「京都駅西部エリア活性化将来構想」のもと、 進められる賑わいづくり

2019年3月、JR嵯峨野線に「梅小路京都西」駅が開業した。JR「京都」駅から約2分の隣駅だ。

開業から約半年たった今、駅前で周りを見渡すと工事現場や建設途中の建物が目に入る。空高くアームを伸ばすクレーン車も稼働中で、町が変わっていくことを実感できる光景だ。この建設ラッシュの背景にあるのは、京都市と市民、企業、関係団体がともに進めている「京都駅西部エリア活性化将来構想」(以下、将来構想)である。

北は五条通、南はJR京都線、東は烏丸通、西は西大路通に囲まれた京都駅西部エリアは、古くは平安京の南部に位置し、当時のメインストリート・朱雀大路を中心に京の都の経済的基盤となる市(いち)が開かれるなど、重要な都市機能が集積していた。現在は、平安建都1200年記念事業として整備された「梅小路公園」(1995年開園)、京都市中央卸売市場第一市場や京都リサーチパーク、商店街、寺社、大学などが点在している。

「これらの多彩な地域資源をつないで、新しい賑わいをつくり出すというのが将来構想のビジョンです」。そう話すのは、京都市総合企画局プロジェクト推進室プロジェクト推進第二課長の金井塚裕平さん。その一環で、冒頭で紹介したような新しい施設づくりのための工事が行われている。今後、まちにどのような賑わいが生み出されるのか、話を聞いてみた。

左から、都市総合企画局プロジェクト推進室の金井塚裕平さん、同・小林かえでさん、同・岩田有司さん左から、都市総合企画局プロジェクト推進室の金井塚裕平さん、同・小林かえでさん、同・岩田有司さん

来年以降、約1,000室分のホテルが誕生。冬場の賑わい創出のためのアイススケートリンクもオープン

まず、「梅小路京都西」駅西側の変化に注目してみよう。ここは、京都市中央卸売市場第一市場の再整備によって生み出された土地が活用されている。七条通を挟んで南側で建設中なのが、町家風建築の“賑わい施設”(2021年開業予定)。和を基調とした趣のある空間に京都の飲食店などが入る予定だという。さらなる集客を狙い、宿泊施設も併設される。そして七条通の北側には、京都の“食”と“職”をテーマにした商業施設とホテルの複合施設が生まれる(2020年開業予定)。

次は目を転じて、駅の東側に広がる梅小路公園内の動きを紹介しよう。梅小路公園は、2012年に「京都水族館」が、2016年に「京都鉄道博物館」が開館したことにより、休日ともなると多くの親子連れが足を運ぶ人気のお出かけスポットである。

入園者数の増加により課題としてあがってきたのが、休憩や飲食ができる場所が少ないこと。これを解消するため、今年度中に飲食店と無料休憩所がオープンすることになった。しかも、屋外型スポーツ施設(冬季はアイススケートリンク、夏季はノンアイスリンクなど)を併設した複合施設である。アイススケートリンクには、冬季の賑わいの創出が期待されている。

「このほか、周辺では民間が運営するホテルが複数オープンする予定です。数年のうちに約1000室分の宿泊施設ができると考えられています。宿泊する人が少なくとも朝と夜にはこの界隈で時間を過ごすことで、その時間に開いているお店ができるなど賑わいが生まれると思いますので、七条通沿いの商店街をはじめ、周辺の活性化にもつなげていきたいです」(金井塚さん)

