大阪の再生をめざして生まれた、グランドデザイン・大阪

「大阪の再生」について力強く語る、大阪府 住宅まちづくり部 都市空間創造室室長の越智正一氏「大阪の再生」について力強く語る、大阪府 住宅まちづくり部 都市空間創造室室長の越智正一氏

大阪に今【グランドデザイン・大阪】という動きがあるのをご存知だろうか。
東京に継いで2番目の大都市でありながら、最近少々元気がないと感じさせる大阪。少子高齢化、本社の東京一極化なども要因となって、大阪府のGDPの全国シェアはほぼ7%台推移と横ばいながらも、シェア1位の東京は18%台と格差は大きい。そうした経緯も「大阪は元気がない」と感じさせる1つの指標となっている。東京と肩を並べていたかつての大阪あるいはそれ以上の活気を取り戻そうと、民間の力で大阪を再生し世界に向けて発信させようというムーブメント、それが【グランドデザイン・大阪】である。
その構想や具体的な取り組み、今後の展望を伺うべく、大阪府 住宅まちづくり部 都市空間創造室室長の越智正一氏を訪ねた。

府と市が協働し民間の力も借りながら、大阪のポテンシャルを高めていく

経済的な視野に立てば、確かに、大阪の勢いは低速であると言えるかもしれない。しかし、平成25年度実績によると面積は全国2位の狭さながら、人口は約885万人と東京、神奈川に次ぐ第3位。昼間人口に至っては約928万人と、全国第2位を誇る。こうしたデータからは、住まいや投資、観光など、さまざまな角度に立って眺めてみれば、今なお十分に魅力的な街であり、世界とも競合できるポテンシャルを秘めていると言えそうだ。
そんな大阪のポテンシャルを引き出し、新しい価値を付けて、産業を創出していく。そのためには抜本的な改革も厭わないとするのが【グランドデザイン・大阪】の構想だと言える。中でも、大阪らしいポテンシャルを秘めた『新大阪・大阪エリア』『御堂筋・周辺エリア』『中之島・周辺エリア』『夢洲・咲洲エリア』『なんば・天王寺・あべのエリア』『大阪城・周辺エリア』の6つの象徴的なエリアに焦点を当てており、大阪府全域についても、対象とした「グランド・デザイン大阪都市圏」を今後、策定していくとのことである。

越智氏によれば「創造的な人材が大阪に集結し、住み、働き、楽しみたいと思えるような魅力と環境を備えたまちづくりを目指し、大阪の再生を願って府も市も思いを一つに、協働していく考えです。開発事例としては、新たな都市拠点としての期待が高まる新大阪・大阪エリアの『うめきたと周辺のみどり化』。第1期開発に当たるグランフロント大阪の建設はご記憶に新しいでしょうが、残る約16ヘクタールものエリアについても、現在、まちづくりが進められています。どんな街にしたいか…パブリックコメントや公募制で民間の意見を募り、民間から示された提案をもとに『公共施設はどうする?』『みどりの配置は?』といった課題にも前向きに取り組み、円滑な整備へと反映していきます」。

まちづくりというのは一朝一夕になし得るものではない。【グランドデザイン・大阪】についても例外ではなく、実現目標は2050年。現在は、規制緩和にはじまり、仕組みなどのソフト面と、緑や水、街並といったハードとの両面から見直す(グレートリセット)ことで、創造的な人材が大阪に集まる仕掛けを行っている段階だ。

創造的な人材を大阪に呼び込む仕掛け、御堂筋の全面みどり化

いつもは車が主役の御堂筋だが、芝生を敷き詰めた「みどり筋」の主役は人。ユニークなイベントに多くの人が集まったいつもは車が主役の御堂筋だが、芝生を敷き詰めた「みどり筋」の主役は人。ユニークなイベントに多くの人が集まった

【グランドデザイン・大阪】がユニークであるのは、従来の行政主導のやり方ではなく民間の意見を積極的に取り入れている点と、府と市とが一体となって取り組んでいる点だ。“常識”をくつがえすと言ってはオーバーだが、それまでの価値観に捉われない行動の数々に、大阪の再生にかける意気込みを感じさせられる。

そんなユニークな取り組み事例の1つが「御堂筋の全面みどり化」だ。御堂筋と言えば、北は大阪駅前から南は難波駅前までの約4km、幅44mの、大阪を南北に貫く目抜き通りである。通行量の極めて多い街路を「みどり化」するとは思わず耳を疑ったが、もちろん越智氏が夢物語や絵空事を語っているわけではない。

「大阪は『みどりが少ない街』というイメージがあります。【グランドデザイン・大阪】がひと中心のまちづくりを推進していく上で、そうしたイメージはマイナス要素。都心部にこそみどりを増やそうと、まずは『御堂筋の全面みどり化』をめざしています。しかし、『御堂筋の全面みどり化』と聞かされても大方の反応は鈍く、実現はおろか、イメージしていただくことさえ難しいのが実情でした。一人でも多くの府民のみなさんに理解と協力を得るためには、将来像を少しでもリアルに感じていただく必要がある。そこで実際に行われたのが『みんなでkappo!御堂筋フェスタ2013』『御堂筋ジョイふる2014』というイベント。歩行者天国として開放されたこのイベントで、御堂筋の一部の区間に芝生を敷き詰めました。芝生の取組みに当たって公費は一切投入せず、主旨に賛同いただいた民間企業・団体の協力により実現できたことも大変意義深かったと考えています」。

参加者に協力をあおいだアンケート結果を見ても「上々の評判だった」とのことで、イベントとしても大成功だが、これは「歩いて楽しめるまちづくり」を推進していきたい考えを具現化して見せたに過ぎない。常識では考えられないことであっても「元気な大阪」を取り戻すカンフル剤となるのであれば、どんなことにも挑戦するという意思も見て取れる。

「将来的には御堂筋は『みどり筋』と呼ばれているかもしれません。芝生だけでなく、LRTという新型路面電車を走らせるアイデアもあります。『御堂筋のみどり化』だけでなく、水都・大阪としては水質浄化に留まらない『水に親しめるまちづくり』も推進していきたい考えです。課題としては、船着き場の整備など。移動手段の一つとして船を復帰させたいですね」(越智氏)。

アイデアと工夫で大阪のポテンシャルを高め、将来が楽しみなマチへと変える

大阪に住んでいる人の方が案外、自分の街に疎く、長所も短所も見えにくいのかもしれない。今回の【グランドデザイン・大阪】というポジティブな動きについても、大阪内でそうした動きがあることを知る人はまだまだ少なく、さらにその詳細を知る人に至ってはごく一部の人間だけと推測される。

2050年という未来に向かってなすべきことは、府と市が協働して、「御堂筋の全面みどり化」しかり、一つひとつ成果を出していくことだ。大阪の人々にこの【グランドデザイン・大阪】がまだまだ認知されていないのも事実であるから、今後はPR活動にも積極的に取り組む必要がある。

「大阪がこれから少しずつ変わっていくのを感じてほしいですね。一人でも多くの方に、大阪の街の将来が楽しみだと思ってもらえれば」(越智氏)。

ゆっくりと再生に向けて動き出した【グランドデザイン・大阪】、そのユニークな動向に今後も注目していきたいと思う。

2050年。このポスターが示すような人と社会、自然が共存できる「彩り豊かな街」への大阪の再生に期待しよう2050年。このポスターが示すような人と社会、自然が共存できる「彩り豊かな街」への大阪の再生に期待しよう

2015年 03月27日 11時14分