ふるさと納税が設立された経緯とは?

2008年から始まったふるさと納税は、所得税や住民税の一部が控除されるうえ、地方の特産品や食事券、イベントチケットなどがお礼としてもらえる場合もあると、近年ますます人気が高まっている。
しかし、加熱するにしたがって、さまざまな問題点も指摘されるようになってきた。そこで、ふるさと納税の利点と問題点をおさらいしておこう。

ではまず、ふるさと納税がどのような目的で、またどのような経緯で設立されたものなのだろう。ことの起こりは2006年3月の、ふるさと税制案を提示した新聞のコラムである。これをきっかけに、税収の少ない地方の救済に関する議論が活発化したといわれる。
つまり、ふるさと納税は、税収格差の是正をそもそもの目的としたのだ。
また、ふるさと納税が歓迎された背景には、都会で働きながらも、地方に恩返しをしたいと考える人々の存在があった。特にスポーツ選手や芸能人の中で、その地域に住民税を納めるためだけに、別の地域で居住・活動しているにも関わらず住民票を移さなかったり、反対にまったくゆかりのない地域に住民票だけを移そうとしたりする例があった。住民票は郵送でも取り寄せられるが、いちいち郵便で手続きをするのは不便。ふるさと納税の制度を利用すれば、そういった煩雑な手続きは不要になるのだ。
このようにして、2007年にはふるさと納税の創設が表明され、2008年に4月に運用が開始された。

総務省は、ふるさと納税の意義として、
・第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。
・第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。
・第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。
の3点を挙げている。
さらに、納税者自身が寄附先を選択できることで、税に対する意識を高め、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になる。お世話になった地域、あるいは応援したい地域の力になるということは、地方の環境を育む支援にも繋がるという。そして自治体が国民に取り組みをアピールする機会を作ることで、寄附先として選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考えるきっかけにつながることを期待している。

ふるさと納税の概要と手続き

ふるさと納税は、原則として、2,000円を超えた金額が、所得税と住民税から控除される。つまり、10,000円ふるさと納税すれば、住民税と所得税から8,000円が控除されるということ。もちろん限度額はあるが、多額になりすぎさえしなければ問題はないだろう。
しかし、税務上「寄附金」の扱いになるため、控除を受けるためには確定申告が必要だ。ただし、2015年から「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が実施され、確定申告が不要な給与所得者は、納税先自治体が5団体以内であれば、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出すれば、確定申告が不要となった。

ふるさと納税でもらえるお礼

ふるさと納税のお礼は特産品のお肉などもあるふるさと納税のお礼は特産品のお肉などもある

ふるさと納税の魅力は、応援したい地域の力になれることのほかに、なんといってもお礼の品があるだろう。
どのような品物がもらえるのかと検索してみると、その地方特産の肉や野菜、果物などのほか、食事券やイベントチケットなど、魅力的なものがたくさん見つかる。たとえばお正月には特製のおせちや、冬季なら殻付きの牡蠣、名産の米など、通販で購入すれば相当の価格になるものも少なくない。
納税額によってお礼の商品も違ってくる場合が多いが、原則として2,000円を超える全額が控除されるのだから、例えば10,000円のふるさと納税で3000円相当の食事券をもらった場合、8,000円が還付されるわけだから、結果的に1,000円分のプラスになる。
お菓子や麺類などの食品はもちろん、電化製品や雑貨、工芸品など、さまざまなものがあるから、賢く選べば、普通に買い物するよりも得をする。主婦が飛びつくのも当然だろう。

ふるさと納税の問題点とこれから

お食事券は2,000円以上の価値があるものもあるが、本来の意義を見失わないようにしたいお食事券は2,000円以上の価値があるものもあるが、本来の意義を見失わないようにしたい

しかし、ふるさと納税には問題も指摘されている。その最たるものの一つが、「税収格差の是正」という、本来の問題を根本的に解決していないという点だろう。
寄附先ばかりに注目してしまいがちだが、寄附者の居住する自治体の立場になれば、納税額が減るにも関わらず控除業務が増えてしまう。また「応援したい地域に支援する」という本来の意義から逸れ、お礼と節税を目的にふるさと納税をする人も目立ってきた。もともと税収が少ない地域の住人が、お礼と節税を目当てに他地域にふるさと納税をすることも考えられ、格差を広げてしまう結果にもなりかねない。
また税収の少ない地域には地方交付金が支給されており、人口当たりの税収は他地域と大差がないとされている。つまりそもそも格差など存在しないという指摘もあるのだ。

ふるさと納税は、どこに住んでいても、好きな地域を応援できるという意味では、意義のある制度だ。それを活かすかどうかは納税者にかかっている。
少しでも多くの人が、どの地域がどんなことに力を入れているか、何に取り組んでいるかに注目するようになれば、地域はもっと活性化するに違いない。

2016年 02月14日 11時00分