注目度上昇中のモザイクタイル

オザワモザイクワークスで作っているモザイクタイル。1250℃の窯で、約16時間かけて焼いて仕上げるオザワモザイクワークスで作っているモザイクタイル。1250℃の窯で、約16時間かけて焼いて仕上げる

昭和30~40年代に風呂場やキッチンの流し台、かまどなどに多く使われていたモザイクタイルが、いま再び注目を集めている。

2016年に岐阜県多治見市笠原町に誕生したモザイクタイルミュージアムも話題で、当サイトで筆者も記事にした。

モザイクタイルは、丸形、正方形、長方形、六角形など様々な形があり、色や並べ方で模様を作ることができる。キッチンや洗面所など空間のアクセントにもなるが、実際にどのように住まいに取り入れたらいいのか分からないという意見も聞く。

今回は、先のミュージアムがあり、日本一のモザイクタイル生産量を誇る笠原町にあるメーカー、株式会社オザワモザイクワークスの小澤直樹社長と企画室・小澤枝里子さんに取材。相談方法や施工について話を伺った。

少量&狭いスペースでも使いやすいのが特長

写真上/工場内のひとスペースにスタンバイするモザイクタイルの数々。オザワモザイクワークスで扱う数は300種類以上! 写真下/1枚ずつのモザイクタイルを手作業でシート状に。オーダーされた色の組み合わせや模様もここで調整される写真上/工場内のひとスペースにスタンバイするモザイクタイルの数々。オザワモザイクワークスで扱う数は300種類以上! 写真下/1枚ずつのモザイクタイルを手作業でシート状に。オーダーされた色の組み合わせや模様もここで調整される

あらためて紹介すると、モザイクタイルとは、1枚の表面積が50cm2以下の陶磁器製タイルのことをいう。笠原町はもともと、美濃焼と称される焼き物が盛んで、“茶碗のまち”として知られていた。その伝統と新しい技術を融合し、モザイクタイルの一大生産地となった。

小澤社長の父も茶碗を作っていたが、1968(昭和43)年から住宅・店舗のインテリア向けモザイクタイルの製造販売を行っている。

国内だけでなく、海外向け商品も製造しているオザワモザイクワークスだけでも、300以上の種類を扱っているそうだ。これほどのカラー、デザインの豊富さと共に、「どんなに少量でも狭いスペースでも使いやすいのが魅力」と小澤社長。

写真立てなどのハンドメイド雑貨の素材としても人気となっていることもあり、雑貨店などでバラ売りも見かけるが、住宅や店舗での大きな面の施工用には1辺が30cmのシート状のものが主に使われる。

それを施工する場所に合わせて必要であればカットをし、タイル用の接着剤で貼り付ける。その後、タイルとタイルの隙間に”目地(めじ)“と呼ばれる処理を施す。目地を詰めたあと、タイル表面に残った目地材を拭き取って完成する。

DIYでできる?それともプロに任せたほうがいい?

写真上/角の部分など、DIYに慣れない初心者が自らモザイクタイルを施工するには難しさが。ちなみに、写真の白いモザイクタイルと茶色のモザイクタイルは色違いだけで、大きさは同じ。置き方による模様で印象を変えられる。写真下/目地を入れていない状態のモザイクタイル。接着剤が多すぎると目地部分が詰まってしまい、目地材を入れる前に削らなければいけないことも。いずれの作業工程にも細心の注意が必要になる写真上/角の部分など、DIYに慣れない初心者が自らモザイクタイルを施工するには難しさが。ちなみに、写真の白いモザイクタイルと茶色のモザイクタイルは色違いだけで、大きさは同じ。置き方による模様で印象を変えられる。写真下/目地を入れていない状態のモザイクタイル。接着剤が多すぎると目地部分が詰まってしまい、目地材を入れる前に削らなければいけないことも。いずれの作業工程にも細心の注意が必要になる

施工方法を聞くと自分でできそうかなとも思うが、実際はどうなのだろうか。

「実際に施工される方は、専門の会社に任せるほうが多いと思います。モザイクタイルに初めて触れる方が、いきなり家に貼るというのはハードルが高いです」と枝里子さん。

続けて「私たちはモザイクタイルミュージアムの近くで雑貨屋『&enn』を経営していまして、そこでモザイクタイルを使った雑貨づくりのワークショップを行っていますが、小さな雑貨でも苦戦されるんです。目地詰がけっこう難しいんですね」とのこと。

その目地詰の難しさに加え、寸法に合わせてカットしたりする場合は、専用のカッターが必要に。角をきれいに仕上げるのも難度が高い。小澤さんのご自宅もリノベーションでキッチンカウンターの下にモザイクタイルを貼ってみたが、コンセント回りなどで苦労を実感したとのこと。そのため、装飾的に一部分だけに貼り付けるという場合は、DIYに慣れていれば可能かもしれないが、貼る面積が大きい場合は内装を専門とする工務店などに任せたほうが安心だという。

ただ、「DIYが盛んになってきているので、シールで貼れる商品も出ています。まず気軽に貼ってみようという方にはそういうものを使用する手もありますよ」と教えてくれた。

理想の実現のためには、丁寧な相談を

いずれにしても、「あの部分、失敗だったな」「気に入らないな」なんて思いながら暮らすことがないようにしたいものだが、プロに任せるなら予算も気になるところ。

「うちの商品でいうと、タイルの金額だけで、だいたい1m2で¥8,000から。キッチンバックだとせいぜい2~3m2分が必要になりますね。知り合いの工務店に聞くと、そこにプラスされる施工費は、¥8,000のタイルを住宅に数m2施工時の目安として、1m2¥8,000~10,000くらいだそうです」と小澤社長。枝里子さんは「タイルが高いとよく言われますが、貼る人の施工費(技術料)もかかるんです」と言う。

