「特別」な住まいから「身近」に、さらに多様化するシェアハウスの進化

かつてシェアハウスといえば、少しでも家賃を安く済ませたい人向け、という特別な住まいの印象があった。しかし昨今はテレビドラマの舞台になるなどで、すっかり身近な存在になっているようだ。
きっかけとしては東日本大震災の発生が大きい。独り暮らしをする者にとって、やはり災害時に助け合える気心の知れた隣人がいるのは心強い。また、仕事で疲れて帰ってきた際に、「ただいま!」、「おかえり!」と言い合えることは、会社の社員寮などでは味わえない癒しにつながる。会社など仕事関係とはまた違う「絆」を求めていたことを再確認したのだ。

さて、そのシェアハウスだが普及するにしたがって多様化が進んでいる。当初のキーワードは「安い」「絆」がメインだったが、「ジョギング」や「英会話」など同じ趣味を持つ人たちが集まるようになり、現在は夜景の綺麗なラウンジや音響施設、清掃サービスといったハイグレード仕様の物件、いわゆるソーシャルアパートメントが目立ち始めている。
今回はその中でもハイグレードなだけでなく、音楽好きにはたまらないスタジオなどを完備した「シェアリーフ西船橋グレイスノート」を紹介する。

「シェアリーフ西船橋グレイスノート」のエントランスホール。巨大なオブジェなどが置かれ、<br />シェアハウスとは思えない高級感が漂う「シェアリーフ西船橋グレイスノート」のエントランスホール。巨大なオブジェなどが置かれ、
シェアハウスとは思えない高級感が漂う

120インチの大スクリーンに74畳のリビング、ラウンジ、バーカウンター。ハイグレードな仕様の共有スペース

「シェアリーフ西船橋グレイスノート」(事業主:日本土地建物株式会社)は、千葉県船橋市のJR西船橋駅から徒歩12分ほどの所で現在リノベーション中*のシェアハウスだ。もともとは大手企業向けの研修施設だった。
まずそのスケールを聞いて驚いた。全85戸で個室は9.6畳がメインで最大15.8畳と広々。
そしてシェアハウスならではの共有スペースは5つ。
①エントランスホール
重厚で巨大なオブジェ、上質でハイセンスなソファ、そして頭上に広がる吹抜け。高級ホテルを思わせる空間で入居者を迎える。
②多目的ルーム
アコースティックライブなどを行える簡易ステージと大勢でのスポーツ観戦などを楽しめる120インチスクリーンのプロジェクターを完備。ステージ横にはミキシングルームが併設されている。音楽作成ソフトをインストールしたパソコンとキーボードでオリジナルCDをつくることが可能だ。
③リビング・ダイニング
リビング・ダイニングの面積は74畳。通常の賃貸物件ではあり得ない広さだ。さらにバーカウンター付きの49畳のキッチンが併設されている。3つ口のIHコンロが4つあるので、料理好きは大いに腕を振るうことができるだろう。
④2階ラウンジ
各戸にひとつずつお気に入りや自主制作のCDを飾れるキャラクターボードがある。その場で視聴も可能。入居者同士の音楽の趣味を共有する場として活用できる。
⑤5階ラウンジ
最上階にあるラウンジ。一体的につながった屋上テラスを併設。2階とは異なる落ち着いた雰囲気で、静かな時間を楽しめる。
*現地モデルルーム確認会は2014年1月19日から。入居開始は2014年3月上旬を予定。
くわしくはこちら↓で確認を。
http://www.nittochi.co.jp/personal/sharehouse/nishifunabashi/index.html

74畳のリビング・ダイニング。画像手前の丸テーブルのまわりはカーペットが敷かれ、<br />床に直接座ってくつろぐことができる74畳のリビング・ダイニング。画像手前の丸テーブルのまわりはカーペットが敷かれ、
床に直接座ってくつろぐことができる

音楽を通じた入居者同士のコミュニケーションを育む、3室の音楽スタジオを無料で利用可能

そして何といっても注目したいのが大中小の3つの音楽スタジオだ。
地下室のため元々防音性は高いが、さらに(株)ヤマハミュージックリテイリングが完全防音施工。同社オリジナルの調音パネルを設置することで音場を調整し、クリアな音を実現している。
広さは大が約16.8畳、中が約6畳、小が約3.2畳。各スタジオにはミキサー、スピーカー、ドラム、ピアノ等を完備し、入居者は無料で使用できる(インターネットによる予約制)。外への音漏れを気にすることなく、個人練習から本格的なバンド練習まで幅広く利用可能だ。
今回取材させていただいた事業主の担当者は、学生時代かなり本格的にバンド活動をしていたそうで取材時に
「一般的な音楽スタジオよりこちらの方がずっと音がいいはずです」
と胸を張っていた。

完全防音の音楽スタジオ。壁に貼った調音パネルが音場を調整し、クリアな音を実現する。完全防音の音楽スタジオ。壁に貼った調音パネルが音場を調整し、クリアな音を実現する。

高級ホテルのような共用部、週5回の清掃サービス、それでいて家賃は相場並み

この取材をするまでシェアハウスに住むということは、プライバシーを犠牲にすることと思っていた。しかし、85という戸数の多さ、そして9.6畳以上の大きな個室と特徴が異なる5つの共有スペースがあれば、あまり他人を気にせず、その日の気分にあった時間が過ごせそうだ。
さらにキッチンやシャワールームなど個室以外の部分は、週に5回清掃が入るという。これは楽だ。
そこで気になるのが家賃。賃貸マンションよりむしろ高いのではと思ったが、5万1000円(別途共益費1万8000円)からだった。共益費には水・光熱費・インターネット料金が含まれているので、これらを考慮すれば周辺の賃貸物件と同等以下だ。また、この家賃設定はハイグレード仕様のシェアハウスとしては、高額な訳ではないそうだ。

高級ホテルのような共用部、清掃サービス、リーズナブルな家賃、そして「音楽」というキーワードでつながる入居者。シェアハウスは、もはやチープな住まいではない。新たな「暮らしの豊かさ」を認識させられた。

公開日: