アレルギー対策に着目した家「Best-air+」とは

花粉症の本格シーズン。厚生労働省が発表したアレルギー疾患の推計患者数を見ると、平成 26(2014)年の調査時点で、喘息が約110万人以上、アレルギー性鼻炎66万人以上にのぼる。筆者個人も喘息や鼻炎などのアレルギー症状を抱える一人だ。

アレルギー疾患は「アレルゲンとの接点を減らす・取り込まない」ことが対策のひとつとされるが、「家中のハウスダストやカビ・ダニをしっかり掃除しなくては」と思っても自分自身至らないのが現状。そんな中、愛知県豊橋市に本社をもつサーラ住宅株式会社が、空気の質にこだわり、アレルギーに配慮する住まい『Best-air+(ベステア・プラス)』を2020年1月に発表したと聞き、取材に訪れた。

「サーラ住宅は外断熱の家を得意としています。断熱材で建物をすっぽりと包み込むことでカビ・ダニの原因の一つとなる壁体内結露を抑えられるため、アレルギーを持つお客様から好評の声がありました。この培った技術を付加価値にしたいと開発したのが『Best-air+』です」(サーラ住宅株式会社営業部 三村佳史さん)

同商品は、商品開発グループの分科会メンバー7名が中心となり、外部の専門家やお客様の声も集め1年以上かけて開発したという。ネーミングの通り“空気の質”を高めてアレルギー対策に繋げるために、どんな技術が盛り込まれているのか。プロトタイプの「豊田大林展示場」を見学しながらお話を伺った。 

『Best-air+』のプロトタイプを体感できる「豊田大林展示場」。お泊まりハウスとして、1泊2日宿泊して住み心地を確かめることもできる。置いてあるノートには、宿泊者の声がメリット・デメリット含めてぎっしり『Best-air+』のプロトタイプを体感できる「豊田大林展示場」。お泊まりハウスとして、1泊2日宿泊して住み心地を確かめることもできる。置いてあるノートには、宿泊者の声がメリット・デメリット含めてぎっしり

「皮膚感作」に注目。家中の湿度を40~60%に保つ

アレルギーの発症や重症化する科学的知見として、サーラ住宅が注目したのは「皮膚感作」と「アレルギーマーチ」という2つのメカニズムだ。まず「皮膚感作」とは?

「①湿疹や乾燥などによって皮膚バリア機能が低下する、②皮膚から入ってきた異物に対してアレルギー反応が獲得される、②次にアレルゲンに触れた際に花粉症・気管支喘息などのさまざまなアレルギー症状が現れる。これが『皮膚感作』のメカニズムで、アレルギーに悩む方の中でだいぶ知られるようになってきました。この皮膚感作をなるべく抑えるために、室内の過乾燥をいかに防ぐかを考えました」(三村さん)

そこで『Best-air+』で採用したのが、ダイキン工業が開発した「全館調湿換気システム」。冬は加湿、夏は除湿しながら全館の湿度を40~60%に保ってくれる設備で、空気中の水分をコントロールするので給水の手間が不要。展示場の各部屋に置いてある温湿度計を見ると、からりとした冬晴れの取材当日でも43%を保っていて、美容や風邪対策にも役立ちそうだ。とくに夏場は「じめじめしない、空気がさっぱりした感じ」と驚かれるという。

同システムは熱源ではないため、夏や冬はエアコンも併用する。ただし適度な湿度にすると冬の肌寒さや夏の蒸し暑さを感じにくくなることから、「補助的にエアコンを使えば快適に過ごしていただけます」と三村さん。また外断熱工法で空調効率が高まることもあり、光熱費をそれほど心配する必要はないそうだ。

上/パントリーに設置された「全館調湿換気システム」を案内してくれたサーラ住宅の三村佳史さん。 下/間取りもひと工夫。入浴後10分以内の保湿ケアがベストということから、脱衣所の外に小上がり畳の「保湿ケアスペース」を設けた。子どもの着替えや家事にも便利(豊田大林展示場)上/パントリーに設置された「全館調湿換気システム」を案内してくれたサーラ住宅の三村佳史さん。 下/間取りもひと工夫。入浴後10分以内の保湿ケアがベストということから、脱衣所の外に小上がり畳の「保湿ケアスペース」を設けた。子どもの着替えや家事にも便利(豊田大林展示場)

