住みやすさに大きく関わるキッチンの存在

クリナップの新宿ショールームには、最新のシステムキッチンがずらりと並ぶクリナップの新宿ショールームには、最新のシステムキッチンがずらりと並ぶ

家づくりの中で重要なポイントとなる「キッチン」。昔のようにキッチンを隠して隔離するのではなく、リビングと一体とするオープンなつくりが増えているため、キッチンへの要求はなおさら高くなる。

また、台所を預かる主婦にとっては、1日の中でキッチンに立つ時間は多い。それだけに過ごしやすいキッチンかどうかは住みやすい家の判定基準にもなってくる。最近では料理をする男性も増えてきて、キッチンにこだわる人も多いそうだ。

様々なデザインや機能性があるシステムキッチン。現在、どのようなものが人気を集めているのだろうか?

今回はキッチンを中心とした住宅機器メーカーのクリナップのショールームを訪ね、最新のキッチン事情をうかがってきた。

“機能性”+“デザイン性”+“耐久性”の時代

お話をうかがったクリナップ株式会社 新宿ショールーム所長の高橋健人氏お話をうかがったクリナップ株式会社 新宿ショールーム所長の高橋健人氏

大理石やステンレスのシステムキッチンが並び、かわいらしい料理器具やレシピ本などが飾られているクリナップの新宿ショールーム。今回お話をうかがったのがクリナップ株式会社 新宿ショールーム所長の高橋健人氏だ。

まずは、最新システムキッチン事情に入る前に、これまでのシステムキッチンのトレンドをお聞きした。

それによると、日本のシステムキッチンの始まりは、クリナップが1971年にヨーロッパのキッチンを参考に「システムキッチン」を開発・命名したことに始まるという。しかし1973年のテスト販売では、当時の金額で100万円~200万円もする高額商品だったため、“夢のキッチン”として憧れの高額家具として見られることが多かった。そこで同社では1983年に50万円台で購入できる簡易施工型製品を投入。“買えちゃうシステムキッチン”のコピーで一般的に普及する。90年代に入るとデザイン重視となり、木目調の扉が流行したそうだ。

その後90年代の終わりからは、実用性が重視され、オールスライド式の引き出しや足元収納付など収納力に長けたシステムキッチンが主流になる。そして2000年代中頃には、待望の対面式キッチンが登場する。この頃から住宅が高断熱化したことから外の音が気にならなくなり、逆に家の中、つまり家電の静音化が進んだという。システムキッチンも例外でなく、シンクでの水音はもちろんのこと、引き出しの開閉やレンジフード・食洗機など機器類の静かなタイプが登場している。

「さらに、2000年代の後半から現在にかけて改めて注目されているのが、“デザイン性”と“エコ意識(耐久性)”です。インテリアの一部としてキッチンが捉えられるようになると同時に長持ちをさせたいという耐久性にも焦点があってきています。もちろんこれまでに向上してきた機能性も持ち合わせていますので、今のキッチンは“機能性”+“デザイン性”+“耐久性”を兼ね備えていると言っていいでしょう」

ガスコンロやレンジフードまでカラーコーディネートが可能に

クリナップのシステムキッチンはカラーバリエーションも豊富。木目からアースカラー、ビンテージ風の扉まで多種多様なバリエーションが揃うクリナップのシステムキッチンはカラーバリエーションも豊富。木目からアースカラー、ビンテージ風の扉まで多種多様なバリエーションが揃う

確かに、ショールームを見渡してもデザイン性が兼ね備えられているのはすぐに分かる。普及ラインなのか最上級ラインなのか、予算にあわせてキッチンのラインが選べるうえに、どのラインも扉色のカラーバリエーションが豊富で、インテリアとしてこだわれるだけの選択肢が多い。

「色へのこだわりというのは、近年とくに目立ってきていると思います。お部屋全体のコーディネートと合わせたいということで、ガスコンロや換気扇のフードまでカラーを合わせる方がいらっしゃいます。扉のドアにしても単純なカラーではなく、自分でペイントをしたかのようなビンテージ仕上げやマット感のある扉も人気を集めています」

また、システムキッチンで悩ましいのが素材選びだ。トップをステンレスにするか人工大理石にするか。また、キャビネットを木製にするかなども選択肢がある。トップについては一般的に大理石が6割以上、ステンレスは3割程度に留まるというが、クリナップはもともとステンレスの特殊加工に力を入れてきたメーカーだけに、購入の者の半数がステンレスを選んでいるという。特に男性のおひとり様層になると圧倒的にステンレスを選ぶ場合が多いという。耐久性への考慮からも、ステンレス需要が増えているそうだ。一方、人工大理石にはかわいらしいフラワーやリーフ柄の透かしをあしらったデザインもあり、女性には人気だという。

