受入額は6年連続過去最高を更新

総務省は、 2019年8月2日に「ふるさと納税に関する現況調査結果」を発表した。
平成27(2015)年度の税制改正により、全額控除されるふるさと納税枠が約2倍に拡充、ワンストップ特例制度が導入されて以降、受入額は年々大きく増加している。平成26(2014)年度は388.5億円だったふるさと納税受入額は、翌年には対前年比約4.2倍の1,652.9億円に大幅に増加。平成28(2016)年度にはさらに約1.7倍の2,844.1億円、平成29(2017)年は3,653.2億円(約1.3倍)と広がりを見せている。最新の調査結果によれば、平成30(2018)年度でいよいよ5,000億円を突破し5,127.1億円、対前年比約1.4倍となった。

ここ数年、自治体のふるさと納税の返礼品競争が激化するなか、ニュースや、総務省から自治体への働きかけや告知を耳にする機会が増えた。ふるさと納税の調査結果を振り返る。

ふるさと納税の受入額および受入件数(全国計)の推移。総務省 2019年8月2日発表の「ふるさと納税に関する現況調査結果」を参照して作成ふるさと納税の受入額および受入件数(全国計)の推移。総務省 2019年8月2日発表の「ふるさと納税に関する現況調査結果」を参照して作成

ふるさと納税の受入額が最も多かったのは大阪府泉佐野市

平成30(2018)年度にふるさと納税の受入額が最も多かった自治体は、大阪府泉佐野市で約497億円だった。次いで、静岡県小山町が約250億円、和歌山県高野町 約196億円、佐賀県みやき町約 168億円、宮崎県都農町 約96億円と続いた。

総務省が2019年6月1日に発表した「ふるさと納税指定制度における令和元年6月1日以降の指定等について」では、ふるさと納税対象団体の見直しが告知された。令和元(2019)年6月1日以降のふるさと納税対象団体の申出書を、東京都を除く計1,787団体が提出。しかし、そのうちの281団体が、「返礼割合3割超」または「地場産品以外」の返礼品を提供し、寄附金を受けたとして、指定対象期間を1年4ヶ月、4ヶ月、もしくは不指定にするとした。前述した受入金額上位の泉佐野市、小山町、高野町、みやき町は結果、「不指定」となった(都農町は指定対象期間4ヶ月)。総務省は、不指定の理由を返礼割合3割超、かつ地場産品以外、さらに「Amazonギフト券」などの金券などを返礼品として追加し50億円以上の額を集めたからとしている。

返礼品競争の過熱を受けて、これまで、総務大臣は良識ある対応を自治体に要請してきたが、一部自治体には改善が見られないとして、今回の法改正に至ったようだ。これを受け、次年度以降の受入額上位の自治体は大きく変わるだろう。

ふるさと納税の受入額および受入件数(受入額の多い20団体)。総務省 2019年8月2日発表の「ふるさと納税に関する現況調査結果」を参照して作成ふるさと納税の受入額および受入件数(受入額の多い20団体)。総務省 2019年8月2日発表の「ふるさと納税に関する現況調査結果」を参照して作成

ふるさと納税による減収が最も多かった市町村は?

総務省発表の調査結果では、受入額の多かった自治体だけでなく、寄附金税額控除が多かった20団体も発表されている。ふるさと納税による減収が最も多かった5自体は下記。

■寄附金税額控除の多かった5自治体
市町村民税控除額と適用者数
神奈川県横浜市 約136億円 19万4,310人
愛知県名古屋市 約80億円 10万7,623人
大阪府大阪市  約74億円  11万6,150人
神奈川県川崎市 約56億円  9万1,507人
東京都世田谷区 約53億円  7万1,499人


上記5つの自治体のうち、神奈川県川崎市と東京都世田谷区は地方交付税の不交付団体だ。減収額の国からの補填がなく、上記金額が減収となる。川崎市は、市HPの2019年11月12日「ふるさと納税による市税の流出が深刻です」というお知らせにおいて、減収額が年々拡大しており、「このままの状態が続くと、市民の皆様に提供する行政サービスに影響が出るおそれがあります」としている。また、世田谷区は区民と行政による、ふるさと納税対策PRプロジェクトとしてHP「ふるセタ」を開設。減収の影響についての告知と、世田谷区へのふるさと納税を呼びかけている。

令和元年度課税における寄附金税額控除(市区町村のうち控除額の多い20団体)。総務省 2019年8月2日発表の「ふるさと納税に関する現況調査結果」を参照して作成令和元年度課税における寄附金税額控除(市区町村のうち控除額の多い20団体)。総務省 2019年8月2日発表の「ふるさと納税に関する現況調査結果」を参照して作成

台風、首里城再建などふるさと納税で支援も

ふるさと納税や市への寄付をもとに再建が検討されている首里城ふるさと納税や市への寄付をもとに再建が検討されている首里城

一方で、台風19号や21号で被災した自治体へ、返礼品のない災害支援型のふるさと納税に多くの寄付が集まった。また、那覇市によるふるさと納税を活用した首里城再建のためのクラウドファンディングでは2019年12月現在6億円を超える寄付が集まっている。

今後のふるさと納税の動向、また自治体がどのようにふるさと納税を活用していくのかについても見守っていきたい。

2019年 12月25日 11時05分