左上/飲食店と無料休憩所、そしてアイススケートリンクができる梅小路公園七条入口広場東側 右上/長さ50m・幅14mのアイススケートリンクのイメージ図(提案時の図であり、実際の整備内容は異なる場合がある) 左下/手前が町家風建築の“賑わい施設”ができる敷地。七条通を挟み、奥は“食”と“職”をテーマにした商業施設とホテルの複合施設を建設中 右下/食”と“職”をテーマにした商業施設とホテルの複合施設のイメージ図左上/飲食店と無料休憩所、そしてアイススケートリンクができる梅小路公園七条入口広場東側 右上/長さ50m・幅14mのアイススケートリンクのイメージ図(提案時の図であり、実際の整備内容は異なる場合がある) 左下/手前が町家風建築の“賑わい施設”ができる敷地。七条通を挟み、奥は“食”と“職”をテーマにした商業施設とホテルの複合施設を建設中 右下/食”と“職”をテーマにした商業施設とホテルの複合施設のイメージ図

電車なら、約10分の1の時間で移動が可能に。子ども連れもますます出かけやすく

ところで、新駅誕生から約半年。人の流れにはどのような変化があったのだろうか。

「急激に変わったというより、開業が発表された2014年度から新駅ヘの期待が高まり、徐々に変わってきたというほうがいいと思います。そのころから、梅小路公園での集客イベントなども活発に行われるようになりました」と金井塚さん。

もちろん、梅小路公園へのアクセスがしやすくなったのは言うまでもない。梅小路界隈は、前述の通り家族連れに人気のスポットだが、京都駅からは歩くと20分ほどかかる。バスで向かうルートもあるとはいえ、小さな子ども連れ、特にベビーカーを利用している場合はなかなかハードルが高かった。

「行きは歩いたり、バスに乗ったり。帰りは電車で、など選択肢が増え、利便性が高まったはず。駅ができたなら行ってみようかなという気持ちになっていただける人が増えたと思います」

上/梅小路公園に隣接するJR「梅小路京都西」駅。この南側に「京都鉄道博物館」がある 下/七条通から見た梅小路公園。右はJR「梅小路京都西」駅上/梅小路公園に隣接するJR「梅小路京都西」駅。この南側に「京都鉄道博物館」がある 下/七条通から見た梅小路公園。右はJR「梅小路京都西」駅

梅小路のポテンシャルを、京都全体の活性化につなげたい

上/「私たちの活動を通して“行ってみたい”がいっぱい生まれ、そこから“住みたい”になって活性化する。それが新しいビジネスに波及するといいなと考えています」と同プロジェクト事務局長の山口真生さん(西日本旅客鉄道(株) 近畿統括本部 京都支社 総務企画課長) 下/「京都・梅小路みんながつながるプロジェクト」によるイベントの様子上/「私たちの活動を通して“行ってみたい”がいっぱい生まれ、そこから“住みたい”になって活性化する。それが新しいビジネスに波及するといいなと考えています」と同プロジェクト事務局長の山口真生さん(西日本旅客鉄道(株) 近畿統括本部 京都支社 総務企画課長) 下/「京都・梅小路みんながつながるプロジェクト」によるイベントの様子

将来構想は、さまざまな地域力や市民力を生かして行われている。その一つが2015年に設立された「京都・梅小路みんながつながるプロジェクト」だ。京都市総合企画局の金井塚さんのコメントにあった梅小路公園での集客イベントを多数実施している団体である。梅小路エリアの持続的な賑わいと回遊性の向上により、エリアを活性化させるという目標を掲げている。

同プロジェクト事務局長の山口真生(まさいき)さんは、「エリアを回遊してもらうために京都駅から公園までの道中にモニュメントを設置したり、園内にベンチや案内サインを置いたり。『京都・梅小路七夕あそび』やコスプレイベントといった、主催またはサポートをしている催しも年々盛り上がっています」と話す。

「水族館や鉄道博物館、梅小路公園など、この界隈は観光やレジャーの拠点となるポテンシャルがあります。宿泊施設も増えることで、より多くの人が滞在するようになる。これをきっかけに、新駅がある嵯峨野線沿線の嵐山などほかのエリアとも協働し、京都全体の観光振興や成長のお役に立てればと考えています」

梅小路から賑わいが広がり、京都全体が活性化する-。そんな力も、この地域は秘めている。

2019年 10月17日 11時05分