住空間の永遠のテーマ!? 気に入った家具で快適な暮らしを

家具選びで失敗したくない、というのは誰もが思うもので、住まいづくりにおいて永遠のテーマではないだろうか。小さな雑貨であれば買い替えることができても、家具で失敗してしまうと、大きなものであればあるほど処分するにも手間と費用がかかってしまうのでやっかいだ。

少し前のデータになるが、住宅金融支援機構が2011年11月から2012年4月までに住宅の取得を行った世帯を対象にした「住宅取得に係る消費実態調査(2012年度)」によると、おおむね1年以内に購入した家具や家電、照明器具、自動車など耐久消費財の平均金額は、一戸建て(新築)が155.1万円、建売住宅で95.5万円、新築分譲マンションで86.0万円、中古住宅で45.5万円となっている。品目別の購入世帯比率では、カーテンが最も多く、照明器具、ルームエアコン、じゅうたん・カーペット、テレビ、ふとん、時計、食堂セット、応接セット、ベッド・ソファーベッドと続く。

念願のマイホームを手に入れた時には、それに合わせて家具も新調して思い通りの空間にしたくなるはず。気に入ったものに囲まれての生活は、気分も上がる。そこで今回は前述の調査で品目別購入の上位にも入っていた、ダイニングとリビングの家具の選び方について迫ってみた。今の家具があまり気に入ってなくて買い替えたい…という場合も、ぜひ参考にしてほしい。

家具選びの最初の一歩は? 家を決める前に家具を探す?

インテリアショップ「Vigore」社長の佐藤善宜さん。名古屋市中川区と名東区で2店舗を経営しているインテリアショップ「Vigore」社長の佐藤善宜さん。名古屋市中川区と名東区で2店舗を経営している

今回お話を伺ったのは、名古屋のインテリアショップ「Vigore(ヴィゴーレ)」の社長、佐藤善宜さん。オーダー家具も手がけ、住まい空間の相談を多く受けている。リビング、ダイニングだけでなく全体に共通することでもあるが、家具選びでまず考えなくてはいけないことを教えてもらった。
「家具は漠然と買われる方も多く、見た目や使い勝手も必要ですが、まず動線(人が移動する通路)を意識していただきたい。通路の目安は90cmあるときれいですが、最低でも75~80cmは確保できるようにするのがおすすめ。通るだけなら60cmでもいいのですが、部屋の比率によって家具が大きく見えてしまって、せっかくの家具のよさが引き立たないこともあるんです」。
家具によって住む人の動きが狭められ、邪魔に思えてしまってはもったいない。動線を確保するには、部屋の大きさに合わせて置きたい家具のサイズをしっかりと見極めることが必要だ。

また、これから家を建てる、買うというならば、間取りを決める前にインテリアショップなどで家具を探すのもおすすめ。そうすれば、サイズが合わないからと気に入ったものをあきらめることもないし、好みの空間のイメージもしやすくなり、満足度の高い住空間になるはずだ。
「どんなものを収納するか、部屋の空間バランス、カラーコーディネート、この3つは家具選びにおいて重要なポイントです。しかし、この中だと意外と収納での失敗が多いんですよ。例えば、CDやDVDをテレビボードに収めたくても、その数量によって収まり切らず、家具を加えなければならないとなると空間が狭くなってバランスが崩れてしまいますし、使い勝手も悪くなってしまいます」と佐藤さん。

ひとつひとつの家具を見つつも、部屋のバランスとしてどうか、カラーがちぐはぐでないかと、トータルで考えていくことが必要になる。

ダイニングのイスは家族それぞれの座り心地の好みであえてバラバラにする選択も!

佐藤さんの店「Vigore」のダイニング商品の一例。イスをバラバラにしても、木の素材をテーブルと合わせるようにすれば、イスの座面やデザインが異なっても、コーディネートがちぐはぐに見えない。それぞれに合った座り心地で快適なうえ、おしゃれな空間の演出にも!佐藤さんの店「Vigore」のダイニング商品の一例。イスをバラバラにしても、木の素材をテーブルと合わせるようにすれば、イスの座面やデザインが異なっても、コーディネートがちぐはぐに見えない。それぞれに合った座り心地で快適なうえ、おしゃれな空間の演出にも!

