「まちづくり」「タウンマネジメント」の新たな時代のハードとコミュニティとは?

雨の中のお披露目となったが多くの記者が訪れた。写真右から、積水化学工業株式会社住宅カンパニープレジデント 神吉利幸氏、積水化学工業株式会社代表取締役社長 髙下貞二氏、埼玉県朝霞市 市長 富岡勝則氏、積水化学工業株式会社代表取締役 加藤敬太氏、東京セキスイハイム株式会社代表取締役社長 岡田雅一氏雨の中のお披露目となったが多くの記者が訪れた。写真右から、積水化学工業株式会社住宅カンパニープレジデント 神吉利幸氏、積水化学工業株式会社代表取締役社長 髙下貞二氏、埼玉県朝霞市 市長 富岡勝則氏、積水化学工業株式会社代表取締役 加藤敬太氏、東京セキスイハイム株式会社代表取締役社長 岡田雅一氏

少子高齢化・人口減、都市部への集中、地方創生とさまざまな課題と対策が急がれる中、「まちづくり」「タウンマネジメント」という言葉が多く聞かれるようになった。
「タウン」といえば、郊外の街のイメージが残る。高度経済成長期に鉄道などのインフラを中心に郊外に計画的に造られたものが多かった。都市中心部に働きに出かけ、夜には家族の待つ家に帰るという衛星都市もしくはベッドタウンとよばれるニュータウンが都市の周りには多く存在する。

しかし、現在ではまちの機能は、拡がり続ける分散化ではなく、コンパクトに集約する形に変化しつつある。また、街区を整え、戸建てやマンションを建てるハード設計だけでなく、その後の住民のコミュニティや暮らしをも設計されたまちづくりが望まれるようになった。

一方、環境や社会に目を向ければSDGs目標による国際基準による持続可能な社会づくりや、近年頻発する自然災害への対応、暮らしへのテクノロジーの採用などさまざまなアプローチが求められている。家族が幸せに暮らせるとともに、地域とつながり、持続的で、災害に強く、環境に配慮したまちづくりが今後は必須になると思われる。

そんな中、埼玉県朝霞市の協力を得て積水化学工業グループが複合大規模タウンを公開。2019年10月に開かれた「あさかリードタウン」のお披露目に参加してきた。

1953年に朝霞市に開設された積水化学工業 東京工場の跡地活用

「あさかリードタウン」は、1953年に積水化学工業が埼玉県朝霞市に関東初に開設したプラスチック工場跡地の再開発によって生まれた。工場の稼動時は、朝霞市周辺の地域雇用の創出などに貢献。2015年に工場が閉鎖され、総開発面積約7万3,400m2にもおよぶ跡地再開発プロジェクトがスタートした。

オープニングイベントの挨拶で、積水化学工業株式会社 代表取締役社長 髙下 貞二氏は
「昭和23年から、朝霞市とともにわれわれの工場はありました。62年の工場としての歴史には幕を閉じました。お世話になった朝霞市と地域の方々へ、我々ESG経営の根幹にあるSDGsにも貢献できるよう化学の力との融合も図り、この地に魅力あるまちづくりをすることで恩返しをしたい」と語った。

朝霞市 市長 富岡 勝則氏は、
「60年以上にわたって朝霞市に貢献してきた積水化学工業の工場。その跡地が新しい街に生まれ変わるというのは朝霞市の『自然・環境に恵まれたまち』『子育てがしやすいまち』『安心・安全なまち』『つながりがある元気なまち』という4つのコンセプトにあうもので、歓迎したい」と祝辞を述べた。

プロジェクトの全体としては、131区画の戸建住宅街区、総戸数212戸の分譲マンション、賃貸住宅、高齢者施設、商業施設、保育園、公園等で構成される。

あさかリードタウン。住・商業・保育施設の複合大規模タウンとなる(※積水化学工業資料より)あさかリードタウン。住・商業・保育施設の複合大規模タウンとなる(※積水化学工業資料より)

無電柱化及び災害リスクに備えるタウン設計

オープニングイベントの後は、詳しい「あさかリードタウン」の説明、先にオープンした戸建分譲街区「スマートハイムシティ朝霞」の2つのモデルハウス見学、最後にタウン内にあるクラブハウスでの質疑応答が行われた。

