水道管の破裂により床が水浸し、家財や家電への被害も

日々の生活において欠かせない水道。水漏れや水が出ないなどのトラブルが発生すれば、途端に日常生活に支障が出る。これから冬に向けて気温が低くなるにつれ特に注意したいのが、水道管の凍結・破裂だ。水道管が破裂してしまうと、部屋中が水浸しになることもある。冷蔵庫やテレビなど家電は使用できなくなり、洋服など私物も大きな被害を受けるだろう。

外気温がマイナス4℃以下、1日中氷点下の真冬日などは特に注意したい。損害保険会社を会員とする事業団体である一般社団法人日本損害保険協会 北海道支部の調査によれば、気温が平年並みとされる2016年度でも、水道凍結事故は全道で発生。保険金支払件数は5,162件、支払金額29億6,098万円と、2015年度からほぼ倍増となった(対象は北海道のみ)。水道の凍結・破損事故は気象に大きく影響を受ける。寒波が訪れた2012年度は6,949件、支払金額は46億7,573万円であった。

一般社団法人日本損害保険協会 北海道支部による調査より、水道凍結事故による保険金支払件数・金額の推移を参照して作成一般社団法人日本損害保険協会 北海道支部による調査より、水道凍結事故による保険金支払件数・金額の推移を参照して作成

築古、木造物件で多い傾向だが、新築物件も

屋根に雪や氷が流れ込むスノーダクトという設備が設置されている住宅がある。ここに落ち葉やゴミが詰まってしまっていると、うまく排水されず凍結してしまい、漏水が起こってしまう。水道管の凍結同様、寒冷地で注意したいトラブルだ屋根に雪や氷が流れ込むスノーダクトという設備が設置されている住宅がある。ここに落ち葉やゴミが詰まってしまっていると、うまく排水されず凍結してしまい、漏水が起こってしまう。水道管の凍結同様、寒冷地で注意したいトラブルだ

一般社団法人日本損害保険協会は、蓄積したノウハウを活かし、防災や防犯対策、損害保険の普及や啓蒙を行っている。北海道支部では、寒冷地である北海道でリスクが高い水道管の凍結・破裂や、スノーダクトなどのチラシを作成し配布。事故を未然に防ぐため日々情報発信をしている。

水道管の凍結が起きやすい物件について、一般社団法人日本損害保険協会 北海道支部の小島 達巳さんは、「新築物件であっても、築古の物件であっても発生していますが、やはり築古の木造住宅は断熱性能が低かったり、水道管も老朽化しているケースが多く、凍結が発生する可能性が高くなります。もっとも気温が下がる12月から2月にかけての期間はもちろん、水道を使用していないと凍結しやすくなるため、年末年始などの長期に渡って不在にするときは、特に注意が必要です。」

凍結防止ヒーターが付いている新築物件に居住していた人が、たまたま寒波が訪れたときにヒーターの電源を切ってしまっていて凍結した事例もあるそうだ。凍結防止の設備があっても、状況によっては思わぬ被害が発生する。また、2018年は九州でも寒波が訪れた。普段は凍結しないようなエリアでも突然の気候の変化に注意したい。

「水道管の事故にかこつけて、『保険金を使えば無料で修理できる』と住宅の修理やリフォームを持ちかける悪質な業者とのトラブルが発生しています。修理サービスなどのご契約前にご加入先の損害保険会社または代理店に相談してください。」

損害額が高額になった事例は?

水道の凍結・破裂による保険金の支払い状況について前述したが、具体的にどういった事故が起こっているのだろうか。小島さんに事例を教えて頂いた。

【1】2階建て木造物件の、2階のうち1室で水道管破損。住人は長期不在。1棟6室のうち4室に被害が発生。損害額:約1,000万円
【2】2階のトイレの水道管が漏水。建物の1~2階に被害が発生。損害額:約2,200万円
【3】店舗ビルの消火栓が凍結。水がビル内に噴き出した。損害額:約3,000万円
【4】スノーダクトの氷が解けてオーバーフロー状態に。排水ができず、屋内の壁から水が出てくる被害が発生。損害額:約200万円

