フローリングに傷が!半数の人が自力で補修経験があるが仕上がりに不満足

フローリングの上にうっかり重い物を落としてしまい、傷をつけてしまってガッカリという経験をお持ちの人は多いのではないだろうか。特にまだ新しいフローリングの場合は、何とか直せないものかと補修キットを買ってきて試してみたことがある人もいることだろう。

住まいの掃除サービスや傷の補修を手掛けている株式会社ダスキンの「住まいの補修に関する意識・実態調査」によると、77.8%の人が現在住んでいる住宅にキズ・傷み・破損があると回答していて、更にそのうち69.6%の人がその傷が気になっていると答えている。

自宅における破損箇所は、床やドアなど木材内装部分が一番多く、次に壁紙や石膏ボードの破損と続いている。筆者もリフォームの現場では、特に床の傷に悩まされてきた。工事中はしっかり養生をするとは言え、住みながらの工事においては、誰が傷をつけたかと言う問題は別にして、どこかに何らかの傷ができていることが少なくない。フローリングの場合、あまりに大きな傷がついていれば、そこだけ張替えをすることもあるが、部分的な張替えは後に床鳴りの原因になることがあるため、美しく補修ができればそれに越したことは無い。

しかしこの補修がまた難しいのだ。実は筆者もプロ用補修キットを使って何度か行ったことがあるのだが、フローリングの補修は熟練した技術者でないと相当時間がかかる上に、出来栄えがあまり良いとは言えず、何度かやり直しをしたこともあった。上記の調査でも、52.9%の人が自分で補修を行ったことがあるものの、そのうち48.2%の人が仕上がりに満足できなかったと回答している。そこで今回は、ダスキンの住宅の傷補修の専門家に、自分で床や壁の傷の補修をする際のコツを聞いてきた。

重い物を落としたり、椅子を引きずったりしてフローリングに傷がついてしまうことが。自宅での破損箇所は床が一番多く、放置していても実は気になっている人が多い(住まいの補修に関する意識・実態調査を元にグラフを再構成/ダスキン調べ)重い物を落としたり、椅子を引きずったりしてフローリングに傷がついてしまうことが。自宅での破損箇所は床が一番多く、放置していても実は気になっている人が多い(住まいの補修に関する意識・実態調査を元にグラフを再構成/ダスキン調べ)

床の表面材が剥がれ始めていたら早めに対策、身近な道具できれいに直せる

日本の住宅では床やドア、枠まわりに木製品が多く使われている。と言っても、中まですべて無垢の木ではなく、多くは表面に薄い銘木やシートが張り付けられている製品のため、最初は軽微な表面材の剥がれでも、放置しておくとどんどん進行して修復が困難になっていく。小さなめくれであっても、発見したら早めに対策することで、住まいを美しく保つことができる。

フローリングの表面材が剥がれ始めていたら、これ以上被害が大きくなる前に速やかに対策をしておこう。剥がれた部分が本体にくっついていれば、身近な道具できれいに直せる。用意するものは、瞬間接着剤、カッター、文鎮などの硬くて平らな重しだ。手順は下の写真のように、まずカッターで剥がれた表面材を少し持ち上げて中まで接着剤を流し込み、硬く平らな重しで圧力をかける。床なら足で踏んでも良いとのこと。

実はこのような状況はよく見掛けるのだが、気付かないまま放置していたり、気付いてもそのままにされていたりすることが少なくない。剥がれた部分がちぎれてしまえばこの方法はできなくなり、もっと手間のかかる補修が必要になるので、掃除の時などに床の点検をしておくといいだろう。カッターで表面材を持ち上げる時、ちょっと緊張するが、少しずつ行えばたいていは大丈夫だ。ただし中には古い床材で表面劣化が進んでいると、そのままバリッと割れてしまうこともあるので、慎重に行おう。

フローリングの角が少しめくれ始めていたら、早急に補修をしておくことで、美しさを維持できる。カッターで少し隙間を開け、そこに瞬間接着剤をはみ出ないように注入。その後、表面が平らな重しで圧力をかけようフローリングの角が少しめくれ始めていたら、早急に補修をしておくことで、美しさを維持できる。カッターで少し隙間を開け、そこに瞬間接着剤をはみ出ないように注入。その後、表面が平らな重しで圧力をかけよう

フローリングの傷の補修にはクレヨンより電熱コテ、色選びのポイントは?

