入居中、掃除したことなし!プロが掃除しても落ちない汚れは高くつく

実家暮らしで掃除をしたことがないという人がいるかもしれないが、一人暮らしなら自分のことは自分でやるしかない。適宜掃除を実家暮らしで掃除をしたことがないという人がいるかもしれないが、一人暮らしなら自分のことは自分でやるしかない。適宜掃除を

賃貸では部屋探し時はもちろん、暮らし始めてからも不動産会社とお付き合いするケースは多々想定される。そんな時に気持ちよく対処してもらい、楽しい暮らしを送るためには、不動産会社の仕事や役割、どんなことをしてもらえるのかなどを知っておくと何かと便利。これは日夜様々なトラブルに対処してきた不動産会社の裏話に耳を傾け、より良い暮らしのためのノウハウを学ぶ連載の第8回目。前回に続き、原状回復を取り上げる。

暮らし方で差がつく代表的なものは掃除の頻度や内容、有無。中には入居期間中一度も掃除をしたことがないんじゃないかと思われるほどひどい状態のまま退去する例もあるのだとか。「本人はおしゃれでいつもきれいな女性だったのですが、退去後の部屋に入って唖然。キッチンの換気扇からは埃と油がつらら状態になって何本も垂れ下がり、まるで鍾乳洞。床の上にはごみが大量に放置され、加えて噛んだ後のガムを室内に吐き捨てていたようで、あちこちべたべた。ワンルームだというのに敷金に加え、20万円くらいの請求をしたところ、訴えると返事が来ました。そこで室内の写真を親御さんにお送りしたところ、黙って払っていただけました」(ハウスメイトパートナーズ東東京支店支店長・谷尚子さん)。

当然、これだけ汚し放題の部屋になると敷金だけでは足りなくなる。賃貸借契約では退去後のクリーニング代は入居者負担となっているケースが多いが、プロが掃除しても、そこまでの状態になっていると落ちず、それ以上の請求になるケースも出てくる。「掃除をしたことがない人にはどんな汚れが落ちて、どれが落ちないかは分からないのでしょうが、いくらプロがやっても何年も溜め込んだ油汚れや水栓周りの水垢などは落ちません」。

カレーうどんの汁をはね飛ばした白いシャツを数年放置したら、いくらクリーニング屋さんがプロでもまっ白な状態に戻すのは難しいくらいは誰でも想像できる。部屋も同じで、適宜掃除をしていれば油はつららになったりはしない。原状回復で多額の費用が発生するのが嫌なら、まずは掃除である。

シールを貼ったらお金がかかると思おう

手軽に手に入るジェルシール。かわいいのは確かだが、剥がれなくなって損をするのは自分。使い方には注意が必要手軽に手に入るジェルシール。かわいいのは確かだが、剥がれなくなって損をするのは自分。使い方には注意が必要

安易に取り付けてしまい、退去時になって意外にお金がかかる結果になるのがシール。「年配者、子どものいる家などではドアに『トイレ』と書いたシール式のプレートを貼ったり、キッチンにタオル掛けのフックや子どもがドアを開けないようにするストッパーを貼ったりしますが、これが問題。きれいに剥がせないことが多く、無理に剥がそうとするとドアやキッチンの面材の表面までがべりべりに。となるとドアやキッチンの面材といった建具類を交換することになり、1枚2~3万円程度はかかります。また、キッチンの扉を1枚だけ交換してしまうと、見た目が悪くなるからと大家さん負担で全部を交換することもあり、シールは大家さん泣かせです」。

こうした出費を防ぐためにシールは基本的には貼らないようにし、もし、貼るとしたら比較的剥がしやすいタイルやステンレス部分にするなどの配慮を。最近ではシールではなく吸盤式、あるいはドアの隙間を利用して吊るすような商品もあるので、建具類に傷がつかないようにしたい。小さなものでは室内の配線を壁際の幅木に固定するために使うモールなども危険だという。

若い女性の中にはユニットバス内にクリスマスの時などにガラスに貼るジェルシールを貼りつけてインテリアとして楽しむ例があるそうだが、これもダメ。剥がしてもシールの色が移ってしまうため、浴室内全部のシートを貼りなおすことになるのだ。かかる費用は8~10万円程度。ユニットバス内ではフックや鏡などを落ちないように接着力の強いシールで貼りつける例もあるそうだが、剥がれなくなってしまうことが多いそう。少しでも可愛く、使いやすくという気持ちは分かるが、後々のことを考え、跡が残らないものや置くものでなんとか工夫しよう。

さび、かびも費用負担をアップする危険物

水回りは使い方によってかび、さびが発生しやすい危険個所。きれいにしておいたほうが自分も気持ちいいはず水回りは使い方によってかび、さびが発生しやすい危険個所。きれいにしておいたほうが自分も気持ちいいはず

水回りにはさび、かびという大敵もある。「洗面所にヘアピン、シンクに空き缶を置きっぱなしにするなどすると、そこが錆びますが、これは後からは取れません。そのため、場合によっては高くつくことも。ヘアピンや空き缶以外でもモノはずっと置きっぱなしにすると跡がつくことがあるので、掃除の際に一度移動するなど工夫をしていただきたいものです」。

