疲れた体を包み込んでくれる、リビングの中で最も愛着のわく場所

チェストやテレビボードなどの置き物家具より、使っていくうちに表情が変化するソファは愛着もひとしお。ソファ選びの際は家族構成が変化することも頭に入れておいたほうがいいだろうチェストやテレビボードなどの置き物家具より、使っていくうちに表情が変化するソファは愛着もひとしお。ソファ選びの際は家族構成が変化することも頭に入れておいたほうがいいだろう

夫婦の語らいの場であったり、子どもに絵本を読み聞かせたり、映画やテレビを見てくつろぐ―。ソファとは、リビングの中でも最も人と密着した場所。真剣に選び抜いたものであれば、月日がたつにつれ愛着も深まっていきそうだが、逆に、パッと見や思いつきで買ってしまったソファは捨てるに捨てられず、リビングに居座る無用の長物と化してしまう。
筆者のリビングに置かれたソファがまさにそれ。「まぁ、これでいいか」とだいたいのサイズだけで決めたはいいが、どうも座り心地もいまいちだし、座面の高さや奥行きが足りない。結果、脱いだ服の置き場所となってしまっている。

金額もサイズも大きな買い物となるソファ。こんな残念な結果にならないためにも、次にソファを選ぶときにはかなり慎重にいきたいと思っている次第である。

一人の時間も家族で過ごす時間も優しく受け止めてくれる運命のソファにどうしたら出合えるのか。ここはプロにアドバイスをいただきたく、名古屋市に本社をおくソファ専門店、株式会社NOYES(ノイエス)のショールームにお邪魔してみた。

ショールームに行くなら図面と写真持参がベター

スペシャリストの手にかかれば、部屋にぴったりくるサイズが数分で割り出される。サイズ、色、形などソファを最終決定するまでに、一組につき、少なくとも2、3回はショールームを訪れて相談・打ち合わせをするそうスペシャリストの手にかかれば、部屋にぴったりくるサイズが数分で割り出される。サイズ、色、形などソファを最終決定するまでに、一組につき、少なくとも2、3回はショールームを訪れて相談・打ち合わせをするそう

「お客様にまずお聞きするのは、初めてのソファなのかそれとも買い替えなのか、という点です」と、ショールームでコーディネートアドバイスをしている秘書室室長の岡田彩子さん。
「初めてのソファという方はたいてい、頭の中でイメージを膨らませていらっしゃるので、それに近いアイテムからご提案します。その中で、予算や用途を絞り込んでいくという流れになりますね。予算がギリギリの場合は、同じデザインでもカバーを取り外せないタイプの張り込み仕様をご提案させていただくこともあります」

同社のソファの場合、カバーをすべて取り外せるフルカバーリング、一部取り外しが可能なハーフカバーリング、取り外しができないタイプの張り込み仕様がある。フルカバーリングは汚れたら取り外してクリーニングできるし、カバーだけ別途注文して季節ごとに変えるという気分転換も可能だ。その分、張り込み仕様と比べると1万~2万円ほど値段があがるのだそう。

一方、買い替えの場合だと、一度ソファ選びに失敗した経験があったり、今あるものに近いものを希望する人が多く、ユーザー側にきっちりとした条件があることがほとんど。その条件を満たすものをチョイスし、提案していくのだそう。ちなみに、初めてのソファを購入する人の場合、予算は15万円ほど。買い替えの場合だと15~30万円とステップアップする人が多いのだとか。

実際、どのようにアドバイスしてくれるのか、筆者の自宅を例にとって聞いてみた。あいにく、図面など持ち合わせていなかったのだが「手書きでかまいませんよ」ということで、非常にざっくりと図を描いてみた。テレビ、ピアノ、長方形のテーブルなど、いろいろと詰め込まれたリビングの中で頭の中に入っている寸法といえば、10帖のリビングに「身長180cmの旦那が横になってピッチリくる長さのソファ」だけだったのだが、

