人気のソーシャルアパートメントが大阪に相次いでオープン
上/2018年10月にオープンした「TERMINALS高槻」<写真提供:グローバルエージェンツ>下/2019年6月にオープンした「TERMINALS茨木」。低層階はスーパーやクリニック、カフェなどの商業施設で、5・6階がソーシャルアパートメントとなる株式会社グローバルエージェンツが展開する「ソーシャルアパートメント」。1K、1DKなど従来型の部屋と、ラウンジなどの共用部を備え、住人間の交流を楽しめるアパート、マンションのことをいう。シェアハウスとも異なる、ソーシャルとプライベートを両立できる新しい居住スタイルとして、20代~30代を中心に人気を高めている。これまで当サイトでも原宿、神戸などの物件を紹介してきたが、2019年6月現在で首都圏、関西地区、北海道に43棟2,400戸と広がりを見せている。
そんななか、新物件として、大阪府茨木市に「TERMINALS(ターミナルズ)茨木」が2019年6月に開業した。ここは、2018年10月に茨木市の隣に位置する高槻市に大阪初のソーシャルアパートメントとしてオープンした「TERMINALS高槻」と同じブランドとなる。
2019年5月末に行われた「TERMINALS茨木」の内覧会にて、同物件を担当する関西オフィス・営業部の内山拓哉さんにお話を伺った。
JR西日本と業務提携したプロジェクト
物件名の“TERMINALS”は、「始発点、終着点、分岐点を表すターミナルから着想を得て、人と人が交わり、人生が行き交う生活のプラットフォームであり、人との出会いを通して新たな行き先が見つかる場所であってほしい」という思いから付けられたという。
ターミナルというと、電車やバスの起点、終点となる駅として”ターミナル駅“という使われ方もする。今回の2棟のプロジェクトは、JR西日本と業務提携して進められた。
業務提携の目的は、JR西日本沿線の開発を通し、新しいライフスタイルを提案し、地域の魅力向上を図ることだという。「JR西日本様にとって、沿線の土地や建物を活用したいというニーズと共に、20代から30代の若い人をその地域に呼び込みたいという課題がありました。それは、弊社のソーシャルアパートメントの主なターゲット層であり、我々はその“場づくり”ができるというわけです。それがちょうどいいシナジーとなって、業務提携をする運びとなりました」と内山さん。
高槻と茨木のプロジェクトは、ほぼ同時期に話が進んだが、まず第1弾として「TERMINALS高槻」がオープン。ここはJR西日本の元社員寮をリノベーションした物件だ。
55世帯の「TERMINALS高槻」は、JR高槻駅から徒歩5分。共用部のラウンジは約150m2と広く、入居者の交流拠点として居心地の良いデザインに仕上げられている。その他、Wi-Fi電源完備のワーキングラウンジ、120インチの大型スクリーンのあるシアタールームを備える。部屋は、約7畳で、バス・トイレは共用というタイプ。賃料は管理費込みで¥43,000~54,000だ。
同社のソーシャルアパートメントは、100%自社サイトでの集客となるが、オープンからわずか3ケ月で満室に。注目度の高さがうかがえた。内山さんによると「この物件で初めて高槻に住んだという方もいる」とのことで、目的の実現に近づいているといえるだろう。
「TERMINALS茨木」は関西のソーシャルアパートメント最大規模
さて、今回見学させていただいた「TERMINALS茨木」は、総戸数が100戸と、関西のソーシャルアパートメントで最大規模となる。JR茨木駅から徒歩8分。なお、茨木駅はJR大阪駅へは約15分、JR京都駅へは約20分と、大阪・京都への通勤にも便利なところだ。
ここも高槻と同じく、JR西日本の社員寮があったが、建て替えられた。そして、グローバルエージェンツとしても初の複合商業施設の上層階(5、6階を専有)に併設するスタイルとなった。利便性の高さも大きなポイントになる。
一部屋当たりの賃料は、管理費込みで¥58,000~73,000。全室約13畳の1Kタイプで、部屋内にシャワー、トイレを完備。「弊社の経験上、シャワーブースだけでもいいという方が多いのですが、バスタブのニーズもあるのではと考え、今回は大きめのバスタブを設置してこだわってみました」と内山さん。シャワーのみとバスタブありの部屋の割合は7対3になっているという。
住人のコミュニケーションの拠点となるラウンジには細やかな配慮が
「茨木のコンセプトは、様々な形が混じり合うというところをテーマにしています。通常、弊社の物件は人と人、隣人同士のコミュニケーションという考え方ですが、茨木は商業も一体化しているので、ソフトだけでなく、ハードの部分も混ざり合っていると。共用部の空間作りでは、そういったことも念頭に置いて、色々な素材の使用や、その使い方などをデザインに落とし込んでいます」。
住人のコミュニケーションの拠点となる約200m2の共用ラウンジは、85インチの超大型テレビを設置。それを囲うような形のソファは特注で、約200万円のものだとか。テレビの横の飾り棚には、グローバルエージェンツが札幌で運営するホテル「UNWIND HOTEL &BAR 札幌」を手掛けたデザイナーがセレクトした雑貨が置かれている。ハード面にもこだわり、高級感のある設えとなっている。
また、ラウンジはコミュニケーションをとりやすい動線も取り入れている。例えば、中央に配置されているテーブルは、最初のデザイン案では縦に2列並べられていた。だが、それだと、住人同士が背を向けて座ることになるため、横並びに変更した。
各居室には、このラウンジを通ることなく行ける動線を確保している。それは、プライベートの確保でもあるが、ソーシャルアパートメントの特長のひとつであるコミュニティのため、ラウンジに来やすい仕掛けも施しているという。「例えば、キッチンにある調理家電は個人の部屋には置けないような、高価なものなどをこちらに置くことで、利用したい、ラウンジに行きたいという気持ちになればと。そういう細かいところにもこだわっています」。
ほんのちょっとしたことに思えるが、コミュニケーションのための大事な要素を事前に積み重ねておくことで、住人が過ごしやすくなり、満足度も高まっていくのではないのだろうか。同社のこれまでの経験を活かした空間に仕上がっている。
稼働率93%。今後の展開にも期待
住居としてだけでなく、新たなスタイルが確立しているソーシャルアパートメント。内山さんに今後の展望を聞いた。
「人と人が集まる場を作り、世界が広がる体験によって、自己実現へ邁進できる社会を実現していくことを会社のミッションとしています。ソーシャルアパートメントに限って言えば、戸数を増やしてもっと多くの人に知ってもらうことで、一人暮らしを検討する際に自然とソーシャルアパートメントが選択肢に挙がるよう、文化として位置づけられることを目指しています。
また、住んでいる人同士をつなげる仕組みにも力を入れていまして、物件間をまたいだイベントの企画・運営なども行っています。そういったイベントの告知や、連絡事項などは入居者専用サイトを通じて一斉に配信しています」。
自社のみで集客しながら、全体の稼働率93%を誇るソーシャルアパートメント。住む人にとっての利点だけでなく、今回のJR西日本との業務提携のように、まちづくりへの期待も高まっている。今後も新しい物件を予定しているそうで、ノウハウを積み重ねていることで、さらなる進化も楽しみだ。
取材協力:
株式会社グローバルエージェンツ http://www.global-agents.co.jp/
ターミナルズ茨木 https://www.social-apartment.com/builds/osaka/ibaraki-shi/view/59
公開日:






