平成25年度は高額リフォームが増加。既存住宅のリフォーム、どこに依頼する?

子ども部屋を作りたい、収納を作りたい、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らすことになって増築したいなど、住まいの改築・改装を考えたときどこにに頼むか?
新築で建てたのであれば、建築を依頼したハウスメーカーや工務店などに依頼するとして、中古住宅を購入した場合、リフォーム会社を決めるまでにいろいろと頭を悩ませる人も多いのではないだろうか。

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の平成25年度「住宅リフォーム実例調査」によると、戸建てでは「1,000万円超」の高額リフォームが前年度の 22.4%から 31.8%に増加。マンションでも前年度の 10.2%から 19.1%と大幅に増加している。

高額のリフォームともなれば、どの会社に頼むのか大きな決断がいるだろう。
筆者も中古で購入した築22年になるわが家の2階を、子どもの成長に合わせて増改築したいと思っているが、いったいどこに頼めばいいのか悩んでいる。そんななか、工務店やリフォーム会社などを調べているうちに、“かかりつけ大工”というキーワードで、新築元請けやリフォームを行っている会社があることを知り、そのワードに興味をもったので、話を聞いてみることにした。

人にはかかりつけのお医者さん、家にはかかりつけの大工さんが必要

株式会社友建の山田氏。10代から京都で大工の修行をし、阪神・淡路大震災の際、仮設住宅の建設や復興作業に従事した経験から「自分の仕事は命を預かる大事な箱を造っている」という思いで、自らも大工として現場で汗を流す株式会社友建の山田氏。10代から京都で大工の修行をし、阪神・淡路大震災の際、仮設住宅の建設や復興作業に従事した経験から「自分の仕事は命を預かる大事な箱を造っている」という思いで、自らも大工として現場で汗を流す

「昔は集落の家々を大工が作り守っていました。手直しが必要になれば、大工に修繕してもらうのが当たり前の時代でしたが、大工の減少と住宅供給の多様化で、施主が直に大工と接点を持つことが難しい時代になってしまった」と話すのは、“かかりつけ大工”の看板を掲げる、愛知県北名古屋市の株式会社友建・代表取締役 山田昌昭氏。
ハウスメーカー、デベロッパー、工務店…現代の日本には実に多くの住宅供給スタイルがあるが、実際に現場で施工を担当するのは大工。【施主→営業→設計→元請→下請】と、何人もの人や会社が間に入り、住み手と大工との接点が薄れていることに違和感を覚えた山田氏は、施主と大工が顔を突き合わせながら、なんでも相談できる関係性を作りたいと“かかりつけ大工”というキーワードで家づくりをスタート。技術的な説明やアイデアを施主と直接やりとりし、満足度の高いものに仕上がるので、同社で施工をした人のリピート率はほぼ100%。さらに施主らの口コミで“かかりつけ大工”の受け持つ家は増えているという。

「人にかかりつけのお医者さんがいるように、家にはかかりつけの大工さんが必要なんです」と山田氏。
家族構成や子どもの成長によって暮らしは変化する。その都度必要に応じた処置をして暮らしやすい家にしていく“ホームドクター”が大工というわけだ。

材木選びや中古物件選びに同行してくれる、家づくりのパートナー

家づくりの現場で実際に木を組み、家を建てるのは大工。木の手触りや性質を知り尽くしたプロと一緒に素材を選べるのは心強い!家づくりの現場で実際に木を組み、家を建てるのは大工。木の手触りや性質を知り尽くしたプロと一緒に素材を選べるのは心強い!

では、この“かかりつけ大工”、具体的にはどんなことをしてくれるのか。

「戸が開きにくい」「外壁がはがれてきた」など、修繕に関することから、快適に暮らすための家のメンテナンス方法を教えてくれるというのは、普通のリフォーム会社と変わらないが、木材選びにこだわる施主には材木屋まで“かかりつけ大工”が同行して、材料選びにとことん付き合ってくれるというのは、一歩踏み込んだサービスなのではないだろうか。使う場所に適した樹種を選ぶことは、建てた後の暮らしを大きく左右することにもなる。現場で木に触れてその性質を知り尽くしている大工が同行してくれるのであれば、失敗も回避できそうだ。
また、中古物件を購入してリノベーションしようと考えている人にも同伴して、物件を見て回ることもあるのだとか。
物件に潜在的な欠陥があるかないか、リフォームでどこまでやれるのか、金額はいくらくらいかかるのか、素人でもなく不動産の仲介者でもない、家づくりのプロ“かかりつけ大工”が判断してくれるのだ。素人では見過ごしがちな、構造的な欠陥やシロアリ被害、見えない場所の雨漏りなども見極めてくれるとは、それこそ医者でいうレントゲンやMRIといったところだろうか。

さらに、新築やリフォームを請け負った際、施主から要望の多かった「DIY支援」もしているそう。自分たちで壁を塗りたい、ウッドデッキを作りたい、すべり台を作りたいなど、施主自らのDIYに、大工が知恵と道具を貸してくれる。大工と施主がフェイストゥフェイスで家を作り上げることで、信頼関係を築くことができ「家の困りごとは大工さんに」というリピート利用にもつながるようだ。

大工は絶滅危惧種!?

同社のように、若手とそれを教える熟練大工を積極雇用する会社が増えてくれるのを願うばかりだ同社のように、若手とそれを教える熟練大工を積極雇用する会社が増えてくれるのを願うばかりだ

いつでもなんでも相談できる。こんな“かかりつけ大工”が全国に増えてくれたらいいと思うが、先に山田氏が述べたように、残念ながら現在大工人口は減少の一途をたどっている。

総務省の国勢調査によれば1995年に76万1千人いた大工人口は2010年には39万7千人に減少。さらに東京五輪が開催される2020年には21万1千人まで落ち込むと推定されている。昭和の高度成長期に住宅需要の高まりに加え、工場内で資材を前もってカットするプレカット工法の増加で、大工の手仕事は激減。民間の住宅供給会社における価格競争が激化し、収入の安定しない大工を辞めていく職人が増えたという。東日本大震災の復興需要もあり、現在は仕事は増えているものの、離れていった大工はなかなか戻ってこないのが現状のようだ。

「大工は今や絶滅危惧種」と山田氏。大工が技を発揮できる場所は少なく、職人の高齢化も進んでいる。中古住宅を修繕する大工がいなくなれば、既存の家は老朽化という病に倒れ、どんどんと朽ち果てていくだろう。こうした住宅の健康を守る“かかりつけ大工”は、今後もっと求められていく形なのかもしれない。

2015年 03月21日 11時22分