「ここは掃き出し窓ですか?」
「中央のテーブルは主にどんなことに使っていらっしゃいますか」
「テーブルとソファの間は座れるだけの空間がありますか」
「テレビは何インチ?床の色は?壁と天井の色は?」

いくつか質問をしながら、図面に寸法を書き込んでいく岡田さん。岡田さんの頭の中には一般的な住宅や家具のサイズがインプットされているという。それを書き込んでいくだけで、ずいぶんと具体的な図面になってくる。岡田さんのようなスペシャリストの手にかかれば、このようにだいたいの寸法は出てくるにしても、ショールームに行くなら前もって図面を用意していくのが一番手っ取り早くて確実だ。部屋の写真を撮っていくと、さらにイメージを伝えやすい。間取り以外にも、サイズを測っておいたほうがいいものが下記だ。

●ダイニングセット
●ダイニングの椅子
●テレビ
●テレビボード
●ラグ
●ピアノなど

これらのサイズを測っていくと、50分の1のパースを使って図面上で再現できるので、より正確にサイズを検討することができる。
また、同社ウェブサイトのソファ詳細ページには「新聞紙サイズ」という表記が設けられている。家で実際にどれくらいの場所をとるのか、新聞紙でソファの専有面積を知ることができるから、これらを活用すればサイズで失敗することは避けられそうだ。

イメージ先行で失敗するパターンは避けたい!

ソファの後ろにダイニングセットがある場合は、通路幅をよく考えよう。ダイニング⇔ソファ⇔リビングテーブル⇔テレビ、それぞれ間隔をしっかりチェックすることが、失敗のないソファ選びのポイントとなりそうだソファの後ろにダイニングセットがある場合は、通路幅をよく考えよう。ダイニング⇔ソファ⇔リビングテーブル⇔テレビ、それぞれ間隔をしっかりチェックすることが、失敗のないソファ選びのポイントとなりそうだ

「それと、大切なのは動線です」と岡田さん。

多くの人は生活動線を考えず、イメージだけで決めてしまって失敗するパターンが多いそう。
人が一人通るのに必要な幅は、およそ70cm。ソファとその周りの通路をどんな風に人が通るのか、例えばLDKだと食事を持った人がソファの後ろなどを通る場合、100cmあったほうが圧迫感なくスムーズに動くことができる。

「生活の動きが制限されてしまうと、ソファが“邪魔なモノ”となってしまい、活用されない残念なパターンになってしまうんですよね」(岡田さん)

また、テレビボードにはたいてい前に開くタイプの扉や引き出しがついているが、引き出したときの最大のサイズだけでなく、そこに人がしゃがむスペースを確保しておかなくてはいけない。ここも約100CMはとっておいたほうが無難なのだそう。ストレスなく動き回れる動線を確保しつつ、くつろぎのスペースを演出するためには、こうした綿密な計算が必要なのだ。

座る、横になる…ソファで何をしたいか。用途を考えよう

「私も、初めて購入したソファで失敗してしまったんです。見た目とだいたいのサイズだけで購入したんですけど。用途を考えていなかったんですね」
と岡田さん。用途とは、つまりソファで何をしたいか。

◎読書や映画鑑賞を楽しみたい→足を投げ出せるカウチソファや首まで支えてくれるハイバック
◎ゴロンと横になりたい→肘掛けが低いタイプの3人掛け
◎子どもと一緒に座って絵本を読んであげたい→奥行きがあって座面に足を上げても余裕のあるタイプ

など、ソファで何をしたいかによってフォルムを絞り込んでいく。わが家のように、ゴロ寝が必須条件となれば2人掛けでは長さが足りないので、三人掛け以上のサイズをチョイスすることになる。
あとは座り心地だ。人間工学的に、座面までの高さと奥行きを足した数値が900ミリ前後がちょうど座り心地がいいと言われているそう。そのため、同社のソファはロータイプなら奥行きを深くとり、座面に高さがあるソファなら奥行きを浅くするようなデザインとなっている。同社のソファは足を好みの高さでセレクトできるので、微妙な調節も可能だ。最近では、「ルンバなどのロボット掃除機が入れる高さに」というオーダーもあるのだそう。

