新たな住宅指数を「LIFULL HOME’S PRICE INDEX」として発表

不動産情報サイト「LIFULL HOME’S」は4月27日、新たな住宅指数の提供を開始した。グローバルスケールで不動産相場の透明化を目指すものであり、「LIFULL HOME’S PRICE INDEX」として毎月下旬に「前月分」の価格指数レポートを発行する。当初は日本の7都市(実体経済に対応した都市圏)およびアメリカの25都市からスタートするものの、対象エリアは順次拡大していくという。

株式会社LIFULLは2014年度に世界最大級のアグリゲーションサイトである「Trovit(トロビット)」の運営会社を連結子会社化しており、同サイトは2017年5月現在、53の国と地域で事業を展開している。「LIFULL HOME’S PRICE INDEX」は「LIFULL HOME’S」と「Trovit」の物件情報から得られた膨大なビッグデータを活用し、多国間で比較しやすい価格指数を提供するものだ。ちなみに「アグリゲーションサイト」とは、複数のサイト情報を集積し、利用者が1つのサイトで一括して情報閲覧できるサービスを指す。

「LIFULL HOME’S PRICE INDEX」の開発にはどのような背景があったのだろうか。
また、これを活用することによってどのような効果が期待できるのだろうか。

システム開発にあたり理論監修をした⽇本⼤学教授・マサチューセッツ工科大学不動産研究センター研究員の清⽔千弘教授に、開発の背景と今後についてお話を伺った。2回に分けてお伝えしたい。

世界の不動産マーケットから取り残されている日本

日本の不動産市場にはどのような問題があるのか、日本大学の清水教授にお話を伺った日本の不動産市場にはどのような問題があるのか、日本大学の清水教授にお話を伺った

清水教授は今春までシンガポール国立大学不動産研究センターで教授職を務めるなど、世界の不動産事情に詳しい。
そこでまず、日本とその他の主要国で不動産市場にどのような違いがあるのかを聞いてみた。

「日本とアメリカなど諸外国の不動産市場を比べたとき、そのマーケットの厚みが大きく異なります。『家を買う』という行為は物件の『情報を買う』ことでもあり、その情報がたいへん重要であるのにも関わらず、日本では不動産に対する情報量の厚みが足りないのです。

情報をどう見せるのか……つまり情報を簡単に分かりやすく見せることが大切なのですが、その整備が遅れているために、日本の不動産市場は層が薄く、プレイヤーが限定的だといわざるを得ません。

世界の不動産マーケットにはバラエティー豊かなプレイヤーが参加し、広く公開された情報による評価のもとで取引されています。それに対して、日本の不動産マーケットにおける買い手はほとんどが日本人か中国人でしょう。アメリカやヨーロッパ、あるいはアジア諸国の人が日本の不動産に投資をする環境ができていないのです」

グローバルな不動産市場から取り残されているのがいまの日本、ということのようだ。

あらゆる面で「家との向き合い方」が問われている

不動産に対する情報量の厚みが足りないということだが、それによってどのような問題が生じているのだろうか。

「国内の同じ住宅にずっと住み続けることだけを考えれば、その資産価値が将来的にどうなろうとあまり関係ないように感じるかもしれません。そのため、住宅のメンテナンスが適切に実施されないなど、資産性の向上に向けた取組みが十分になされていないのです。

本来であれば住宅を含む不動産の資産性はとても重要です。しかし、投資対象としての『住宅市場』が成熟しておらず、個々の住宅価値を反映する尺度もないのです。

日本では『住文化』が未成熟だともいえます。これは家に住む人の話だけではなく、住宅産業、金融機関、不動産取引慣行、国や自治体の制度、さまざまな専門家、情報基盤など、あらゆる面に当てはまります。いまは、いろいろな立場でそれぞれに『家との向き合い方』が問われているといえるでしょう」

諸外国から「選ばれない」日本の不動産

さらに、日本の不動産が世界のマーケットから選ばれない状況を示す事例があると清水教授は指摘する。

「金融危機や景気後退などグローバルな経済リスクに強い不動産市場を形成していくことも重要です。2008年の米国で起こったいわゆる『リーマン・ショック』によって、ご存じのように日本の不動産価格は大幅に下落しました。しかし、世界を見渡せば逆に不動産価格が大きく上昇した国、地域も少なくありません。不動産における金融市場の退避先として選ばれたところは上昇し、選ばれなかったところは下落したのです。

そのときになぜ日本の不動産が選ばれなかったのか……結局のところ、情報開示が不十分で、国際社会からみたときの投資対象にはなれなかったわけです」

世界から選ばれない日本の不動産。近年は大都市圏で地価上昇が目立ってきているものの、局所的な動きにとどまるケースも少なくない。グローバルマーケットから取り残されていることで、大きな機会損失をしている場面もあるだろう。国内の不動産市場だけに目を向けていては、なかなか見えないものもありそうだ。

日本の不動産市場におけるさまざまな問題点を指摘していただいたが、この状況を変えていくことによりどのような将来が期待できるのだろうか。
次回は、「LIFULL HOME’S PRICE INDEX」の特長などについて、引き続き清水教授のお話を伝えたい。

リーマンショックの際に、価格が下落した日本の不動産市場。</br>ここに清水教授は「日本の不動産市場の不透明さが故の未成熟な部分が見える」というリーマンショックの際に、価格が下落した日本の不動産市場。
ここに清水教授は「日本の不動産市場の不透明さが故の未成熟な部分が見える」という

2017年 06月26日 11時00分