住宅ローン選びの基準は金利?

住宅ローン選びで重要なポイントである金利。諸費用についても含めて検討したい住宅ローン選びで重要なポイントである金利。諸費用についても含めて検討したい

あなたは、何を優先して住宅ローンを選んでいるだろうか。「金利の低さ」と答える人が多いだろう。確かにそう。金利の低さは重要だ。

それでは、第2問。「あなたが選んだ住宅ローンの金利は、業界最安の金利だろうか」。すべての住宅ローンの金利を調べていたのだろうか。「〇〇ランキング」などを見て納得したのではなかろうか。

長期固定金利「フラット35」を取り扱っている金融機関は2021年12月現在321ある。それらが、固定、変動、期間固定(3年、5年、10年)と独自の5種類の住宅ローンを提供していると仮定すれば、それだけで約1,600の住宅ローン商品が存在することとなる。ちなみに、国交省の「令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査」に回答した住宅ローン取扱金融機関は1,132。「フラット35」の取扱金融機関の3倍強。あなたが申し込みできるすべての住宅ローンの中から、最低金利の住宅ローンを選ぶのは至難の業だと言える。「選べたらラッキー」くらいでちょうどよい。

住宅ローン選びで重要なポイントである金利。諸費用についても含めて検討したいさまざまな金融機関が住宅ローンを提供しており、最低金利の住宅ローンを選ぶのは難しい

それでも、金利の低さにこだわるならば、時間と労力をかけて自分で調べるか、お金をかけてプロに調べてもらうかという選択になる。提携ローンのなかから選んだり、住宅ローンランキングを見て選んだりといった手段では、最低金利の住宅ローンは選びきれないのだ。

ところで、あなたが金利を低くしようとする目的は何だろう。「そんなこと簡単。総支払額を減らしたいから。だから低金利にこだわるのさ」と答えが返ってきそうだ。

金利の低さにこだわって住宅ローンを選んで契約した。けれど、保証料や融資手数料等が高く、これなら中級程度の金利の住宅ローンを選んだ方が、よほど総支払額が少なかったとしたらどうだろう。

保証料も融資手数料も公開されている。契約時には比較検討できるのだ。あなたが総支払額にこだわるならば、住宅ローンにかかる諸費用を調べて比較検討し、もっとも支払総額が少なくなるものを選べばよい。だが、選べない。そう、住宅ローンは選びにくくなっている。

住宅ローンはトータルコストも考慮

長い付き合いになる住宅ローン。トータルコストもしっかり把握したい長い付き合いになる住宅ローン。トータルコストもしっかり把握したい

金融機関が提供する住宅ローンを見ていて、「おっ金利が低い!」と思うと、「融資手数料が高い」。そして、「手数料が激安だ!」と思うと「金利が高い」ということがよくある。住宅ローンは、利用者にとって非常に選びにくくなっている。

手数料等の名称も、適用条件も、金融機関のホームページだって見せ方は多種多様。とにかく選びにくい。比較するのはさらにハイレベルだ。けれど時間がかかるものだと思って取り組めば大丈夫。

住宅ローン選びのポイントは、金利とコスト。住宅ローンを利用すると毎月支払う利息のほかに下記の諸費用が発生する。

■住宅ローンに係る諸費用(例)

①融資手数料(事務手数料)

:融資を受ける金融機関に支払う手数料や保証会社に支払う事務手数料

②住宅ローン保証料

:金融機関を通じで保証会社に支払う保証料

③団体信用生命保険料

:住宅ローン契約者が死亡または高度障害となった場合に、その時点の債務残高の弁済に充てられる保険の保険料

④火災保険料・地震保険料

⑤印紙税

⑥登記費用


上記のうち①融資手数料、②住宅ローン保証料、そして③団体信用生命保険(団信)料は、住宅ローンの選択により総支払額が異なってくる。

「融資手数料」の支払方法は、主に2つ。一つは、借入金額の多少にかかわらず申し込み1件につき○○円という「定額型」。もう一つは、「借入金額×○%」と借入額の多少に影響する「定率型」だ。借入時に支払う。

「住宅ローン保証料」は、借入時に一括して前払いする「前払い方式」、金利に一定率を上乗せして支払う「金利上乗せ方式」、そして「支払い無し」というパターンがある。

「団信料」は、オプションメニューを選ぶと保険料の支払いが発生するプランが多い。住宅ローンは、事務手数料や保証料等の費用が金利と組み合わさって、選択肢が複雑になる。では、具体例で見てみよう。