座面や背もたれ部分の硬さも重要なポイント。「硬めがお好きな方はウレタン材、やわらかめがお好きなら羽毛ですね。ウレタンは、しっかりと体を支えてくれるので一般的には疲れにくいと言われています。羽毛はふわぁっとした優しく包み込む感触で耐久性があります」とのこと。
身長や好みによって座面の高さや硬さは違ってくる。ここは、後悔のないよう、何度もショールームに通って試してみたい。

ソファをどんな風に使うのか。生活スタイルや家族構成、部屋の大きさなどあらゆる面から考えて絞り込んでいく。NOYESにはアイテム数×サイズバリエーションは142通りも!思い通りのコーディネートをとことん追求してみたいソファをどんな風に使うのか。生活スタイルや家族構成、部屋の大きさなどあらゆる面から考えて絞り込んでいく。NOYESにはアイテム数×サイズバリエーションは142通りも!思い通りのコーディネートをとことん追求してみたい

リビングの色の分量でファブリックのカラーを決めよう

写真左:「リビングを一つの箱として、それをパカッと広げた絵を想像してみると、お部屋全体の色の分量が見えてきますよね。大き目のラグや、家具の色、テレビボードやピアノなどがある場合は、その色のボリュームも合わせてソファの色を考えます」と岡田さん。写真右:ショールームでは、色別に小さなフローリング材を用意し、展示されているソファに差し込んで色のバランスを見ることができる。ファブリックも一人掛け分の生地を展示ソファにかけて、雰囲気をチェックすることができる写真左:「リビングを一つの箱として、それをパカッと広げた絵を想像してみると、お部屋全体の色の分量が見えてきますよね。大き目のラグや、家具の色、テレビボードやピアノなどがある場合は、その色のボリュームも合わせてソファの色を考えます」と岡田さん。写真右:ショールームでは、色別に小さなフローリング材を用意し、展示されているソファに差し込んで色のバランスを見ることができる。ファブリックも一人掛け分の生地を展示ソファにかけて、雰囲気をチェックすることができる

ほとんどの人が「部屋を広く見せたい」と思っていると思うが、その点、工夫できることはあるのだろうか。
「背の高いソファはどうしてもお部屋に圧迫感を与えてしまいがちですので、ロータイプのソファがお勧めです。 でも、ソファや棚を部屋の隅に固めて視界を遮らないようにしたり、ファブリックを薄めのカラーでお選びになると視覚的に広く感じる事もあります」とのこと。

同社では本革も含めると180種類という膨大な生地素材が揃っている。色選びは楽しくもあるが、これだけ膨大な量になるとちょっと大変だ。ただ、これらはランク分けされているので、予算から絞り込んでいくことが多いそう。ちなみに、今流行りの色を聞いてみると
「少し前まではお部屋とのコントラストを強調した色合いが好まれる傾向にありましたが、最近はリビング全体のカラーに対してワントーン明るくするか落ち着いた色にするかといったグラデーションで色を選ばれる方が多いですね。住宅展示場のモデルルームなどでも、光沢のあるペールホワイトでまとめたリビングにグレーのソファというようなコーディネートも増えているんですよ」とのこと。

また、素材の特長からセレクトしてみるのもアリだ。コットンやリネン素材は使っていくうちに深みがでるし、ポリエステルはウォッシャブルタイプのものが多くメンテナンスに優れている。ペットのひっかき傷に強い素材も出ているので、室内飼いのペットがいたりいたずら好きな小さな子どもがいる家庭にはお勧めだ。
前述したように、フルカバーリングはファブリックを変えることも可能。季節ごとにファブリックを変えて、リビングの“顔”となるソファを彩ってみるのも楽しい。

一年がかりの人もいるというソファ選び。自分の選んだソファがオーダー後、どのようにして作られるのか。次回はNOYESの自社工場にお邪魔して、その一部始終をお伝えしようと思う。


取材協力/ソファ専門店NOYES http://www.ny-k.co.jp/

2014年 10月16日 11時19分