティ会社などが提供している見守りサービスは、なんといっても異常時・緊急時に駆けつけてくれるのが最大の特徴だ。アプリ利用やIoT家電の利用などにくらべると費用は高額になる傾向にあるが、代えがたいだろう。
■セコム・ホームセキュリティ(親の見守りプラン)
ホームセキュリティ会社セコムが提供する、見守りサービス。一定期間動きが無い場合、セコムに信号が自動で送信される。また室内であれば、見守られる高齢者自身が、もしもの際には自分で緊急通報できる。急病やケガ、押し売り訪問など、見守られる側の高齢者が不安に感じたら、いつでもセコムに通報できるのだ。火災や空き巣対策にも対応。もしものときには、24時間365日駆けつけてくれる。
運営:セコム株式会社
■HOME ALSOKみまもりサポート
ホームセキュリティ会社アルソックが提供する、見守りサービス。高齢者でも操作しやすいシンプル設計のコントローラーで、体調などのちょっとした相談から、もしもの際の駆けつけまで行える。緊急時は、24時間365日、ALSOKのガードマンが駆けつけてくれるので安心。熱中症の注意喚起や、緊急速報のメール受信・読み上げなどは基本料金内で対応してくれる。その他オプションもあり。
運営:綜合警備保障株式会社
見守られる側の気持ちに沿ったサービスを選ぼう
見守りサービスと一言でいっても、手軽なアプリから、24時間365日いつでも警備員が駆けつけてくれるものまで、内容は様々だ。また上記以外に、介護が必要になった高齢者へは、デイサービスや公的な見守りサービスの利用が可能であることも、覚えておきたい。
各種見守りサービスの利用にあたっては、内容の吟味と合わせて、費用面の考慮は必要だろう。長い目で見て、無理なく効果的に利用を続けられるサービスを選択したい。そして何より、まずは見守られる本人とも相談し、意向を確認することが大切だ。現状がどういった状況なのか、どこまでの見守りが必要なのか、よく話し合いたい。
見守りサービスは、高齢者が安心して暮らせるように利用するものであると同時に、見守る側が安心を得るためのもの。そして、それぞれが希望通りの生活を続けられるという、満足感を得られるものだ。いくら安心のためとはいえ、見守りが監視にならないような配慮を忘れてはならない。つまり、見守られる側の気持ちに沿ったサービスを選ぶことが肝要だ。
見守る側も見守られる側も、適度な距離感を大切した暮らしが実現できるよう、見守りサービスをうまく利用していきたい。
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