株式会社エス・エム・エスが運営する「ハピすむリフォーム」は2026年6月、全国の加盟リフォーム事業者159社を対象に「建築資材・住宅設備価格の変動に関する調査」を実施した。中東情勢の緊迫化やナフサ不足を背景とした資材の値上がりと納期遅延の実態が浮き彫りになった。

【今回ピックアップするニュース】
【建築資材・住宅設備価格の変動に関する調査】中東情勢の緊迫化やナフサ不足等を背景に、リフォーム事業者の6割超が納期の長期化や資材の供給不足に「緩和の兆しなし」と回答(PR TIMES)

6割超が納期への影響「緩和の兆しなし」と回答

本調査から、特に注目すべき3つのポイントを取り上げる。
(1)62.9%が「改善の見通し立たず」
納期への影響や供給不足について、5月末時点でも先行きが見えない状況が続いており、短期的な解消を期待するのは難しい。
(2)42.8%が「仕入れ値2割以上値上がり」
そのうち10.7%は3割超の値上がりを経験している。69.8%の事業者が販売価格への転嫁を進める一方、17.6%は自社で吸収している。利益率の圧迫が続けば、経営体力の消耗に直結するだろう。
(3)94.3%の事業者で納期が1週間以上長期化
そのうち46.5%は1ヶ月以上の遅れを実感している。影響が大きい商材は「ユニットバス」(価格66.4%・納期75.2%)、「塗料・接着剤」(価格74.3%・納期62.7%)、「断熱材」(価格64.3%・納期55.6%)が上位を占める。ナフサを原料とする石油化学製品が広範囲に影響を受けていることがよくわかる。

政府は経済産業省や国土交通省を通じて供給網への働きかけを強め、現在では市場の「目詰まり」は解消したと発表しているが……政府は経済産業省や国土交通省を通じて供給網への働きかけを強め、現在では市場の「目詰まり」は解消したと発表しているが……

ウッドショック・給湯器不足が示す教訓。今回も長期戦になる?

ウッドショック・給湯器不足が示す教訓。今回も長期戦になる?

過去の類似事例を振り返ると、2021年前後のウッドショックでは構造材の値段が数ヶ月で2〜3倍に跳ね上がり、2021〜2022年の給湯器不足では納期が半年以上かかるケースも珍しくなかった。いずれも納期が安定するまで1〜2年を要し、一度上がった資材の値段は元の水準には戻らなかった。
今回のナフサショックも、中東情勢という地政学リスクが背景にある以上、短期的な解消は見込みにくい。ナフサの代替調達によって供給懸念が後退する可能性が出てきたと報じられてはいるものの、「価格高騰の影響はこれから起こる」という現場の声は重く受け止めるべきで、業界全体として中長期の視点で備える必要がある。

「住みながら工事」はリスク管理を徹底する

生活の制約や作業音、振動など、住みながらの工事はユーザーの日常生活への負担が大きく、納期の遅延は大きなトラブルにつながる恐れがある生活の制約や作業音、振動など、住みながらの工事はユーザーの日常生活への負担が大きく、納期の遅延は大きなトラブルにつながる恐れがある

居住しながらの施工では、工期の延長がそのままユーザーの生活負担に直結する。キッチンや浴室が使えない状態が長引けば、仮住まいや外食など想定外の出費も発生する。
資材遅延による工期延長は一般的に不可抗力として扱われるが、事前説明が不十分だった場合はトラブルに発展するリスクがある。契約前に「現在の資材調達状況」「遅延時の対応方針」「工期延長時の費用負担」を明文化し、ユーザーと合意しておくことが重要だ。見積書には有効期限(例:発行から30日)を明示することも、価格・納期ともに不安定な今は以前にも増して必要だろう。今回の調査でも67.9%の事業者が「お客様への事前説明の強化」を対策として挙げている。

値上がりを納得してもらえるか、丁寧なコミュニケーションが鍵となる

ウッドショックの前例が示すように、一度上がった値段は落ち着いても元には戻りにくい。高値が続く前提で経営を組み立てることが、今後はさらに求められる。
適正に価格転嫁する必要があるが、「原材料費が上がったので」の一言では、ユーザーは理解しても納得はしにくいだろう。どの資材が、なぜ、どの程度値上がりしているのかを真摯に説明し、見積金額の根拠を示すことが信頼につながる。値上がりが続く市場で選ばれる事業者となるには、丁寧なコミュニケーションと説明責任を果たす姿勢が重要だ。

LIFULL HOME'S総研 楢崎美香のリフォームニュースピックアップとは

LIFULL HOME'S総研 研究員の楢崎美香が、リフォーム・リノベーション業界に関わる方なら知っておくべきという観点でニュースを厳選し、豊富な経験に基づくコメントとともに伝えるコーナー。業界関係者はもちろん、リフォーム・リノベーションを検討する人にとっても、重要な動きを理解できるほか、新たな視点を得ることができるはずだ。