「アレルギーマーチ」には長期的な対策で

もうひとつのメカニズム「アレルギーマーチ」とは、成長とともにアレルギーの原因と症状が変化していく様子のこと。例えば乳児期は食物アレルギー、学童期は気管支喘息、思春期は花粉症…などと症状が変わっていく傾向があるという。

「アレルギーがいつどのように変化するのかは分からないので、部分的ではなく全体的にアレルゲン対策できる家を目指しました」と三村さん。『Best-air+』では、カビ・ダニ・花粉・ハウスダストという室内の主要4アレルゲンと、建材などに含まれるVOC(ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物)に対して、総合的に対策を施した。

まず「花粉対策」として、玄関にはLIXILの「抗アレルゲン剤タイル」とパナソニックの「天井埋め込み型ナノイー発生機」を採用し、花粉の働きを抑える。また「高性能エアフィルター」を備えた24時間換気システムで、室内はクリーンな空気を保つことができる。

「カビ・ダニ対策」としては、サーラ住宅の強みを生かした「外断熱工法」やトリプルガラスを使った「高性能ハイブリッド窓」により、カビやダニの原因となる壁体内結露を防いでいる。

近年耳にする「VOC対策」も多彩。構造材は抗菌性の高い「国産ひのき材」を使い、白アリ対策には薬剤を使わずに網目で侵入を防ぐ「ターミメッシュシステム」を採用。床はLEDなどの弱い光でも不快物質を分解・除去できるikutaの「可視光型光触媒フローリング」を、天井にはホルムアルデヒドの吸着・分解作用がある「せっこうボード」を用いた。

上に挙げたのは対策の一部であるが、各メーカーの先進技術と日本伝統の技術が結集していることがよく分かる。
「ハウスダスト対策は第一種換気システムや床暖房などを提案していますが、まだまだ開発の余地があると思います。今後さまざまな情報を集めて、ブラッシュアップしていきたいですね」

左/玄関タイルは、花粉の働きを抑える抗アレルゲン剤がコーティングされている。右上/和室にはカビを抑える和紙の畳おもてを使うなど建材にも配慮した。右下/玄関にクロークと手洗いを設ければ、花粉などを持ち込まないですむ(豊田大林展示場)左/玄関タイルは、花粉の働きを抑える抗アレルゲン剤がコーティングされている。右上/和室にはカビを抑える和紙の畳おもてを使うなど建材にも配慮した。右下/玄関にクロークと手洗いを設ければ、花粉などを持ち込まないですむ(豊田大林展示場)

「アレルギー対策の家といえばサーラ」というのが目標

自然素材を使った健康住宅や空調を徹底した住宅はこれまでもあったが、全般的に“アレルギーに配慮”した住宅は少ない。開発当初は「サーラ住宅の構造とアレルギー対策は親和性があるものの、アレルギーが治るとは言えないので難しさがある」と考えたという。
そのため、外部の科学的な知見を取り入れるべく、NPO法人アレルギー支援ネットワークの賛助会員となって大学教授からアドバイスを仰いだり、イベントに参加して、患者やそのご家族のリアルな声に耳を傾けたという。

またソフト面でもサポートできるよう、民間資格「環境アレルギーアドバイザー」を営業スタッフが取得。
「アレルギーに悩む方々は知識が豊富なため、私たちも勉強が必要です。今後は設計・建設部門のスタッフも取得を目指していきます。またママ向けのイベントに出展して、住まいにおけるアレルギー対策の大切さを啓蒙していきたいですね」と三村さんは話す。

「サーラといえば外断熱、ですが、アレルギー対策といえばサーラ、にしていきたいですね」と三村さん。口に入れるもの、直接ふれるものだけでなく、見えない空気でもアレルギー対策を。「せめて家では心地いい空気に包まれて寛ぎたい」という気持ちに寄り添う新しい家づくりに注目していきたい。


取材協力:
サーラ住宅株式会社 Best-air+ ベステア・プラス
https://sala-house.co.jp/chuumon/products/bestair-plus/

サーラ住宅株式会社 LIFULL HOME'S掲載ページ
https://www.homes.co.jp/kodate/shinchiku/realtor/mid-1700612hXvL2sXvIiZQ/

「シェア家事」できる間取りも見どころ。1階で料理、2階で洗濯と家事動線が分かれていて、家族で同時に家事をこなせる。お泊まりハウスでは洗濯体験も可能で、室内物干し、ナノイー効果のある部屋干しファン、ガス衣類乾燥機という3つの設備を比較できる(豊田大林展示場)

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2020年 03月09日 11時05分