コンセプトが見える“お風呂”のショールーム

東京ガス 新宿ショールームの「ミスティルーム」。ライフスタイルに合わせた4つのバスルームを用意し、凝ったインテリアデザインで理想のバスルームを描くことができる。写真は子育て世代を想定したバスルームの浴室東京ガス 新宿ショールームの「ミスティルーム」。ライフスタイルに合わせた4つのバスルームを用意し、凝ったインテリアデザインで理想のバスルームを描くことができる。写真は子育て世代を想定したバスルームの浴室

日本人は、“お風呂好き”である。街中にはスーパー銭湯があるし、旅行をするにしても温泉地が人気だ。会員制のジムではサウナやバスルームを充実させるのが集客のポイントになるし、エステサロンなどは尚のこと。

当然住まいづくりにおいても、日本人にとってバスルームは重要なはずだ。最近ではジェットバスの機能やミストサウナなどの設備を導入することも珍しくなくなった。ただし、バスルーム全体への遊びゴコロがあまり感じられないと思うのは筆者だけだろうか? 「ジムのサウナに行かなくても自宅のバスルームが一番」と思えるような自宅のお風呂はまだまだ少ない気がする。

そこで今回紹介したいのは、単に機能だけではなく、インテリアデザインやコンセプトのあるバスルームを体験できるショールームだ。4つのコンセプトバスルームの1つには、「東京ガス×イセタンメンズ」がコラボで誕生した “人生を愉しむ男”のお風呂まである。いったいどんなバスルームが提案されているのか? 東京・西新宿にあるショールームを見学してきた。

男の復権!? を狙ったバスルーム

今回見学をしたのは、東京・西新宿の「東京ガス 新宿ショールーム」の中にあるミストサウナ体験ルーム。今回お目当てのコンセプト豊かなバスルームが体験できる。

用意されているのは、ライフスタイルや家族構成に合わせた4つのバスルーム。「3世代向けバスルーム」に「子育て世代の家事楽お風呂」、「母と娘のためのプライベートサロン的浴室」とそして「人生を愉しむ男のダンディズム浴室」だ。単に設備の機能だけではなく、バスルーム全体のインテリアにもこだわって、リビングデザインセンターOZONEのインテリアデザイナーがトータルにデザイン。それぞれのコンセプトに合わせたバスルームの中で、ミストサウナを体験することができる。

どのバスルームも見事にアメニティの細部まで細かく作られているが、中でも話題となっているのが「イセタンメンズ」とのコラボレーションで実現したダンディズム溢れるバスルーム空間だ。

浴室内にミストサウナや上質のサウンドバスシステムを搭載し、こだわりの男を癒す入浴シーンが想定されているほか、広めのバスルームには、ミニBARをイメージしたカウンターもある。引き出しをあけると絵葉書と万年筆がそっと置かれていて、ウイスキー片手に世界の友人達に手紙をしたためるシチュエーションだ。

バスルームの一角には、個性的なアカプルコチェアが置かれていて、壁面に設えられたラックには書籍が並び、憩いの空間が演出されている。株式会社三越伊勢丹の紳士・スポーツ統括部 バイヤー兼マネージャーを務める落合将一氏によれば、「外での闘いから帰り、自分に戻る」空間をイメージしているという。

「『イセタンメンズ』では、男のファッションとこだわりを追求してきましたが、現在は単なる服やモノではなく“暮らし方”を求める時代です。その暮らし方のプロデュースの一貫として、今回のショールームづくりに参加させていただきました」(落合氏)

バスルーム全体のインテリアデザインはリビングデザインセンターOZONEが行い、イセタンメンズでは、コンセプトや家具や雑貨、アメニティを提案、実際にイセタンメンズで家具や雑貨を購入することが可能だという。東京ガス株式会社 リビングマーケティング部 浅倉与志雄氏もこのショールームの狙いを次のように説明する。

「今回男性のためのバスルームを設定しているのは、中高年の方の男性の一人暮らしや男性お一人での家づくりなども増えていますので、そのニーズに応えようというものです。“男性の復権”も多少なりとも意識しています。建築家など住宅関連業界のみなさまを対象にしたイベントでは、この男のバスルームが最も好評でした」

ダンディズム溢れるバスルーム。バスルームに足を踏み入れた途端に目に止まるのが重厚感のあるカウンター(写真左)。BARとして風呂上りにくつろげるイメージ。(写真右上)はくつろぎスペースで、アカプルコチェアがポイントだ。浴室内は、パワフルなミストサウナはもちろんのこと音質に気をつかった音響設備も搭載されている(写真右下)ダンディズム溢れるバスルーム。バスルームに足を踏み入れた途端に目に止まるのが重厚感のあるカウンター(写真左)。BARとして風呂上りにくつろげるイメージ。(写真右上)はくつろぎスペースで、アカプルコチェアがポイントだ。浴室内は、パワフルなミストサウナはもちろんのこと音質に気をつかった音響設備も搭載されている(写真右下)

