約13分に1件の割合で発生している火災

寒風吹きすさぶとともに空気が乾燥する冬。年末から火事のニュースを頻繁に聞くようになった。特に2016年12月22日に発生した新潟県糸魚川市の火災は多くの人に強烈な印象を与えたはずだ。強い南風によって瞬く間に燃え広がり、140棟以上を含む約40,000m2を焼失させ、鎮火まで約30時間を要した。あらためて火事の恐ろしさを感じたという人は少なくないだろう。

実際に火事はけっして縁遠いものではない。消防庁のデータによると2015年の総出火件数は39,049件。約13分に1件の割合で火災が発生している。建物での出火原因を多い順から並べると次のようになる。

1.コンロ:15.3%
2.たばこ:9.8%
3.放火:8.2%
4.ストーブ:5.4%
5.放火の疑い:4.5%

冬は寝たばこをしたりストーブの使用頻度が増す。そのため火事には特に注意したい季節だ。火事対策としてぜひ用意しておきたいのが住宅用消火器。住宅用の消火器は、商業施設や公共施設などと違い、実は設置義務がない。今現在家にないという人もいるだろう。そこでこれから購入したいという人のために選び方から使い方、その他注意点などを解説しよう。すでに家庭にあるという人もほこりをかぶって使用期限が過ぎていたり、そもそも使い方が分からないといった場合はぜひ読み進めてほしい。

一家に1本は常備しておきたい消火器。常備していたとしても写真のようにほこりを被り、<BR />使い方がわからないという人もいるのではないだろうか一家に1本は常備しておきたい消火器。常備していたとしても写真のようにほこりを被り、
使い方がわからないという人もいるのではないだろうか

発生する可能性の高い火災の種類によって使い分けたい

住宅用消火器には、おもに次の2種類がある。

[粉末タイプ]
制炎性に優れた粉末ですばやく消火する。ただし、放射時間が比較的短く浸透性がないので可燃物によっては再燃することがある。そのため、火元を的確に狙う必要がある。

[強化液タイプ]
液状の薬剤が放射され消火する。冷却効果と浸透性があり再燃防止効果も比較的高い。放射時間が長いので落ち着いて消火できる。

両者は図のように消火対象の得意・不得意がある。できれば灯油ストーブがある部屋には粉末タイプ、天ぷらなどを揚げるキッチンには強化液タイプといったように適した場所に設置したい。
使い方はどちらのタイプも同じで次のように非常に簡単だ。

1.安全栓を引き抜く
2.火から1.5~2m離れてノズルを火元に向ける
3.片方の手で消火器を持ちながら、もう片方の手でレバーを力強く握る
4.放射時間は15秒前後。意外に短いので最初から狙いを外さないようにする
5.完全に消化したか確認

小型のものならば1.5㎏程度と軽いので、女性でも扱えるはずだ。いざというときは焦らず確実に実行してほしい。

住宅用消火器は、おもに粉末タイプと強化液タイプの2種類。タイプによって消火対象の得意・不得意があるので、できればそれぞれ適した場所に設置しておきたい(出典:消防庁HPより作成)住宅用消火器は、おもに粉末タイプと強化液タイプの2種類。タイプによって消火対象の得意・不得意があるので、できればそれぞれ適した場所に設置しておきたい(出典:消防庁HPより作成)

使用期限を過ぎた消火器は破裂の危険性が

このように非常に使いやすい住宅用消火器だが、一度購入すれば安心というわけではない。各消火器には大体5~8年の使用期限があるからだ。使用期限を過ぎた消火器は破裂の危険性が高くなるので新しいものと交換した方がいい。使用期限はラベルなどに記載されているので、毎年忘れずにチェックしたい。

使用期限が過ぎて破棄することになった消火器は、一般のゴミとして廃棄することはできない。新しいものを購入する店舗で引き取ってもらうか、下記サイトなどを参考に正しく廃棄してほしい。

一般社団法人 日本消火器工業会
http://www.jfema.or.jp/about/recycling

消火器には使用期限がある。写真の消火器の使用期限は8年間。すでに2年以上過ぎていた消火器には使用期限がある。写真の消火器の使用期限は8年間。すでに2年以上過ぎていた

より簡単に使用できるエアゾール式簡易消火具

一般的な消火器よりもさらに手軽な消火具がある。エアゾール式簡易消火具だ。これはヘアスプレーとほぼ同じ構造で、消火薬剤を液化ガスや圧縮ガスの圧力により放射して消火するもの。天ぷら油の発火や灯油ストーブによる火災などの初期段階に有効だ。
使い方も缶上部のボタンを押すだけで使用できる。しかも薬剤が2~3m飛ぶので、それほど火に近づかなくても消火活動ができる。これなら子どもや高齢者でも簡単に使えるだろう。ただし、消火能力は消火器ほど高くないので、消防庁ではあくまで補助的な役割を果たすものとしている。

また、一部のエアゾール式簡易消火具は、破裂事故が頻発し自主回収を行っている。
リコール製品の情報(東京都生活文化局)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/attention/shoukaki.html

上記の製品に限らずエアゾール式簡易消火具にも使用期限があるので、時期がきたら必ず交換するように注意したい。

以上のように住宅用消火器もエアゾール式簡易消火具も家庭内の火災発生時に非常に役に立つ。価格も前者なら3000円程度から、後者でも1000円程度からと手軽に購入できるものもある。この機会に現在設置していない人は購入を検討し、設置している人も使用期限を確認してはいかがだろう。

エアゾール式簡易消火具の例。ヘアスプレーと同様の操作で簡単に初期の消火活動が可能(出典:消防庁HP)エアゾール式簡易消火具の例。ヘアスプレーと同様の操作で簡単に初期の消火活動が可能(出典:消防庁HP)

2017年 02月09日 11時05分