過去にはシャワーカーテンを壁際に押し付けたままで何年かが経過、シャワーカーテンの柄がユニットバスの壁に転写された例や、濡れた雑誌の表紙写真が床に転写された例などもあるのだとか。たまには動かそう。

水回りのかびで多いのは浴室のドアに取り付けられたビートと呼ばれるゴムのパッキン状の品。ここがかびると非常に汚らしく見えるため、交換になることが多いのだ。タイル貼の浴室では目地や浴槽などがかびることもあるが、こうしたかび類は換気で防げる。入浴後もしばらくは換気扇を回しておく、あるいはシャワー後に軽く拭いておくなどして、かびさせないようにしよう。

浴室では石鹸かすも差が出るポイント。体や髪を洗った際に浴室内に飛び散ったままにしておくとガラス、鏡などに白く、厚くこびりついてしまい取れなくなるのである。そのために浴室内の鏡を交換などということになると、サイズにもよるが数千円から1万円、2万円と費用がかかる。体、髪を洗った後にガラス、鏡部分をきれいな水で洗い流す、盛大にはね散らかさないようにする、たまに掃除するなどの手を打てば、そんな羽目にはならないはずだ。

建具の汚損、壁の穴に残置物は費用負担を増大させる

バルコニーに置いたものは引っ越し時に忘れやすいので注意が必要バルコニーに置いたものは引っ越し時に忘れやすいので注意が必要

建具の汚損、破損も高くつく。前述のようにシールを貼った挙句にドア、面材の交換となるのはもちろん、ペットが齧った、蹴飛ばして穴を開けたなどの場合は覚悟しておきたい。また、リノベーション、DIYばやりの昨今、勝手に室内の建材にペンキを塗ってしまうなどのケースがあるが、借りているモノである。勝手に手を入れてはいけない。借りた車の色が気に入らないからとレンタカーを塗り替えてはいけないように、部屋も勝手にいじってはいけないのだ。特に柱、梁などは交換ができない部分には手を出さないこと。最近は後から剥がせるシートなどが販売されているから、模様替えをしたいならそうしたものを使い、室内を汚さないようにしたい。

もうひとつ、意外に忘れられがちだが残置物も費用が発生する。「自分はもう要らないからとゴミを置いていく人がいますが、あなたが要らないものは他人も要らない。それを捨てるためには費用がかかることを意識してください。また、粗大ごみは収集日が決まっていることが多く、収集は早くても1週間、2週間後。引っ越しを決めたら早めに手配して、確実に捨ててください」。室内だけでなく、バルコニー、駐輪場に置いた自転車なども忘れがちなので要チェックだ。逆に部屋に備え付けの品は退去時に持っていかないこと。特に注意したいのがエアコンのリモコン。退去が決まったら、持ち出さないものはどこかにまとめておくと良いかもしれない。

敷金返還は入居時のチェックから始まっている

入居時の様子をなんらかの形で記録しておき、不動産会社とその情報をシェアしておくと後日のトラブルを避けることができる入居時の様子をなんらかの形で記録しておき、不動産会社とその情報をシェアしておくと後日のトラブルを避けることができる

退去時の敷金返還は入居中の暮らしぶりに左右されるが、もうひとつ、大事なことがある。それは入居時の室内チェックだ。入居時点で床に傷があったことが入居者、不動産会社双方で分かっていれば、退去時にそれが問題になることはない。だが、分かっていなかった場合には、誰が負担すべきかでもめる可能性が出てくる。本当は入居時に入居者、不動産会社双方が揃って室内をチェックできればベストだが、不動産会社側が忙しくて時間が割けなかったり、互いのスケジュールが合わないケースもあり得る。そのため、不動産会社の中には入居後の一定期間内に室内の気になる箇所を入居者がチェック、間取り図、書面などにして保存しておくなどの予防策をとっている例がある。

最近ではスマホで気になる部分を不動産会社に送り、記録しておくやり方も出てきており、「弊社では2014年12月から、契約後1カ月内に室内の気になる部分をスマホで撮って、それをアップロード、記録しておくという仕組みを新たに始めました。最初は5枚からのスタートですが、こうした形なら気軽に利用できると思います」とも。こうした記録を積極的に残そうという姿勢のある会社なら、後日もめる可能性は少なくなる。契約時までに、入居時のチェックを行っているかどうかを確認しておくのも、後日のトラブルを防ぐためには有効だろう。もちろん、契約時にきちんと原状回復の費用負担について説明してくれる会社がベストであることは言うまでもない。

契約時に原状回復についてきちんと説明を受け、入居時に室内の状況を記録、適切に手入れして暮らせば、預けた敷金以上に費用が発生することはさほどなく、「6年住んでいたケースであれば、引かれる費用はクリーニング代程度で、残りは返ってくるはず」とのこと。もし、不明な点があれば、国土交通省のホームページ内にガイドラインがあるので参考にしてほしい。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html



2015年 01月30日 10時35分