地域とのつながりをたたない賃貸マンションづくり

帰ってきたらホっとできるエントランスに帰ってきたらホっとできるエントランスに

賃貸マンションの1階部分というと店舗が入っていたり、個性のない入口だけだったりと、分譲マンションに比べてあまり考えられていないケースが多いと思う。賃貸マンション=薄暗いエントランスとは一概には言えないが、それでもそうした物件が多く、帰ってきたらホっとするどころか部屋に帰るまで薄暗い共用部が続き、部屋に帰ってカギを閉めるまで緊張感が続く、という人もいるはずだ。

たとえ賃貸マンションでも地域のつながりが感じられたり、ちょっとしたオシャレ感があったり、ホっとできるような共用部があったほうが、居住者の住まいに対する思いや、テンションはプラスの方向でよくなるはず。今回、面白い試みを行ったマンションのイベントがあったので参加してみた。

地域とつながるイベントが開催

展示されていた作品は価値が高いものだという。今回、展示会とは違って、長いスパンで作品を展示し、見ていただけるというこの企画に興味を持っていただき、特別にご提供が実現したとのこと展示されていた作品は価値が高いものだという。今回、展示会とは違って、長いスパンで作品を展示し、見ていただけるというこの企画に興味を持っていただき、特別にご提供が実現したとのこと

今回参加したのは『MUKOUJIMA GALLERY(ムコウジマギャラリー)』というイベント。コスモスイニシアが総合プロデュースした賃貸マンションで開催された。スカイツリーに程近く、向島という場所柄から下町の雰囲気が漂う地域。総戸数53戸の賃貸マンションに入ると、1階のエントランスがシックなギャラリーになっていた。

写真家若木信吾氏とペイントアーティストのMikeMing氏の共同作品が展示されている。若木氏は写真集「Takuji」などの代表作を持つ売れっ子の写真家。Ming氏は世界的に評価を受けているクリエイター集団「Barnstormer」のメンバーだ。

エントランスから屋内に入ると、すぐのところに壁面に飾られた2人の共同作品がある。どの部屋からも見える若木氏が撮ったスカイツリーの写真に、Ming氏のペイントが施された作品だ。斬新な色使いが特徴だが、疲れたときに見ると元気になる、そんな気がした作品だった。

今回の企画について、コスモスイニシアの経営企画室の三木美和氏は「賃貸マンションでは外から帰って来たとき、急に無機的な建物になってしまうケースが多いですが、もう少し自分の家に帰ってきたというのを味わっていただきたいと思いました。住んでいる地域のものを飾ることで、地域に親しみを覚えていただけるような、地域と“つながる”イベントを企画しまして、こうして実現できました」とのこと。

こうした価値の高い作品が展示されているとなると観に行きたい人もいると思うが、残念ながら、エントランス部分にセキュリティがあるため一般開放はされていない。入居者のためだけの専用ギャラリーと考えると、ちょっと贅沢だ。

ほっとできる住まいへ。賃貸マンションの共用部もあたたかみのあるつくりに

あたたかみのある空間デザインにあたたかみのある空間デザインに

1階ギャラリー以外の共用部や部屋についても見てみよう。

共用部の廊下はあたたかみのある木目調の床を採用。廊下だけでなく、バルコニーの床も当てはまる。

単身向け、DINKS向けの2タイプの部屋があるが、どれも収納を充実した作りになっている。設計を担当したコスモスイニシアの建築部 建築課の田中修氏は「今回の物件は20代後半~30代あるいはDINKS向けの物件。ちょうど物が溜まる年齢を意識して、収納をたっぷりとった作りにしました。また、部分的なところにあたたかみが感じられるような空間デザインにしたのが特徴です。分譲マンションで培った経験から、最近の若い世代は黒白のシンプル空間よりもレトロな風合いの方が好まれる傾向にあります。そうした知見を建物や各住戸に反映しました」

部屋は白を基調としているが、床の木目調や建具・サッシの黒が調和して、シンプルだがひきしまった印象の部屋に見えた。1Lタイプの収納部屋は広く、単身あるいはDINKS世帯では十分過ぎる容量だ。各住戸のバルコニーからは特大のスカイツリーが臨める。

賃貸の住まいとは言え、帰ってきてホっとできるようなそんなエントランスがあると嬉しいと思う。特に女性の場合には、エントランス部分がきれいだと防犯にもつながるため一石二鳥だ。こうした取り組みが今後増えれば、たとえ賃貸といってもその地域や住まいに愛着が持てるような気がする。一過性で終わるのではなく、賃貸市場で今後もこうした取り組みの物件が増えていくことを期待したい。

2015年 04月03日 11時06分