水回りのリフォーム、分譲マンションにはさまざまなルールがある

分譲マンションの場合このような申請書類を提出し、組合の許可を得てからの着手となる。このような申請書のほかに、遮音性能を厳守する誓約書などが必要な場合も多い分譲マンションの場合このような申請書類を提出し、組合の許可を得てからの着手となる。このような申請書のほかに、遮音性能を厳守する誓約書などが必要な場合も多い

キッチンや便器、洗面化粧台や浴室の最新設備機器は日々進化しており、素材やパーツが魅力的な水回り商品が数多く出回っている。そんな水回り商品に魅了されてリフォームを検討する人は多いのではないだろうか。
全面的なリフォームではなく部分改修として、水回り商品を交換する場合、商品の選び方や魅力を紹介するものは巷にたくさん出回ってはいるが、隠れた壁の中や床下の見えない配管のことは忘れられがち。せっかく商品を新しくしたのに、その先の見えないところで漏水してしまっては本末転倒である。
今回は、そんなリフォーム後のトラブルが起きないように「知っていて良かったと思える水回りリフォームに関するポイント」を調査してみた。

まずは、自身の住居の構造を知ることが大切である。「鉄骨鉄筋コンクリート造」がほとんどの分譲マンションと、「木造」が多い戸建住宅とでは、当然注意点も異なる。分譲マンションでの水回りのリフォームにおいては参考になる事例も、戸建住宅には当てはまらないことが多々あるのだ。
まず、分譲マンションについて知っておきたいこととして、分譲マンションは建物を構成する各場所が「共用部分」と「専有部分」に区分けされている点をおさえておきたい。マンションを購入し登記名義人になっている区分所有者が、自邸としてリフォームできるのは、登記簿上の「専有部分」のみなのだ。
専有部分とは、部屋番号が与えられている一室のことで、その部屋は鉄筋とコンクリートでお隣と仕切られている。この壁や天井、床は「共用部分」であり、壁、床、天井などのコンクリート箇所は、リフォームの際に削ったりへこませたり壊したりなど手を加えることができない。
玄関の鉄扉や窓のサッシ、バルコニー、上下につながる配管が入っているパイプスペース(以下PS)なども「共用部分」で、"共有部分には手を加えてはならない"と管理組合の規約で決められている場合が多い。そのルールは「管理規約」の「使用細則」に示されていて、リフォーム工事をする場合には、あらかじめ管理組合に対して施工内容を示した届出書を提出し、注意事項などの指導を受けたうえで、許可を得てから着工することになる。

重複するが、分譲マンションの場合、躯体などの共有部分に手を加えることはできない!

画像① 在来工法のタイル仕上げのユニットバス。分譲マンションの在来工法の浴室にはユニットバスへの変更ができない場合がある画像① 在来工法のタイル仕上げのユニットバス。分譲マンションの在来工法の浴室にはユニットバスへの変更ができない場合がある

分譲マンションの場合の特徴として、つづいては、浴室のリフォームの際に注意すべきこと、を取り上げてみたい。
住宅の浴室には、防水工事後にタイルで仕上げる「湿式工法」と言われる浴室空間と、「ユニットバス」と呼ばれる「乾式工法」のプレハブ仕立ての浴室空間とがある。
ユニットバスは、浴室を構成する各部材(壁・床・天井)などをあらかじめ工場で成形し、施工現場で組み立てる方法のため、現地での施工期間が短い。保温性も高く防水性に優れているので、分譲マンションのほとんどにユニットバスが導入されているが、中には画像①のような在来工法のタイル仕上げの場合がある。かつての公団や勤労者住宅供給公社が開発を手掛けたマンションに多く見られる。

分譲マンションで「在来工法」の浴室は、ユニットバスの設置が難しい場合が多い。理由は、ユニットバスを設置する際には、必要設置スペースの確保が必要で、必要設置スペースの範囲内にコンクリートの壁や柱、梁が存在すると、導入は不可能となるためだが、在来工法の浴室には柱や梁がむき出しになっていることが多く、柱のある空間の最大有効寸法が1200×1600だとしても、プレハブ型の新しいユニットバスを設置するスペースが確保できないからだ。
たとえ、梁を少し削れば入るとしても、その梁は共有部分なので、削ってまでユニットバスを導入することは当然禁じられている。その場合は現在と同じ「湿式工法」の浴室工事をせざるを得ない。『構造躯体だけを残し、それ以外の部分はすべてリフォームする「スケルトンリフォーム」の設計を依頼』する際などには、ユニットバスが設置できる位置に浴室を移動し、必要設置寸法と排水管までの勾配高さを確保したうえで、ユニットバスに変えることは可能なので、その道のプロに相談することが必須である。

