住宅火災の発生状況

秋から冬にかけては空気が乾燥し、火災が発生しやすい環境になる。また、ストーブなどの暖房器具が発火の原因ともなりやすく、注意が必要だ。

消防庁発表の「平成29年(1~12月)における火災の状況」によれば、放火自殺者などを除いた住宅火災による死者数は889人と前年より4人増加した。また、建物火災の発生数21,365件の発生原因は「こんろ」が最も多く2,986件(14.0%)。次いで「たばこ」2,025件(9.5%)、「放火」1,635件(7.7%)、「ストーブ」1,330件(6.2%)、「配線器具」1,036 件(4.8%)だった。死者数889人のうち、65歳以上の人は646人で、72.7%と7割以上を高齢者が占めている。

2008年の住宅火災における死者数(放火自殺者等を除く)1,123人と比較し、2015年は914人、2016年885人、2017年889人と減少傾向にあるものの、ここ数年は横ばいで推移。また、高齢者の占める割合は2016年は66.8%、2017年で69.9%と上昇傾向にある。

消防庁「平成29年(1~12月)における火災の状況」より、「住宅火災における死者数の推移(放火自殺者等を除く。)
」を参照して作成消防庁「平成29年(1~12月)における火災の状況」より、「住宅火災における死者数の推移(放火自殺者等を除く。) 」を参照して作成

住宅用火災警報器の義務化と設置率

住宅火災による死者の発生状況(平成27年中)を見ると、「逃げ遅れ」が理由とされるのが全体の半数以上の52.2%であった。(消防庁「平成28年版消防白書」より)また、夜間の就寝中に火災に気が付かない人が多いこと、死者数の約7割を高齢者が占めることから、2006年6月1日消防法の改正により新築住宅への火災警報器設置義務化が定められた。既存住宅についても、2011年6月まで各市町村の条例に基づき、全国において義務化されている。

設置箇所については、東京消防庁では、「居間、リビング、子供部屋、寝室などのふだん使っている居室、階段、台所の天井または壁に設置が必要」としている。自動火災報知設備やスプリンクラー設備が設置されている部屋等は、設置の必要がない。この設置箇所については、政令で定める基準(寝室、階段、廊下)以外で設置が必要な場合がある。自治体ごとに異なるので、気になる人は消防庁のHPで確認しよう。(※)

住宅用火災警報器の設置率は、都道府県別に公表されている。2018年6月1日時点での全国の設置率は81.6%、条例適合率は66.5%であった。「設置率」は、住宅に一箇所以上設置されていれば対象となる。条例適合率は、市町村の条例で設置が義務付けられている箇所全てに設置されている世帯が対象であり、設置率は低くなる傾向にある。設置率が95.1%、条例適合率が85.7%と、全国で最も設置割合が高かったのは福井県で、最も低かったのは沖縄県だった(設置率57.5%、条例適合率42.4%)。

(※)総務省消防庁 市町村条例概要
http://www.fdma.go.jp/html/life/juukei_gaiyou/gaiyou_index.html

総務省消防庁「平成29年版 消防白書」より「時間帯別住宅火災の死者(放火自殺者等を除く。)発生状況」を参照して作成総務省消防庁「平成29年版 消防白書」より「時間帯別住宅火災の死者(放火自殺者等を除く。)発生状況」を参照して作成

賃貸物件の場合、設置義務は誰にある?

消防庁が2014年から2016年までの住宅火災について調査をしたところ、住宅用火災警報器を設置している場合は、設置していない場合と比較して、死者数が0.61倍少ないことが分かった。また、焼損床面積は0.51倍、損害額は0.56倍と約半減しており、住宅用火災警報器の設置により、死亡や損害のリスクが減少することがわかる。

もし、現在居住中の住まいや、これから引越し予定の賃貸物件に住宅用火災警報器が設置されていなかった場合、どうすればよいだろう。原則的には、「寝室」と「階段」に設置義務があるが、各自治体の条例により、設置箇所は異なるので、まずは自治体の条例を確認したい。誰が設置するかについては、参考として東京都の火災予防条例がある。条例によれば、『住宅の「関係者」は、住宅用火災警報器を設置し、維持しなくてはならない』と定められている。関係者とは、住宅の所有者、管理者、占有者であり、大家さんや、不動産会社・管理会社、入居者に設置し維持する義務が発生することとなる。まずは不動産会社や大家さんに相談してみよう。

総務省消防庁「住宅用火災警報器の設置率等と推進状況等について」より、「住宅用火災警報器の効果」を参照して作成総務省消防庁「住宅用火災警報器の設置率等と推進状況等について」より、「住宅用火災警報器の効果」を参照して作成

10年が交換の目安。定期点検をしよう

自宅の住宅用火災警報器の音を聞いたことがない、という人も多いだろう。まずはちゃんと音が鳴るのか動作確認をしてみよう自宅の住宅用火災警報器の音を聞いたことがない、という人も多いだろう。まずはちゃんと音が鳴るのか動作確認をしてみよう

せっかく住宅用火災警報器が設置されていても、故障や電池切れが発生していると、いざというときに役立たない。住宅用火災警報器の義務化から、10年以上が経過しており、また機器が劣化するのがおおよそ10年であることから、消防庁では定期的な点検を呼びかけている。もし自宅の住宅用火災警報器から、「ピッ」という短い音が定期的にした場合、電池切れや故障を知らせるブザー音の可能性がある。この音は数日で鳴らなくなってしまう為、長期間自宅を空けていた時などは、点検をしたほうがよいだろう。

時期を決めて、定期的な点検もしておきたい。住宅用火災警報器のボタンを押したり、ひもがついているものについては、ひもを引いて動作確認をしよう。もし音が鳴らない場合は電池切れや故障の可能性があるため、電池交換や機器そのものを交換しよう。ほこりが付いたままになっていると、感知しにくくなってしまうので、汚れているときは乾いた布でふき取るとよい。

ふだんあまり意識することのない住宅用火災警報器だが、24時間365日、火災の発生を見守る強い味方である。定期点検については、消防庁や一般社団法人 日本火災報知機工業会などのHPに掲載されているので参考にしてほしい。

一般社団法人 日本火災報知機工業会 10年たったら、とりカエル。
http://www.torikaeru.info/

2019年 03月13日 11時05分