官民連携で都市の良好な緑地・オープンスペースを整備

移り変わる季節を感じながら、家の近くで心安らぐ休日を過ごしたい。子どもたちが安心して遊びまわれる公園が近くに欲しい。こんな願いをかなえてくれる良好な住環境をつくり守っていくためにも、誰もが利用できる緑の公園やオープンスペースは、大切な都市基盤のひとつだ。言うまでもなく、これらの緑地やオープンスペースは、さまざまな効果を都市にもたらせてくれる。

まずは、住環境の維持と改善効果があるといえる。四季の移ろいを感じながら生活できる住宅地として良好な景観を提供するためには、欠かせない社会資本である。緑の効果は、夏の都市のヒートアイランド現象の解消にも役立つ。

そして、これらの緑地やオープンスペースは都市防災の面でも役割は大きい。
災害発生時の避難場所としてはもちろん、火災などの建物災害の被害拡大を防ぐスペースとしても緑地の防災機能は、ますます重要視されてきている。

では、公共の緑のスペースや公園は、誰が整備し管理維持しているのかといえば、今までは地方公共団体をはじめ、行政が用地を取得整備し管理・維持をしていた。しかし、地方公共団体が単独で都市公園を整備していくには財政上の問題など多くの課題がある。一方、都市部では使われなくなった民間所有の空き地やオープンスペースが増えてきている。
そこで2017年に改正された「都市緑地法」で、行政だけでなく民間を主体とした企業やNPO法人が設置管理する緑のスペースを市民緑地として認定。市町村が管理運営する公園と同等に空間を整備していく、という取組みが始まった。

市民緑地化制度の一例。愛知県名古屋市 ノリタケの森市民緑地化制度の一例。愛知県名古屋市 ノリタケの森

市民緑地認定制度とは

市民緑地制度による都市緑地化をさらに進めるために、平成29年に施行されたのが市民緑地認定制度。
さて、この制度で大きく変わったのが、その管理運営主体を民間企業を含む住民団体やNPO法人とし、その団体が管理運営計画を作成、市町村の認定を受けて、一定期間当該緑地を設置・管理するということだ。

民間の開発によって、生まれた空き地や利用しなくなった土地などが市民緑地として生まれ、市町村が整備する都市の緑地の補完として生まれる制度ができた。
緑地を利用し、日々利用する生活者にとっては、緑地が規模の大小を問わず身近に生まれることで、さまざまなメリットが生まれる。また、土地所有者にとっても、未利用の土地の活用が図れるばかりか、設置管理する企業が緑地保全・緑化推進法人(みどり法人)の認定を受けることで、緑地やオープンスペースと商業施設などとの一体開発により集客効果も期待できる。
つまり、公園は公共のもので市町村が管理運営するものといっただけでなく、一歩進んだ民間活用で生まれる都市緑地が認定市民緑地ということだ。

設置管理主体として見込まれているのが、NPO法人、住民団体、企業等となっているが、特に市町村長が指定する緑地保全・緑化推進法人(みどり法人)が設置管理主体となった場合、税制上の優遇や植栽、ベンチ等の設備整備に対する補助などの優遇措置もある。

また、自治体が所有する公有地を認定市民緑地として前出の企業等が設置運営する場合もある。
この場合、民間の開発に合わせて公園的空間を一体で整備でき、自治体の財政負担なしに民間資金を利用して公園的空間を整備できる制度となっている。

市民緑地認定制度のしくみ市民緑地認定制度のしくみ

市民緑地契約制度とは

市民緑地認定制度による緑の公園スペースの設置管理の主体が、民間主体となっているのに対して、市民緑地契約制度は緑地保全・緑化推進法人(みどり法人)を含む地方公共団体が設置管理の主体となる制度となる。

この制度の利用者は、土地所有者の申出に基づき、地方公共団体、あるいはみどり法人が契約を締結し、設置運営を行う。
土地所有者は、地方公共団体に無償で貸し付ける場合、固定資産税が非課税になるなどの税制上のメリットも得られる。

市民緑地認定制度と市民緑地契約制度市民緑地認定制度と市民緑地契約制度

官民連携で、都市緑化のストック効果向上へ

国は社会資本を整備する基本姿勢として、「ストック効果最大化」へ大きく方向転換している。
新しい事業を創出し、拡大による経済効果(フロー)を目指すより、すでにある社会資本を機能させることにより、中長期にわたって持続的なメリットを目指すということである。

行政は時代の要請に応えながら生活関連基盤等の社会資本の整備を推し進めてきたが、今やその役割をすべて単独では担うには課題が多い。官が単独で行うよりも、民を活用して、社会資本のストック効果を最大限に発揮する「官民連携」で生活や社会経済を支えていくことが必要となってきている。

都市部では魅力的な緑地空間が持つ集客効果が広く民間企業等に浸透し、にぎわいの拠点となる広場空間や良好な緑のオープンスペースの創出が進んでいる。
そういったストックを活かした官民連携によって、
1. 公園や緑地スペースの設置管理には、自治体などの行政が持つノウハウを活かすことで質的水準を維持
2. 周囲の緑と連携した適正配置で、都市空間の緑のネットワーク形成を図る
3. 民間が活用することによって、財政的な負担をすべて自治体が負わなくてもよくなる

これからの社会資本整備の方向に沿った「市民緑地認定制度」と「市民緑地契約制度」。
私たち生活者が望む良好な都市環境・住環境へ向けて民間と行政が一体となった、緑のネットワーク整備に期待は大きい。

市民緑地認定制度の一例。東京都千代田区 一号館広場市民緑地認定制度の一例。東京都千代田区 一号館広場

2020年 04月17日 11時05分