“働く場所”を“暮らす場所”へ転換

「the c」の外観。内外装共にリノベーションされているので、53年という築年数を感じることはない。1階にはカフェが入っている「the c」の外観。内外装共にリノベーションされているので、53年という築年数を感じることはない。1階にはカフェが入っている

住まいを選ぶ際にもっとも重要な条件は立地だろう。間取りなどほかの条件をいくら気に入っても、住みたくない場所や通勤・通学に不便な場所ならば、やはり快適な暮らしとはならないはずだ。
多くのビジネスマンにとって究極の住まいの立地条件は、「オフィスから徒歩圏内」ではないだろうか。株式会社リビタが企画し、運営管理するシェア型複合施設「the c」は、まさにそのような物件だ。

同物件は、JR「神田駅」から徒歩約7分、東京駅からも約15分という好立地に立つ。築53年のオフィスビルをシェアアパートメント、シェアオフィス、シェアスペースの3つの機能が融合するシェア型複合施設に再生させたものだ。従来「働く場所」としてのイメージが強かった都会のど真ん中、しかも地方へのアクセスも良い東京駅から徒歩圏内を“暮らす場所”へと転換させる新たな生活スタイルを提案している。

約120畳のLDK。壁面のシェアマップでオススメのお店などの情報交換

建物は地下1階、地上9階建て。シェア型賃貸住宅となるシェアアパートメント部分は3階から9階部分だ。今年(2015年)1月より入居が開始されている。
築53年とはいえ、内外装共にリノベーションされ、耐震補強工事も行われているので、その年数を感じる場面はほとんどないはずだ。

一般的な住居ではリビング・ダイニング・キッチンといえる9階のシェアラウンジの広さは約120畳。ここにライブラリーやシェアキッチン、シアタールームなどのスペースが納まる。
ダークブラウンの木目とホワイトを基調としたインテリアが落ち着いた雰囲気を演出。アンティークな感じのイスやソファなどがところどころに配置され、その日の気分によってくつろぐ場所を選ぶことができる。

ライブラリーには靴を脱いであがる。蔵書のテーマは「コミュニケーション」。1面の壁は同物件周辺の地図が描かれたシェアマップになっている。入居者がオススメのお店などを書き込めるのでコミュニケーションツールとして利用可能だ。

このシェアマップの裏側がシアタールーム。最新のプロジェクターやオーディオ機器が設置され、約100インチの大画面で迫力の映像を楽しめる。映画鑑賞だけでなく、サッカーや野球などスポーツ観戦でも大いに盛り上がるだろう。

なお、同社では企画から運営管理まで行っており、運営ノウハウを企画に活かす手法で、この「一人の時間とみんなの時間を自在に使い分けることができる空間づくり」を実現しているそうだ。

左:シェアラウンジ。左側にシェアキッチン、ライブラリー、シアタールームがある。中央:ライブラリー。奥のシェアマップには周辺の地図が描かれ、オススメのお店などを書き込むことができる。右:シェアキッチン。3口のIHクッキングヒーターが3カ所あるなど本格的な料理も可能左:シェアラウンジ。左側にシェアキッチン、ライブラリー、シアタールームがある。中央:ライブラリー。奥のシェアマップには周辺の地図が描かれ、オススメのお店などを書き込むことができる。右:シェアキッチン。3口のIHクッキングヒーターが3カ所あるなど本格的な料理も可能

カップルで入居可能な二人部屋も6室用意

居室が入るのは3階から8階部分で全54室。一人部屋のほかにも、カップルで入居可能な二人部屋も6室用意されている。

居室のインテリアは、シェアラウンジ同様に木目を生かした落ち着いた雰囲気。一人部屋は平均14m2程度だが、トイレやキッチンなどの水まわり設備は共用なので、数字以上に広さを感じる。また、天井高が約3mと高く開放感は十分だ。さらに一部の部屋には屋内でありながら外部空間のようでもあるインナーバルコニーがある。入居者の自由な発想で多目的に使えそうだ。

二人部屋の広さは約25m2でミニキッチンとシャワースペースなど水まわり設備が付く。取材時は角部屋を見せてもらったが、窓のすぐ外が高層ビルなどのオフィス街。「この都会のど真ん中に住むことができるのか」と、少しワクワクしてしまった。

