事前にどのような被害に遭う可能性があるのか知っておくことが重要
平成30年(2018年)7月豪雨では、1道2府28県で2,512ヶ所で土砂災害が発生した(国土交通省調べ)。人口の51%が洪水氾濫域に居住しているとするデータもあり(国土交通省「災害の記録 水害対策を考える」より)、危険な箇所は多く存在する平成30年(2018年)7月豪雨、令和元年(2019年)東日本台風、令和2年(2020年)7月豪雨、令和3年(2021年)8月 集中豪雨――。近年の日本は、毎年のように大雨による災害に見舞われている。大雨は洪水などさまざまな災害を引き起こし、それらは私たちの財産だけでなく、かけがえのない命をも奪う可能性がある。それゆえ、事前に自分がどのような被害に遭う可能性があるのか知っておくことが重要だ。例えば自宅の裏が斜面になっていれば土砂災害に備えるべきだし、川の水面より低い位置に家があれば浸水に備えておいたほうがいいだろう。このような備えに役立つのが気象庁の提供する情報「キキクル」だ。
災害の危険度が高まっている状況を10分おきに予測
大雨がきっかけとなる主な災害には、大きく土砂災害、浸水害、洪水災害の3つがある。気象庁では、雨の降り方だけでなく、土壌への浸み込み方、地表面でのたまり方などから、これらの災害が発生するメカニズムを指数化している。また、過去20年以上の災害データから「このエリアの雨量指数が一定の数値を超えると洪水災害が発生する可能性が高まる」といった基準を設けている。
キキクルは、この指数と基準を利用して土砂災害、浸水害、洪水災害の危険度が高まっている状況を10分おきに予測し、地図上で1kmメッシュ・5段階(色)で表示するものだ。これを確認することで、自分が避難するべきかどうかを一目で把握することができる。
5段階の警戒レベルとは
キキクルを使う前に、気象庁や各市区町村から発表される警戒レベルについて知っておいたほうがいいだろう。これは災害の状況に応じて求められる行動を以下のように示したものだ。
警戒レベル1「早期注意情報」
気象庁より出される。カラーコードは白。気象庁から警戒レベル1「早期注意情報」が発表されたら、気象庁のホームページで最新の情報を確認するなど災害への心構えを高める。
警戒レベル2「大雨・洪水・高潮注意報」
気象庁より出される。カラーコードは黄色。ハザードマップなどで災害の危険性のある区域や避難場所、避難経路、避難のタイミングなどを再確認する。
警戒レベル3「高齢者等避難」
各市区町村より出される。カラーコードは赤。避難に時間がかかる高齢者や障がい者などを危険な場所から避難させる。避難情報の発令状況は各自治体やNHKのホームページなどで確認できる。
警戒レベル4「避難指示」
各市区町村より出される。カラーコードは紫。対象地域の人は全員速やかに危険な場所から避難する。
警戒レベル5「緊急安全確保」
各市区町村より出される。カラーコードは黒。すでに災害が発生している、または発生直前であったり、確認できていないもののどこかで発生していてもおかしくない状況で、命の危険がある。そのため、ただちに安全な場所で命を守る行動をする。
キキクルのカラーコードも、この警戒レベルに合わせて白・黄色・赤・紫・黒で表示される(2022年6月より)。また警戒レベル5は、市区町村が災害状況を確実に把握できるものではないので、必ず発令されるものではない。しかしながら、市区町村はキキクルを確認することで、警戒レベル5のエリアを把握しやすくなり、発令の手助けとなる。
キキクルの使い方
それではキキクルの使い方を解説しよう。まず日頃の備えとして、自宅の周辺等の気になるエリアにおいて、どのような災害が発生する可能性があるのかをハザードマップ等で確認しておきたい。
テレビやラジオなどでそのエリア周辺の注意報や警報が発表されたり、大雨による災害が発生するおそれのあるときは、気象庁のホームページからキキクルを開く。すると、「雨雲の動き」「浸水キキクル(危険度分布)」「土砂キキクル(危険度分布)」「洪水キキクル(危険度分布)」それぞれの地図上で、5色に色分けされた危険度の分布を見ることができる。任意の市区町村等を登録しておけば、次回以降も自動的に登録した場所が表示されるので、活用したい。
また、各市町村は危険度の高まりをメールで通知するサービスも実施している。そして防災アプリや気象情報のアプリを提供する民間事業者も、登録した地域が速やかな避難を必要とされる警戒レベル4になるとスマートフォンへ通知するサービスを気象庁の協力の下で実施している。これらを利用すれば、警報等を見逃すことが少なくなるはずだ。
民間サービスの登録方法に関してはこちらを確認してほしい。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/ame_push.html
キャンプ地などでもぜひ利用したい
キキクルに表示される地図は、前述のように災害の危険度によって5色に色分けされている。この色のレベルに沿って早めの避難行動を検討したい。なお、繰り返しとなるが、警戒レベル5は、市区町村が災害状況を確実に把握できるものではないので、警戒レベル4までに避難を開始することが重要だ。
大雨が引き起こす災害は、地形などによって異なる。崖や渓流のそばなら土石流が起きるかもしれないし、平野部の河川のそばなら洪水が起きるかもしれない。したがって、自宅周辺だけでなく、旅行先などでもハザードマップで災害の危険性を把握し、訪れる日が大雨の予報なら現地でキキクルを確認したい。特に最近はキャンプなどのアウトドアもはやっている。アウトドアで川沿いや山中などへ行く人は事前に調べておいたほうがいいだろう。
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