複雑さが増す住宅ローン選び

次の4つの住宅ローンのうち、どのプランがもっともお得だと思われるだろうか。融資条件は、借入額4,000万円、返済期間35年、元利均等返済、変動金利で完済まで金利が変わらなかった場合を想定する。

(A)金利:0.375%、事務手数料:借入額×2.2%(88万0円)+3万3,000円、ローン保証料:無し
(B)金利:0.525%、事務手数料:3万3,000円、ローン保証料:82万4,440円(一括前払い)
(C)金利:0.650%、事務手数料:5万5,000円、ローン保証料:無し
(D)金利:0.725%、事務手数料:3万3,000円、ローン保証料:金利上乗せ(+0.2%)

利用者によって「お得」の基準は変わる。上記の4プランを試算すると、総支払額の多寡は見事に金利水準に連動する。もっとも総額が少なくなるのが(A)プランだ。現在、変動金利型の住宅ローンのコストは「事務手数料=融資額×2.2%」という定率型が多い。定率型同士を比べる場合は、金利を見れば比較は簡単だ。

面倒なのは、固定金利期間選択型。住宅ローンの適用金利は、基準金利から一部金利が割り引かれるケースがほとんどだが、基準金利も割引幅もさまざま。さらに、当初期間の金利を大幅に割り引き、固定期間終了後の割引幅を少なくするタイプと全期間の割引幅が同じタイプとがある。借入額が多ければ多いほど、金利の影響は絶大。固定期間終了後の割引幅で総支払額が影響を受けることも覚えておこう。

ちなみに、上記の(A)(B)(D)はみずほ銀行。(C)は新生銀行の2021年12月の住宅ローンだ。12月の変動金利の低さでは、auじぶん銀行の0.289%(事務手数料=融資額×2.2%)が群を抜く。その適用要件は住宅ローンとau回線とじぶんでんきの同時契約。けっして間口が広いとは言えない。なお同行は現在、金利引き下げを強化しており12月の変動金利は0.389%となっている。

総支払額を比較しよう

住宅ローン選びにおける自分にとってのお得度を考えてみよう。下記は、先の4プランの毎月返済額と初期費用だ。

(A)毎月返済額:10万1,639円、初期費用:91万3,000円
(B)毎月返済額:10万4,276円、初期費用:85万7,740円
(C)毎月返済額:10万6,507円、初期費用:5万5,000円
(D)毎月返済額:10万7,860円、初期費用:3万3,000円

■初期費用

毎月返済額は単純に金利の差が反映されるが、初期コストの一括前払いの金額はインパクトがあるように思うが、どうだろう。資金計画の相談では、「頭金はゼロに。とにかく初期コストを抑えたい」というニーズも根強い。上記のプランどおり、初期費用を抑えると総支払額が増える。だが、手元資金を使いたくないというニーズに(C)や(D)は適っている。ちなみに、設定条件の場合、(A)と(D)の総支払額の差は173万円だ。

■早期完済

売却や繰上返済等で住宅ローンの早期完済が見込めるならば、金利の影響を抑えられる。ローン保証料を前払いする(B)プランでは、保証料の一部払い戻しも期待できる。ライフプランや返済計画を考慮しつつ、長期視点でお得度を判定する必要がある。

住宅ローンは、諸費用以外にも、借入額、金利タイプ、返済期間、返済方法など、決めるべきことが盛りだくさん。さらに、団体信用生命保険のオプションが加わると、何から始めてよいかわからなくなる。トータルコストと自分にとってのお得度を意識して選択することが大切だ。

トータルコストと自分にとってのお得度を意識したいトータルコストと自分にとってのお得度を意識したい

「APR(年換算利回り)」という指標

「APR(Annual Percentage Rate)」とは、費目の名称も金額も異なる諸費用が発生する多種多様の住宅ローンを比較するための指標だ。住宅ローンの借入利息だけでなく、借り入れの際に必要な諸費用(融資手数料、保証料、団体信用生命保険料等)を考慮して算出する。

APRは諸費用を考慮した指標のため、住宅ローンを総合的に比較し選択する際に参考になる。金利の低い住宅ローンベスト10と、APRのベスト10では、顔触れが異なってくるのも興味深い。

