高温多湿な日本の夏

気温が上がれば上がるほど、空気中に含有できる水蒸気量が増えるので、夏に湿度が上がるのは自然な現象だ気温が上がれば上がるほど、空気中に含有できる水蒸気量が増えるので、夏に湿度が上がるのは自然な現象だ

一般的に日本の夏は湿度が高く、冬は乾燥している。湿度が季節で異なる原因は、高気圧の発生する場所の違いによるものだ。
冬の大陸性高気圧はシベリア付近で発生するため、太平洋側へやってくるまでに山脈にぶつかり、雪や雨を降らせるので乾燥している。しかし、夏季の高気圧は太平洋で発生し、そのままやってくるので湿度が高いままなのだ。

それ以前に、気温が高ければ高いほど飽和水蒸気量(空気中が含むことのできる水蒸気の量)が増える。気温10度のときには、1立方メートル中に存在できる水蒸気は約9.4グラムだが、30度に上がると約30.4グラムと3倍にも増える。水の豊富な日本にあって、夏に「絶対湿度」(大気中に含まれる水蒸気の密度)が上がるのは当然なのだ。冷蔵庫の中が乾燥しやすいのも同じ理屈。庫内温度が5度なら、1立方メートル中、最大でも6.8グラム程度しか水蒸気を含有できない。
ちなみに気象予報などで使われる「相対湿度」は、飽和水蒸気量に対して求められるものなので、同じ湿度80%なら、冬と夏では飽和水蒸気量の大きな夏の方が、圧倒的にじめじめと感じるはずだ。

高温多湿な日本の夏に、加湿器は不要だと思われがちだが、クーラーは除湿効果もあるので、エアコンの効いた部屋は乾燥しがちになる。特に高層ビルや高層マンションの上階はその傾向が顕著だ。
冬季のように、一日中加湿が必要なわけではないが、乾燥すると咽喉や鼻の粘膜が正常に働かなくなり、ウィルスや雑菌に感染しやすくなるので、夏でもエアコンの効いた部屋で乾燥を感じたら、加湿器を使った方が良い。
では次に、加湿器の種類や注意点を見てみよう。

加湿器の種類にはどのようなものがある?

スチーム式加湿器は、やかんでお湯を沸かして加湿するのと原理は同じだスチーム式加湿器は、やかんでお湯を沸かして加湿するのと原理は同じだ

加湿器には大きく分けて、スチーム式、気化式、超音波式、そして二つの方式を掛け合わせたハイブリッド式の4種類がある。
スチーム式は、水を熱して発生する水蒸気により加湿する方式。やかんで水を沸かして加湿するのと同じ原理だ。気化式は、濡れたフィルターに風を当てて気化させるもの。洗濯物を室内で干すと湿度があがることを思いだせば理解しやすいだろう。超音波式は、超音波の振動で水を水蒸気に変えるもの。ハイブリッド方式は、加熱で発生した水蒸気を超音波の振動でさらに細かいミストにするものや、熱湯をフィルターに含ませ、風により空中に散布する方法などがある。

加湿器の種類別のメリット・デメリット

それぞれにメリットとデメリットがあるが、気化式や超音波式は、雑菌やカビの繁殖が一番の心配だろう。雑菌によりアレルギーを引き起こす加湿器病(過敏性肺臓炎)も増えているというし、風邪予防を目的に加湿しているのに、部屋中に雑菌を撒き散らしてしまっては意味がない。
その点、スチーム方式は水蒸気量が多く即効性があり、煮沸により雑菌やカビの胞子が死ぬので衛生面でも安心。ただし電気代が高くなり、熱い蒸気が出るのでやけどの心配がある。
そこで注目されているのがハイブリッド方式だ。沸騰した水蒸気を超音波で粉砕したり、熱湯をフィルターに含ませて風を当てたりするため、排出される水蒸気が熱くないからだ。温度センサーや湿度センサー、タイマーのついている高機能なものも多いが、その分大型で高価なので、用途を考えて選ぼう。
また、気化式は電気代が安いが、風を送るファンの音が気になる人もいるだろう。室温が低いと発生する水蒸気量が十分でない場合があるので、エアコンの効いた部屋にはあまり向いていないかもしれない。
超音波式は小型なものが多くて邪魔にならないし、消費電力量も少ないのだが、なんといっても雑菌が繁殖しやすく、こまめな手入れが必要だ。
お手入れ方法は、使用説明書に従うべきだが、フィルターやタンクはこまめに水洗いし、水はその都度つぎ足すのではなく、使用のたびに入れ替えるのが基本だ。また、水道水は塩素が含まれているので殺菌効果が期待できる。ミネラルウォーターではなく水道水を使うようにしよう。

効果的に加湿するため重要な加湿器の置き場所

まず、加湿器はなるべく部屋の真ん中に置こう。部屋の端におくと、家具や壁、ガラスなどにあたって結露し、カビの原因になる可能性がある。夏の窓は外気に温められているから安心だと思うかもしれないが、ガラスは比熱が低く、エアコンの効いた部屋では冷たくなりがちだ。また、出入り口のそばに置くと、せっかくの湿気が室外に逃げるので、なるべく中央近くに置いた方が良いのだ。
次に、温度センサーのついた加湿器は、良く冷えた場所には置かない方が良い。気温が低くなればなるほど飽和水蒸気量が減るので、温度の低い場所に置いてしまうと、放出水蒸気量が減る可能性があるからだ。また、エアコンの機能にもよるが、冷たい空気は床に降りてくる傾向があるので、机や台の上に置くと良いだろう。同じ理由でエアコンの風が直接当たる場所にも置かないようにしよう。

加湿器を部屋の端に置いてしまうと、家具や壁、ガラスなどにあたって結露し、カビの原因になる可能性も加湿器を部屋の端に置いてしまうと、家具や壁、ガラスなどにあたって結露し、カビの原因になる可能性も

そのほかの注意点

夜エアコンをつけたまま寝る人も少なくないと思うが、同様に加湿器も夜つけたまま寝ても良いのだろうか。
朝、目が覚めたら咽喉が痛いこともあるから、夜間の湿度も高めにしておきたいものだが、寝ている間は結露に気付かないため、知らない間にカビが発生する原因になる。夜も加湿したい場合、湿度センサーのついたものを購入する方が無難だろう。

そして、肌の保湿といった美容目的で加湿器を使っている方は、肌に直接水蒸気を当てないように注意をしたい。表面が水で濡れていても肌が潤うわけではなく、かえって水の蒸発により乾燥してしまう。保湿には、粒子の細かい水蒸気が肌に触れることが重要なのだ。

夏風邪の予防にもなり、肌の乾燥を防いでくれる加湿器。しかし使い方を間違えればアレルギーの原因にもなるので、上手に使いこなしたいものだ。

クーラーは除湿効果もあるので、エアコンの効いた部屋は乾燥しがちに。</BR>夏でもエアコンの効いた部屋で乾燥を感じたら、加湿器を使った方が良いクーラーは除湿効果もあるので、エアコンの効いた部屋は乾燥しがちに。
夏でもエアコンの効いた部屋で乾燥を感じたら、加湿器を使った方が良い

2016年 06月11日 11時00分