古き良き大阪商人の商店街
大阪市住之江区粉浜(こはま)。“住吉っさん”で親しまれる住吉大社にほど近く、アーケード街に約120店が並ぶ「粉浜商店街」。
その歴史は大阪の商店街で2番目に古く、大正8年(1919年)に粉浜の米屋が店を構えたことからはじまる。3、4代続く老舗も多く、こんぶ、かまぼこ、豆腐などの専門店や、大社あられ、住吉っさんの特上巻(巻き寿司)などが住吉名物として愛されている。
HOME'S PRESSの【大阪府民に聞いた好きな商店街ランキング】では、第13位にランクインするほど親しみのある商店街だ。(2015年4月調べ)
かつて門前町として栄えた粉浜商店街は、1980年頃にシャッターが目立つ時期があったもののかつての賑わいが戻りつつある。そのきっかけは、一過性ではなく、継続できるイベントの創出にあったようだ。
商店街活性化の取り組みについて、粉浜商店街振興組合の理事長 富永高文氏にお話しをうかがってきた。
「初辰さん」と連携する「はったつ市」とは?
住吉大社では、毎月最初の辰の日の「初辰まいり」が、古くから『初辰さん』として親しまれている。ハッタツ=発達に通じることから、商売繁盛・家内安全などのご利益があり、とりわけ4年間(48回)お参りすると、「始終発達(しじゅうはったつ)」し満願成就するといった信仰がある。
「初辰まいりの日は、商店街の通行量がいつもより多い」ということに着目し、平成2年(1990年)から始まったのが粉浜商店街の『はったつ市』だ。これは、参詣客に立ち寄ってもらおうというのが狙いで、住吉大社境内でもチラシを配布し、粉浜商店街の『商店街クイズ』を開催。商店街で買い物をするとスタンプがもらえ、抽選で「お買い物券」が当たるイベントで初辰まいりの日を盛り上げる。
25年続く「はったつ市」の取り組みは、定番イベントとして地域に浸透しつつあり、毎月ふだんの倍以上の人通りで賑わう。
多くの買い物客で賑わう「はったつ市」の様子
がんばる店を応援し、商店街を元気に
「私は6年前に商店街の理事長になりました。まず考えたのが、商店街として情報発信できることは何だろう?ということです。初辰さんとの連携はもちろん、がんばる個店にそれぞれスポットをあて、応援することで、さらなる賑わいを創り出していきたい」と、富永理事長。
商店街の個店は、高齢化が進み細々と営む店から、新しく創業した若き店主まで事情はさまざま。新聞の折り込みチラシも一律で紹介するのではなく、1枠あたりの広告費を提示し、手挙げ方式で掲載店を募っていったという。その結果、見る者の記憶に留まる個性的なラインナップとなった。がんばる店が商店街全体を盛り上げていこうと展開中である。
粉浜を愛する「粉浜サポーター」が誕生!
大阪府が主催する「商店街サポーター養成事業」がきっかけとなり、昨年の秋に『粉浜サポーター』が結成された。
「粉浜に関わりのある人が楽しくコミュニケーションをとりながら、粉浜を盛り上げよう!」「一緒にまちを歩いて、粉浜のいいとこ見つけへん?」という呼びかけに、さまざまな世代のメンバー約30人が在籍している。
この粉浜サポーターの手で生まれたのが、粉浜商店街振興組合が発行するミニコミ誌『こはマガ』である。目的は、商店街や地域の魅力を発掘し、伝え広げていくこと。「粉浜の今と未来をどんどん取り上げていこう!」という方針のもと、富永理事長をはじめとする粉浜サポーターズ「こはマガ」編集部が2号発行に向けて動いている。
粉浜商店街は、はったつ市をはじめ、粉浜サポーターによるミニコミ誌・まち歩きや、路面電車が走るまちの魅力を沿線の飲食店や商店と提携して発信するイベント「大阪ちん電バル」との連携など、さまざまなアプローチで商店街の活性化に取り組んでいる。
次回は、粉浜の奥深い魅力にみせられ、粉浜で創業した若き店主の声をお届けしたい。
取材協力
粉浜商店街振興組合:http://kohama-shoutengai.com/
粉浜サポーター:https://www.facebook.com/supporter.kohama
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