「損害額は、数万円から数千万円までと一概にはいえないのですが、長期不在により発見が遅れたり、発生階が2階以上だった場合は階下へも被害が及ぶなど、状況によっては建物全体に被害が出てしまうこともあります。入学や転勤などで北海道に移り住み、はじめて北海道で冬を迎える方、帰省で長く家を空ける方などで多く被害が発生しているため、大学の生協にチラシを配布してもらったり、不動産会社と連携して情報発信をしたりしています。保険は事故や災害など、経済的にマイナスの事が発生したときに、そのマイナスを元に戻すためのものです。ですが、水道管の凍結・破損事故は壁に穴をあけたり修理も大掛かりになり生活への支障も大きい。そもそもこういった事故が起こらないことが望ましいので、地道に啓蒙活動をしています。」

火災保険は水濡れによる建物・家財の損害や、他人の住居や家財に損害を与えたときの賠償責任を負担した場合の損害の補償が付帯されているものが一般的だが、契約内容により補償対象や保険金支払額の上限は異なる。気になる人は一度契約内容を確認しておくとよいだろう。

一般社団法人日本損害保険協会 北海道支部作成のチラシ<br>
右:スノーダクト凍結事故防止啓発チラシ オモテ面<br>
左:水道凍結事故防止啓発チラシ オモテ面一般社団法人日本損害保険協会 北海道支部作成のチラシ
右:スノーダクト凍結事故防止啓発チラシ オモテ面
左:水道凍結事故防止啓発チラシ オモテ面

水抜き方法を事前に確認しておこう

寒冷地の物件には、管の中の水を抜く「水抜き」のための水抜き栓が備わっているものがある。水抜きをするのは、予想最低気温が-4℃以下になることが予想されている夜の就寝前。また、日中も0度以下など、冷え込むことが予想されているときや、帰省などで長期間不在にするときの外出前などだ。水抜きが不完全なために凍結事故が発生した事例も多くある。水抜きは外出前に余裕を持っておこないたい。凍結防止ヒーターが備え付けられている場合は、スイッチを入れておこう。

<水抜き栓による水抜きの方法>
※札幌市水道局ホームページ参照 
蛇口がしまった状態で水抜きをする
【1】水抜き栓を閉める。(水抜き栓のハンドルを右に止まるまで回す、レバーの場合は「止」の方向に操作する)
【2】蛇口をいっぱいに開ける。空気入れ蛇口、水抜き蛇口がある場合は、これもいっぱいに開ける。
【3】【2】のすべての蛇口から完全に水が出なくなったのを確認。蛇口を締める。

水抜き栓の個数や形状、水抜きの方法、手動式・電動式のものなどその物件によって異なる。内見の際は不動産会社の人に水抜き栓の場所と水抜きの方法を確認しておこう。水道管が屋外にある場合、外気に触れないよう、毛布や保温材をぐるぐると巻きつけ、紐で固定。さらにその上から防水のため、隙間をつくらないようにビニールテープを巻きつければ防寒対策になる。不在にする時間があまり長くないときは、ごく少量の水を流し続けておく方法もある。

札幌市水道局 パンフレット「冬のくらしガイド」より「水抜き方法など」札幌市水道局 パンフレット「冬のくらしガイド」より「水抜き方法など」

もし凍結してしまったら?

<軽い凍結の場合>
水道管や蛇口にタオルや雑巾などをかぶせて、上からゆっくりお湯をかける。熱湯を直接かけたり、ガスバーナーや炎など直火を当てると破裂の危険があるので注意。

<解氷パイプが取り付けてある場合>
キャップを上に持ち上げて取り外し、立ち上がり管にお湯を注ぐ。
お湯がゆっくり立ち上がり管に伝わるように注ぐ。軽い凍結の場合同様、熱湯をかけたり、直火を近づけたりしないこと。

上記を試してみても、解氷できない・水が出ないときは、自治体の水道局のホームページを確認し、指定給水装置工事事業者に連絡する。賃貸物件に住んでいる人は、管理会社もしくは大家にも連絡をしよう。

これから本格的な冬を迎える。天気予報で「凍結に注意」や、「真冬日」などの情報を聞いたときはすぐに水抜きができるよう、はじめて寒冷地で冬を迎える人は水抜きの方法を事前に確認しておきたい。

札幌市水道局 パンフレット「冬のくらしガイド」より「もしも、凍らせてしまったら」から一部抜粋札幌市水道局 パンフレット「冬のくらしガイド」より「もしも、凍らせてしまったら」から一部抜粋

2018年 11月29日 11時05分