東京都と他の地域の関係性は?

前回は、都市のパートナーとの遭遇確率及び都市での生活費用がその後の都市での婚姻率に影響するのではないか、ということを述べた。
それでは、東京都と他の地域について、前回主張したような関係が観察されるであろうか。

下図では、全国の女性を基準にして、東京都と東京圏(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)の婚姻率格差が記述されている。東京都の女性の婚姻率は50.1%。全国が55.8%であり、6%ポイント程度の格差が存在する。東京都はすべての年齢階層にわたって、全国の婚姻率を大きく下回っている。

しかし、東京圏と全国の格差は、0.6%ポイントとほとんど差がない。
詳細にみると、東京圏周辺(千葉県、埼玉県、神奈川県)の婚姻率が、15~29歳においては全国の水準とほとんど変わらない一方で、30歳以上の婚姻率は、全国の水準を大きく上回るようになっている。このことは、東京都でパートナーを見つけたカップルが、東京圏周辺に転出していることを反映していると考えられる。

女性婚姻率の地域格差</br>
(注)縦軸は全国の女性の婚姻率を基準とした当該地域の婚姻率の格差(%ポイント)、横軸は年齢階級。
</br>(資料)平成22年国勢調査報告(総務省)より作成。
女性婚姻率の地域格差
(注)縦軸は全国の女性の婚姻率を基準とした当該地域の婚姻率の格差(%ポイント)、横軸は年齢階級。
(資料)平成22年国勢調査報告(総務省)より作成。

東京都と他の地域間における世帯移動からの検証

次に国勢調査を用いて、東京都とその他の地域間の世帯の移動を、形態ごとにみてみよう。単独世帯と単独世帯以外の世帯というカテゴリーに分けて、それぞれ東京都とそれ以外の地域との関係で、(東京へ転入した世帯人員数‐それ以外の地域へ転出した世帯人員数)を記述している。

東京都と東京圏の周辺では、単独世帯以外の世帯は10万6,577人の転出超過、単独世帯は3万1,702人の転入超過となっており、多くの単独世帯以外の世帯を送り出している。
一方、周辺県、東京以外大都市圏を除いたその他地域との関係はどうだろうか。単独世帯以外は1万7,274人の転出超過、単独世帯は10万4,259人の転入超過となっている。

東京都と他の地域との世帯形態別純転入超過数</br>(注1)縦軸は東京都からの転入、転出世帯人員数(人)、横軸は圏域。</br>
(資料)平成22年国勢調査報告(総務省)より作成。
東京都と他の地域との世帯形態別純転入超過数
(注1)縦軸は東京都からの転入、転出世帯人員数(人)、横軸は圏域。
(資料)平成22年国勢調査報告(総務省)より作成。

「効率的な結婚市場である東京都」が与える出生率への影響

つまり、効率的な結婚市場である東京都は、その他地域から未婚者を集めてマッチングを行う。
しかし、転職などのコストが高いため、成立したカップルはその他地域に帰ることなく、東京圏周辺で生活を送る、という姿が描写されている。

このこと自体は、東京圏に人口を集めることになっているが、日本全体の出生率には、一般に主張されているよりは、限定的な影響しか与えていないと考えるべきであろう。

「効率的な結婚市場である東京都」が与える出生率への影響

2015年 12月16日 11時06分