人口減は歪(いびつ)に進む

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」(平成25年3月推計)をもとに作成。赤の生産年齢人口(15-64歳)と、青の年少人口(0-14歳)の線は年々減少国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」(平成25年3月推計)をもとに作成。赤の生産年齢人口(15-64歳)と、青の年少人口(0-14歳)の線は年々減少

国立社会保障・人口問題研究所という機関が「日本の地域別将来推計人口」というレポートを出しており、2010〜2040年の人口の年齢階層別等の推計値を調査している(平成25年3月推計)。これによると日本の人口減は既に始まっており、とりわけ年少人口(0〜14歳人口)と生産年齢人口(15〜64歳人口)が減少し、老年人口(65歳以上人口)が大幅に増えるため年齢別人口構成が大きく変化していくことがわかる。

ここまでは新聞やテレビでよく言われていることであり、多くの人が見聞きした内容である。しかし、人口が減るといっても一様に減るのではない。かなりいびつな減り方をしていくことまで知る人は少ないであろう。

二つの面において「いびつな人口減」が進んでいく。一つは「地域による差」もう一つは「年齢による差」である。

人口構成の変化は地域格差有り

東京都の人口は2015年までは増加(約1334万人)してそこから減少する。2010年(約1315万人)から2040年(1230万人)の30年間では85万人強およそ6.5%減ると予想されている。大阪府は既に減少に入っている。2010年(約886万人)から2040年(約745万人)の30年間で約141万およそ16%の人口が失われる。同じ都市部でも人口の変動は異なる。

とはいえ都市部の人口減少はまだ緩やかな方だ。問題は郊外だ。

人口減少が激しいのは東北エリアだ。全都道府県中最も減少割合が大きいのが秋田県。2010年(約108万人)から2040年(約70万人)では人口の3分の1以上約38万人が失われる予想だ。これは秋田市がそっくり無くなる以上の人口減である。その次に人口減少が激しいのが、これまた東北に青森県。同じく2010年(約137万人)から2040年(約93万人)で人口の約3割約44万人がいなくなる。

人口の3分の1が消えてなくなる、というのは俄に想像しにくい事だ。しかし出生率が急激な増加をしたり、大規模な移民の受け入れでも行わない限りは、年齢や人口推計値はそう大きく外す事はない。これが現実なのだ。

人口は減るが高齢者は増える

高齢者はどんどん増えていく高齢者はどんどん増えていく

人口が減ると、社会の活力は失われて行く。物の作り手、物の買い手、それぞれ少なくなるからだ。しかし今後の日本は単純に人口が減るだけではない。経済の担い手となり高齢者を支える生産年齢人口が減り、支えられる側の高齢者はどんどん増えていく。これが「いびつな人口減」の2つ目、「年齢による差」だ。

2010年時点での65歳以上人口割合は全国平均が23.0%(29,484千人)、東京都20.4%(2,679千人)、大阪府22.4%(1,985千人)。最も高い数値が秋田県の29.6%(321千人)。東京と秋田では約10%の差がある。

これが2040年になると65歳以上人口割合は全国平均で36.1%(38,678千人)、東京都33.5%(4,118千人)、大阪府36.0%(2,685千人)。最も高いのがやはり秋田県で43.8%(306千人)。全国で13.1%(9,194千人)も高齢者が増えている。人口は20,781千人も減っているのに、だ。東京や大阪も、全国一高齢化率の高い秋田県の2010年時点での割合をはるかに上回る高齢化率となる。

残る街、廃る街

高齢化で活力が失われていく街高齢化で活力が失われていく街

人口減の地域差と年齢差。地方では人口減そのものが問題となる。全国の自治体のうち385、全自治体の22.9%が4割以上人口が減る。これだけ人口が減れば様々な事に支障がでるであろう。これが都市部になると様子は変わる。都市部も、多くの自治体で人口が減る(∵2040年の総人口が2010年よりも多くなる自治体は80、全自治体の4.8%)が、その減り方は地方に比べて緩やかで、また、減ったといってもそもそもの人口が多い。都市部の場合、人口減よりも高齢化の方が影響が大きいと考えられる。

離島部をのぞく東京都下で2010年から2040年にかけてどれだけ高齢者が増加するか。自治体による差がとても激しい。高齢者の増加率が低いのは荒川区と墨田区で各々6.6%/6.7%の増加。両区の65歳以上人口割合は28.4%/28.1%と都下でも数少ない30%未満の自治体だ。高齢者の増加率が高いのも区部が目立つ。上位から順に練馬区(19.7%増)、中央区(17.5%増)、多摩市(17.3%増)、青梅市(17.1%)、港区(17.1%増)、杉並区(17.0%増)。なかでも青梅市/杉並区/練馬区/多摩市は65歳以上の人口に占める割合がそれぞれ40.3%/39.6%/39.0%/38.2%と約4割が65歳以上となる。前述の「2040年の秋田県」並みの高齢社会が都内でも現れるわけだ。

大阪府下でも状況は同じ、自治体によってはさらに深刻な状況となっている。河内長野市(65歳以上人口割合44.4%、2010年から2040年にかけて19.4%増)、富田林市(41.4%、19.3%増)、枚方市(40.4%、18.7%増)といった郊外ベッドタウンで「高齢化率40%、高齢者増加率20%」の自治体があらわれ、昭和50年代から60年代、にかけてニュータウン開発が行われた能勢町(56.8%、29.5%増)や豊能町(53.8%、26.2%増)では過半数が65歳以上となる。

上記は全て自治体単位での予測値であり、これを町丁目毎に行うとされに深刻な結果となるエリアがたくさんあるはずだ。今回利用した「日本の地域別将来推計人口」は自治体毎の数値しか出ていないが、さらに細かく町丁目毎の人口分布/人口構成は将来予測はないものの過去の数値が国勢調査資料から見ることができる。どの市区町村、どの町丁目が将来人口が減り閑散とするのか、高齢化で活力が失われるのか、「残る街、廃る街」についてはある程度の確からしさで予測することができる。

街の将来をみて候補地を探す。街の将来をみて住宅を選ぶ。

上記の人口減や高齢化の未来として描かれたのは2040年。この原稿を書いている今は2014年。それほど遠い未来ではない。26年後の話しである。これから新築マンションや新築戸建てを手当てする場合、次の売却時期がそのあたりの時期となる事は充分に考えられる。また2040年でなく2030年であっても、人口減や高齢化はいまよりも随分進んでいると予想されている。

そのような事を踏まえて今できる事は何かあるか?例えば、これから住宅を購入する際、出口としての売却や賃貸を考えて以下のような点を確認しておくだけでもマイホームの資産価値を相対的に守ることができる。

1、人口はどの程度減るか?
人が減れば住宅の価値は下がる。できるかぎり人口減の少ないエリアを選びたい。

2、高齢化はどの程度進むか?
高齢者よりも「新婚」「子育て層」の方が住宅に対する取得意欲が高い。できるかぎり高齢化が進みにくく生産年齢人口の多いエリアで選びたい。

3、人口構成に見合った住宅であるか?
とはいえ人口減/高齢化は避けられない。購入予定の住宅は、今後エリアの人口構成に見合った広さ/立地であるかを考えておきたい。
具体的には、高齢者の多いエリアでは「エレベーターの無い物件」や「坂道アプローチの物件」は市場性が低いといえる。

「少子高齢化」は山村部や郊外だけの話ではない。都市部でも確実に進んでいる。ひと手間かける事を惜しまず「少子高齢化の観点」からの街選び/住宅選び、是非とも考えてほしい。

2014年 03月15日 12時17分