あなたの家のお風呂場は冬は辛い?それとも快適?

2014年もあとわずか。冬の風に吹かれる季節になったが、寒い時ほどお風呂が恋しくなるもの。
とはいえ、冬のお風呂場が辛いと感じる人も少なからずいるはず。寒い脱衣場と暖かいお風呂。寒暖の差により引き起こるのが、いわゆる「ヒートショック」だ。ヒートショックとは、寒暖差が10度以上あることで血圧の急激な上昇や低下で心筋梗塞などを引き起こすことをいう。

2000年に行われた東京消防庁の調査によると、年間ヒートショックで14,000人もの人が亡くなっているという。(※2000年以後、2014年現在までこの調査は行われていないため、現状の数は不明)寒暖差をなくした環境が望ましいが、実はお風呂場環境がここ15年で大きく変わったのはご存じだろうか?

15年前と比較すると、お風呂は保温や節水、温かさ、そしてデザインまで色々と違うという。現在、日本の住宅は国土交通省の「平成25年住宅・土地統計調査」によると、戸建ては日本全国で28,600,700戸。その内、15年を目安にして考え、2000年以前のものを調べると全体の実に約72%の20,660,600戸。集合住宅(長屋と共同住宅を含む)は、日本全国で23,376,800戸。その内、2000年以前のものは、約60%の14,088,600戸。この数字だけ見ても、戸建ても集合住宅も築年数15年以上の住まいが半数以上を占めており、もし仮に建ててからお風呂場のリフォームをしていなければ、寒いお風呂場環境の人が日本全国で半数以上あるかもしれない。

お風呂好きの日本人の私たちだからこそ、改めてお風呂の進化と冬でも寒くないお風呂事情について、探ってみたい。

ここ15年のお風呂の進化がすごいらしい。写真のお風呂はシンラここ15年のお風呂の進化がすごいらしい。写真のお風呂はシンラ

1964年の東京オリンピックの年に「ユニットバス」が生まれた

お話しを伺った株式会社TOTOの販売統括本部 システム商品営業推進部 浴室商品営業グループの西之原まり子氏お話しを伺った株式会社TOTOの販売統括本部 システム商品営業推進部 浴室商品営業グループの西之原まり子氏

今回、お風呂についてお話しを伺ったのは株式会社TOTOの販売統括本部 システム商品営業推進部 浴室商品営業グループの西之原まり子氏と広報部 東京広報第一グループの浅妻令子氏。

実は今年、TOTOが業界初のユニットバスを有名老舗ホテルへ納入(※JIS基準)してちょうど50周年だという。1964年に開催された東京オリンピックの前年、急遽建設が始まったホテル建設。お風呂をいれるにあたって高層建築であることと3カ月の工期で導入を求められる中、それまで主流だった在来工法ではすごい重量と長期間の工期が必要になり難しく、その時に開発されたのがユニットバスだった。一般の家庭ではなくホテルから始まったお風呂ビジネス。家庭への展開を見せたのが、それから10年以上も過ぎてからだった。1977年、冬の期間に工事ができない北海道では、他の地域よりも水回りの工期の短期間が求められるため、ニーズもあって戸建てのシステムバスルーム販売がはじまったということだ。経済成長とともに、日本の家庭にバスルームが普及。ただこの頃はお風呂ビジネスはホテルなどビジネス向けがメインで、一般家庭向けの居心地がいいお風呂開発は最近とのこと。

「今ではお風呂で標準化している機能が、15年前から続々と誕生しました。2001年にカラリ床、2004年に魔法びん浴槽、2008年にほっカラリ床。10年以上前にお風呂をいれられた方は今のお風呂を見ると、驚かれる方が多いですね。特にタイル張りの在来工法のお風呂の方は、すごく驚かれます」(浅妻氏)

では、今のお風呂はどのくらい進化したのだろうか?具体的に見ていこう。

最新お風呂の三大ポイント

今回、新宿区にあるTOTOのショールームで実際にバスルームを見学させていただいた。

お風呂には、単体浴槽だけで壁や床をヒノキなど自由にできる在来タイプと、壁と床などセットになったシステムバスルームタイプがある。現状シェア的にはシステムバスルームタイプが9割ほどだという。現在シェアのほとんどを占めるシステムバスルームタイプだが、TOTOでは「サザナ」と「シンラ」という2タイプを展開している。前者が一般的なシリーズで、後者が高級シリーズだ。2つとも一部のタイプを除いて、基本機能が共通でいずれもここ15年で進化した機能。具体的に紹介したい。

まず、「ほっカラリ床」。W断熱構造を採用した床で、冬場のお風呂場に足を入れた時にヒヤっとするのを防ぐ。断熱だけでなく、クッション層が入っていて柔らかい床になっているため、掃除をする場合などで床にヒザをついても痛くない仕様だ。また、このクッションの“柔らかさ”にも同社はこだわっている。