さて、トータルのイメージができあがったら、より具体的な選び方へ。まずは、ダイニング家具について。テーブルは、食事をする際には1人分で幅60cm、奥行き40cmほどのスペースが目安。それを考慮して、4人掛け、6人掛けなど家族構成に合わせて選んでいけばよい。
「テーブルの脚も4本のものと2本のものが主にありますが、四隅に脚がない2本脚のテーブルは出入りがスムーズになるという面があります。動線によって選ばれるとよいでしょう」。イスを出し引きするスペースは、背中側に壁がくる場合は、テーブルの端から壁まで約80cmあるとよく、イスの後ろを動線とするならば、110cm以上あるのが理想だという。

「当店では、イスをバラバラで買われる方も多いんです。ご主人が座り心地がいいもの、奥様、お子様…それぞれ違いますから」。素材は同じものにするなど、コーディネートに気を付ければ、デザインが違っても、ちぐはぐな印象にはならないはず。セット販売されている場合は難しいが、佐藤さんの店のようにオーダー家具が可能であれば、ぜひ取り入れたい選択肢だ。

また、ダイニングでの過ごし方も考慮するといいという。「ダイニングでは食事だけですぐにリビングに移動するのか、それともリビングダイニングとしてくつろぐ時間が多いのか。普段のライフスタイルを考慮すれば、失敗はなくなります」。

リビングは、質のよさ+空間バランスで

家族で楽しく過ごすためのリビングにするために、家具選びはより慎重に!家族で楽しく過ごすためのリビングにするために、家具選びはより慎重に!

リビングの家具というと、現代の家ではソファが主役になることが多いだろう。だが「特にソファは失敗した方が多いんです。当店でもソファにはかなり力を入れています」と佐藤さん。存在感が大きいだけに、失敗した時のショックは大きい。失敗の原因としては、「ソファは収納する家具とは違い、使っているうちにクッションとなる中のウレタンがへたってしまいますし、家具の中でも劣化してしまうものです。なので、質のよさが大事」という。

ソファ選びで失敗しないためには、動線を確保したサイズや好みのデザインを見極めるだけでなく、ウレタンやフレーム、ファブリックなど使われている素材についてもしっかりと家具販売店で聞くことがコツ。座り心地と耐久性が備わってこそ、長く愛し、使えるソファとなるのだ。

ちなみに、佐藤さんの店では1つのソファでも、座面を2つのパターンでオーダーを受けることも可能だという。それぞれの座面で座る人にあった快適な座り心地が実現する。

ソファ以外のリビング家具では、たとえばテレビボードなど、圧迫感に注意したい。ソファに座った目線から高いもの、それがほんの5cm違うだけでも圧迫感が出ることがある。部屋の大きさに合わせたサイズ感が必要で、それはトータルコーディネートの上で重要になってくる。ひとつ気に入ったからといってそれでよしではないのが難しいところだが、失敗しないためにはトータルで部屋の空間バランスを見ることが必要だ。

よりくつろげる空間のためには、ソファとリビングテーブルの間隔は30cm前後、リビングテーブルとテレビボードの間隔は80cm以上がおすすめだという。テレビとソファの高さは、ソファに座った時に目線がテレビ画面中央に対して水平か少し下くらいがいい。

自分たちのライフスタイルを含めてプロに相談するのもコツ

家具というのは、日々の生活に溶けこんでいるもの。それだけに使い勝手が悪いと、失敗した!となってしまう。佐藤さんは「僕らが一番聞きたいことは、ライフスタイルをどう送っているかということです。こういう趣味があって、それをどうしまおうか困っているなど、そこからどんなものが必要となるか見えてくるんです。でも、最初からそこまで言ってくださる方は少ないので、ヒアリングをとても大切にしているんです」と言う。

収納するものがなければテレビボードは小さくてもいいし、ダイニングで過ごすことが多ければリビングにテーブルはいらないという選択もある。「何がいるかということ、どう生活するからどんな形で必要かを知ることですね」。そのあたりは、自分たちだけだと見落としがちなこともあるので、インテリアショップなどを巡りながら、プロに意見を求めるのも失敗しないためには必要ではないだろうか。佐藤さんのショップのホームページには施工例がたくさん掲載されているので、そういったものを参考にするのもいい。

失敗から学んでよいものに出会えるというのもあるが、最初から快適に過ごせる自分たちの生活に合った家具に出会えるにこしたことはない。「家が一生ものであれば、家具も一生もの」と佐藤さんがおっしゃるように、使いやすく、長く愛せるものに出会えるよう、ポイントをつかんでおこう。

【取材協力】Vigore:http://www.vigore-interior.com/

2015年 07月01日 11時06分