戸建ての場合、水回りのリフォームに関する制限は少ない

トイレ、洗面、シャワーブースを増設。浴槽の設置を2階に、は耐荷重の関係で見送った事例トイレ、洗面、シャワーブースを増設。浴槽の設置を2階に、は耐荷重の関係で見送った事例

一方、戸建て住宅の場合は、その建物がすべて自己所有であることが多いため、建物内の配管に手を加える制限は別段ない。建築基準法や地域の条例、建築協定などの制限があるので、防火地域で増築する場合は確認申請が必要であったりするので、水回りのリフォームに起因する制限はないが、キッチンの位置や浴室の位置を変えるために建物を広げたり減築したりする場合には、建築士による届け出が必要となる。雨水と汚水の別や、条例等による外部の規制を守れば、建物面積を変えない改修に制限はほとんどない。

建物の大きさを変えずに、内部の位置移動のみを行う場合、新たな配管を設けたいのであれば、建物の構造などに損傷を加えない場所を選んで外壁に穴を開け、防雨処理などを適宜に行うことで、自由に配管経路を変更できる。
洗面化粧台やトイレを増やす、キッチンの位置を変更する、浴室をユニットバスに変える、といったリフォームが比較的容易にできる。2階に浴室を設ける場合は、浴槽に湯が入った状態の重量に、既存の建物が耐えられる構造なのかを考慮することは必須である。
また、新たに2階に水回り設備を新設する場合、水回り商品のみを交換するのではなく、給湯器も増やさなければならないこともあるので、水回りの商品交換などの工事を依頼する際に、重ねて給湯器の対応能力や適応脳範囲についてもチェックしてもらうことが大切のようだ。

築年数によっては断熱や耐震、換気といった基本性能が現在の基準に満たされていないものもあるので、水回りのリフォームの際、換気設備の向上などを図ることもお忘れなく。

水回りのリフォーム会社選びは、依頼前に慎重に!

個人宅を自己責任で直接施工者に「こうしてほしい」と手軽にオーダーできるのが、リフォーム工事の魅力。500万未満の内装工事であれば、施工店は無免許でも受注できるため、近くの施工店に、不具合を直接相談し、口頭で依頼する人が多いのも現実。

軽微な手直し程度ならそれでよいのかもしれないが、水回りのリフォームの際には注意が必要。万が一トラブルが発生した場合に、無免許の相手では、法律上も咎めようがない。「できるといわれて2階に浴室を設置したが、後に建物が傾いて心配になった」では話にならない。

個人の責任においてオーダーするリフォーム工事が水回りのリフォームの場合は、慎重に話を進める必要がある。
ふすまや畳の交換、壁紙の張替えといった内装工事とは異なり、水回りのリフォーム工事の場合には、免許を有しなければ施工できない、様々な工事業種がかかわる。例えばキッチンの入れ替えには「設備工事」だけではなく、手元灯や食洗器のために「電気工事」が必要。古いキッチンを処分するので、「解体工事」も含まれ「産業廃棄物」として適宜に処分される必要がある。水回りのリフォームは、業種が混在する工事なので、施工する人が作業として「できる」と言っても、口頭でできると言っているだけでは「できる」にならない作業が多い。施工者が免許取得のために学んだ知識も重要である。
産業廃棄物の処分方法、電気や設備の施工ルール、そしてそれを統括する知識のある設計士や施工管理士の存在が必須なのである。設備工事や電気工事には、建設業法とは別の登録や届け出も義務づけられているので、リフォーム会社に管理能力があるのかを、依頼する前に慎重に見極める必要がある。

いづれにしても、水回りのリフォームとは、関係法規を順守した設計、プランニング、施工のできる会社を見極めて依頼したいものだ。

資料=(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター 「住宅相談と紛争処理の状況CHORD REPORT2011」

平成22年度における住宅相談の件数は、2万75件前年度(平成21年度)から減少しているが、これは「住宅エコポイントに関する相談」の件数が減少したためで、「住宅エコポイントに関する相談」を除くと増加している。「リフォームに関する相談」は同57%増と、高い伸び率となった。
 また、相談のうち、不具合や契約上のトラブルが生じている件数は9,102件となり、前年度の6,380件から大きく増加した。資料=(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター 「住宅相談と紛争処理の状況CHORD REPORT2011」 平成22年度における住宅相談の件数は、2万75件前年度(平成21年度)から減少しているが、これは「住宅エコポイントに関する相談」の件数が減少したためで、「住宅エコポイントに関する相談」を除くと増加している。「リフォームに関する相談」は同57%増と、高い伸び率となった。 また、相談のうち、不具合や契約上のトラブルが生じている件数は9,102件となり、前年度の6,380件から大きく増加した。

2016年 09月09日 11時06分