「お風呂場は最近では長時間過ごす場所でもあります。なので、どういった柔らかさなら心地よくなるのだろうかと研究した結果、柔らかすぎても人は不安になるし、硬くても痛みが出る。そして、何が一番心地よく感じるのかということで、“畳”の柔らかさにたどり着きました」(西之原氏)
クッション入りの床は同社のみのオリジナル。この床を採用したユーザーは、お風呂場でマット入らずになったそうだ。床がソフトになっているため、洗面器など何かを床に落としてしまった場合でも音が響かないという特徴ももつ。お年寄りのいる家庭では、お風呂場での万が一の転倒の際も、こうした床だと軽減にもつながると思う。

次に、エアインシャワー。シャワーの中に小さな気泡を取り込み、一粒一粒を大粒化して従来のと浴びた感触そのまま、節水化につながる商品だ。節約シャワーは多く世に出ているが浴び心地が従来と変わらないとのことで、実際にショールームでデモ機があり手で感触を確かめ、節水度合も見てみた。すると、1分間でも大きくシャワーから出た水量は異なりながら、手での感触は従来のと同じだった。
お風呂のリフォームはともかく、既存のシャワーだけエアインシャワーに取り替えることは可能。

最後に魔法びん浴槽。こちらは他のメーカーでも同様の機能はあるが、TOTOが業界初。浴槽の周囲を断熱材でしっかり囲み、4時間後の温度低下を2.5度以内に抑える。(※JIS高断熱浴槽準拠(ブローバスsxII、水中照明付きを除く))

サザナはこの基本機能が一部を除いて揃っている。また、シンラでは基本機能がある上に、壁が陶板でできたセラミックウォールだったり、オプションで頭の上からのオーバーヘッドシャワーなどつけられるという。シンラは光と質感などさらに空間にこだわりたい人向けだ。五感すべてでお風呂場でリラックスできる。

左上:左がカラリ床で、右がほっカラリ床<br>
左中:左が従来のシャワー、右がエアインシャワー<br>
左下:魔法びん浴槽<br>
右:システムバスルーム「サザナ」左上:左がカラリ床で、右がほっカラリ床
左中:左が従来のシャワー、右がエアインシャワー
左下:魔法びん浴槽
右:システムバスルーム「サザナ」

お風呂まわりも進化中

お風呂の機能について紹介したが実はここ5年くらいは機能よりも“空間としていかにくつろぐか”という、空間デザインも注力しているという。空間で大事なお風呂の壁面の流行はあるのか?
「変わらずに好評なのはベージュ系の柄ですね。最近は、木目の柄が注目されています。在来工法の浴室だった方がリフォームする際、温かみのある浴室にしたいということで、暖色系の色をお選びになる傾向がありますね。濃いトーンの色は男性に人気があります。また、特殊なのは実はピンク。ピンク好きな人は絶対ピンク。根強い人気があり、ずっとなくならない色だと思います。」(西之原氏)

機能もデザインも進化する中、気になるのがお風呂のリフォーム。「温かくしたい」「お掃除が負担なので」「タイルがすべる」などの不満があり、リフォームされる方が多いという。しかし、それら以外にも盲点とも呼べる箇所があるようだ。
「カタログを見ていただくと、そういえばこうしたのも欲しかったとお声があがるのが、『排水口まわり』と『ドアまわり』です。こんなに進化していたのかというお声をいただきます。特にドアまわりは、昔のと比べて凹凸がなくカビがつきにくいドアになっており掃除もしやすく、驚かれる方が多いです」

お風呂だけでなく、お風呂まわりも進化しているようだ。

リラックスできるお風呂場づくり

新宿にあるTOTOのショールーム。営業時間10:00~17:00※休館日毎週水曜日(ただし、年末年始のスケジュールはhttp://showroom.toto.jp/showroom.aspx?sr=028参照)新宿にあるTOTOのショールーム。営業時間10:00~17:00※休館日毎週水曜日(ただし、年末年始のスケジュールはhttp://showroom.toto.jp/showroom.aspx?sr=028参照)

ここで気になるのはお風呂の寿命。実際どのくらい持つか訊ねてみた。
「手入れをこまめにして使用頂ければ、それこそ長く使えます。30年以上使用されている方もいらっしゃいます。ただし、その間に機能がどんどん進化したり、一部の機能の調子が悪くなることもあるので、リフォームされた方はもっと早くやれば良かったとおっしゃる方も多いですね」(浅妻氏)

愛情を持って使えば、お風呂はもしかすると住まい並みの長寿かもしれない。では、長持ちさせるコツは何なのだろうか?
「とにかく換気をよくすることです。お風呂を出た後、熱めのシャワーでシャンプーや垢などを落とすようかけて、その後に水のシャワーをかけます。温度を下げることでカビの発生を防ぎます。また気になるところはスポンジで早めにお掃除を。排水口のゴミをとり、最後に窓を開けたり換気扇をまわします。換気扇は3時間以上まわすといいと言われ、時間があれば最後に乾拭きまでするといいですね」(西之原氏)

お風呂は以前は汗や汚れを落とす場所だったが、今では第二のリビングのようにリラックスできる空間として認識される傾向にあるという。ヒートショックが起きかねない寒く辛い場所ではなく、最も住まいの中でリラックスできるお気に入りの場所にしたいものだ。

2014年 12月16日 11時08分