フローリングの表面が剥がれ、凹んだ傷になってしまった場合は、ホームセンターで補修キットが売っているので、それを使って補修にチャレンジしてみよう。しかしこれが難しいという声をよく聞く。やってみたは良いけれど、すぐに取れてしまった、色が合わずにかえって目立つようになってしまったという経験をお持ちの方もいることだろう。

補修の専門家であるダスキン「ホームリペア」 リペアマスターの櫻井悦子氏によると、自分でフローリングの傷の補修をする場合は、塗り込むクレヨンタイプよりも、電熱コテで樹脂を溶かして傷を埋めるタイプのほうが仕上がりが良いとのこと。クレヨンタイプは、最近のフローリング材に多いオレフィンシートや、ドアや巾木などの枠まわりの芯に使われている木質繊維の成型板と密着性が良くないので、どうしても剥がれやすいそうだ。電熱コテがセットになった補修キットは4,000円程度からあり、ひとつ持っておくと様々なところに使えて便利だ。

枠まわりの表面シートがめくれてしまった場合は、まずは接着剤を使って丁寧に圧着し、剥がれ落ちて戻せない場合は、少し削り落として、フローリング同様に樹脂を溶かして埋める方法が良いとのこと。筆者の家のドア枠は猫の爪とぎによってシートが部分的にめくれてしまっているが、まだ圧着で間に合いそうなので、さっそくやらねばと思っている。

また多くの人が悩む色合わせだが、櫻井氏によると、フローリング全体を見て選んでしまうと失敗しやすいと言う。確かに、補修をする際はフローリング全体の色を見て、これはベージュ系、これは濃い茶系といった感じで色を考える傾向がある。しかしフローリングの表面をよく見ると、一見ベージュ系に見えるものも、淡いアイボリーの上に濃い茶色で木目が描かれているなど、複数の色が使われていることがわかる。

美しく補修するためには、初めにベースとなる一番薄い色で埋めた後、その上に徐々に濃い色を重ね描きする工程が大切とのこと。色選びの際には、顔を近づけてフローリング表面をじっくり観察し、まずはベース色をしっかり見極めるようにするといいだろう。櫻井氏が行った補修のデモンストレーションでも、最初に全体の色イメージよりかなり明るい色で傷を埋めた後、シャープペンの先ほどの細い筆を使って髪の毛ほどの細い木目を描いていた。

フローリングの傷の補修を実演する櫻井悦子氏。最初に塗りつぶしたのは全体の色よりかなり明るいアイボリー色で、その後にだんだん濃い色を重ねて描くことで、一見して傷がわからないほど美しく仕上がった。補修時間は一か所10分ほどフローリングの傷の補修を実演する櫻井悦子氏。最初に塗りつぶしたのは全体の色よりかなり明るいアイボリー色で、その後にだんだん濃い色を重ねて描くことで、一見して傷がわからないほど美しく仕上がった。補修時間は一か所10分ほど

壁のねじ穴の補修は、2cmまでなら手芸用の綿と接着剤できれいに直せる

次は壁の補修についてご紹介しよう。壁にビスをとめていると、最初は小さな穴でも少しずつ広がっていることがある。中にはねじ穴が2cm程度になってしまうこともあり、そうなるとホームセンターなどで売っている穴埋め材で補修することが難しくなる。そこで手軽に自宅でできる穴埋めの方法として、手芸用の綿を使った補修テクニックを教えてもらった。用意するものは、壁紙と同色のねじ穴埋め用コーキング材、瞬間接着剤、つま楊枝、そして手芸用の綿だ。