キャビネットに関しては、木製は安価というメリットがある一方で、カビやニオイうつりがするうえリフォーム時にはリサイクルができず廃棄物になるなどデメリットも多い。ステンレス製のキャビネットは耐久性・清掃性もよく、ニオイうつりも少なくリサイクルもできるが一般的には高価となってしまう。ただし、クリナップの場合は手頃な価格帯のステンレスキャビネットもあるそうだ。

これだけ手頃な価格帯でも素材とカラーバリエーションの選択肢がそろっていれば、それこそ室内のイメージにあわせてキッチンをインテリアとして扱えるはずだ。

自動洗浄換気扇にゴミが勝手に集まる画期的なシンク

自然とシンク内のゴミが流れる「流レールシンク」(左)、手動式の昇降棚はかなりの収納が可能だが安定感もある(右上)、「洗エールレンジフード」は男性からのリクエストも多いという(右下)自然とシンク内のゴミが流れる「流レールシンク」(左)、手動式の昇降棚はかなりの収納が可能だが安定感もある(右上)、「洗エールレンジフード」は男性からのリクエストも多いという(右下)

そして忘れてはいけないのが機能面。人気の機能を高橋氏にピックアップしていただいたので紹介していこう。

まずは、最近登場して爆発的な人気を呼んでいるという「流レールシンク」。これは、水を流しているだけでシンクに落ちた野菜くずなどのゴミが、排水口にセットされた網カゴに自然に集まるというもの。通常のシンクは奥にむかって傾斜がついているが、このシンクは逆発想で手前に傾斜がついており、カーブでも水流の勢いが落ちない溝により自然に排水口にゴミが集まる仕組みだ。

「傾斜を手前に持ってくるというのはこれまでの概念を打ち破る画期的な試みでした。水の流れが手前にくると排水管も手前につくのでシンク下の空間が有効活用できなくなります。これを流水力学に沿って、流れにあわせてごく浅い溝(レール)をつくり、排水口を角奥に寄せることで解決。一々手を煩わせることなしにゴミが集まるシンクを実現しました」

実際にショールームで野菜くずをシンクに落としながら洗い物をしてみたが、きっちりとゴミが排水口に流れてくれた。洗い物の途中でゴミを集めるという動作は、たいしたことのないように思えても意外とストレス。これが解消されるというのは魅力的だ。しかもこのシンクはオプションではなく標準機能になるという。ちなみに、クリナップではシャワーの吐水口がこれまでのものより10cmほど高くなる水栓もオプションで選択できる。鍋などの大きめの料理器具を洗うには、水栓が邪魔にならずに快適だった。

次に、よく選ばれているのが「洗エールレンジフード」。換気扇の掃除はとても憂鬱な気分になるが、これはボタン一つで自動洗浄をしてくれるレンジフードだ。給湯トレイにお湯をセットしてボタンを押すだけでフィルターとファンをまるごと自動洗浄してくれる。「グッドデザイン賞」と「省エネ大賞」を受賞していることからも、その実力とデザイン性が広く評価されていることが分かる。通常のレンジフードからこの自動洗浄モデルへのアップグレードは約10万円。「年末の大掃除、夫に換気扇の掃除を頼んで大喧嘩」そんなこともなくなるのならば、10万円は手頃価格なのかもしれない。

もう一つ、最近人気が高いのがアイエリアと呼ばれるシンク上部に設置される「昇降棚」だ。シンクに立った時に目の前にはいろいろと調理器具や調味料があると便利。ただし、インテリア的な観点で言うとあまり露出をさせたくない。そういう要望に応えるのが昇降棚だ。クリナップでは、手動での昇降時の振動を抑える仕組みを確立し、通常は推奨できなかった手動の昇降棚での調味料の収納も可能にしている。他にもボタン一つで自動昇降するタイプもラインナップされている。個人的には機械的に昇降する時間が待ちきれないため、手動タイプの昇降棚に魅力を感じた。

収納には全開レールを選ぶこと

収納の引き出しは、レールが全部引き出せる「全開レール」を選ぶのがオススメだそうだ収納の引き出しは、レールが全部引き出せる「全開レール」を選ぶのがオススメだそうだ

また、“最後にこれだけは”と高橋所長が教えてくれたのが、「収納引き出しの選定法」。ちょっとしたことだが、使い勝手がかなり違ってくるという。

「収納の引き出しの中にはレールが全て引き出せないものがありますが、これはオススメできません。必ずレールが全部引き出せる“全開レール”の収納をお選びになってください。ちょっとしたことですが、レールが全部引き出せるかどうかで“収納力”“取り出しやすさ”“収納物の一覧性”これだけのことが大きく変わってくるからです」

いまやシステムキッチンは、機能性・デザイン性ともに豊富な選択肢が広がる時代。ひとつ一つ吟味をしながら自分らしさを追求できるバリエーションが揃っている。家づくりやリフォーム・リノベーションの際に「キッチンは工務店任せ……」などとは言わず、気軽にこうしたショールームを訪れて、最新のキッチン事情を体感してみてはいかがだろうか。

2015年 07月14日 11時12分