名古屋大学など東海エリアの6大学が連携して活動

第1回シンポジウムが開催されたのは、名古屋大学の減災連携研究センター。地下から2階は減災館として5月から一般公開もされ、防災について学べる施設であるとともに、災害時には地域の対応拠点としての役割を目指す第1回シンポジウムが開催されたのは、名古屋大学の減災連携研究センター。地下から2階は減災館として5月から一般公開もされ、防災について学べる施設であるとともに、災害時には地域の対応拠点としての役割を目指す

愛知県など東海エリアでは、南海トラフ巨大地震などの巨大地震が近い将来に発生する可能性が指摘されている。国や県でも、その“いつか”のときのための備えが必要と、たびたび情報発信されている。
そんな中、岐阜大学、静岡大学、名古屋大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学、三重大学と、東海圏の6大学が連携して自然災害を軽減するための研究を推進する組織「東海圏減災研究コンソーシアム」が2013年に設立。その活動状況や研究成果を報告する第1回シンポジウムが名古屋大学で開催された。

はじめに、「東の東京大学、西の京都大学のような防災、減災の研究機関が、南海トラフ大地震が差し迫っているにも関わらず、この地域にはありませんでした。6つの国立大学法人の防災に関わる研究センター同士が、これからの災害被害を軽減するために一致協力して立ち向かっていこうということでつくったコンセッションです。この1年間で信頼関係を構築しつつ、それぞれの大学の得意分野、役割をある程度理解ができてきました。これからが本番なので、ぜひ応援してください」と名古屋大学減災連携研究センター長の福和伸夫教授から開会の挨拶があった。

自然災害の予測から防災のための人材育成、街づくりまで多岐にわたる研究

シンポジウムは、入場無料。各学識者の方々ほか、一般市民の参加も多く注目度の高さがうかがえるシンポジウムは、入場無料。各学識者の方々ほか、一般市民の参加も多く注目度の高さがうかがえる

今回のシンポジウムは2部構成になっており、第1部では、まず6大学の活動状況の報告がされた。
地震・火山、水文・気象(複合災害)、建築・都市・社会インフラ減災、人間・社会減災、電気・情報・計測、レスキュー技術において、予防から災害が起きているときの対応、そしていかに復興するかということを6大学がそれぞれに研究を進めているという。そして、それらを連携することで、より専門性が高まり、東海圏の減災社会につながるのだ。また、各大学の研究ではそれぞれの地域の行政や建築業界などとのつながりがあり、地域同士の連携につながることも期待される。

次に、コンソーシアムがどのような体制となっているかの紹介があった。
地震・津波などのハザードの予測手法の開発などをするハザード評価専門部会、構造物、経済被害などの予測手法開発をする被害予測専門部会、社会基盤・構造物の維持管理などに関する技術開発をする減災技術開発専門部会、地域や企業と取り組んで災害に強い地域社会の形成を目指す地域防災力向上専門部会、防災人材育成プログラムの開発などをする人材育成活用専門部会と、細かな取り組みが進められている。

南海トラフ巨大地震とは?そして、私たちができる防災を考える

名古屋大学は平成22年12月に減災連携研究センターを立上げた。「東海」「東南海」「南海」の地震などによる巨大災害や風水害に対して、産官学民の地域密着型の様々な連携により、被害を軽減していく戦略について、研究、人材育成などを通じて構築することが目的だ名古屋大学は平成22年12月に減災連携研究センターを立上げた。「東海」「東南海」「南海」の地震などによる巨大災害や風水害に対して、産官学民の地域密着型の様々な連携により、被害を軽減していく戦略について、研究、人材育成などを通じて構築することが目的だ

第2部では、6大学からの話題提供と題し、それぞれの研究の解説や、取り組みが発表された。

名古屋大学の鷺谷威教授は、「南海トラフ巨大地震とは何か」というテーマで発表。
南海トラフは、過去の大地震が発生したという履歴が文献などに記されており、世界で最もわかっている場所なのだそうだ。それに基づいて100~200年程度の間隔で繰り返し発生していると予測され、2013年の地震調査研究推進本部のデータでは30年以内の発生確率が60~70%と出されている。だが、まったく同じ地震が繰り返されるわけではなく、過去のデータの見直しも必要であったりと、地震という現象の予測の難しさを痛感するものでもあった。

また、静岡大学の前田恭伸教授は、老人介護施設職員の協力のもとで行った被災シミュレーションを発表。
地震発生から10分後、2日後などの状況下で何をするべきか議論してもらい、津波災害にどのように対応するかを研究するものだったが、結果は「地震直後の対応はある程度用意ができているが、発生後の長期にわたる対応はまだできていない。また、津波の到達の速さはそれほど認識されていないのではないか」とのことだった。

そのほか、豊橋技術科学大学の斉藤大樹教授は「巨大地震に対する超高層建築物の応答評価」、岐阜大学の沢田和秀教授は「視点を変えられるUAV(無人飛行する航空機)の可能性」、名古屋工業大学の市之瀬敏勝教授の「耐震補強された9層SRC建物の地震被害」、三重大学の川口淳准教授は「大津波に備える自主防災~Myまっぷランのすすめ~」を発表した。

このコンソーシアムは、研究機関である大学を中心に、自治体、産業界、そして民間との連携の構築を目指し、これからが本格始動となるとのこと。防災・減災のためには、地質学、工学、建築学などが相互で研究を深め、そしてそれを受け止める私たちの意識向上、取り組みも必要となることがわかった。

地震の予測は難しく、いつ起こるかについては今後の研究が待たれる…が、起こることを想定し、日頃からの備えられていれば、被害は軽減できるはずである。
私たちの命を守ることにつながるだけに、南海トラフ巨大地震への東海6大学の取り組みに今後も注目していきたい。

2014年 06月09日 10時55分