東京の一等地では8億円の物件でも即完売

高額マンションが売れている。不動産シンクタンクの株式会社東京カンテイ 上席主任研究員 中山 登志朗氏は、11月に開催されたHOME’S EXPOのパネルディスカッションにおいて現状をこのように語った。

「東京の千代田区といった一等地のマンションが非常に売れています。このエリアの坪単価は約470万円ですから20坪でも1億円近い。私が実際に見た最高は坪900万円でした。90坪ありましたから約8億円です。それでも見に行った翌週には売れていました」

いわゆる億ションが好調に売れている要因は、もちろんアベノミクス効果による景気の上向きがある。しかし、もっとも大きなものは2015年からの相続税増税だろう。

2015年以降大きく引き下げられる相続税の控除額

相続税は2015年1月より
・基礎控除の引き下げ
・相続税率の見直し
・未成年控除および障害者控除の引き上げ
が行われる。

ここで一般的な資産を持つ人にもっとも影響があるのが基礎控除の引き下げだ。
相続財産(亡くなった人が遺した財産)には、ある一定まで相続税が控除される額が決められている。それが下記の額だ。

現在
5000万円+1000万円×相続人の数
例:妻と子ども2人の場合
5000万円+1000万円×3=8000万円

2015年1月以降
3000万円+600万円×相続人の数
例:妻と子ども2人の場合
3000万円+600万円×3=4800万円

上の例では、今まで8000万円の相続財産の場合、税金を納めなくてよかったのに、2015年からは4800万円を控除した3200万円分を納めなくてはならない。税率30%なら960万円だ。これは大きい。

相続税と聞くと、親が亡くなったら納めるもの、と思う人がいるかもしれないが、実は控除額が大きいので納税義務が生じる人はそれほど多くなかった。しかし、2015年以降は一気に増えるだろう。

高額マンションの購入には相続税の節税効果がある

そこで注目されているのが、高額マンションだ。
相続財産は、現金よりも不動産の方がはるかに節税となる。それは相続税の税額を決める相続税評価額が、分譲価格よりも5割前後安くなるからだ。つまり現金で1億円持っていると評価額はそのままの額だが、1億円で不動産を買えば5000万前後と評価されるので、納税額が低くなるわけだ。
「住みもしないマンションを買ってどうする?」と思うかもしれないが、賃貸すれば資産価値を維持したまま家賃収入も得ることができる。

さらに都内の高額物件に多いタワーマンションだと、その節税効果はより高くなる。マンションの評価額は、土地と建物の2つに分けられる。土地の評価額は、その物件全体の評価をしてから、各戸の床面積に応じて分配される。そのためタワーマンションのように戸数に対して狭い土地の物件は、1戸当たりの評価額が低くなるのだ。
タワーマンションにはそのほかにもメリットがある。相続税の評価額は床面積が同じならば1階でも40階でも同じだ。そのため分譲価格が高くなる高層階を購入するほど、節税効果が高くなることになる。

例:同じ80㎡のマンションの場合
・1階で分譲価格8000万円⇒相続税評価額5000万円
・40階で分譲価格1億円⇒相続税評価額5000万円

相続税の納税額は同じなのだ。

マンションは高額、高層物件になるほど相続税の節税効果があるマンションは高額、高層物件になるほど相続税の節税効果がある

タワーマンションは修繕積立金が割高で当たり前

高額マンションは、このように節税効果を望めるが、購入の際は以下のような注意点がある。
1.資産価値が下がりにくい物件を選ぶ
相続税の納税額が低くなっても、売却時にそれ以上安くなってしまったら本末転倒。立地などを研究し、資産価値が下がらない物件を選びたい。

2.評価額の下がり幅が大きい物件を選ぶ
分譲価格と評価額の差額は物件によって違う。当然下がり幅が大きい方が節税効果は高い。

3.修繕積立金が適正である物件を選ぶ
毎月支払う修繕積立金が十分に貯まっていなければ、後々万全な修繕工事を行うことができない。

最近この修繕積立金に対し、「足りないので修繕できない」「数年後に倍額になった」といった問題が生じている。
国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によると、新築マンションの当初設定額は平均7006円/月。1㎡当たり95.4円だ。また、修繕工事の実施時に修繕積立金が足りず、一時金の徴収や金融機関からの借り入れを行った割合は約21%だった。

同省による毎月の積立金の目安は1㎡当たり200円前後だ。しかし、新築マンションの中には割安感を出すために当初の金額をかなり低く設定するケースがある。この金額より明らかに低い場合は、不動産会社に10年後、20年後の積立金総額を確認し、本当に修繕が実現可能なのか見極めたい。もし、積立金不足によって万全な修繕工事が行えない場合は、資産価値の低下につながる。
また、タワーマンションの場合は、足場の組み立てなどの作業が困難なうえに、多くが特殊な工法で建築されているため修繕費用が割高になる。積立金が相場よりも高額になることは覚悟しなければならない。

タワーマンションの修繕は、足場を組むなどの作業が困難というだけでなく、</br>
多くが物件ごとに特殊な工法を採用しているため、割高になるタワーマンションの修繕は、足場を組むなどの作業が困難というだけでなく、
多くが物件ごとに特殊な工法を採用しているため、割高になる

2014年 01月03日 11時35分