APRを試算できるシミュレーションサイトを紹介しておこう。住宅金融支援機構の【フラット35】のサイトだ。サイト内の「ローンシミュレーション」では、新規借入れのほか、借換えや繰上返済、返済条件変更も試算可能でとても便利。

APRは、「返済プランシミュレーション」で比較したい住宅ローンの情報を入力し、「APRを表示する」ボタンを押すだけ。自動計算される。総支払額にこだわる場合は、APRというモノサシも有効だ。

■「返済プランシミュレーション」

【フラット35】>ローンシミュレーション>返済プランシミュレーション
https://www.flat35.com/index.html

■入力必須の主な項目

・借入期間

・金利タイプ (固定、期間固定、変動、など)

・借入金利

・借入金額、そのうちボーナス返済分

・返済方法(元利均等、元金均等)

【諸費用】

・融資手数料(不要、定額、定率、その他)

・保証料(不要、前払い、金利上乗せ、その他)

・団体信用生命保険料(不要、年払い、金利上乗せ、前払い、その他)

※なお、諸費用は、「試算に含まない」を選択できる。

4プランのAPRを計算してみた(団信は考慮せず)。4プランの金利差が縮まったのがわかる。

(A)適用金利:0.375% APR:0.510%
(B)適用金利:0.525% APR:0.652%
(C)適用金利:0.650% APR:0.658%
(D)適用金利:0.725% APR:0.729%

APR(Annual Percentage Rate)は借り入れの際に必要な諸費用(融資手数料、保証料、団体信用生命保険料等)が考慮して算出されるAPR(Annual Percentage Rate)は借り入れの際に必要な諸費用(融資手数料、保証料、団体信用生命保険料等)が考慮して算出される

APRに反映されない注意点

APRに反映されない事柄を把握しておこうAPRに反映されない事柄を把握しておこう

住宅ローンにかかる諸費用を考慮したAPRは、比較検討のモノサシとして有効だ。加えて、APRに反映されない事柄を数点みておこう。

先に述べたauじぶん銀行の適用金利0.289%の住宅ローンのAPRは0.418%。ダントツだ。そして、利用するには同行が提示する条件をクリアするため、電話回線と電気の現状契約を変更する必要がある。住宅ローンの金利は下がったが、家計支出が増え、使い勝手が悪くなったとなっては本末転倒。金利は下がり、通信費も安くなり、使いやすくなって大満足、としたい。住宅ローン以外のコストも含めたトータルコストで検討しよう。

次に、住宅ローンの審査基準だ。「都銀で金利が低いみずほ銀行にしよう」と申し込んだら、審査に落ちてしまったとする。住宅ローンによる資金調達が叶わなければ住宅購入は断念せざるを得ないという事情もある。ならば、審査に通ることが最優先事項だ。自分のスコアを意識し、金融機関とのマッチングを目指そう。セカンドベスト、サードベストの準備が肝心だ。

3つ目は、タイミング。金融機関によって、申込み時期によって、手続きや審査に要する時間が異なる。物件の引き渡し時期によっては、融資承認や融資実行を悠長に待っていられないということもあるだろう。そのようなとき、提携ローンであれば、売り手が窓口になるため比較的スムーズ。販売側も進行を把握できるため安心する。が、トータルコストの低い住宅ローンを選べるかについては疑問も残る。何を優先すると幸せか、考えてみれば答えが出る。自分で住宅ローンを選んで手続きをする際は、進行管理を徹底しよう。

頼りにする相手を間違えない

あなたは、住宅ローン選びにあたって、金利の動向やそのほかの細々としたことを、不動産会社の担当者へ相談をしていないだろうか。また、A銀行の住宅ローンについて、B銀行に質問したり評価を求めたりしていないだろうか。

不動産のことは不動産会社へ。住宅ローンの詳細は当該金融機関へ。住宅ローン選びについてはモーゲージプランナーという専門家や住宅ローンに詳しいファイナンシャル・プランナーも頼りになる。事柄と相手をマッチングしよう。餅は餅屋ということだ。

そして、利用者も住宅ローンの目利きとなり、自分に最適な住宅ローンと返済プランを選ぼう。

必要に応じて相談し、自分に合った住宅ローンを選びたい必要に応じて相談し、自分に合った住宅ローンを選びたい