「与える音に対する防音」と「受ける音に対する防音」の違い

音の問題は一度気になり出すと、解決するまでストレスになる可能性大。音を生じさせる場合は、周りへの配慮が不可欠音の問題は一度気になり出すと、解決するまでストレスになる可能性大。音を生じさせる場合は、周りへの配慮が不可欠

人々が暮らしを営む上で、他人の迷惑になるような音は、できるだけ出さないよう工夫したいもの。 しかし、何らかの理由で音を発生させる場合には、それなりの防音対策が必要である。

防音には、「自ら生じさせる音に対策する防音」と「外部からの音の軽減を対策する防音」の2つがある。前者は『気遣いの防音』であるのに対し、後者は『回避の防音』である。

気遣いの防音の代表例としては、楽器の防音室があげられる。プロミュージシャンの道を歩む人にとって、プラクティスの必須空間。一日の多くの時間、音を発生させるため周囲を気遣って本格的な防音室を設けている人もいる。
また、映画を観る、音楽を聴くなどの趣味をワンランクアップして楽しみたい場合、シアタールームやオーディオルームを作るのが賢明だろう。快適さを向上させる空間づくりが周囲への配慮へとつながる。

そして、上記のような特殊事例ではなく、分譲マンションでは「上階から下階に対する生活音による騒音」という日常的に発生している身近な問題がある。分譲マンションでは、リフォームの普及に伴い管理組合がフロア材の遮音等級を指定するようになり、専有部分の床をリフォームする際には遮音フロアの導入が一般的となって久しい。上階から階下への、気遣いの防音対策の代表例である。

気遣いの防音対策 【シアタールームや集合住宅の床の遮音対策】

防音室やシアタールームやオーディオルームを作る場合、周囲に音が漏れ苦情が来るようでは心置きなく映画や音楽を楽しむことが出来ない。遮音性能をきちんと得るためには、床・壁・天井が建物本体と接していないフロート状態の部屋にする必要がある。

例えば東京・秋葉原にあるDAIKENショールームでは、壁、床、天井材のほかに換気ダクトや空気口といった細かな建材をまとめて取り扱っており、遮音性能の高い音響空間を提供している。サッシや床をしっかり防音しても、換気口や空気口からの音漏れをふさぐことは忘れられがち。そういった細かな問題も解決する遮音性能の異なる2つのオーディオルームが用意されており、実際に比較検討体験が可能。
実際の設置は、部屋の広さや天井高によっても金額が変わり、商品代金のほかに組み立て施工費が別途かかるので、専門業者に見積もりを依頼するのがよい。

床の遮音方法には、コンクリートに直貼りする遮音フローリング材のほかに、置床工法という遮音性能を向上させる方法がある。一定基準の遮音性がとられたゴム足の上に、木材の小片を接着剤と混合し熱圧成型した木質ボード(=パーチクルボード)を乗せ、コンクリートとの間に隙間を作り二重床構造にして遮音を満たす方法である。スラブとの間に隙間ができるので、その間に床暖房の温水管や給排水管が通せる。水回りの位置が限定されないため設計の自由度が増す。ここ数年の新築マンションではこの工法がスタンダードとなっている。

置床工法の施工途中の画像。床材とスラブの間に配管を通す。表面仕様をフローリング以外の塩ビタイルや大理石などにもできる置床工法の施工途中の画像。床材とスラブの間に配管を通す。表面仕様をフローリング以外の塩ビタイルや大理石などにもできる

回避の防音【外部からの音問題対策や上階からの騒音対策】

人それぞれ、感じ方はその時々で変化するもの。年齢や状況、体調の変化などにより、外部からの音が思いのほか気になるようになってしまった場合、住み替えるという選択肢はあまりにも大掛かり。そんな時、リフォームで音を緩和できる場合がある。

例えば、外部からの音が気になる場合は「二重サッシ」を導入することで、外部の声や物音、車や電車の騒音などが軽減され、結果、快適さが手に入るケースが多い。重ねて、結露や熱の問題も緩和されるので、かなりの優れもののようだ。
サッシが古い建物で外部からの音が気になる場合は「二重サッシ」の設置を検討してみてはいかがだろうか。

特殊なケースではあるが、こんなリフォームによる音問題解決事例もある。
集合住宅の上階の住人が変わって以降、騒音がとても気になり出したSさん(38歳)。上階の住人がどんな人なのか、引っ越しのあいさつもなく、不明。いきなり訪ねて直接対決などしたら、状況がさらに悪化する恐れがある。悩んだ末に「自宅の天井に遮音性能のある素材を設置するリフォーム」を行った。日々のストレスや住み替えのリスクを考えると、工事を施すほうが容易と判断。費用はかかったものの、上階からの音で深夜目覚めるなどがなくなり、音もかなり緩和されたため、施工してよかったと振り返る。

二重サッシは音のみならず温度や結露の問題をも解決してくれる優れもの(画像提供LIXIL)二重サッシは音のみならず温度や結露の問題をも解決してくれる優れもの(画像提供LIXIL)

手軽にできる音対策

ピアノを弾くたびに窓を閉めているものの、これだけでは配慮が足りないのでは…という心配はつきないものピアノを弾くたびに窓を閉めているものの、これだけでは配慮が足りないのでは…という心配はつきないもの

ピアノを弾くたびに窓を閉めているけれど、それだけでは周囲への配慮が足りないのではないか?そんな心配を抱えている場合は、ピアノ本体に設置するピアノ防音装置がある。

この防音装置のメーカーである「東京防音」によると、アップライトピアノの背面に貼ると、16~22db/Aの減音効果が見込めるという。
隣戸への伝音対策に「壁面吸音材」、階下対策として伝わる音を減衰させる「敷材」などがあり、防音室を作るほどではないけれどある程度ピアノを弾く、という場合にはチェックしてみると良いだろう。

最後に、どの窓も閉じているのに外の音がする場合の対策法。
旧式の閉じない網状の蓋が取り付けられている場合は、外と繋がっているので「音」のみならず「外気」も侵入している状態。古い網状の蓋を現代風にアレンジするだけで、問題が軽減されるというのだ。

方法は「スリーブキャップを新型のものに交換する」だけである。「レジスター」「スリーブ」などで検索すると、市場には様々なスリーブキャップが取り扱われていることがわかる。
埃の侵入が防げる、内部にフィルターがついたプッシュ式の換気口がこのところ人気のようで、花粉対策のフィルターなども出回っている。

ガスストーブを点火する際や長期外出で窓を開けずに換気する場合などはスリーブを開に。それ以外は閉。選ぶなら開閉の選択ができる商品が良いだろう。自宅のスリーブと寸法を適合させる必要はあるが、現在取り付けられているものを外し、内側の筒のパイ数を図って、同じ大きさのものを選べばよい。

"窓が閉まっているのに開いている気がする"、"どこからか音が聞こえる…"という場合には、外壁に面したスリーブキャップをチェックしてみるのが良いようだ。

2016年 08月20日 11時00分