まずは、タウン内の設計について、「SafeSound:安全で、環境にやさしく、サステナブルなまち」をコンセプトに3つの公園に加えて、緑被率25%を実現するとしている。
また、先に述べたように2020年冬に大型商業施設がオープンするほか、2020年4月に保育施設がオープン予定、タウン内にはシェアサイクルやカーシェアも設置される。

特出すべきは、“災害対応力”のあるタウン設計。
タウン内は見渡すと電柱がない。近年の台風や豪雨などの影響で電柱の倒壊が電気の復旧を妨げたことは記憶に新しいが、朝霞市の住宅地では初という無電柱化を実現している。
また、地下に雨水を一次貯留して流出を抑制できる雨水貯留システムにより、豪雨の水害被害の軽減を図り、雨水排水をコントロールすることにより自然環境に配慮する。
水道管・ガス管は耐久性の高い素材を導入、地震に強く有事の不安を解消する。

レジリエンス機能を備えた地下のインフラを整備。災害に強いまちづくりとして設計されている(※積水化学工業資料より)レジリエンス機能を備えた地下のインフラを整備。災害に強いまちづくりとして設計されている(※積水化学工業資料より)

災害からの回復力=レジリエンス機能をもつ、フルスペック住宅

あさかリードタウン内にある「スマートハイムシティ朝霞」のガーデンストリート(完成予想図)あさかリードタウン内にある「スマートハイムシティ朝霞」のガーデンストリート(完成予想図)

見学したのは戸建て分譲住宅「スマートハイムシティ朝霞」の鉄骨系と木質系の2つのモデルハウス。

住宅内の仕様・設備は「現セキスイハイムのフルスペック仕様」ということ。タウン全体もレジリエンス機能を備えているが、住宅そのものがエネルギーと災害リスクに配慮した設計となっている。
全戸太陽光発電システム(PV)と蓄電池を標準で搭載。停電の際も太陽光発電システムで発電した電力や蓄電池にためた電力を使用することができ、HEMS搭載がされている。まさに「創エネ」「蓄エネ」「省エネ」が可能となっている。

エネルギーだけでなく、「飲料水貯留システム」を住宅に標準で搭載。断水時でも4人家族3日分、24リットルの飲料水を確保できるという。プラスされたレジリエンス機能により、万が一災害が起きた際も、災害後の一日も早い生活再建ができる「縮災」につながるということだ。

また、タウン内の戸建てには細やかな管理サービスがついている。
清掃点検や見回り、困ったときの対応窓口などのサービスを行うタウンコンシェルジュや大型宅配ロッカーを完備。住人専用アプリ「NiSUMU」での回覧板機能やタウン&ホームセキュリティの状況確認などができる。契約者からは「マンション並みの管理でうれしい」といった声があるという。

「スマートハイムシティ朝霞」の販売価格は、建売住宅が4,000万円台後半~5,500万円、条件付き土地分譲が建物込みで5,500万~6,000万円だということ。総区画数131戸を予定しているが、すでに第1期の4月、第2期1次募集から販売を開始した68区画については契約済みだ。

今後手がけるタウンマネジメントのスタンダードを目指す

今回の「あさかリードタウン」は、2019年1月に積水化学グループが設立したタウンマネジメントの専業会社:セキスイタウンマネジメント株式会社が手掛ける初のタウンマネジメントプロジェクト。

積水化学工業株式会社 住宅カンパニー プレジデントの神吉 利幸氏は
「グループの総合力とあさかリードタウンの知見を活かして、このスマートタウン開発を新たな事業の柱とし、早期に全国に展開、成長させていく。あさかリードタウンに搭載した仕様を基準として、同グレードのタウン開発を進め、今後は住宅コストへ反映する部分の開発努力や、地域の方々、行政との協力で、未来あるまちづくりに貢献したい」と述べた。

積水化学工業がグループの総力を挙げて取り組むサステナブルなまちづくり、「あさかリードタウン」。
令和以降の新たな時代をむかえタウン開発・タウンマネジメントのスタンダードとなるか、期待したい。

■取材協力:あさかリードタウン
https://www.bunjou816.jp/file/asaka/index.html
「スマートハイムシティ朝霞」

2019年 11月25日 11時00分