「ハウスメーカー」+「建築設計事務所」=理想の家づくり

埼玉県・越谷市にある「スターディ・スタイル」のヘッドオフィス。インテリアショップを併設し、20組が同時に打ち合わせを行えるスペースと40人以上が働けるワークスペースがある埼玉県・越谷市にある「スターディ・スタイル」のヘッドオフィス。インテリアショップを併設し、20組が同時に打ち合わせを行えるスペースと40人以上が働けるワークスペースがある

家を建てるとなった時にどこに頼むか? 日本の現状では、「ハウスメーカー」、「建築設計事務所」、そして地場の「工務店」の3つが主だ。

しかし、どこをとっても一長一短がある。例えば「ハウスメーカー」は、技術や保証に定評があるが、どうしてもデザインが画一的になりがち。「建築設計事務所」はデザイン性と個別対応力に優れているが、設計費用がネックとなってくる。「工務店」はアットホームな雰囲気だが、それこそ技術・デザイン性ともに千差万別で選びにくい。

こうした「住まい手」のジレンマに応える変わった事業形態の“家づくりのパートナー”がいるという。それが、施工ノウハウや品質保証に長けた「ハウスメーカーの強み」+「設計事務所のデザイン力」を兼ね備えた一級建築士事務所「スターディ・スタイル」だ。

しかも、同社は「狭小住宅」を魅力的につくりあげるのも得意。難を持った土地を購入した人々の最後の「駆け込み寺」にもなっているという。

果たして同社では、どのような家づくりが可能なのか? インテリアショップを併設する風変わりなヘッドオフィスにおじゃまをしてきた。

圧倒的な設計力と徹底したコストカット

スターディ・スタイル CEOの塚本光輝氏。「ポラス」の不動産部門の責任者時代に、7人の仲間と社内ベンチャーとしてスターディ・スタイルを立ち上げたスターディ・スタイル CEOの塚本光輝氏。「ポラス」の不動産部門の責任者時代に、7人の仲間と社内ベンチャーとしてスターディ・スタイルを立ち上げた

「スターディ・スタイル」は、とても不思議な会社だ。他社にない特長として「ハウスメーカー」+「設計事務所」の良いとこ取りと前述したが、実は同社は「ポラスグループ」の社内ベンチャーとして産声をあげている。自社を半ば否定する形となる事業形態をなぜ立ち上げたのか? そのきっかけをスターディ・スタイル CEOの塚本光輝氏は「自分自身が家づくりに失敗したから」と笑う。

2001年、ポラスの不動産仲介部門の責任者を務めていた塚本氏は、子供の小学校入学に合わせ一戸建てを建てることを決意。『渡辺篤史の建もの探訪』が好きで、それこそ取材がくるような家を夢見て、自社はおろか数多くの建築事務所を回ったという。しかし、どの会社もピンとこない。ハウスメーカーはデザインが気に入らなかったし、建築事務所は設計料が高額すぎた。それならばと自分で設計して家を建てたものの納得のいく家には程遠かった。

「世の中には家づくりを頼みたい会社がこんなにもないのか、それならば新しい事業形態を作ればいいのではないか?」そんな思いで夜な夜なプレゼン資料を作り、7人の仲間と会社に掛け合ったのがスターディ・スタイルの始まりだったという。

「ハウスメーカーの一部の人は、建築家の施工ノウハウを軽視しています。一方建築家はハウスメーカーは頭が固いと思っている。家電や車のように“品質品質”と言うけれど、最も大切なライフスタイルを一軒一軒考えられないではないか、と。それならば双方の良いところを融合させればいいじゃないか、というのが僕の考えだったのです」(塚本氏)

通常、ハウスメーカーでは設計担当者に対し営業マンの数が圧倒的に多い。5~8人の営業マンに対し、設計担当者は1人の割合だという。そのため、ハウスメーカーでは基本設計は営業マンが担当し、複雑な設計は難しくなる。スターディ・スタイルでは、こうしたスタッフの割合を逆転させている。同社では、営業マン1人に対し設計が3人いる計算だ。当然、一軒一軒の設計をじっくりと提案できる。だからこそ成約率も高く、建築設計事務所にはないスケールメリットも提供できる。

企業の運営方針として、贅沢な展示場やショールーム、豪華なパンフレットなどを排除することなどから、ハウスメーカー並みのコストメリットを出しながら、オートクチュールのようなデザイン性を提供できるのが魅力だ。

“土地”と“建物”の一体提案

さらに不動産部門を担当していた塚本氏には、既存の事業形態での土地と建物のコストバランスに疑問があった。そのため、ここにもメスを入れている。

そもそも注文住宅の場合は土地がないと話が進まないため、少しでもよい土地を探すあまり予算以上の買い物をし、建物にかける予算が取れずに失敗しているケースが多かった。これは順序がおかしいためだ。そこで、スターディ・スタイルでは、理想のデザインを先に描き、それにふさわしい土地を一体で提案する。