工程は下の写真でご紹介しているように、まず穴に綿を楊枝で詰め、詰めた綿に瞬間接着剤を少しずつ注入していく。接着剤が固まると綿がガラス繊維のようになり、穴埋めの下地になる。そこにねじ穴埋め用のコーキング材を入れ、つま楊枝でコーキングの上から壁紙の凸凹模様を描いて完成だ。これなら気になっていた大きめの穴も補修ができる。

猫の爪などであまりに広範囲に傷がある場合は、部分的に張り替える方が手っ取り早いだろう。同じ壁紙が見つからなければ、コーナー部分を見切りにして色柄のついた壁紙を貼ってアクセントウォールにしても良い。その際は、上から爪とぎ防止シートを貼っておくとひっかきに強くなる。

げんこつパンチやテーブルの角などが壁に当たって石膏ボードに穴が開いてしまった場合は、本格的な補修が必要となる。まず穴より大きめに、大型のカッターで四角く石膏ボードを切り取り、裏に下地材を張り付けて、そこに新しいボードをはめ込んで、パテで下地調整を行って、上から同色の壁紙で仕上げる。この穴のふさぎ方は、リフォームでダウンライトの穴や、コンセント移動時の元の穴を埋める時に使う手法と同じなのだが、石膏ボードを切るのに力が必要で少し危険があること、また壁紙を美しく仕上げるためには技術が必要になるので、自信が無い人は専門家に依頼するほうが安心だ。

ただし賃貸住宅にお住まいの場合は、どの補修においても事前にオーナーや管理会社に相談し許可を受けた上で実施することをおすすめする。

2cm程度に広がった壁のビス穴も、手芸用綿を使えばこんなにきれいに補修ができる。最後につま楊枝で壁紙の凸凹模様を付けるのがポイントだ2cm程度に広がった壁のビス穴も、手芸用綿を使えばこんなにきれいに補修ができる。最後につま楊枝で壁紙の凸凹模様を付けるのがポイントだ

手に負えなくなったらプロに頼む手も、補修を成功させる秘訣は根気!

手に負えないと感じたら専門業者に依頼するのも手だが、補修サービスで気になることと言えばやはり費用に関することだろう。ダスキン「ホームリペア」の場合は傷の大きさをベースにした料金体系を実施。例えば床の補修なら、幅1cm以下であれば合計20cm以下3か所まで19,440円(税込)とあらかじめ決まっているので、下見の段階ですぐに契約、その場で修理をしてしまうこともあるそうだ。

さて、自分で頑張る人に何かアドバイスはないかと櫻井氏に伺ったところ、「とにかく根気よくやることです」という言葉が返ってきた。まさに、筆者自身が自宅の床の補修を行った際、途中でめんどうになって適当にやってしまったことがあり、あまりよい出来栄えとは言えなかった。住まいの補修はなかなか根気がいる作業であり、美しく仕上げるためには絵心も必要だろう。絵を描くのが好きな人は本格的な補修用キットを購入して補修を楽しんでみてもいいかもしれない。実際、ダスキン「ホームリペア」 リペアマスターの中には、絵や漫画を描くのが上手い人が結構いるとのこと。我が家をいつまでも美しく保ち続けるために、休みの日などにじっくりと傷と向き合う時間を作るのもよさそうだ。

取材協力:株式会社ダスキン

櫻井氏のパレット。まるで絵を描くように調色をしていく。絵心がある人、絵を描くのが好きな人は本格的な補修用キットを購入して補修を楽しんでみても。筆者が以前使っていたのはドイツの木製品補修材メーカーのドクターケーニッヒのセットで、4万円程度から揃い、床だけでなく家具など家中の様々なところに使える櫻井氏のパレット。まるで絵を描くように調色をしていく。絵心がある人、絵を描くのが好きな人は本格的な補修用キットを購入して補修を楽しんでみても。筆者が以前使っていたのはドイツの木製品補修材メーカーのドクターケーニッヒのセットで、4万円程度から揃い、床だけでなく家具など家中の様々なところに使える

2018年 09月25日 11時05分