一部を除く個室にはベッドやイスなどの家具が付き、すべての個室に冷蔵庫、エアコン、有線LANなどの家電機器が付く。キッチンやトイレ、シャワールーム、バスルームなど共用部分の清掃は、基本的に週に5回だ。

これだけ立地がいいと気になるのは月額賃料。一人部屋は平均約11万5,000円、二人部屋は平均約14万5,000円で、これには水道光熱費やインターネット接続料、共用部清掃費などが込みの共益費が含まれる。周辺の家賃相場とほぼ同等のようだが、シェアラウンジなどの付加価値を考慮すればお得といえるだろう。

現在(2015年3月)の入居者は、やはり大手町に勤めるサラリーマンが中心だが、そのほかにもフリーランスや個人事業主など様々な職業の人がいるそうだ。まだ空室もあるのでくわしくは本記事最後のURLなどから確認してほしい。

左:1人部屋。デスクやベットなどの家具が付く。奥は多目的に利用できそうなインナーバルコニー。右:二人部屋。窓の外には大都会が広がる。画像の右手にミニキッチンなどの水まわり設備がある左:1人部屋。デスクやベットなどの家具が付く。奥は多目的に利用できそうなインナーバルコニー。右:二人部屋。窓の外には大都会が広がる。画像の右手にミニキッチンなどの水まわり設備がある

シェアオフィスでは集中したい度合いによってデスクを選択

シェアオフィスは4月上旬オープン予定。1年契約のほかに、ドロップインの時間貸しも行う。
固定ブースが10席、固定デスクが10席、フリーデスクが30席。こちらも居室部分と同様に落ち着いたナチュラル&モダンな木目のインテリアが印象的。扉付きの固定ブース、扉なしの固定デスク、デスクのみ、と集中したい度合いによってデスクを選択できる。
また、契約者は喫煙所を併設したルーフトップ(屋上)も利用可能。無線LANによってインターネットへの接続もできる。東京スカイツリーが見える展望で一息つくのもいいが、入居者など異業種の人とのコミュニケーションの場としても有効だ。

左:30席のフリーデスク。このほかに固定ブースが10席、固定デスクが10席ある。右:シェアオフィスの契約者は喫煙所を併設したルーフトップ(屋上)も利用可能。画像中央に東京スカイツリーが見える左:30席のフリーデスク。このほかに固定ブースが10席、固定デスクが10席ある。右:シェアオフィスの契約者は喫煙所を併設したルーフトップ(屋上)も利用可能。画像中央に東京スカイツリーが見える

シェアハウスを含む複合施設が都心の活性化に貢献

地下のシェアスペース。画像右側がキッチン。奥には防音仕様のスタジオなど様々な設備が揃っている地下のシェアスペース。画像右側がキッチン。奥には防音仕様のスタジオなど様々な設備が揃っている

地下のシェアスペースは5月オープン予定。入居者以外にも開放される趣味を楽しむ大人たちの空間だ。ソファスペースのほかに、複数の人が同時に作業できる広いキッチンやスタジオなどを完備。4室のスタジオのうち2室は防音仕様となっている。
音楽イベントやセミナー、料理・ヨガ・DIY教室など多目的に活用できる空間だ。
同社では「入居者と外部をつなげたい。『The c』を外部にも開いて色々な人が利用することで鮮度を保ちたい」としている。
一般にはオープン前だが、今までにも「江戸文化体験イベント」や「南房総night」など様々なイベントやセミナーが行われ、多種多様な人たちが訪れている。

リビタによると都内中心部の古いオフィスビルは空室が目立ちはじめているという。再開発などで大規模なビルが建ち、そちらに人気が集中しているといった理由からだ。
建物としてはまだまだ現役の、このような古いオフィスビルの活用方法として、ひとつの提案が「the c」。その周辺をしばらく歩くと、少し元気がない古き良き商店街がいくつかあった。オフィスから歩いて通勤できる都会のど真ん中の住まい。もしかしたらこのような複合施設が増えれば都心部の人口も増加し、活気が戻ってくるかもしれない。地方だけなく、都心の活性化にも役立つはずだ。

取材協力:株式会社リビタ
http://www.the-c.tokyo/

2015年 04月13日 11時03分