自分らしさを演出した心地よい空間作りはカーテンから

「春夏はグリーンが入ったリーフ柄がおすすめです」。浜田さん(写真左)。名古屋ショールームでは、モデルルームも完備で、部屋全体のイメージを考えるのに役立つ
「春夏はグリーンが入ったリーフ柄がおすすめです」。浜田さん(写真左)。名古屋ショールームでは、モデルルームも完備で、部屋全体のイメージを考えるのに役立つ

最近では、住まいの断熱効果を高める進化した「窓」に注目が集まっているが、その窓辺の印象を大きく左右するのがカーテンではないだろうか。家具などで隠れる部分が多い床や壁に比べると、窓辺にかけられたカーテンというのは、インテリアの中でも人目につく面積が広い。自分らしい住まい作りを目指してオリジナリティーを追及するのなら、カーテンがもっとも手軽で有効な手段かもしれない。

実は筆者もそろそろカーテンを新調しようと考えていたのだが、量販店を回ってみても無難なものばかりでピンとくるものがない。いわゆる“袋もの”とよばれる、縫製済みの生地がパッケージングされた商品ではサイズも合わない。

そうなるとオーダーカーテンとなるわけだが、せっかくオーダーするのなら気に入ったデザインにしたいし、値段のことも心配だ。そこで、名古屋に本社を置く株式会社サンゲツのショールームで、窓辺のコーディネートについて聞いてみた。

カーテンで失敗しないコツは連動性。大胆な柄に挑戦するならプライベートゾーンで

「一枚の生地をそのまま使うだけではなくて、例えば、縦ストライプの生地の上下に同じ生地を横にしてつなぎ合わせて切り替えてみると、だいぶ印象が変わりますよね。フリンジやタッセルなどの小物をあしらって、個性的な演出をすることもできます」と、株式会社サンゲツ名古屋店・ショールーム課課長の浜田真美さん。
生地をつないで切り替えを作るのは、オーダーカーテンならではの楽しみ方。選ぶ柄や素材によって幾通りものデザインが生まれるから、人とかぶることもない。オーダーというと、ちょっと敷居が高い気もするが、自分がデザインしたカーテンで住まいが心地よくなるのなら試す価値は十分にある。

自由自在な分、センスが問われることになるが、失敗しないためのコツとして
「一般的に言われているように、同系色のグラデーションでまとめると、失敗はしないですね。あとは、カーテンに使われている柄の一色をクッションなどの小物にもってきたり、絵を飾るならそこに使われた色を使って、連動性を持たせること」と、浜田さん。「カーテンが光沢のある素材なら、クッションもメタリックな色合いでまとめてみるなど、テイストをそろえると統一感がでますよ」とも話していた。

また、大きな柄や派手な色は、家族みんなが使うリビングなどのパブリックゾーンではなく、寝室や子ども部屋などのプライベートゾーンで冒険してみるといいそうだ。ボリュームやバランスが多少崩れてしまっても、ベッドカバーなどをシンプルにすれば中和できるから、大胆に遊んでみるのもありかもしれない。

西日が入る部屋なら、昇降式のシェードで日差しをコントロールしたり、和室なら布製のたて型ブラインドで雰囲気を出してみたりと、カーテン以外も選択肢に入れてみると、よりコーディネートの幅は広がる。

柄×柄は、難易度が高いように思えるが、テーマを決めてグラデーションと差し色でオリジナリティを。写真のベッドルームのテーマは「イングリッシュフラワー」。無地の壁紙と組み合わせたフラワーパターンの壁紙と、ピンクと白の幾何学パターンのカーテンで優しい空間を作り出している柄×柄は、難易度が高いように思えるが、テーマを決めてグラデーションと差し色でオリジナリティを。写真のベッドルームのテーマは「イングリッシュフラワー」。無地の壁紙と組み合わせたフラワーパターンの壁紙と、ピンクと白の幾何学パターンのカーテンで優しい空間を作り出している

ボリュームゾーンは2万5,000円~3万円。予算内に収まりやすい価格帯別カタログもある

2,900m2のショールームに13,000点の商品を展示。小物なども展示されているのでトータルコーディネートの参考に。左下は価格帯別のカタログ「Wish」2,900m2のショールームに13,000点の商品を展示。小物なども展示されているのでトータルコーディネートの参考に。左下は価格帯別のカタログ「Wish」