家事ラク、3世代同居から女性のためのプライベートサロンまで

では、ファミリーや女性目線でのバスルームになるとどのような仕上がりになっているのだろうか。ライフスタイル別にさまざまな魅力的な空間が提案されている。

「子育て世代の家事楽お風呂」では、機能的には浴室内にミストを備え、洗い場は温水床暖房と浴室テレビなどを設置。浴槽も自動で掃除をしてくれるタイプだ。家事を楽にする動線が考えられており、カウンターはアイロンがけなども行える広めの設定で、浴室のとなりにはバスコートとして物干し空間になっている。浴室とバスルームを仕切る壁には小窓もついていて、子供だけでお風呂に入っていても中の様子が伺えるようになっている。壁やドアも外国の子供部屋を思わせるようなペイントが施されていて、一般的な日本のバスルームとは一線を画している。

おじいちゃんやおばあちゃんとの同居を想定した「3世代向けバスルーム」は、また趣が異なる。浴室暖房で温度のバリアフリーを実現するほか、浴室内には腰掛けにもなる広めのデッキがある。バスルーム全体は木材を使用したモダンな和の雰囲気。縁側を思わせるベンチもあるくつろぎの空間だ。

「母と娘のためのプライベートサロン的浴室」はまた、雰囲気が一変する。洗練されたラグジュアリー空間をコンセプトにしており、バスルームにはデイベッドが置かれ、まさにエステの癒しの空間。もちろん浴室ではミストサウナで美肌ケアもできる。これならば下手にエステに行くよりも自宅で十分だろう。

「子育て世代の家事楽お風呂」は、バスコートとして洗濯物を干せるスペースも(写真左)。「プライベートサロン」を彷彿とさせるバスルームは、日常から離れたリゾートのような空間を演出(写真右上)。「3世代向けバスルーム」は木材が効果的に使われていて、モダンな和のテイスト(写真右下)「子育て世代の家事楽お風呂」は、バスコートとして洗濯物を干せるスペースも(写真左)。「プライベートサロン」を彷彿とさせるバスルームは、日常から離れたリゾートのような空間を演出(写真右上)。「3世代向けバスルーム」は木材が効果的に使われていて、モダンな和のテイスト(写真右下)

濡れないミストだから、読書もできて、介護にも便利

東京ガス 新宿ショールームでは、着衣したままのミスト体験も行える。マイクロミストのブースでは、手を入れてもまったく水滴がつかない。バスルームでの読書も快適だ。(※写真はスプラッシュミストのブース)東京ガス 新宿ショールームでは、着衣したままのミスト体験も行える。マイクロミストのブースでは、手を入れてもまったく水滴がつかない。バスルームでの読書も快適だ。(※写真はスプラッシュミストのブース)

「東京ガス 新宿ショールーム」では、実際に入浴できる施設のほかにも、簡易的にミストを体験できるブースもある。上記のバスルームや簡易ブースで体験できる「ミストサウナ」は、ミストサウナ&浴室暖房乾燥機能を備えた「MiSTY(ミスティ)」という商品。1台で「スプラッシュミスト」と「マイクロミスト」が行える機種が主流だという。

スプラッシュミストというのは、霧状のミストを浴びるもので、しばらくはいっていると体に水滴がつくタイプ。

一方、マイクロミストというのは、効果はスプラッシュミストと同じながら超微粒子のミストで高湿度でも濡れにくいもの。実際に、体験ブースでマイクロミストのシャワールームに手を入れてみたが、見た目には水滴がつかなかった。そのため、浴室内での読書も楽しめるという。ゆったりバスタイムを楽しむには魅力的なミストだ。

「マイクロミストは濡れにくいため、高齢者の入浴介助にも服を着たまま入れるなど利便性があります。現在、サービス付き高齢者向け住宅など高齢者の住まいにも需要が高まっています」(浅倉氏)

ミストサウナ浴は、湯船につからなくても浴槽入浴と同じくらいの保温効果があり、10分程度で体の芯から温まるそうだ。お肌の水分量がアップするので、美肌効果が期待できる。頭皮の血行もよくなるので、特に男性に嬉しい頭皮ケアもできるという。もちろんサウナとしての発汗効果もある。

そのほか、水ミストの機能もあるため、夏場には冷たいミストでクールダウンするといった使い方も可能だ。

バスルームから“暮らし方”を考えてみる

お話を伺った、東京ガスの浅倉与志雄氏(写真右)と三越伊勢丹の落合将一氏(写真左)。今回の男のバスルームが好評だったことを受け、“男のキッチン”や“男のリビング”も展開したいというお話を伺った、東京ガスの浅倉与志雄氏(写真右)と三越伊勢丹の落合将一氏(写真左)。今回の男のバスルームが好評だったことを受け、“男のキッチン”や“男のリビング”も展開したいという

今回見学したお風呂のショールームは、まさに「機能性」と「デザイン性」を一緒に感じさせてくれるものだ。

キッチンやリビングに明確なコンセプトを用いて見せるショールームは増えてきているが、なかなかバスルームにここまでコンセプトを用いて見せてくれる場所は少ないだろう。家づくりやリノベーションの際にイメージを膨らませるのに役立つはずだ。

「この4つのバスルームは、予約をいただければ体験入浴が行えます。毎日90分×3枠の入浴体験時間が設定されていて、現在予約は、ほぼフル稼働状態です。3カ月前から予約が可能ですので早めのご予約をお願いしています」(浅倉氏)

どのように暮らすか? バスルームをキーにして考えてみるのも、家づくりを愉しむ一案ではないだろうか。

2016年 01月12日 11時07分