近年明らかに増えている35℃以上の猛暑日

最近誰もが口にすることだが、年々夏の暑さが厳しくなってきている。20年ほど前までは30℃を超えれば暑いと感じていたが、昨今35℃超えは当たり前。40℃近い日も年に数回ある。
実際に過去の東京都の猛暑日(最高気温35℃以上)を数えてみると、2004年から2008年の5年間では26日だったのに対し、2009年から2013年の5年間では36日。10日も増えているのだ。
だからといってエアコンばかりを頼っていたら、エネルギーの無駄使いだし、体にも良くない。エコな遮熱対策には以下のようなものがある。

・省エネスプレー
主成分は特殊シリコーン系化合物、非イオン性界面活性剤、精製水など。夏の暑い日差しに窓ガラスへ吹き付けることで室内への熱の侵入を軽減する。

・遮熱カーテン
遮熱機能を持たせるため、生地の裏面にアルミを蒸着させる、または分子レベルまで細かくしたスチールを吹きつけるなどの加工を施したカーテン。まったく光を遮るわけではないので外の景色が透けて見える。

・すだれ
竹やよしを素材として、窓の外や軒先に垂らして日よけなどに使用。起源は奈良時代とされ夏の風物詩となっている。最近ではロールスクリーンとして使える室内用やアルミ加工などの新素材のものも売られている。

・打ち水
打ち水には涼しさを得るだけでなく、ホコリが舞うのを抑えるという目的もある。涼しさは、水を撒くことで水1gに対し約0.58kcalが奪われる気化熱が発生することで得られる。

一部を除きどれもよく知られた方法だが、効果が体感しにくかったり、部屋が暗くなったりといったデメリットもある。

上記以外では、まだ認知度は低いが遮熱フィルムというものもある。簡単にいってしまえばクルマの窓に貼るスモークフィルムの住宅版だ。クルマの場合は、中を覗かれにくくするという目的が多いだろうが、住宅の場合は遮熱用のニーズも高い。これなら日常生活に支障なく、しっかりと涼しさを得られるのだろうか。遮熱フィルムの施工を行っている、株式会社ダスキンに話を聞いたので、その内容をもとに解説したい。

東京都の約140年間の年ごとの猛暑日(気温35℃以上)推移。近年明らかに猛暑日は増えている(出典:東京管区気象台)東京都の約140年間の年ごとの猛暑日(気温35℃以上)推移。近年明らかに猛暑日は増えている(出典:東京管区気象台)

窓際の温度を最大で約5℃下げる効果

初夏に遮熱フォルムを窓ガラスに貼ることで、窓際の温度が約5℃下がった(資料提供:株式会社スリーエムジャパン)初夏に遮熱フォルムを窓ガラスに貼ることで、窓際の温度が約5℃下がった(資料提供:株式会社スリーエムジャパン)

●遮熱フィルムの遮熱する仕組み
一般的な遮熱フィルムは、主にアルミニウムなどの金属類をコーティングすることで、日射熱を吸収・反射し遮熱するものが多い。
フィルムにコーティングされる金属の割合は、高ければ高いほど遮熱効果が得られるが、一方でガラス面の透明度は失われ、光が室内に入りにくくなる傾向がある。つまり暗い部屋になってしまうのだ。
最近は高い遮熱効果を維持しつつ、見た目の暗さを感じさせない製品も開発されている。なかには独自技術によって、金属をまったく使用せずに遮熱し、見た目にはフィルムを貼っているかほとんど分からない製品もある。

●どれくらいの遮熱効果があるのか
あるフィルムメーカーが、初夏に遮熱フィルムを貼った窓と貼らない窓の周辺温度を測定したところ、最大で約5℃の温度差が生じた。
実際に室温がどのくらい下がるかは、部屋の広さや壁の断熱性能によって違いが出るだろう。しかし、夏の一戸建て住宅に侵入してくる熱の約7割は窓からといわれている。窓際の温度を5℃前後下げることができれば、室温の上昇を抑制し、エアコンの設定温度は高めにできるはずだ。ダスキンの施工担当者に伺ったところ、実際にフィルムを貼った窓際に立つと、肌へ日射が当たるジリジリ感がかなり少なくなるとのことだった。

