成人の日の元形は奈良時代以前

元服すると髪を一つにくくり、頭の上で一髻(ひとつもとどり)にし、冠や烏帽子をつけた元服すると髪を一つにくくり、頭の上で一髻(ひとつもとどり)にし、冠や烏帽子をつけた

成人となったことを祝う「成人の日」……。1月の第2月曜日があてられるため、2017年は1月9日となっている。
成人の日の歴史は1948年7月20日、国民の祝日に関する法律により、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」との趣旨で制定されたものだ。

案外最近に始まっていると驚かれるかもしれないが、成人の日の元形となったのは、男子の元服や褌祝(ふんどしいわい)、女子の裳着(もぎ)であり、決して新しいものではない。元服が始まったのは奈良時代と考えられ、「元」は頭、「服」は身に付けることを意味する。つまり、頭に冠をかぶり始める日で、「初冠」などとも呼ばれていた。男子は12~16歳になると、髪型と衣装を大人のものに改めた。幼い少年が髪を頭の中央で分け、左右の耳の横でくくっている姿を、幼い聖徳太子の画像などで見たことがある方も多いのではないだろうか。この髪型を「角髪(みずら)」と呼ぶが、大人になると髪を一つにくくり、頭の上で一髻(ひとつもとどり)にし、冠や烏帽子をつけるようになる。元服の儀式は、氏神の社前で行われていたようだ。
元服が公家や武家の儀式であるのに対し、庶民は褌祝を行っていた。褌祝は、男児が初めて褌を締める儀式のこと。陰部を隠す褌をつけることで、性的成熟を意味したとされる。

女子は腰から下にまとう「裳」を着け始めるのが、大人になった徴だった。それを祝う裳着の日には人望のある人物が腰結役をつとめて、裳の腰ひもを結ぶ。そして髪を結い、化粧をし、鉄漿をつけ始めるのだ。男子と違うのは、年齢の目安がなく、配偶者が決まったときなどに行われていたことだろう。

世界の通過儀礼も見てみよう

元服や褌祝、裳着のように、人が次の段階に成長するための儀式を「通過儀礼」「イニシエーション」と呼び、七五三や還暦などもその一種だ。
世界に目を向けると、さまざまな通過儀礼があるので、ここで少し見てみよう。

通過儀礼は宗教を背景とするものが多く、キリスト教では、洗礼が重要な通過儀礼だ。洗礼とはキリスト教に入信する際に行う儀式で、体を水に浸けたり、頭に水や油を注いだりして行われる。生まれたばかりの赤ん坊に行う宗派もあるが、プロテスタントの宗派では、入信は本人の信仰により行うものとして、成人でなければ洗礼が授けられないことが多い。

また、バヌアツにあるペンテコスト島の「ナゴール」も有名だろう。成人を迎える男子が数十メートルもの高いやぐらの上から、蔦の命綱一つで飛び降りる儀式で、バンジージャンプの原型でもある。
また、エチオピアのハマル族の男子は、成人になった証として牛跳びをする。頭を丸坊主にして全身を炭で黒く塗り、横一列に並んだ10数頭の牛の背の上を跳んでいくのだ。
ナゴールにしても、牛跳びにしても危険な儀式であり、度胸試しの意味もありそうだ。

また、国によって成人とみなされる年齢が違う。
日本や中国、タイなどは20歳で成人すると考えられているが、スコットランドを除くイギリス、フランス、ドイツなどの西欧諸国やアメリカの多くの州、ロシア、クロアチア、キューバなどの国が18歳を成年としている。そして21歳を成年とする、インドネシアやエジプトなどの国もあるのだ。また、日本においても皇室典範によれば、天皇陛下や皇太子殿下は18歳が成年とされる。

成人式のはじまり

日本で最初の成人式は、現在の埼玉県蕨市で開催されたようだ日本で最初の成人式は、現在の埼玉県蕨市で開催されたようだ

日本で最初の成人式は、1946年11月22日に現在の埼玉県蕨市で開催されたものとされる。1945年の太平洋戦争敗戦で、日本全体が意気消沈していたため、青年たちを励まそうと始められたものだ。
これに日本国政府が影響を受け、成人の日制定のはこびとなった。1948年制定の祝日法では、成人の日は1月15日と定められていたが、これは元服が小正月にあたる1月15日に行われることが多かったからとされている。旧暦の1月15日は満月にあたるため、年の初めと考えられていたようだ。しかし、2000年のハッピーマンデー制度導入に伴って、成人の日は1月の第2月曜日に変更されており、2017年は1月9日にあたる。

成人式では、自治体ごとに、年度内に成人する若者を招いてイベントを行う。自治体ごとに内容はさまざまで、自治体出身の有名人を招いて講演会をしたり、パーティが開かれたりする。浦安市の成人式は、ディズニーランドで開かれるので、うらやましいと感じる人も少なくないだろう。
成人式は元服や裳着を由来とすることもあり、男子は羽織袴、女子は振袖といった正装をすることが多いが、衣装に決まりがあるわけではない。それぞれが「成人にふさわしい」と感じる衣装で参加するのが本義だろう。むしろ、正装をして、酔っぱらったり騒いだりするよりは、大人らしい普段着で、礼儀正しく祝うのが成人らしいと言えるのではないだろうか。

成人式のお祝いの相場は?

成人のお祝い相場は、自分の子供に渡す場合は1~5万円程度、孫なら1~10万円、甥や姪は1~3万円、知人の子供は5000円~1万円程度が目安のよう成人のお祝い相場は、自分の子供に渡す場合は1~5万円程度、孫なら1~10万円、甥や姪は1~3万円、知人の子供は5000円~1万円程度が目安のよう

近しい間柄に、成人式を迎える青年がいる場合は、お祝いをすることもある。この場合、紅白蝶結びの祝儀袋に、「成人お祝い」「祝御成人」などと書いて、成人式前日までに渡すと良い。遠方などでどうしても間に合わない場合でも、当日には間に合うようにしよう。

相場は地域や間柄によっても違うが、自分の子供に渡す場合は1~5万円程度、孫なら1~10万円、甥や姪は1~3万円、知人の子供は5000円~1万円程度が目安だ。

成人式は新しい習慣なので、伝統的な祝い方や決まりはない。
ご祝儀を渡す習慣がなければ無理にする必要もないが、次世代を担う新成人が生まれたことを喜び、祝う気持ちは持ちたいものだ。

2017年 01月03日 11時00分