「日当たりの良い南道路の土地、みなさんそれが良い土地だと思ってお金をかけますが、本当にそうでしょうか? 画一的な間取りしか描けないからそうした土地が良く見えるのです。北道路や少し広さがなくとも、設計で工夫をしたら住みやすい家になります。みなさん南道路に家を建てて“掃出し窓”を設けるけど、レースのカーテンやひどくなれば遮光カーテンなんかしているでしょ。道路を通る人の視線が気になるからですよね。これではなんのために高い土地を買うのか分からない」(塚本氏)

技術力を生かし、土地のデメリットを逆手に取ることで理想の家を実現する。ハウスメーカーの技術力に、建築家の設計力、さらにコストダウンへの努力と土地の一体提案、それらを組み合わせることで、理想の家づくりをコストパフォーマンス良く叶えるのがスターディ・スタイルなのだ。

“狭小地”こそ手腕のみせどころ

「SLIT」と名付けられたさいたま市にあるY邸。細長い敷地のデメリットを逆手にとり、片面全面を廊下にとった斬新な設計で住み心地のよい空間を実現「SLIT」と名付けられたさいたま市にあるY邸。細長い敷地のデメリットを逆手にとり、片面全面を廊下にとった斬新な設計で住み心地のよい空間を実現

土地のデメリットを逆手にとれる同社だからこそ、当然狭小住宅も得意とする。施工実績も多くなかなか作品例を絞りきれないのだが、少しその実例を紹介しよう。

例えば、「SLIT」と名付けられたさいたま市にあるY邸は、外観でも分かるとおり驚くほど細長い敷地に建っている。敷地面積は72.21m2、3階建でも延床面積は110.94m2ほどだ。しかし、部屋の中を見ると狭さを感じることはない。例えば2Fはキッチン、ダイニング、リビングと空間を仕切っているのに、明るく一体感がある。その秘密は片面すべてを廊下にとった斬新な設計にある。

家づくりをかなり勉強された施主の方が当初希望していたのは、真ん中に階段を設けて左右に居室を振り分ける「真ん中コア」の住居。しかし、担当したスターディ・スタイルの設計者は、あえて敷地同様の細長い片面が全面廊下の動線を設け、スリット上に居室を配置した。しかも道路側に廊下を置くことで、窓をランダムに設けても外からの視線が気にならない。考え抜かれた提案に施主の方も大満足だったという。

筆者も狭小住宅の実家を建て直し、2世帯で住もうと無謀な家づくりを考えているため、こうした狭小地の活かし方には希望が湧いてくる。

作り手とお客は、何でも言いあえる“友人の関係”

三角地に見事な佇まいの魅力的な住まいに(左上・左下)。ダイニングにシンボルツリーをあしらったM邸(右)三角地に見事な佇まいの魅力的な住まいに(左上・左下)。ダイニングにシンボルツリーをあしらったM邸(右)

もうひとつのおもしろい例は、足立区にある三角形の狭小地の家、Y邸だ。施主の方が「心の琴線に触れるような土地」を求め行き着いたのが、なんと三角形の土地だったそうだ。
敷地面積50.57m2、延床面積66.79m2、3階建ての木造住宅だが、スペックからは想像もできないような狭さを感じさせない空間が広がる。1フロアにきちんとキッチン、ダイニング、リビングが収まり、わざわざダイニングとリビングに段差を設けることでスペースの区分と逆に広がりを感じさせてくれる。

さらに狭小住宅ではないが、おもしろいのがシンボルツリーのある千葉市のM邸だ。ダイニングに床からニョキッと本物のシマトネリコが生えている。施主の方の「ウッドデッキを作って緑を眺める空間が欲しい」という要望にひねりを加え、いっそダイニングをデッキにしてしまっては? という提案から実現した空間だ。これならば、夏の暑さや冬の寒さにも影響されることがない。

M邸での建築ヒアリング時には、理想の住まい像を掴むために住まいやインテリア雑誌を施主の方に渡して好きなデザインに付箋を貼ってもらったという。しかし、実際に戻されたときにはまったく建築とは関係ない雑誌の「空」や「椅子」に付箋が貼られていて、設計担当者がうなったというエピソードも。そういった自由なイメージも丁寧にくみ取ってくれるのも、ヒアリングを大切にしているスターディ・スタイルの魅力だ。

「売り手とお客さんというのは、普通は壁を作ってしまうものです。なあなあになるといけないからと線引きをする。でも僕はそれが嫌でした。なんでも言いあえる友人のような関係になりたかったんです。今はそれが実現している気がします。当社ではサマーパーティを開いていますが、去年はお客さんが700人も集まってくれましたからね」(塚本氏)

2013年には、受注件数1700件を超えたスターディ・スタイル。自分でも気が付かなかった理想の形を具体化してくれる技術力とデザイン力、さらには住まい手を考え抜いてくれる家族のような暖かさのあるパートナー。一生に何度もない家づくりを安心してまかせられる、そう思える数少ないプロ集団だと思う。

2014年 05月10日 08時34分