暮らしをより良く、新たな価値を実現するリノベーション
リノベーションという言葉も一般的になってきた。しかし、以前から用いられているリフォームとリノベーションの違いは何か、というと、実は、厳格な定義はなく線引きも曖昧だ。
パナソニック ライフソリューションズ社の副社長 道浦正治氏は、リフォームとの違いをこう語る。「リフォームは老朽化した所を直し、部屋・部位を新しくすること。一方、リノベーションは新築時を超える『新たな価値』を実現するものだと考えています。特に近年、多様化するライフスタイルやライフステージに合わせて住まいを見直すケースが多く、単に新しくするだけでなく、暮らしをより良くするリノベーションが注目されているのではないでしょうか」。
しかし、住まいを見直したくても何から始めどう進めればいいのか、分からないケースもあるだろう。キッチンやバス、内装材などのショールームはあるが、何も決まっていない状態では行きにくい、行っても何をどう相談すればいいのか分からない、という場合も多いようだ。
4月に東京・汐留にオープンした「TOKYO リノベーションミュージアム」は、具体的な予定が決まっていなくてもリノベーションが少し気になる、将来的に考えてみたい、という方に向けたもの。楽しみながらリノベーションに関しての知識を学び・体感できるという、新しい施設を訪ねてみた。
ショールームではなくミュージアム。居住空間全体の提案を
「ショールームは基本的に設備機器などを選定する場ですが、この施設は、どんな空間でどんな暮らしをしたいのか、学び、体感し、具体化していく場。また、何度も訪れていただきたい場であり、他業種パートナー企業との共創によるサービスや情報の提供など、関連するさまざまな相談にご対応しています」と道浦氏。
ショールームではどうしても、LDKや水まわりといった住まいを部分的に切り取った空間提案となりがちだが、「TOKYOリノベーションミュージアム」では、居住空間全体の空間提案に触れることができることも魅力。パナソニックの商品のみで構成するのではなく、他業種と提携し、リノベーションを考えるために必要なサービスを提供するなど、公共性の高いオープンな施設となっているのも特徴だろう。
フロアスペースの構成は、「リノベーションに関するさまざまな知識を学ぶエリア」「リノベーションで得られる暮らしに憧れを感じるエリア」「リノベーションをしたいという思いを実現するエリア」と大きく3つのエリアに分けられ、自分たちの状況や条件に合わせて利用することが可能になっている。
気軽に「学び」、楽しみながら「体験」を
まず、「リノベーションに関するさまざまな知識を学ぶエリア」からみていく。
ここでは、リノベーションの自由さや多彩さを1/10模型や1/1サイズの画像によって知ることができる。模型は、一般的なマンション(75m2)となっており、都心のSOHOのリノベーション、4つのリビングがある家、一戸建てのようなガーデンのある家、といった異なるリノベーション事例が紹介されている。ボックス型の展示は、上からだけでなく横からも空間を確認することができるのでイメージしやすいだろう。
自分のライフスタイルの傾向を知り、適した空間イメージを考えることができる。「暮らしのイメージ診断」も面白い。館長の荒谷誠司氏は「タッチパネルで2択の設問に答えていくことで、自分のライフスタイルにあった空間をイメージ画像で見ることができるものです。QRコードで読み取り、スマートフォンで確認することも可能。家族や友人と一緒に楽しんでいただきたいと思います」と話す。
その他、映像や実物展示に触れながら、リノベーションの進め方やノウハウを知ることができるコーナーも。マンションと戸建てのできることとできないこと、中古物件のメリットなど、知っておきたいポイントがコンパクトにまとまっている。図書館のような落ち着いたスペースでゆっくりと情報収集ができる。
ふたつの暮らし方をリアルサイズで体感。提携パートナーからのサービスも
「リノベーションで得られる暮らしに憧れを感じるエリア」には、一般的な75m2のマンション空間をリアルサイズで再現。ふたつのパターンをみることができる。
ひとつは、家族がほどよくつながる家として30代夫婦+子ども1人を想定。間取りを変更せずコストを抑えてリノベーションしたもの。もうひとつは、趣味を楽しむ、ギャラリーの家として50代夫婦の2人暮らしを想定。間取りを大きく変更し理想の暮らしを追求した空間を体感することができる。同じ広さの空間でも、ふたつを比較することで、リノベーションによってさまざまな可能性があることを理解することができるだろう。
また、「リノベーションをしたいという思いを実現するエリア」では、さまざまなコンサルティングやサービスが提供されている。たとえば、費用や家計の見直しなどの相談、建築家への設計依頼、中古マンションの購入など、リノベーションを考えるうえで必要なサービスを提携パートナーから受けることが可能だ。
セミナーや企画展も実施。日々の暮らしの中で気軽に訪れてみたい
ラウンジスペースでは、イメージ画像を見ながら休憩することも。セミナーやイベント、企画展なども予定されているとか。住まいや暮らしに関する新しい考え方、トレンドなどの発信が期待される。
住まいや暮らしに対する希望や予定はそれぞれだ。具体的にリノベーションの予定がなくても、日常生活の中で、それらの情報に触れる機会を増やすことで、好みの空間や暮らし方のイメージが見えてくることもある。日々の暮らし方を振り返る機会にもなるかもしれない。ショッピングや仕事帰りに、気軽に訪れることができるスペースは、積極的に活用するといいだろう。
また、「TOKYO リノベーション ミュージアム」のあるビルには、具体的な商品が展示され、プランニングを検討できる「パナソニック リビングショウルーム 東京」もある。リノベーションが具現化してきたら、最新の商品や情報を知ることも可能だ。目的や条件、状況に合わせ、住まいや暮らしを考える場を上手に使いこなすことも快適な住まいを実現するポイントだ。
■取材協力
TOKYO リノベーション ミュージアム https://sumai.panasonic.jp/trm/
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