また小澤社長は「決まった仕様があるハウスメーカーさんの場合、タイルの仕様がなければ交渉などが大変になりますが、工務店さんや注文住宅ができるところであれば、問題ないと思いますよ」と話す。

そして、モザイクタイルの施工をするならば、新築時に一緒に行うのがいいのではとのこと。

「リノベーションで、モザイクタイルだけの工事になると予算的に高くなるかもしれませんね。ただリノベーションで他の工事もあって、ということであれば、その工務店さんに一緒にご相談するのがいいと思います。また、この平米数に対して何シートいるとなっても、一般の方ではなかなかぴんとこないですよね。なので、専門の方に見ていただければ、ここなら何シートあれば大丈夫と教えてもらえるでしょう。当社では、商品を決めておいていただければ、必要なシート数をご用意できますし、あるいは平米数を言っていただければお見積りを出すこともできます」。

インターネットでモザイクタイルの施工例を示しているところや、雑誌なども参考にしつつ、まずはどのようにしたいのか、自分の希望を明確にしてから相談に入るのがいいだろう。

写真左上/同じ色味、同じ長方形のものでも、大きさや艶あり、艶なしの組み合わせで、豊かな表情を出すことができる。写真左下/中央とその上下は、実は同じモザイクタイルのシートを使用。目地の色を変えるだけで、まったく違う表情に。最近では、ピンク、ブルーなどカラー目地も増えている。写真右/トイレの施工事例写真左上/同じ色味、同じ長方形のものでも、大きさや艶あり、艶なしの組み合わせで、豊かな表情を出すことができる。写真左下/中央とその上下は、実は同じモザイクタイルのシートを使用。目地の色を変えるだけで、まったく違う表情に。最近では、ピンク、ブルーなどカラー目地も増えている。写真右/トイレの施工事例

モザイクタイルで一からシステムキッチンを作ることもできる

かつてはお風呂場などでは機能性が重視されていたが、いまはその意匠性が好まれるというモザイクタイル。「モザイクタイルミュージアムができる前は、モザイクタイルに対して『かわいい』なんて言葉を聞いた事すらなかったんです(笑)。ちょっと昔のものだよね、どこに使われるんだろう、というのが、ミュージアムができたことで若い方に注目されるようになった」と枝里子さんは驚いたという。

施工面でハードルが高く感じられ、使ってもらいにくくなったという反面、モザイクタイルの良さが見直されていることも感じているそう。

「タイルは焼き物なので、色を出す難しさもありますが、そういうところを分かってきてくださっている人もいるのかなと。簡単に施工できるものがいい、簡単に拭き取れるもののほうがいいという方もいれば、これでは味気ないからタイル貼ったほうがかっこういいよねと言ってくださるお客様もいて、多種多様になっています」。

オザワモザイクワークスの事務所の2階にあるショールームには、一から作られたキッチンがある。ベース部分は大工さんにベニヤ板などで下地を作ってもらい、タイル工事ができるプロにモザイクタイルを貼り付けてもらった。写真をご覧いただければわかると思うが、とても素敵な仕上がりだ。枝里子さんによると、「システムキッチンを入れるよりもずっと安上がりですよ」とのことで、これを見て自分で工務店にイメージを伝えて、自宅に導入したお客さんもいるという。

お手入れが難しいと思われるかもしれないが、普段は拭き掃除でOK。汚れがある場合は、あまり住宅用では出回らないが金属系顔料が使われた特殊な商品でなければ、市販の漂白剤などを使えば大丈夫だ。

枝里子さんいわく「“焼き物”としての風合いの美しさも魅力のひとつ」であるモザイクタイル。理想の住まいに向けて、決してハードルが高いものというわけではないと感じた。メーカーでは個人からでも問合せを受け付けているところもある。また、展示しているショールームに行き、相談を進めるのもいいだろう。

取材協力:オザワモザイクワークス http://omw.co.jp/

写真左上/オザワモザイクワークスのショールームにあるキッチン施工事例。モザイクタイルを貼り付けた台や脚部分は、ベニヤ板などで作成したものなので、好みの高さに調整することが可能だ。写真左下/オザワモザイクワークスの小澤枝里子さん。「購入の仕方が分からない、実際に見て購入できるところがないね、というお声もいただくので、オープンファクトリーを始めました」。開催日はFacebookを参照。写真右上/小澤社長が地元活性化を目的に同級生3人で立ち上げた雑貨店「&enn」(土日祝の営業)のレジカウンター。こちらも土台はベニヤ板で、モザイクタイルを貼り付けた。写真右下/「&enn」では、モザイクタイルに親しんでもらうため、雑貨づくりなどのワークショップも行っている写真左上/オザワモザイクワークスのショールームにあるキッチン施工事例。モザイクタイルを貼り付けた台や脚部分は、ベニヤ板などで作成したものなので、好みの高さに調整することが可能だ。写真左下/オザワモザイクワークスの小澤枝里子さん。「購入の仕方が分からない、実際に見て購入できるところがないね、というお声もいただくので、オープンファクトリーを始めました」。開催日はFacebookを参照。写真右上/小澤社長が地元活性化を目的に同級生3人で立ち上げた雑貨店「&enn」(土日祝の営業)のレジカウンター。こちらも土台はベニヤ板で、モザイクタイルを貼り付けた。写真右下/「&enn」では、モザイクタイルに親しんでもらうため、雑貨づくりなどのワークショップも行っている

2019年 08月04日 11時00分