肌や家具の日焼け、災害時の飛散防止といった効果も

日射に含まれる紫外線は、肌だけではなく、家の中の様々なものを日焼けによって変色させる(写真は新聞)。遮熱フィルムの多くは、その日焼けを防ぐ効果もある(資料提供:スリーエムジャパン)日射に含まれる紫外線は、肌だけではなく、家の中の様々なものを日焼けによって変色させる(写真は新聞)。遮熱フィルムの多くは、その日焼けを防ぐ効果もある(資料提供:スリーエムジャパン)

●遮熱以外の効果
遮熱フィルムを貼ることによる効果は、日射の暑さを防ぐだけではない。フィルムによっては以下のような効果がある。

・肌、家具、畳などへの日焼け防止
遮熱フィルムがカットするのは熱である赤外線だけではない。紫外線も99%前後カットするフィルムもある。これによって肌、家具、畳などへの日焼けを防止する。

・飛散防止
地震や台風などの災害時に、窓ガラスが割れて飛散すると二次災害の危険性が生じる。遮熱フィルムの多くは、たとえガラスが割れても飛散を防ぐ機能も有している。

・目隠し効果
遮熱フィルムを貼ってもガラスの透明度は維持したい、というニーズがある一方で、部屋を覗かれたくないので目隠し効果があるものがいい、という人もいる。一般的に目隠しと聞くとクルマのスモークフィルムのように黒っぽい色を想像するかもしれないが、乳白色のすりガラスのような仕上がりで、部屋の明るさをある程度維持し、インテリアの邪魔にならない製品もある。

上記の効果がどれだけあるかは、製品によって異なる。遮熱フィルムを選ぶ際は、遮熱効果と透明度のバランスと同時に、このような+αの効果がどれだけあるかも確認したい。

長持ちさせるため施工は専門会社に依頼するのが無難

住宅用の遮熱フィルムは、ホームセンターやインターネット通販で手軽に買える。そのため自分で貼ろうとする人も多いだろう。クルマのフィルムを貼った経験がある人なら、なおさら簡単と思うかもしれない。
しかし、素人ならば慎重に検討すべきだ。まずガラス面のサイズが、クルマよりもはるかに大きい。床から天井近くまでの掃き出し窓なら高さ2m以上、幅90cm以上のものもある。このサイズのガラス面に、素人が完璧に貼るのは非常にハードルが高いといえる。
素人の失敗でありがちなのが、ガラス面とフィルムの間に空気が入ってしまうことだ。これは見た目が悪くなるだけでなく、はがれやすくもなってしまう。遮熱フィルムの寿命は10年前後。しかし、施工時に空気が入ってしまうことで大幅に短くなってしまうかもしれない。
やはりここは下地処理としてガラス面のクリーニングをしっかり行い、専用の道具で仕上げる専門会社に任せた方が無難だ。

さらに注意したいのが熱割れだ。遮熱フィルムは室内に熱を侵入させない分、外側のガラス面に熱がこもり割れることがある。どのようなフィルムをどのように貼れば熱割れしにくいか、こちらも専門会社に相談した方がいいだろう。

取材協力:ダスキン
http://www.duskin.jp/service/pro/spot/film.html

専門会社による作業例。遮熱フィルムを貼る作業は、仕上がりの美しさだけでなく長持ちさせるなどのために専門会社へ依頼するのが無難(資料提供:ダスキン)専門会社による作業例。遮熱フィルムを貼る作業は、仕上がりの美しさだけでなく長持ちさせるなどのために専門会社へ依頼するのが無難(資料提供:ダスキン)

2015年 08月04日 11時19分