さて、気になる値段だが、やはりオーダーなのでそこはピンキリ。ボリュームゾーンはひと窓(200cm×200cm)2万5,000円~3万円だそう。
オーダーは手が出しづらいという人のために、価格帯別でお手頃感のある商品を扱ったカタログもある。仕様によって価格が決まっていて、ひと窓が19,500円、22,800円、26,000円などの価格帯にカテゴライズされているから、予算から決めたい場合には活用できそうだ。

名古屋ショールームにはモデルルームも完備され、壁紙と床材、カーテン、椅子生地が部屋のテイスト別でコーディネートされていた。まずは実際にこういった場所に訪れてみるとイメージがわきやすいだろう。コーディネーターに相談することもできるが、残念ながらショールームでの販売は行っていない。気に入る生地を決め、デザインが浮かんだら、生地サンプルをもらって取扱店に発注することになるという。

プロの技を盗め! アイデア満載のコーディネートアワード

サンゲツでは、同社の製品を使ったアイデア作品を募集する「サンゲツコーディネートアワード2013」を開催。初の試みとなったこのアワード、今回は一般参加者ではなく、設計、デザイナー、ハウスメーカーなど住宅に携わるプロ達がそのアイデアを競い合った。昨年10月から今年の3月にかけて、窓辺のコーディネートをテーマにアイデアを募ったところ、予想を上回る応募があったそうだ。

「カーテンの市場が多チャンネル化してきた今、オーダーカーテンの立ち位置をもう一度再確認しようと開催しました。洋服を着替えるようなファッション感覚で、窓辺のコーディネートを提案していきたい」と、同社社長直轄マーケティング課・広報担当係長の溝部順さん。
プロのアイデアをヒントにすれば、オーダーカーテンの魅力をさらに楽しむことができそうだ。

※受賞作品の発表は2014年5月中頃の予定。

タッセルやフリンジ、ロゼッタなど、カーテンを演出する小物使いから、窓辺全体のコーディネートまで、プロならではのアイデアが集結したアワード。各賞の発表を楽しみに待ちたいタッセルやフリンジ、ロゼッタなど、カーテンを演出する小物使いから、窓辺全体のコーディネートまで、プロならではのアイデアが集結したアワード。各賞の発表を楽しみに待ちたい

窓とカーテンの合わせ技で窓辺の省エネ対策も

窓とカーテンのコラボレーションで、窓辺の性能をアップ窓とカーテンのコラボレーションで、窓辺の性能をアップ

冒頭でも書いたように、「窓」は進化している。では、カーテンはどうだろう。

実は、カーテンの素材自体に目覚ましい進化はないのだそう。
ただ、「遮熱レースなど、熱を通しにくい素材を活用してもらえば、夏場の冷房の効き具合はだいぶ変わってくる」(前出・浜田さん)とのこと。また冬は厚手のカーテンで窓との間に空気層を作ることで、暖房の熱を逃しにくくなる。

(社)日本建材産業協会 省エネルギー建材普及センターによると、冬の暖房時は58%の割合で熱が流出し、夏の冷房時(昼)は73%の割合で熱が流入してくるというデータがある。遮熱レースと高機能窓との組み合わせで、窓辺の性能をあげることができれば、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができそうだ。

新しく家を建てる、またリフォーム、リノベーションの際は、窓だけでなくカーテンとの合わせ技で、省エネ化に取り組んでみてはどうだろうか。

豊かな暮らしを考えるうえでは、ハード面だけでなく、ソフト面の工夫も欠かせない。オーダーカーテンのように、自分のこだわりをつめこんだアイテムに囲まれたら、“おうち時間”は今までよりずっと快適になるはずだ。


◇同社ではお施主様向け「窓辺から考える省エネ」セミナーを開催。
遮熱レース、ミラー調レースなどの機能性レースの紹介や、省エネ効果について体感できる。
詳細は下記URLから
http://www.sangetsu.co.jp/showroom/nagoya/


取材協力:株式会社サンゲツ
http://www.sangetsu.co.jp

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